健康福祉常任委員会(2024年11月28日) 石川たえ府議の質問

・感染症対策事業について
◆(石川たえ委員) おはようございます。日本共産党の石川たえです。
まず、健康医療部決算概要二十六ページ、感染症対策事業についてお聞きをいたします。
当初予算三千六百五十億九千六百八十六万四千円、決算額は七百三十一億九千六百十万二千九百四十円、当初予算から見ると決算額は五分の一となっています。
なぜ執行額がこんなに少なかったか、理由をお知らせください。
○委員長(西元宗一) 樫内保健医療室感染症対策課長。
◎感染症対策課長(樫内伸悟) お答えいたします。
感染症対策事業における予算現額と決算額の差である不用額は約七百三十億円となっており、主なものといたしましては、新型コロナウイルス感染症対策費として、病床確保補助金が約五百九十九億円、高齢者施設等への頻回検査委託が約五十八億円となっております。
このような不用額が生じた主な要因である病床確保補助金について、国の方針により、新型コロナの五類化後の移行期間において、確保病床によらない形の幅広い医療機関で新型コロナ患者を受け入れることとなり、令和五年十月以降は対象を重症、中等症Ⅱを中心とした入院患者などに重点化した上で、感染状況に応じて病床を確保する制度となりました。実際には病床を確保しない期間が続き、病床確保料を支出した実績額が予算額を大きく下回ったものです。
また、高齢者施設等頻回検査委託につきましては、約五十八億円の減額となっておりますが、施設からの依頼数などが見込みを下回ったことが理由となっております。なお、件数ベースでは、当初見込みの八割程度となっております。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 一般会計全体の歳出決算は、当初予算より四千八十三億円減っています。感染症対策事業がその七割を占めています。国が五類への移行に合わせてどんどん施策を縮小していくとはいえ、令和六年三月まで継続事業があるにもかかわらず、大阪府もこの国の方向に右倣えで、どんどん予算額が減り、決算で予算現額の半分。
包括支援交付金はメニューが限定されており、府独自の施策は盛り込めなかったと、こういうふうに言われるかもしれませんが、入院できずに施設留め置きが行われていたのも事実です。
これで対策をしてきたというふうには思えませんので、委員長、すいません、これは知事に聞きたいと思います。よろしくお願いします。
・新型コロナ感染症対策費について
◆(石川たえ委員) 次に、三十八ページ、新型コロナ感染症対策費。
事業内容は、検査、医療、ワクチン体制の整備を進め、さらなる感染症防止に取り組む経費というふうに記されておりました。当初予算額三千六百四十一億三千五百五十九万九千円に対し、決算額五百九十三億三千七百二十六万二千六百四十七円、当初予算の六分の一となっています。
五類移行後も、治療に係る公費負担、医療機関への支援、高齢者等施設での全数検査など継続はされていますが、先ほども言われているとおり規模は縮小されています。治療薬は一部自己負担の導入、医療機関への支援も補助対象見直し、病床確保は重点化と、これも縮小されています。
私は、この縮小や自己負担の導入はするべきではなかったというふうに思っています。
例えば病床確保の重点化、この対象は、重症、中等症Ⅱの入院患者、妊婦、小児、透析患者、精神疾患患者、呼吸困難で肺炎症状が見られ、かつ食事や水分摂取ができず、点滴が必要な患者のうち悪化が懸念されると、ほとんど対象にならないんですけど、悪化が懸念される緊急性の高い患者となっています。この対象者に対して、確保病床が第一段階で百五十八床、第二段階で六百三十三床、第三段階は六百三十三床プラスアルファ。重症化リスクが高いと言われた高齢者が感染してもほとんど入院できない、こういう重点化になっていたと思います。
コロナ治療費の一部自己負担の導入で、財布の中身と相談して受診しない、こういうケースもありました。感染者がお金を心配して治療を受けない、こういうことがあってはならなかったというふうに私は思います。
ほかにも、無料検査事業は三月末で廃止をされています。検査キット配布センターは五月七日で終了しています。無料検査場がなくなり、病院でも検査が有料になり、自分で備蓄と言われても医療用キットも有料で、検査を受けるのをやめた、こういう方もおられるわけです。
検査を受けないことは感染を広げる結果につながる、このことはコロナ禍でも私は繰り返し申し上げてきました。検査を自己責任にしてしまえば、感染は食い止められません。
検査や治療薬への補助をこれまでどおり継続し、未執行分を充てるべきではなかったでしょうか。
○委員長(西元宗一) 樫内保健医療室感染症対策課長。
◎感染症対策課長(樫内伸悟) お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症対策費の未執行の主なものは、先ほど答弁いたしました病床確保補助金と高齢者施設への頻回検査委託となっております。
