ピースおおさかリニューアル問題で申し入れ　府議団／１５年戦争の実相伝え、信頼される施設に

　日本共産党府議団は８日、今年８月で閉館し、展示の仕方をリニューアルして来年４月に再オープンする予定の「ピースおおさか（大阪国際平和センター）」について、「展示内容を歴史的事実に基づくものとし、大阪府民はもとより、施設を訪れるアジアの人々からも評価され、日本と大阪が信頼される施設・展示とする」などの申し入れを松井一郎知事、橋爪紳也・ピースおおさかリニューアル監修委員会委員長に申し入れました。

　ピースおおさかの展示内容をめぐっては、府知事時代の橋下徹現大阪市長から、「歴史観に関わる問題なので議会での議論を通じて、府民感覚を反映させるべき」だとし、維新の会の議員らが、自虐史観に基づく展示だ、などの批判と展示リニューアルを求める声が挙がっていました。

　今回の申し入れでは、『中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地化の朝鮮・台湾の人々にも多大の危害を与えたことを私たちは忘れません」、「大阪が世界の平和と繁栄に積極的に貢献する」などの「ピースおおさか」の設置理念に基づく展示とすることを強調。専門家の研究成果を踏まえるとともに事実が確定している「ピースおおさか」の展示内容は削除しないことや▽大阪空襲の犠牲者に寄り添い、追悼の場にふさわしい施設・展示とすること▽第二次世界体制に至る経過や実相を全体として伝える展示とする――などを求めています。

　小西禎一副知事、大江桂子府民文化部長らが応対。「責任を持って伝える」と述べました。

申し入れ文は以下の通りです。

２０１４年７月８日

大阪府知事
松井　一郎　様
ピースおおさかリニューアル監修委員会
委員長　橋爪　紳也　様

日本共産党大阪府議会議員団
団長　宮原　威

「ピースおおさか」展示リニューアルについての申し入れ

　「ピースおおさか」の展示リニューアルについては、今年４月に公表された「ピースおおさか展示リニューアル『実施設計』」で、「Ａ．昭和２０年、大阪は焼き尽くされた」、「Ｂ．世界中が戦争をしていた時代」、「Ｃ．戦時下の大阪のくらし」、「Ｄ．多くの犠牲を出し、焼け野原になった大阪」、「Ｅ．たくましく生きる大阪」、「Ｆ．私たちの未来を創っていくために」という６つの「展示ストーリー」による展示内容が示され、現在、具体的内容について監修委員会で検討されている。
　しかし提案された展示内容は、５０回をこえる大阪空襲や十五年戦争の実相を伝える点で十分なものとはいえず、また、「戦場となった中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地下の朝鮮・台湾の人々にも多大の危害を与えたことを、私たちは忘れません」というピースおおさかの設置理念のひとつが抜け落ちたものとなっている。
　第二次世界大戦後の国際秩序は、日独伊による侵略戦争を不正不義のものと断罪することを共通の土台としており、こうした「価値観」にたってこそ「グローバル化」にも対応できるものである。過去の歴史に真摯に向き合うことなしに未来はない。
　よって、展示内容を歴史的事実に基づくものとし、大阪府民はもとより、施設を訪れるアジアの人々からも評価され、日本と大阪が信頼される施設・展示とするためにも、具体的な「展示内容」について、下記の通り提案し、その実施を強く求めるものである。

記

一．「村山談話」をふまえるとともに、「中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地下の朝鮮・台湾の人々にも多大の危害を与えたことを私たちは忘れません」、「大阪が世界の平和と繁栄に積極的に貢献する」と記された「ピースおおさか」の「設置理念」に基づく展示とする。この立場で、各界専門家の最新の研究成果をふまえる努力を最後までおこなう。

一．事実が確定している「ピースおおさか」の展示内容は削除しない。

一．大阪空襲による犠牲者に寄り添い、追悼の場にふさわしい施設・展示とする。

　（１）大阪市東住吉区に投下された「模擬原爆」など、「戦争遺物（現物）に語らせる展示」を行ない、「戦争体験者の証言」などとともに、「戦争の悲惨さ」をリアルに訴えるものとする。

　（２）道路を素掘りして板と土を乗せただけの「防空壕」があったことや、防空壕が墓場になっていた例、市民が守られずむしろ市民が都市を防衛する役割を担わされていた実態がわかる展示をする。

一．第二次世界大戦に至る経過や実相を全体として伝える展示とする。

　（１）第二次世界大戦に至る経過を「世界中が戦争をしていた時代」という一般的な時代認識に解消するのではなく、アジア・太平洋地域などでの日本の戦争の実相がつかめる展示とする。

　（２）大阪の住民が総力戦体制化の「銃後」として行政や軍によって戦争に動員されていたことや、動員された人の中に多くの朝鮮の人々などが含まれていたこと、アジア最大規模の軍需工場といわれた大阪砲兵工廠をはじめとする「軍都大阪」の実相などについて言及する。また、大阪府民の徴兵や戦死など犠牲の実相がわかる展示とする。

　（３）戦争末期、各地で悪化していた戦況や東京大空襲などが大阪府民に知らされていなかった事実を伝える展示とする。

　（４）アメリカによる大阪や東京への大空襲とともに、日本が行った中国・重慶への無差別爆撃など、武装していない市民を無差別に殺害した事実を紹介する。

一．今回のリニューアル終了後も、「ピースおおさか」のよりよいあり方について、専門家や戦争被害者、幅広い府民をまじえて検討を続け、必要な充実・改正をおこなう。

以　上

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