健康福祉常任委員会(2024年12月3日) 石川たえ府議の知事質問

・感染症対策事業について
◆(石川たえ委員) おはようございます。日本共産党の石川たえです。
まず、感染症対策事業についてお聞きをいたします。
五類移行後も、コロナによる死者は高い水準で発生をしております。全国的に見ると、移行後の一年間の死者数は約三万二千五百人、令和四年の四万六千七百人に迫る勢いでした。季節性インフルエンザの約十五倍。コロナで亡くなられた方の九七%が高齢者でした。五類に移行しても、コロナは高齢者にとっては死亡のリスクの高い感染症であり、決して過去の出来事ではないと思っています。
コロナ病床確保補助金がなくなり、医療機関による入院調整といいながら、委員会でも申し上げましたが、病床確保の重点化で、重症、中等症Ⅱをはじめ緊急性の高い患者となったことで、重症化リスクを持つ高齢者以外は医療機関で受け入れてもらえず、施設留め置きとなる事態も引き起こされました。
大阪でも、高齢者等施設への頻回検査など、令和六年三月末まで継続された事業はあるものの、無料検査場はなくなり、高齢者施設等スマホ検査センターも廃止されました。検査も治療も自己負担が発生し、高齢者がコロナに感染しても安心して治療できる体制がなくなった。コロナ禍で多くの死者を生み出した教訓が生かされていないというふうに私は思います。
自己負担なしで受けられる検査の継続、病床確保などを継続し、せめて重症化リスクのある六十五歳以上が感染した場合は、誰でも入院治療できる体制の構築を知事の決断で行うべきではなかったでしょうか。
○委員長(西元宗一) 吉村知事。
◎知事(吉村洋文) 新型コロナウイルス感染症につきましては、オミクロン株への置き換わりによる重症化の低下や、感染症法上の入院措置等を最低限とすべきなどの国の方針により、令和五年五月八日から五類感染症へと移行して、そして、本年三月までの移行期間を通じて、通常医療による医療提供体制の構築を行うということとされました。
本府においては、五類感染症の移行前から、確保病床外での患者受入れや医療機関間での入院調整を進め、昨年十月以降は、重症や中等症Ⅱ等も含めた全ての患者について確保病床によらない受入れを基本とするなど、通常の医療提供体制への移行に向けて取り組んできたところです。
なお、五類感染症移行時に確保病床を有しない病院の約九割が、新型コロナ患者の受入れの意向を示したところです。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 通常の医療提供体制への移行に向けて取り組んだと、国がこういう方向性を示しましたので、言われているんですが、その当時、厚労省の示したこの方向について、足元でコロナは収束しておらず、再び感染拡大が起きるかもしれない。物価高騰などにより病院経営を取り巻く環境悪化の中で、五類になってもコロナ患者は個室対応とならざるを得ない。病院都合により差額ベッド代も請求できず、病院の負担が大きくなる中で、積極的にコロナ患者の受入れに協力するとは思えない。こういう声が医療機関から出されていたわけです。
結局、病床確保料などの補助金の減額がコロナ患者受入れ医療機関減、こういう結果につながったというふうに思いますし、治療費の自己負担の導入が検査も治療も満足に受けられない高齢者を生み出したと、このことをやはりしっかり受け止めないといけないというふうに私は思います。
当初予算と比べて、一般会計の決算は四千八十三億円減っていますが、その七割を感染症対策事業が占めていました。委員会の答弁では、病床を確保しない期間が続き、支出実績額が予算を下回った、高齢者施設等頻回検査は施設からの依頼数が見込みを下回った、こういうふうに言われていました。
五類への移行に伴い、病床の重点化等により、包括支援交付金を返納しなければならなかった、このことは理解できるんですが、新型コロナウイルス感染症対策費のうち、例えば感染症・検査、この項目で見ると、当初予算の財源のうち一般財源が二百六十五億七千七百五十五万一千円、七号補正で七十四億一千七百四十七万三千円の減額になっています。決算ではこれが十一億二千三百二十万円。当初予算との差、二百五十四億五千四百三十五万円です。これが浮いたというお金になります。
浮いたこの一般財源分を活用して、検査費用、治療への公費負担の継続など、大阪府独自のコロナ対策に取り組めたのではないでしょうか。
○委員長(西元宗一) 吉村知事。
◎知事(吉村洋文) 五類感染症については、季節性インフルエンザ等と同様に、検査や治療については通常医療の中で行われることから、新型コロナについても、移行期間において対応ができる医療機関の増加を図りながら、段階的に行政の関与を縮小させていったものであります。
府としては、この考え方の下、専門家の御意見も伺いながら対策を進めてまいりました。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 季節性インフルエンザと同様というふうに言われますが、先ほども申し上げましたけど、季節性インフルエンザよりもたくさんの死亡者が出ているというのも事実です。コロナの感染症は、高齢者にとってはやっぱり依然として死亡リスクの高い、こういう感染症だというふうに思います。
行政の関与縮小ではなくて、国がやらないんだったら、大阪府が独自に一般財源を活用して対策をすべきだったというふうに私は思います。予算化していた大阪府の一般財源まで減らす必要ありません。今後、新興感染症対策を強化されていくと思いますけれども、こういう事態が二度と起こらないように強く求めておきたいと思います。
・待機児童の解消について
◆(石川たえ委員) 次に、待機児の解消についてお聞きをいたします。
