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貧困と格差拡大で苦しむ全ての府民を視野に要求実現を
教育・福祉・防災に背を向ける大阪府2016年度予算案

日本共産党大阪府議会議員団


「積立金が底をつく」デマ宣伝


 維新府政8年の特徴の一つは、「破産会社」(橋下知事・2008年2月6日)などと府の財政危機を誇大に宣伝し、「身を切る改革」と称して職員などの労働条件を改悪し、それをテコに府民福祉を削減してきたことです(14年度末までで1557億円)。
 国に対しても府民施策の財源確保はほとんど求めてできませんでした。

 府民のために使える積立金=財政調整基金が17年度で「底をつく」などと宣伝されていますが、事実は異なります。
 14年度末の残高は1612億円で、15年度当初予算では843億円に減ると見込んでいましたが、ことそ2月段階で実際は1254億円残ります(下表)
 しかも、予算には組むが実際には使わなかった「不用額」が毎年何百億円も出て、7月に公表される15年度決算では黒字が膨らみ府の貯金が増える仕組みになっています。
 府は、15年度決算で「始めて財政調整基金を取り崩す」としていますが、根拠はなく、貯金残高は決算段階では1254億円よりも増えると財政に関わる府職員も認めています。



新年度予算案の特徴

 新年度予算案や施策で共通している特徴は、
 @森林保全(森林環境税が財源)などを除けば、防災・教育・福祉などの本格的な新しい府民施策はなし。
 A暴力行為の急増など教育現場の荒れ、児童虐待対応職員の年間1千時間を超す残業、介護・医療現場の人員不足など、子どもや高齢者の困難を解決する第一歩につながる施策はなし。逆に、福祉医療助成の患者負担増の検討、大阪市立住吉病院つぶし、府立高校つぶし、教育への競争激化政治介入強化、府職員賃金見送りなど強権的な府政運営が一層露骨に。
 B箕面森町、彩都、うめきた、淀川左岸線2期や延伸部、モノレールや北大阪急行延伸、リニア・なにわ筋線・カジノ、これらをすすめる「大阪都」と「副首都推進局」設置(新年度予算3億7千万円)など開発優先路線は継続。
 C国が社会保障改悪の「備え」や参院選対策として組んだ補正予算が府に約770億円降り、認可保育所や公営住宅建設など積極的に活用できるものもありますが、府の独自の充実策はありません。

維新の暴走止める

 日本共産党府議団は、
 @貧困と格差拡大で苦しむすべての府民を視野にくらし応援・防災などの要求実現に取り組む。
 A維新府政の悪政の一つ一つを分かりやすく府民に伝える。
 B府民の苦しみの根本に安倍政権とおおさか維新が一体となった悪政があることを府民に知らせる。
 C府政の当面改革と国政の根本的改革を展望しつつ、暮らしや平和などすべての分野での安倍暴走をストップするため、参院選での共産党と国民共同の前進をかちとる、という立場で全力を尽くします。

教育――競争教育押し付け

 暴力行為が多い府内50の小学校にスクールカウンセラー等を配置する「小学校指導体制支援推進事業」(1億7694万円)を行いますが、知事は50校の名前を公表するとしており、「暴力が多い学校」というレッテルを貼るようなことはやめるべきです。
 暴力行為をなくすうえでも有力な少人数学級は、学力やいじめ発見率の向上にも役立ちますが、府は新年度も背を向けたままです。

 「中学生チャレンジテスト」は3年生まで拡大され、事業費は2億6510万円です。
 全学年で結果が受験時の調査書評定の対象になり、競争の激化や授業への弊害が懸念されます。
 府立高校への「スーパーイングリッシュティーチャー」配置を10校から17校に増やすなどの英語力要請関連事業に3113万円の予算をつける一方、学び直しの場でもある池田北、咲洲高校は募集停止が始まり、西淀川高校も今春入試の結果次第で対象校とされます。
 「選択と集中」の名で子どもの中の格差を広げ、行き過ぎた競争を押し付け、子どもたちを無理やり振り分けることは、等しく教育を受ける権利を踏みにじるものです。

 4月から大阪市立支援学校が府に移管されます。
 支援学校一元化関連事業費として新年度は18億1824万円が計上されていますが、移管後も市立支援学校が行ってきた支援サポート体制を継続できるよう要望があるにもかかわらず、府は背を向けたままです。
 高度な医療的ケアを必要とする児童生徒のための高度医療サポート看護師は、現場から増員の切実な要望があり、配置検証が始まったにもかかわらず、新年度も1名のみの配置予算です。

