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経済振興 内需拡大で/知事と党府議団意見交換

 橋下徹大阪府知事と日本共産党府議団の意見交換会が8月31日、府議会会館で行われました。
 宮原たけし団長が9月府議会で議論される府の「財政構造改革プラン(素案)」に対する見解とともに、国保料の府内統一化をやめ、市町村国保への府独自の補助制度を拡充することや、少人数学級の国の計画の前倒し実施などを要請。人件費について、府議報酬のさらなる削減、知事、副知事などの特別職の給与削減の継続、非正規職員の待遇改善などを求めました。
 経済成長戦略について宮原団長は、「高付加価値プラス高コスト削減で国際競争力強化」という従来の経済政策のもとで、日本のモノづくりの空洞化がすすみ、大阪の大企業は利益を上げているのに大阪経済の沈下は止まらなかったと指摘しました。
 その上で宮原団長は「大阪がめざすべき方向は、大阪に行けば需要があり、モノづくりの技術があるという政策だ」として、公共事業の生活密着型への転換など6点にわたって提案。「消費拡大・雇用安定で大阪経済を足元からあたためることが大事だ」と提起しました。
 知事が、職員の賃金について、「正規がどこまでがまんして非正規との格差をなくすかだ」とすり替えたのに対し、議員団から「ただちに均等待遇せよとは言っていない。週3回の講師の賃金が年間98万円というのはあまりにひどい。今の府の財政でもできる非正規職員の待遇改善を考えるべきだ」と指摘しました。


「しんぶん赤旗」2010年9月1日付より


意見交換会で党府議団が知事に示した「成長戦略は、府民の暮らし向上と大阪・地域経済活性化のために」および「府独自に府民福祉充実と大阪経済振興に努力しながら、国民の立場での経済成長戦略と地方自治・税財源の拡充を国に求めよ−財政運営は、府民・職員の合意で−」の全文は次の通りです。

成長戦略は、府民の暮らし向上と大阪・地域経済活性化のために

2010年8月31日 
日本共産党大阪府議会議員団 
団長 宮原 威 


 「大阪の成長戦略(素案)」は、アジアの諸都市との都市間競争に打ち勝たなければならないという立場にたち、「成長阻害要因」の分析もその角度で行っている。なぜ暮らしと地域経済が悪化したのかの原因を分析し、解決の方向を示すべき。
 「成長戦略」は、府民の暮らし向上と大阪・地域経済活性化のために策定すべきである。

1 「大阪の低迷」の要因

 分析に際しては、国政・全国的要因と大阪府政・地域的要因を区別することが必要である。

(1)暮らし悪化、地域経済悪化の全国的要因
 全国的要因として、従来からの土木型公共事業偏重政治に加え、90年代からの「日米構造協議」などを背景に、地方自治体を巻き込んで公共事業が急膨張、国債、地方債の大量発行で、今日の国・地方の財政危機の大きな原因をつくった。
 国民生活や農業を犠牲にした自動車等の輸出の急増、政府のグローバル企業への支援の偏重などがすすめた産業空洞化、外国資本の日本市場参入と大店法廃止など規制緩和などが地域の中小企業、コミュニティに打撃を与えた。企業の人件費抑制、派遣労働の原則自由化は、不安定、低賃金の労働者を多く生み出し、高失業率、低所得など「格差と貧困」を拡大した。
 政府は財政難を理由に、社会保障費を抑制、国民に増税や負担増を押しつけるとともに「自立自助」を迫り、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法の制定はじめ、年金改悪、医療改悪、派遣労働の原則自由化などをすすめた。
 財政危機のツケを地方に押しつけ、「三位一体改革」による大阪府の負担は479億円増加、加えて2009年度からの法人事業税の偏在是正で235億円減収で、700億円を超すものとなった。

(2)大阪の落ち込みが大きい原因
 大阪の落ち込みが全国に比べて大きいのは、80年代後半の「すばるプラン(新近畿創生計画)」などで、成長を牽引するとして、ベイエリア開発、民活方式による関空建設、りんくうタウン、3つのコスモポリス、国際文化公園都市、高速道路網整備などの大規模開発型プロジェクトを乱立させたことが大きな原因である。企業の呼び込みもはかったが、ことごとく失敗した。
 90年代の国の景気対策、日米構造協議とも相まって、引き続き開発型公共事業費が膨張し、都道府県で最高水準となった。
 府の建設事業費は85年度2647億円だったが、ピークの95年度には7328億円と2.7倍に膨れあがった。
 大阪市も「テクノポート計画」、WTC開発、フェスティバルゲート建設など、需要の見込みのない大型開発に巨額の資金を投入したが、経済活性化、住民生活向上にはつながらず、府市合わせていっそう財政を悪化させ、住民に負担が転嫁された。
 ゼネコン型産業の成長と衰退が、大量の失業者増にもつながった。
 大阪府は「行政改革大綱」(1996年)、「財政再建プログラム案」(1998年)、「行財政計画案」(2001年、2004年)などにより、国の悪政から住民福祉、生活を守るべき地方自治体の役割を後退させ、大阪の先進的施策であった老人医療費助成制度や民間福祉施設職員の公私間格差是正制度などが改悪された。
 財政再建の矛先を住民犠牲へと向ける一方、関空2期事業や安威川ダム建設など不要不急の大型開発を継続、財政と府民生活の悪化を促進した。