大阪府の待機児童対策協議会は、待機児童解消を促進するための方策として、小学校就学前子どもの保育に係る子ども・子育て支援に関する施策であって、市町村の区域を越えた広域的な見地から調整が必要なもの又は特に専門性が高いものについて、市町村の取組の支援をより実効的なものとするため設置する、こういうふうに目的が記されておりました。
しかし、協議会の議事録概要、これを見せていただくと、保育士等の子どもの優先入所。居住する市町村内の保育所等への勤務を条件とせず、市町村の圏域を越えて利用調整し、保育士等の子どもの優先入所の取扱いを行う自治体が増加した、保育士等の子どもの優先入所等を取り扱う自治体がさらに増加した、こういう報告が毎年毎年繰り返されているわけです。
保育士確保のために優先入所の取組や潜在保育士確保の取組は必要だというふうに私も思いますし、今回、百三十人分の定員が令和五年度増えた、このことについては非常にありがたいというふうに思っていますが、いわゆる隠れ待機児童は増加傾向にあります。令和六年四月一日の時点で九千十四人。
待機児解消の取組が保育需要との関係で間尺に合っていないというふうに思いますが、この現状を知事としてどのように見ておられますか。
○委員長(西元宗一) 吉村知事。
◎知事(吉村洋文) 待機児童数については、近年は減少傾向にありますが、対策は重要だと認識をしています。
府においては、保育所等の整備費用の補助や、地域限定保育士試験の実施などによる保育人材の確保等によりまして、保育の実施主体である市町村を支援し、保育の受皿拡大に取り組んでいます。
個々の保育ニーズについては、市町村が利用調整の中で保護者の意向を丁寧に確認しながら的確に把握をして、そして、利用可能な保育所等の情報を提供していくことをはじめ、対策を講じていくことが必要であります。
府としては、市町村における取組の好事例の共有を図るとともに、引き続き、施設整備や人材確保の面でしっかりと市町村を支援していきます。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 対策は重要やというふうに言われていますし、施設整備や人材確保の面で市町村を支援していただけるということなので、これは期待しておきたいなと思いますが、待機児数は減っていると先ほど言われましたけど、いわゆる隠れ待機児数は増えていますので、この中に育休を延長せざるを得なかった人、また、兄弟の中で希望する保育園に入れなかったので諦めた人、こういう人が含まれているわけですから、待機児が減っているという認識は、私、ちょっと正しくないかなというふうに思いますので、申し上げておきます。
待機児解消に向けて欠かせないのが保育士の確保だと思います。非正規を希望される方もおられる、こういうお話は聞いていますし、現場からもそういう非正規で短時間勤務がいいという方がたくさんおられるという話も聞きました。
ただ、勤続三年未満の退職が約三〇%を占める、こういう研究結果もあります。短大や専門学校を卒業した若者が初めから非正規を希望する、こういうことは私はないと思います。現場の話を聞いていると、正規の先生と同じだけ業務をこなしても給料は全く違う、一人暮らしなど到底できない、こういう声もあります。
事業者の側からは、複数担任の場合、一人は正規雇用、もう一人は非常勤の常勤、そこに必要であればパートの先生を入れて一つのクラスを編成する、これが当たり前になっていると。全員を正規雇用にしたいけれども、それをするだけの人件費はない上に、年度途中で保育士が退職となると、その穴すらも埋められない、さらに悪循環になっている、こういうお話もあるわけです。
今、貧困や被虐待児など要配慮の子どもに対する加配の配置も、これまで以上に必要になってきています。そういう中で、処遇改善と人件費への支援は人材確保の要となってまいります。
非正規の正規化、処遇改善、人件費への支援など大阪府独自の人材確保への財政支援を積極的に進め、保育士確保と待機児解消に取り組むべきではなかったでしょうか。
○委員長(西元宗一) 吉村知事。
◎知事(吉村洋文) 府においては、地域限定保育士試験の実施や保育士・保育所支援センターを活用した潜在保育士の就職支援など、保育士の確保に努めていますとともに、保育士の処遇改善について国に要望を繰り返し行っているところであります。
また、保育補助者の積極的な活用など、各市町村の地域実情に応じた取組を支援して、そして、保育人材の確保にも努めながら、引き続き待機児童の解消に努めてまいります。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) ぜひ努めていただきたいと思うんですけど、現場のお話を聞いていると、結局穴が空いてしまうので、フリーの先生がそこに入らざるを得なくなると、今度、逆に育児教室なんかができなくなると、こういう事態も出てきているわけで、保育士の確保というのは非常に大事だなというふうに思っています。
潜在保育士の中で経験のある方については、また復職したいというふうに考えておられる方がたくさんおられるわけで、この人たちの条件にどうやってかみ合わせていくかというのを、私はもう少し丁寧にやらなかったら潜在保育士の確保はできないかなというふうに思いますし、今、やっぱり働きたいというたくさんの方がおられる中で、保育需要に見合ったやっぱり保育施設のキャパシティーを増やしていくためにも、この人材確保に大阪府が財政支援をしっかり行っていくということが必要だと申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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