 私立高校授業料は、現在、保護者年収610万円未満世帯が無償、610万〜800万円世帯は、年間10万円ですが、新年度入学生から590万円未満が無償、590万〜800万円世帯は20万円と改悪します(大学生と私立高校生が3人以上の世帯は590万〜800万円世帯が10万円、800万〜910万円世帯は20万円)。

 府は私立学校耐震化緊急対策事業として12年度から3年間で耐震化率90%を目標に補助制度を設けましたが、15年4月現在耐震化率78.4%と進んでいません。
 補助は新年度も継続されましたが、耐震化が遅れている要因には維新府政による経常費助成の削減があります。

 新年度から私学行政を教育長に委任し「教育庁」を設けるとしていますが、私学の自主性が損なわれることが危惧されています。

 府大と大阪市大の統合を、両大学関係者への説明も合意も不十分なまま進めようとしています。
 一方で、府大の運営交付金は98億6098万円、10年前の75%に削減されています。

まちづくり――護岸改修に40年も

 安全で住みやすい大阪をつくる点でも後退が目立ちます。

 大阪市内の府営住宅は、大阪市に順次移管されていますが、大阪市を除く府内の府営住宅戸数は、08年度末の12万2415戸から14年度末は12万629戸へと1786戸も減っています。
 しかもその間、空き家は10449戸から14534戸へと4035戸も増えています。
 実際に府民が入居している府営住宅戸数が6年間で5821戸も減っているのは重大です。

 新年度の建て替えと耐震改修の予定戸数は4662戸と、国の補正予算もあり例年より増えていますが、府営住宅削減路線は続いています。
 大阪市に続いて大東市へも府営住宅移管が予定されていますが、府の公的責任の縮小につながり、市町村への安易な移管は見直すべきです。

 資産の有効活用の名目で新年度77億円余りの利益を見込んでいますが、その大半は府営住宅建て替えでできた空き地の売却です。
 売却せずに府営住宅を建設すれば、府民の住宅要求に応えられます。

 局地的豪雨が近年急増しています。
 府が管理する河川のうち41河川で時間雨量50mmで床上浸水が起こるとされています。護岸などの改修費用は約1300億円といわれていますが、新年度の府の改修予算は約28億円しかなく、改修完了までに40年以上かかる計算です。

 土砂災害対策も、ことし9月でやっと危険地域指定が終わり、避難対策のハザードマップづくりは大半の地域がこれからです。

 南海トラフ巨大地震が今後30年間で起きる可能性は70%といわれ、府は最悪13万人以上の死者が出ると予測しています。
 しかし実際の対策は、ベイエリアの防潮堤液状化対策以外はこれからです。
 地震や豪雨対策では、国の予算も十分確保されていないことも重大です。

 一方、大阪モノレールの東大阪への延伸(3億円)、北大阪急行延伸(10億円)、なにわ筋線の検討(500万円)、リニア同時開業の国への働きかけ(450万円)などを計画しています。
 今後の人口減少や財政の厳しさを理由に本来やるべきくらし応援・防災施策を放置していることからも、モノレールと北大阪急行の延伸は再検討すべきです。
 なにわ筋線やリニアなどは論外です。
 淀川左岸線2期・延伸部建設も自動車交通量が減っている下では見直すべきです。

 カジノを核とした「統合型リゾート施設」誘致や2025年の万博誘致も、誤った「呼び込み型」大阪活性化策です。

 子どもや女性の安全を守る上で重大なのが、性犯罪・性暴力被害者の増加、低年齢化です。
 府は性暴力救援センター(SACHICO)に委託し、性暴力被害者の相談窓口をもうけていますが、予算を15年度の6割程度に縮小し、新年度限りとする方針です。
 支援の継続・充実を求める運動が急務です。

 危険ドラッグ販売店への立ち入り検査や啓発、スマートホンについての保護者や教職員、青少年への啓発、小学生向けのネットリスク回避出前講座(モデル3市域30校)などを行いますが、これらも抜本的に強めることが必要です。

農林業・環境――自然エネは後進県

 新年度予算では、農業振興、森林保全や間伐材利用などの予算が増えています。
 しかし環境分野も合わせた環境農林水産部予算は約219億円(府予算全体の0.7%)と軽視されているのは従来と変わりません。

 市街地中心部の緑化(3000万円)、農業の若者にない手づくり、大阪型農地貸付推進事業、大阪産グローバルブランド化などはいずれも必要ですが、事業規模と予算額が少なすぎます。
 何よりも大阪の農家の大半を占める兼業農家への支援策が貧弱なままなのは重大です。