(3)国と大阪の政治の転換こそ
 1人あたり県民所得が大阪府の1.5倍の東京都では、非正規雇用率が35%に達し、2008年度の23区内の生活保護率は17.6‰と95年度と比べ約2倍に急増している。
 国民・府民生活の視点でみると、暮らしの悪化は、国際競争に打ち勝つ戦略がなかったからでも、都市制度に問題があったためでもない。政治のあり方にこそ問題がある。

2 大阪がめざすべき方向性

 国に政治の転換を求めるとともに、大阪府としても暮らしと地域経済の悪化、財政危機の原因を直視し、開発型行政の転換をすすめる。内外の企業呼び込みや不要・不急のインフラ整備でなく、住民の暮らし最優先の姿勢を貫き、暮らしや社会保障、中小企業振興で地域経済活性化に取り組む。

(1)国などもかねてから、技術革新(イノベーション)で高付加価値製品を開発し、生産性を上げる、と主張してきた(『上げ潮の時代』07年・中川秀直幹事長(当時)など)。しかしそれは、コスト削減(人件費・下請単価削減や減税)とセットになった「国際競争力」至上主義の一環であった。
 「高付加価値化+コスト削減で国際競争力強化」が従来の日本の経済政策だった。しかし、すすんだのは、高付加価値の部品や素材まで海外生産が進行するという、ものづくりそのものの空洞化だった。大阪の大企業は利益を上げているのに大阪経済の沈下は止まらなかった。
 政府の調査でも、海外に企業が出てゆくのは「需要を求めて」であり、法人税が高いからではなく、内需がないから企業が海外にいくというのが第一の理由である。
 ものづくりにおける技術革新は必要である。しかしその「成長のための源泉」を、既存のものづくりや流通の集積に求めてこそ、内需をあたため、企業誘致にもつながる。大企業減税・労働法制撤廃の「特区」では大企業もこない。
 府民の暮らしと福祉を守る、そのために公共事業を生活密着型中心に転換し、地域経済への波及効果が大きい中小企業の仕事を増やすこと、「外需型」ではなく内需型の経済振興こそが、大阪がめざすべき方向である。

(2)特区などによる「労働法制の規制緩和」は、「中間層の雇用悪化」「所得格差の増大」を逆に助長するものである。派遣法の抜本改正を国に強く働きかけ、府としても雇用のルールを守るよう大企業を強く指導、中小企業を支援することこそが求められている。

(3)1990年代末から続いた、介護・医療など社会保障の連続的な改悪をストップし、段階的に回復をはかることで、高齢者・障害者やその家族の所得格差を縮小する。
 また、地方税財源の削減を三位一体の「改革」以前の水準に戻す。

(4)インフラ整備も、内需主導・既存のものづくりや流通の集積支援の立場ですすめる。ベイエリア、関空・「国際コンテナ戦略港湾」ではなく、道路・橋梁など中小企業・住民にとって身近で重要な施設の整備、産業技術総合研究所やクリエイション・コアなどの機能強化、教育研究機関の集積を生かした健全な産学協同、きめ細かな中小商工業振興こそ必要である。

(5)また、安全、防災、福祉など公共事業を府民本位に転換し、府民生活向上と中小業者の仕事づくり・雇用拡大をすすめる。

(6)これらの結果、消費拡大・雇用安定で大阪経済が足元から安定し、成長する。


2010年8月31日

大阪府知事 橋下 徹 様

日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威

府独自に府民福祉充実と大阪経済振興に努力しながら、
国民の立場での経済成長戦略と地方自治・税財源の拡充を国に求めよ
−財政運営は、府民・職員の合意で−



1 「財政構造改革プラン(素案)」の撤回・再検討を求める理由

(1)予算要望でものべた、全国的にもひどい府民の「貧困と格差」の拡大、中小企業の深刻な現状の改善にとりくむ姿勢が全くみえないどころか、くらしと営業、地域経済悪化を促進するものとなっている。

