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議事録

健康福祉常任委員会(2022年11月17日) 石川たえ府議の決算知事質問


・子どもの貧困緊急対策事業費について

◆(石川たえ委員) 日本共産党の石川たえです。
 子どもの貧困緊急対策事業費についてお聞きをいたします。
 令和二年度まで三億円の予算であった子どもの貧困対策補助金が、令和三年度は二・五億円に減額をされております。委員会では、予算額については、これまでの活用実績等を踏まえて設定しているところと答弁がありました。
 私は、子どもの貧困は広がっていると実感をしていますが、知事は子どもの貧困は解決しているという認識でしょうか。

◎知事(吉村洋文) 子どもの貧困緊急対策事業費補助金におきましては、市町村の取組を支援しておりまして、予算額についてはこれまでの活用実績等を踏まえて設定しているところです。
 子どもの貧困につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響も含め、引き続き、取組を進めていく必要があると考えています。

◆(石川たえ委員) 市町村の取組を支援していると委員会でも言われましたし、そういうふうに言われているんですけれども、令和二年まで三億円だった事業費が、令和三年度は先ほども申し上げましたとおり二・五億円に減額をされております。予算減額ということは、市町村への支援額が減っているということです。だから、子どもの貧困が解決しているのかというふうに知事にお聞きをしましたけれども、ちょっとそういう回答の答弁をいただけなかったのは残念だなと思っています。
 大阪府の子ども貧困後期計画では、子どもの貧困率は依然として高い状態が続いていると指摘し、子どもの貧困対策を進めるに当たっては、子どものことを第一に考えた適切な支援を包括的かつ早期に講じることが重要であるため、関係部局が連携し、生活支援、教育支援、孤立防止など総合的な取組を進めていくと、貧困解決へのポイントが記されております。
 今年二月に開催された子ども施策審議会提出資料では、コロナ禍における子どもへの影響として、世帯年収二百万円未満群では、子どもにお小遣いを渡すことができなかった、これが七・四%から一二・四%に、子どもの誕生日を祝えなかった、これが二・六%から三・四%にと他群に比べて高い傾向が見られること、旅行などの子どもの生活体験の面だけではなく、学習塾などの教育の面においても、経済的な格差によって生じる学習環境の格差が起こっていると考えられることを明らかにし、結果として経済的困窮状態にある家庭が増加している、こう明らかにされています。特に、教育委員会への貧困に関する相談が休校期間中に著しく増加しているというふうに結論づけられてもおります。子どもの貧困は、コロナ禍でより深刻になっていると言っても過言ではありません。
 市町村と連携を強めると言いながら、なぜ予算減額するのでしょうか。市町村の取組を支援するのであれば、これは増額し、補助率も上げて支援するべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。

◎知事(吉村洋文) 子どもの貧困対策を進めるに当たりましては、地域において、課題を抱える子どもや保護者を発見して、必要な支援に着実につなぐ取組が重要でありますことから、住民に身近な市町村の取組を支援しております。
 子どもの貧困緊急対策事業費補助金の予算額、また補助率については、市町村における活用実績や国の支援制度も踏まえて設定をしているところです。
 府としては、引き続き適切に補助金を運用するとともに、関係部局が連携して、生活支援、教育支援、孤立防止など、総合的に子どもの貧困対策を推進していきます。

◆(石川たえ委員) 平成二十八年度に初めて行った子どもの生活実態調査では、子どもの貧困率は一四・九%、七人に一人が貧困にあえいでいることが明らかになりました。だからこそ、貧困解決にと制度を創設されたわけです。コロナ禍で食事すらできなかった、水を飲んで療養したなど、さらに深刻な子どもの実態があります。
 コロナの影響も含めて総合的に貧困対策を進めるというのであれば、予算減額をしている場合ではない、私はこういうふうに思います。増額し、市町村の意見をよく聞き、使い勝手のよいものにする。使い勝手のよいものにしなければやはり実績というのは上がっていきませんので、使い勝手のよいものにして、貧困解決にさらに踏み出すことを求めておきたいと思います。

・新子育て支援交付金、乳幼児医療費助成などの子どもの医療費助成について

◆(石川たえ委員) 次に、子どもの医療費助成についてお聞きをいたします。
 委員会でも申し上げましたが、新子育て交付金は、優先配分枠も、そして成果配分枠も、制度創設以来、金額が全く変わっておりません。乳幼児医療助成は依然として就学前のままです。大阪府の子どもへの医療助成は、市町村の取組と比べても非常に遅れているというふうに感じております。
 委員会では、窓口の自己負担ゼロについて、受益と負担の適正化、こう言って拒否をされました。知事も同じ認識でしょうか。

◎知事(吉村洋文) 先般、九月議会の一般質問においても石川委員にお答えしたところでありますけれども、窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保、それから、やはり受益と負担の適正化の観点から困難であろうというふうに考えています。