 森林環境税導入に伴い、危険渓流の流木対策、未利用木質資源の活用、子育て施設の内装木質化など新しい施策が盛り込まれましたが、従来からの治山事業などの充実も含め府予算をもっと増やしながら市町村の施策充実も求めるべきです。

 環境分野では、太陽光発電・省エネへの融資制度は年間100件前後しか実績がなく、自然エネルギー後進県のままです。
 しかも国基金が15年度までなくなり、学校などへの太陽光や蓄電池の推進事業を打ち切ります。
 自然エネルギーや省エネを推進し、大阪経済を発展させる方向とは、全く逆行しています。

 ため池防災事業、農業用水路、農空間整備事業などには30億円余りの予算がつけられています。
 党府議団として、一つ一つの事業の中身を調べながら、農林水産業振興、防災、環境保全の事業をさらに充実させる提案をしていきます。

医療・福祉 ――患者負担増は中止を

 2月に福祉医療費助成制度(子ども・ひとり親・障害者・老人)に関する研究会(府と市町村の代表で構成)の報告書が公表されました。
 対象を精神障害者や難病患者、訪問看護ステーションが行う訪問看護などにも拡充するとしていますが、対象拡充で増える費用は、子ども・障害者・ひとり親家庭などの患者負担増で賄うというものです。

 現在の自己負担は、1医療機関当たり入院費1日500円以内(月1千円限度)、1カ月2500円を超える額は償還され、院外薬局での負担はありません。
 しかし、今回の報告書では、院外薬局でも負担を求め、また1回の負担を500円・800円・1割にする選択肢を示すとともに、1カ月の負担上限を500円が引き上げることも検討するとしています。

 精神障害者や難病患者への拡充は当然ですが、それに必要な財源を現在の対象者の負担を2倍以上にして賄うなどは、とんでもありません。
 拡充に必要な費用は年間20〜30億円程度で、3兆円を超す財政問題の大阪府なら財源確保は十分可能です。
 ことし8月頃に府の案が示され、17年度予算で具体化されます。
 実施は早くて17年11月ですが、市町村議会でも並行して議論されます。
 今後、精神障害者への通院と一定期間の入院への助成を拡充するとともに、患者負担は増やさないよう求める大運道が必要です。

 児童虐待対応件数は5年連続全国ワースト1です。
 府子ども家庭センターの児童福祉司も増員されてきたものの、1人当たりの対応件数は141件と維新府政前の1.5倍になっています。
 年間1千時間を超える時間外勤務も珍しくありません。
 新年度から「軽度」事案の一部を外部委託しようといますが、専門職員増員で対応するべきです。
 また、児童福祉司配置への国補助の大幅な引き上げを国に求めるべきです。

 要支援1・2の訪問介護と通所介護を保険から外し、市町村の「新総合事業」に丸投げする介護保険改悪が進んでいます。
 国が「介護離職ゼロ」を掲げてつくった基金を活用し、新年度予算と15年度補正予算の合計147.2億円で、地域密着型サービス施設等の整備(約127.8億円)や介護人材確保等(約19.4億円)を進めるとしています。

 また新年度は、地域密着型特養609人分、認知症グループホーム969人分の整備を予定しています。しかし、
 特養ホームは維新府政の7年間(08年度〜14年度)で広域型・地域密着型あわせて5923人分しか増えていません。
 大阪の特養待機者は、国基準より厳しい要介護4・5を主な対象としているにもかかわらず8601人もいます(15年5月)(図1)
 1人分当たり100万円も削減した広域型特養建設への補助金を段階的に復元しつつ、国補助の強化を求めるべきです。
 さらに、大阪ではすでに定員18人以下の通所介護事業所が減り始め(昨年4月〜今年1月の廃止件数は前年同期の1.6倍)、通所介護事業所の定員数は横ばいです。
 高齢化に伴い介護のニーズが年々高まっているなか、通所施設が足りていないことが懸念されます。

 また、介護職などは他職種より月平均11万円も賃金が低く、この改善なしには施設を増やしても人材不足が解消できません(図2)

 保育所や認定こども園、小規模保育施設を15年度の2倍以上つくり、保育士の給与を1.9%引き上げるとしていますが、“焼け石に水”です。人員不足、とりわけ経験豊かな保育士の不足を解消できる見通しはありません。