(2)府の財政悪化の原因は、@借金にたよった開発優先の国からの押しつけとそれにのった府政運営の結果、借金返済が2020年代半ばまで続くことAナショナルミニマムに関わる福祉・教育の国補助金制度の廃止(一般財源化など)と、三位一体改革などによる約700億円の府財政へのマイナスB大企業独り勝ちの国の「構造改革」の結果、非正規雇用の急増、中小企業の倒産が増加、税収も増えなかったこと、などである。
   こうした原因にメスを入れることこそが求められている。

  @わが党がかねてから指摘してきたように、1990年代以降に国が府に押しつけ、府も独自にすすめた開発優先の負の遺産は莫大なものである。今も是正されていないこれらの事業の是正こそが急務となっている。


    <表1> 関空2期工事への府の負担(2009年度まで)

   

出資金

貸付金

起債額

503.51億円

498.39億円

利息を含めた合計

595.51億円

598.51億円

今後の負担見込み

67.29億円

90.60億円



    <表2> 府立国際会議場にかかる地方債償還状況         (単位:百万円)

発行額

(A)

元金償還額

(B)

年度末残高

(前年度+A-B)

利子支払額

(C)

元利償還額

(B+C)

1995年度

673

 

673

0

0

1996年度

309

 

982

21

21

1997年度

9,831

 

10,813

29

29

1998年度

18,790

 

29,603

255

255

1999年度

36,553

 

66,156

591

591

2000年度

0

 

66,156

1,111

1,111

2001年度

0

 

66,156

1,190

1,190

2002年度

0

56

66,100

1,190

1,247

2003年度

0

113

65,987

1,189

1,301

2004年度

0

113

65,875

1,187

1,299

2005年度

0

113

65,762

1,186

1,299

2006年度

0

113

65,650

1,175

1,287

2007年度

0

113

65,537

1,241

1,354

2008年度

0

5,702

59,836

1,188

6,890

2009年度

0

12,835

47,001

1,032

13,867

合 計

66,156

19,155

47,001

12,585

31,740



    <表3> 税収、建設事業費、国支出金+普通交付税の推移(大阪府「財政ノート」より)

90年度

92〜98年度平均(合計)

平均の差(合計)

実質税収

(収入)

1兆3510億円

1兆0576億円

(7兆4037億円)

-2933億円

(-2兆0533億円)

建設事業費

(支出)

4327億円

5959億円

(4兆1715億円)

+1632億円

(+1兆1424億円)

@国庫支出金

(収入)

2951億円

4081億円

(2兆8566億円)

+1130億円

(+7908億円)

A普通交付税

(収入)

0

 

510億円

(3572億円)

+510億円

(+3572億円)

@+A

(国からの収入)

2951億円

4590億円

(3兆2138億円)

+1639億円

(+1兆1480億円)

府債発行

(当年度収入だが、その後は借金。主に10年ごと元金返済で、30年完済。利払いはその年度から)

1007億円

4020億円

(2兆8142億円)

+2913 億円

(2兆0394億円)

府債残高

 

91年度末

1兆3416億円

98年度末

3兆5878億円

+2兆2462億円

(なお、「財政ノート」は億円以下は切り捨てになっており、端数が合わない場合がある)



  A教職員、保健師の人件費などが一般財源化され、府の負担は増大した。また、三位一体改革などで府財源は削減された。この復元が重要である。


    <表4> 国の三位一体「改革」などによる大阪府の財政削減

 

2003年度

2007年度

実質税収

8333億円

1兆1590億円

(うち税源移譲1280億円)

+3257億円

地方交付税等

4525億円

2439億円

-2086億円

1兆2858億円

1兆4029億円

+1171億円

         ●財源は1171億円増えたが、税源移譲にともなう大阪府の仕事は1650億円(2006年度末)増えており、
          府の負担は差し引き479億円増加している。
          そのうえ、2009年度からは法人事業税の偏在の「是正」の名目による減収がある(2009年度235億円)。


(3)1997年からの、消費税増税、医療・介護・障害者福祉などの連続的改悪と予算削減、労働者派遣法の改悪などの国の政策により、大阪の府内総生産は減少した。これが税収の後退をもたらした。

(4)くわえて大阪府は、1996年以来のあいつぐ「行政改革」によって、広域的役割(福祉充実と経済振興)の縮小・放棄をすすめた。これが府民の消費を冷え込ませ、中小企業の現状をいっそう深刻にした。