◆(石川たえ委員) 九月にもお答えいただいているんですけど、受益、恩恵を受けるから負担するのが当たり前の原則のように、この間繰り返されていますけれども、医療にかからない子どもというのはほとんどいません。子どもが病院に行く、医療にかかるというのは受益ではない、私はこう思います。子どもの健康育成に行政は責任を果たすべきです。医療を受けることを受益としてしまえば、住民の福祉増進に寄与する自治体の役割は果たせません。
 ましてや、所得の高い世帯の五百円と低い世帯の五百円は負担の重みが違います。年収二百万円未満で五百円を節約し、子どもの誕生日すら祝えず、懸命に頑張って生活している世帯にとっては、非常に大きな金額にこの五百円はなってまいります。満足に医療にかかれないなど、親の所得によって生育を左右されることがあってはいけない、私はこう思います。子どもは全て平等に医療を受けられるようにすることが、行政に求められる施策です。生活が苦しいと悲鳴を上げている世帯にも、受益と負担の適正化だといって自己負担をさせる、行政としてこの姿勢が本当に正しいんでしょうか。
 既に就学前、自己負担なしの県は、令和三年四月一日時点で十二都県あります。他県は踏み出しているにもかかわらず、制度の持続化、受益と負担の適正化などといって自己負担ゼロに踏み出す姿勢すらない、これで本当にいいんでしょうか。自己負担ゼロにすることこそが、公平に子どもたちが医療を受けられる保障になるかと思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 乳幼児医療に関して、府としてセーフティーネット部分の役割を果たし、また、市町村において、この拡充が進んでいるところでもあります。
 窓口負担の無償化については、制度の持続的な維持可能性の確保、それから、受益と負担の適正化の観点から、困難であろうというふうに考えております。

◆(石川たえ委員) 受益を福祉や社会保障に持ち込むべきではありません。
 年齢拡充も喫緊の課題だというふうに思います。就学すれば、医療機関受診の機会は未就学期に比べると減る、こういうふうに言われていますけれども、貧困の広がりの中で、受診抑制は就学後も今広がっていると思います。
 全国保険医団体連合会が行っている学校健診後の未受診調査では、調査開始の二〇一八年度に比べて、調査対象の歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科において未受診率が増加していることが明らかになっています。未受診の背景に、経済的困難、独り親家庭などがあり、健診後の受診につながらない児童生徒は、家庭に何らかの課題や問題を抱えていることは明らかです。市町村が新子育て交付金成果配分枠の約九〇%を子ども医療費助成に充てているという点から見ても、お金の心配なく医療を子どもに受けさせてやりたいという親の願いは強いです。
 成果配分枠の増額、乳幼児医療助成の年齢拡充、自己負担ゼロこそが貧困解決と子育て支援につながると思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 広域自治体であります大阪府と、それから住民サービスの充実化を徹底して図っていくべき市町村の役割分担を踏まえまして、子どもたちが安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいくことが重要だと思っています。
 府としては、乳幼児医療費に係るセーフティーネットの部分の役割を果たすとともに、広域自治体として府域全体の子育て支援施策の底上げを図るために、新子育て支援交付金により、地域の実情に合わせた施策の充実に資するように市町村を支援しているところであります。
 また、市町村各自が努力をしながら、子ども乳幼児医療費助成の拡充については常に広げていっている現状だというふうに思っております。

◆(石川たえ委員) 大阪府がセーフティーネットの役割だけを果たしていればいいというふうに私は思いません。
 子どもの権利条約第二十七条では、保護者の力のみで心身の健やかな成長が望めない場合は、国から金銭や教育の支援を受ける権利を持ちますと、医療を受ける権利が保障されています。
 憲法二十五条は、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない、こう記されております。
 国や地方自治体は、これを遵守しなければいけません。それを横に置いて、子どもの医療費をはじめ、社会保障制度に受益と負担を持ち込むことは絶対に許されません。
 厚生労働省のホームページには、社会保障、こういうふうに検索をすると、社会保障制度とは、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットであり、子どもから子育て世代、お年寄りまで、全ての人々の生活を生涯にわたって支えるものだ、こういうふうに書かれています。受益と負担などと言って背を向ける姿勢そのものを正すべきだと強く申し上げておきます。
 最後に、一つお聞きをいたします。知事はこれまでも、大阪市長時代に子ども医療費の年齢拡充をしてきた、こういうふうによく言われております。ならば、現在知事として、今度は大阪全体の子どもが等しく医療を受けられるように年齢拡充と自己負担ゼロに踏み出すべきだったと思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 委員御指摘のとおり、私も大阪市長時代のときに、十五歳から十八歳までの医療費助成の年齢拡充というのをやりました。やはり基礎自治体の長は、住民に身近なサービス、住民サービスを拡充させるということが非常に重要な役割であり、そして、それは自ら努力してやらなければならないものだというふうに思って、実際に努力して拡充をしたところであります。
 広域自治体である大阪府としては、セーフティーネットの部分の役割を果たす、基礎自治体である市町村が自ら努力して住民サービスを拡充させていく、乳幼児医療費助成についてもそうだというふうに思っています。
 府としては、そのセーフティーネットの部分、また、新子育て支援交付金で市町村の子育て支援施策、これをバックアップしていく、役割分担をしっかり果たしていくべきだというふうに考えております。

◆(石川たえ委員) 役割分担ということをこれまでもずっと言われていますけれども、基礎自治体の力によって医療が受けられる受けられないの差が今もできてしまっているわけで、それを広域としてしっかりサポートし、子どもたちが安心して、親の所得に関係なく医療を受けられるようにするというのは、広域自治体として大阪府がやったらあかんということは全くありませんので、大阪府として踏み出すことが大阪中の子どもが安心して医療にかかれる保障になるんじゃないかなというふうに思っています。
 未来を生きる子どもたちが必要な医療を受け、健康な体をつくる食事を取り、しっかり学び、社会に飛び立つ。貧困の連鎖を断ち切り、心身ともに健やかに育つ環境をつくることは行政の責任であり、これは将来の納税者を育てることにもつながってまいります。保護者が子どもに医療を受けさせるために、食事をさせるために、保護者自身が受診を控える、食事を諦める、これでは貧困の連鎖は断ち切れません。
 子どもにお金をかけることを出し惜しみ、受益と負担の適正化だと言って負担を強いる姿勢を改め、子どもの貧困解決、子育て支援の拡充、乳幼児医療助成の年齢拡充と窓口負担ゼロ、完全無償化へと踏み出すことを強く求めて終わりたいと思います。ありがとうございました。



   


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