新型コロナウイルス感染症対策事業につきましては、令和五年五月に五類感染症に変更された後、令和六年四月に一般疾病として通常医療体制へ完全移行するため、国の方針や府の移行計画等に基づく取組の進捗状況を踏まえ、令和五年九月に一部制度変更を判断し、令和六年三月までの対応方針を決定したものです。
具体的には、入院患者の受入れについては、入院患者の重点化や、治療薬の自己負担については、五類化による急激な負担増を生じないこと及び他の疾病との公平性等を考慮し、一定の自己負担を求める制度見直しが行われたものであり、通常の医療体制への完全移行に向けた移行期間中の対応方針の観点から、事業継続することは想定しておりませんでした。
なお、この事業については、財源が新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や感染症予防事業費等国庫補助金などを活用した制度であり、国から指示された交付要件どおりに執行することが必要であることから、予算の不用額が生じたとしても、他の事業に活用することは困難でありました。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) コロナ禍のときにも繰り返し申し上げたんですけれども、国の交付金とか、このメニューの範囲内で対策を行っているとなれば、返さなあかんという事態が生まれてくるのは当然のことだと思うんです。でも、思い出していただいたらいいと思いますけど、大阪はコロナ禍でやっぱり全国最高の死者数を出してしまったわけで、大阪独自の補助が必要だったんじゃないのということは繰り返し申し上げていたわけで、その対策も取らずに、結局、国のお金やから、使うメニューが決まっているから、その分返さざるを得ないというのは、私はこれはあかんというふうに思っています。
五類以降、定点観測に変わったので、前年と単純比較というのはできませんが、定点観測でも令和五年のピーク時の感染者、一週間で四千三百九十九人というふうになっています。
さらなる感染拡大の防止というふうに記されていましたから、さらなる感染拡大の防止というのであれば、感染を広げない努力、お金の心配なく治療できる体制、これは継続しておくべきだったというふうに思いますので、これも知事に聞きたいと思います。よろしくお願いします。
・医療措置協定に基づく病床確保について
◆(石川たえ委員) 次に、決算概要三十ページ、新興感染症対策について。これは今後の話ですね。
決算概要には、現在、新興感染症対策として約六千百二十九機関と協定を締結している、こういうふうに記されております。新興感染症対策は、コロナ禍から教訓をやっぱりしっかり導き出すということが私は必要だと思っています。
令和五年の四月時点でのコロナ対応の確保病床数は、重症病床で六百床、軽症・中等症病床で四千四百床、合わせて五千床が確保されていました。コロナ感染症での死者は高齢者が圧倒的に多かったにもかかわらず、あの当時、病床を減らし、多くの自宅待機、施設内留め置き、その中での死亡という痛苦の事態を引き起こしました。にもかかわらず、政府が決めた五類移行後、病床は重点化し、病床数は、先ほどの質問でも述べたとおり、第三段階でも六百三十三床プラスアルファと千床にも満たない状態で、やはり入院したくても入院できない高齢者を生み出したわけです。
新興感染症の備えとして、必要とする人が入院治療できる体制を整えておく、このことは非常に重要です。
現在、約六千機関との協定締結というふうに言われていますが、この中で病床数としては一体何床確保できているのか教えてください。
○委員長(西元宗一) 樫内保健医療室感染症対策課長。
◎感染症対策課長(樫内伸悟) お答えいたします。
改正感染症法に基づき、新興感染症等の発生、蔓延に備え、医療機関と医療措置協定の締結を進めた結果、令和六年三月末時点で流行初期期間では、重症病床が二百七十床、軽症・中等症病床で二千三百八十三床、流行初期間経過後では、重症病床が三百七十九床、軽症・中等症病床では三千九百九十七床を確保しております。
今年度においても、引き続き、医療機関に対し協定締結の働きかけを行い、さらなる病床確保を進めていきたいと思っております。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 流行初期期間で約四千床ということですので、コロナの教訓をしっかり生かしていただいて、入院できずに亡くなられるという事態を防ぐ取組の強化を引き続きお願いしておきたいと思います。
・府立病院機構運営負担金について
◆(石川たえ委員) 次に、百二十四ページ、独立行政法人大阪府立病院機構運営負担金についてお聞きをいたします。
運営負担金は、当初予算七十一億二千六百七十七万九千円に対し、決算額七十億九千四百九十二万三百九円、ほぼ誤差の範囲内ぐらいの執行額かなと思っていますけれども、大阪府立病院機構の令和五年度決算を見ると、コロナ禍での病床確保等補助金収益がなくなり、収益が前年度より減収をしている。病院機構の今後の取組として、組織マネジメントを強化し、入院患者の確保、医業収益の向上、経費削減などが掲げられておりました。
