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シリーズ 橋下「行革」の現場を行く



第5回 国保広域化 1円滞納で差し押さえ

 大阪市西区でねじ加工の鉄工所を営む吉田明美さん(44)=仮名=の家(港区)に、市から国民健康保険料滞納の「差押の予告」が届いたのは昨年12月7日のことでした。4年前にさかのぼった請求額は約48万円。書面には15日までに納付しなければ財産を差し押さえると書かれていました。
 吉田さんの国保料は年間約35万円。不況で売り上げが激減するなかでも、区役所に相談し毎月分納してきました。ところが、差し押さえの相談で吉田さんが区役所を訪ねると、担当職員は分納ではなく、期日までに全額払うよう要求。再度相談に訪れた際も答えは変わりませんでした。

金借りて払え

 「『死ねっていうことか』と聞くと、職員は『借りてきてでも払えということだ』と」。口座の差し押さえは信用に関わるため、吉田さんは親せきや友人から借金して納付せざるを得ませんでした。
 吉田さんは、市の信用保証協会を通じて運転資金100万円を借りたばかりでした。
 「同じように差し押さえの問題で区役所に来ていた人が『あなたも借りたの』って。通帳にはそのお金しか入ってなかったし、それ以外に財産は何もない。ここを狙ったとしか思えない」と憤ります。
 大阪市はいま、国保料の徴収強化を宣言し、滞納の差し押さえを大規模に展開。学資保険や自宅マンションまで差し押さえています。滞納が1円でもあれば国保証を取り上げて短期証を発行し、その短期証も自分から取りにくるまで窓口に留め置くため、大量の無保険者が発生。短期証を取りにきた人には、滞納の時効切れ(2年)を防ぐための「未納額承認書」に署名させる徹底ぶりです。
 民主党政権が、市町村国保の都道府県単位への広域化を打ち出すなか、橋下府政はそれを先取りしようとしています。大阪社会保障推進協議会の寺内順子事務局長は、大阪市の厳しい取り立ては、府の広域化政策と連動しているといいます。

自治体も脅す

 府が昨年作成した「国保広域化等支援方針」は、府下市町村に対し滞納者の速やかな財産調査と処分、時効切れ対策の実施を求めています。収納率の低い市町村には府の財政調整交付金を減額すると脅しています。
 保険料や減免制度の統一に向け、市町村の一般会計から国保への繰り入れをやめさせることも狙っています。昨年7月の市町村長との協議で橋下知事は「繰り入れをやめれば保険料が上がる。それで耐えられるか」と提起し、首長からは「値上げもやむを得ない」「減免制度も統一すべきだ」との発言が相次ぎました。仮に府全体で年間300億円の繰入金と800億円に上る累積赤字をすべて保険料に転嫁すれば、平均1世帯約7万円超の値上げになります。
 寺内さんは、大阪の国保財政が悪化した背景には、国保の負担割合を減らしてきた国の責任とともに、国保加入世帯の約8割が所得200万円以下という深刻な貧困の実態があると指摘。「広域化ではこうした問題は解決しない。収納率向上や財政安定化だけで広域化を進めれば、大阪市の強引な取り立てが府下全域に広がりかねない」と語ります。


「しんぶん赤旗」2011年1月15日付より


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