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シリーズ 橋下「行革」の現場を行く



第6回 大阪都構想(上)  破たん大型開発に執着

 関西国際空港の隣駅、りんくうタウンに降り立つと、そびえ立つ超高層ビルの向こうに一面のすすき野が広がっていました。
 総事業費は、府の事業として実施した公団道路用地の取得。整備などと合わせて約7000億円。「税金を使わず『現代の宝島』を造る」と宣伝された副都心事業ですが、この失敗による府民負担は2800億円を超えます。659億円かけたゲートタワービル(高さ256メートル)も完成から8年で破たんし45億円で売却。一方、起債を引き受けた銀行の利息収入は1700億円以上です。

借金は5.2兆円

 「府財政がこれほど悪化したのは、大阪経済の地盤沈下などによる税収減、国の『三位一体改革』による負担増とともに、1990年代の公共事業乱発と大型開発の連続失敗が大きい」。財政学が専門の大阪教育大学の高山新教授は、5.2兆円に上る府の借金の背景をこう指摘します。
 ところが、府が昨年発表した「大阪の成長戦略」は、規制緩和や法人税減税(最大「ゼロ」)など直接の大企業支援策とともに、関空と阪神港の国際拠点化や高速道路整備といった企業活動のための都市基盤整備を列挙。「成長戦略」は「大阪都構想」と一体のものです。
 障害者への補助金削減をはじめ、「財政再建」を口実に府民施策を次々と切り捨ててきた橋下府政。一方、財政悪化を招いた元凶である大型開発への執着は際立っています。
 高山教授は、「橋下知事の『行革』は財政再建の名を借りた大型開発の財源づくり。仮に景気がよくなっても一度切られた府民施策が復活することはない」と強調します。
 減税などを使った企業誘致についても、高山教授は、府が224億円かけて誘致したシャープ堺工場が、雇用の創出にも地域経済の活性化にもつながらなかったことをあげ、「府民にとってのメリットは恐らくないだろう」といいます。
 経済は成長するのか。橋下知事は昨年末の街頭演説で、「大阪都構想」が実現した暁にはリニア建設の前倒しや市街地再開発を実現し、「大阪を世界で5本の指に入る都市にする。企業にもうけてもらい、上がった税収でくらしをサポートする」と訴えました。

あり得ない話

 奈良女子大学の中山徹教授(都市計画)は、大阪の都市基盤整備はすでに過剰で、橋下知事のような「大都市主義」が通用する時代ではないと語ります。
 「大都市に集中的に資本を投下して大手企業を呼び込めば、周辺部にも恩恵が広がっていくというのは、日本で人口の減少が避けられないことを考えればあり得ない話だ」
 実際、滑走路1本で16万回の発着能力があるにもかかわらず2本目の滑走路を造った関空では、2本目の完成前年(06年度)に11万7000回だった発着回数が、完成から3年後の09年度には10万9000回に落ち込みました。2期工事の総工費は1.1兆円。府はそのうち約1200億円を負担しています。
 中山教授は、「高齢化や少子化を見据えれば、福祉、教育、医療の予算をしっかり確保し、その雇用を通じて個人消費を上げていくという戦略こそ必要だ。限られた財源を従来型の開発に投入し続ければ、最悪の結果をもたらしかねない」と憂慮します。


「しんぶん赤旗」2011年1月18日付より


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