 大阪市立住吉市民病院を廃止し、地域の産科・小児科病床削減や2次救急廃止につながる大阪市南部の病院再編計画が、松井一郎知事が塩崎厚労大臣に直訴し、厚労省への申請が認可されました。
 住民や子育て世代、地元医師会がこぞって反対し、府医療審議会でも賛成は維新府議1名のみの反対多数だった計画が認められるのは前代未聞です。
 介護・医療などの安倍政権と維新府政の一体となった悪政ストップが必要です。

雇用・経済 ――府民の懐温めてこそ

 中小企業卯や商店街は大阪経済を動かし支え、また雇用やまちづくり、地域コミュニティを形成する重要な役割を担っています。
 ところが維新府政以降、ものづくり中小企業支援予算や商店街振興予算は大幅に削減されてきました。

 ものづくり支援関連予算は、維新府政発足前は約9.2億円(07年度)だったものが、新年度予算では約2.4億円と15年度予算よりもさらに削減され、維新府政発足前の約4分の1となっています(図3)
 厳しい経済環境で後継者不足も深刻化する中、大阪の強みであるものづくりの高い技術力と集積の力を守り発展させていくためにも、大幅な予算拡充、支援強化が求められています。

 また、商店街振興のための小売業関連予算も新年度予算では約3千万円と今年度よりも削減され、維新府政前(07年度)の約2.1億円の7分の1へと激減しています。
 市町村と連携・協力した抜本的な支援強化が必要です。

 中小企業向け制度融資の「開業サポート資金」の金利が0.2%引き下げられますが、さらに引き下げるとともに、中小企業への金融支援をさらに強めるべきです。

 アルバイトで違法性のある働き方をさせられている大学生等が6割近くに上っている(厚労省調査結果・16年11月)など、ブラック企業やブラックバイトが社会問題となっています。
 府の労働相談窓口は夕方まで、夜間相談は月4回8時までと極めて不十分です。

 新年度は「OSAKAしごとフィールド」での青年や女性の就業支援拡充、中小企業の魅力発信、合同説明会開催などが国の補正予算も活用して実施されます。
 しかし、全体の規模も府独自の上乗せもわずかです。

 労働相談の人員増やメール相談も含めた拡充、雇用・労働法制の周知、ブラック企業の実態把握や「規制条例」制定などの対象を抜本的に強化することが求められています。

 また、個人消費を引き上げ景気回復させるためにも、賃上げなどを行う中小企業への支援を際賃引き上げとセットで進めることが必要です。

くらし応援・防災と財政健全化の両立を

 地方自治体は、「実質公債費比率」(収入に対する借金返済の割合)が18%を超えると「起債許可団体」となり、新たに借金をするには総務大臣の許可が必要になります。
 大阪府では2011年度から実質公債費比率が18%を超えています。しかし、この段階でただちに府民が不利益を受けるわけではありません。

 府は新年度以降、借金返済のための積立金を毎年280億円ずつ増やし、20年度には実質公債費比率が16.7%に下がり「起債許可団体」でなくなり、24年度には積立金不足を解消するとしています。
 「次世代にツケをまわさないためにはこれが必要」というのが維新の会の主張です。

 しかし、毎年の積立額を185億円に減らせば、年95億円の財源が生まれ、くらしや福祉にまわせます。この場合でも、20年度には「起債許可団体」でなくなり、28年度には積立金不足が解消します。
 毎年280億円も積立金を増やす根拠はありません。
 しかも府はこれまでも、年度初めの予定よりも実際には多額を積み立ててきました(図4)

 現在の府の借金の多くは90年代の大型公共事業の失敗によるものです。
 りんくうタウンだけでも損失額は4千億円以上にのぼります。
 維新の会の府政はそのツケを府民に押し付けてきました。「身を切る改革」は、それをごまかすためのものです。
 暮らし応援、防災型公共事業への転換で大阪を活性化しながら府財政健全化をはかることが大切です。

 松井知事は、来阪する外国人観光客の増加を自慢しますが、これは円安にもよる全国共通の減少です。
 円安は物価を上げ、くらし悪化につながっています。
 また日本人の関空からの海外渡航者数は、くらしと経済の困難を反映し、この3年で16%も減っています。
 観光振興は必要ですが、府民のくらしの応援こそが府の最も大事な仕事です。

 安倍政権の暴走にブレーキをかけるどころか府民いじめやカジノ誘致など悪政の先兵となっている維新府政ストップのためにも、日本共産党府議は参院選での前進に全力をあげる決意です。




「大阪民主新報」2016年3月6・13日付より



   


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