(5)これまでの府の財政再建計画は、以上の立場がないため、財政再建策としても繰り返し失敗してきた。その総括と反省がない。


2 国に経済政策、地方自治政策の根本的転換を求めることが必要

(1)正社員をふやす雇用改善や連続的な社会保障改悪(医療・介護・障害者福祉)を中止し、充実させるなど、内需拡大で日本経済を再生することを国に強く求める。

(2)「地域主権」の名目で、これ以上住民福祉と地方税財源を縮小しない。財源削減(三位一体「改革」での約479億円、税源偏在是正の235億円)を見直し、元に戻す。また、資本金10億円以上の大企業の法人税を、1997年当時の税率に段階的に戻す。さらに、年間所得1億円以上の高額所得者への増税など、財政危機打開の基本的解決を国に求める。


3 当面の府政運営についての日本共産党の基本的立場

(1)財政危機のもとでも、福祉と教育の充実や中小企業振興などに可能な限り最善を尽くす。福祉や教育分野などでは削減された施策の段階的回復をはかる。

(2)大型開発は、現在進行中のもの(関空2期事業、阪神高速大和川線、箕面森町、国際文化公園都市など)も含め、事業費・必要性・緊急性・環境への配慮などの面から根本的に見直す。
   大企業に、社会的責任を果たさせるとともに、正社員確保や地域経済振興のために力を合わせることを求める。

(3)センチュリー交響楽団、国際児童文学館、「ワッハ上方」など文化施策の削減は、現時点でその結果を関係者参加で検証し、復元・充実を段階的にすすめる。

(4)市町村に身近なサービスの責任を押しつけることはやめる。公的責任を放棄し民間大企業などにゆだね、府民サービスの低下につながる市場化テストなどは見直す。

(5)財政再建策の策定にあたっては、原因にメスを入れ、情報を公開し府民的討論をおこない、府民生活の向上等を基本にすすめる。


4 主な事業等について

(1)「主要分析事業」などにかかわって

  @市町村振興補助金については、市町村の自主性・主体性を損なわないようにする。

  A私学経常費助成については復元をはかるとともに、高校授業料支援補助金の対象を拡大する。

  B府立高校については、十分な調査・検証を行わず、また父母・府民、教育関係者の意見を聞かずに、拙速な再編統廃合は行わない。

  C大阪府育英会による奨学金制度、とくに大学等入学資金貸付については、十分な調査・検証を行うとともに、国制度の改善を待たず改悪しない。

  D福祉医療費助成制度については、国に制度化をはかるよう求めるとともに、府としても改善に努める。乳幼児医療については、小学校卒業までの対象年齢に引き上げ、所得制限の撤廃など、市町村とともに計画的に改善をすすめる。

  E中小企業向け制度融資については、金利上昇を招くとともに、大阪経済と地域社会を下支えする多くの中小・零細業者を切り捨てる、大阪府による預託廃止は行わない。損失補償に対する府の負担割合縮小はおこなわない。

  F小規模事業支援事業・経営力向上緊急支援事業については、十分な調査・検証を行うとともに、商工会議所・商工会など関係者との協議を尽くす。

  G府営住宅のあり方については、高い応募倍率が続いている事態(2010年6月募集の一般世帯で26.1倍)を改善するため、公営住宅法の趣旨を踏まえ、管理戸数の維持・拡大をはかる。

  H警察職員待機宿舎の整備を計画的にすすめ、安全・安心の確保をはかる。

  I道路・河川・橋梁など都市基盤については、災害に強いまちづくりを重視し、安全・安心の確保を優先する。

(2)その他の重点事項について

  @国保料の「統一化」はやめ、市町村国保会計への府独自の補助制度を拡充する。

  A来年度から小学3年、中学1年を35人学級にし、2016年度までに小学1・2年の30人学級、小学3年〜中学3年の35人学級を実現する。

(3)個別点検事業、歳入確保策、出資法人や公の施設等については、十分な調査・検証を行い、景気回復をはじめ府民福祉の増進に沿った対応を行う。産業技術総合研究所、環境農林水産総合研究所の独立行政法人化は行わない。

(4)職員配置・人件費については以下を基本にすすめる。

  @児童虐待対策のための専門職員、保健師など、福祉・教育をはじめ府民サービス分野については職員充実を検討する。とりわけ教育現場などでの非正規職員の待遇改善をすすめる。

  A知事・副知事など特別職の給与削減は継続を検討する。

  B一般職員については、復元を基本とし、労使協議をふまえながら検討する。

(5)府議会議員の報酬のさらなる削減、政務調査費の使用内容のいっそうの透明化と金額の検討をすすめる。

以 上



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