そもそも、物価高騰下で営業外費用が今増えているわけです。今後、大阪府と機構が共同設置した会議体を通じて対策強化を進める、こういうふうに書かれておりましたけれども、病院機構決算が出たのは六月で、その後も物価は上がり続け、各病院経営が困難に陥っていることは明らかです。
そもそも府立病院機構は公的責任を持つ病院であり、他の病院では診ることのできないリスクのある患者の受入れなどを行ってきています。コロナ禍でも、この府立病院機構の果たしてきた役割は非常に大きいというふうに私は思います。他の病院ではできない、赤字採算になってもおかしくない、こういう医療を担っているからこそ、公的に運営負担金という形で大阪府が支援を行っているはずです。
しかし、運営負担金の推移を見ると、平成十九年の決算額は、公的負担金を除けば百二十四億九千五百三十万四千円。この平成十九年時点から見ても、令和五年度はこの運営負担金、半分近くに減っているわけです。
独立行政法人なので、病院機構が経営改善に独自に取り組む、このことは必要だというふうに思います。でも、物価高騰による医療機関の光熱費、食材費、こういうことを加味すれば、公的使命を果たすという、こういう医療機関として安定運営を行えるように、どうして九月の補正で運営負担金を増やし病院機構を支えなかったのか、教えてください。
○委員長(西元宗一) 岡田保健医療室保健医療企画課長。
◎保健医療企画課長(岡田敦子) 府立病院機構に対する運営費負担金につきましては、地方独立行政法人法に基づき、救急医療や小児・周産期医療などの政策医療や病院整備等の建設改良費に係る経費等のうち、事業の経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費等について交付をしております。
府立病院機構の令和五年度決算では、独法化以降最大となる約五十九・三億円の経常損失が生じました。この要因といたしましては、新型コロナの五類化以降、病床確保補助金が国の制度見直しにより減額となる中、引き続きコロナ患者への対応を行った影響などから、入院患者数がコロナ以前の状況まで回復していないことや、物価上昇による経費の増加など、負担金算定時には想定し得なかった状況が生じたためでございます。
現在、府と府立病院機構が連携しながら収支改善の取組を進めているところでございますが、府立病院機構が政策医療を担う病院として引き続き高度専門医療を提供し、府民の生命と健康を支えられるよう、運営費負担金の検討を進めてまいります。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 運営負担金の検討を進めていただけるということなので、ぜひお願いしておきたいなと思いますが、帝国データバンクによると、令和五年度における病院、診療所、歯科医院を経営する事業者の休業や廃業、法人の解散は合計七百九件だというふうに発表されていました。平成十二年度以降で過去最多となっています。病院は何と十九件も入っているんですよね。
企業会計だからと病院機構の努力任せにせずに、物価高騰はまだまだ続きますし、今後、それこそ先ほどの質問でもお聞きしました新興感染症がどれだけ発生するか分からへんという、こういう状況の中で、本当に先を見通して、公的使命を持つ病院としての責任をしっかりと果たしていけるように、病床の削減をしない、稼働への努力はする、運営負担金は抜本的に引き上げる、こういう取組を強化していただきたいなというふうにお願いをしておきます。
・隠れ待機児童を含めた待機児童解消と保育人材確保の取組について
◆(石川たえ委員) 次に、福祉部さんに移ります。
決算概要百十八ページ、児童福祉事業についてお聞きをいたします。
施策成果として、保育所等定員増加数百三十人、こういうふうに書かれていましたが、この百三十人というのは、大阪府全部の全域で百三十人の受入れが増えたということなのか、確認をさせてください。
○委員長(西元宗一) 山内子ども家庭局子育て支援課長。
◎子育て支援課長(山内哲也) お答えいたします。
府では、安心こども基金を活用して、政令市、中核市を含む府内市町村の保育施設の整備を支援しております。
令和五年度は府内で百三十人の定員増加が見込まれる保育施設の新設、増改築が行われたところでございます。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) ありがとうございます。
百三十人分増えたというのがどうなんというふうに思うので、次の質問に移りますが、令和五年の四月一日時点での待機児数、これは百四十七人です。隠れ待機児、いわゆる隠れ待機児童と言われる子どもたちは七千八百四十七人です。令和六年の四月一日時点、これは令和五年の取組が反映されますので、令和六年度四月一日時点の府内の待機児数は百十一人。令和五年四月一日と比較をすると、多少待機児が減っているかのように見えます。
ところが、いわゆる隠れ待機児数の推移を見ると、平成三十年、六千四百五十五人、令和六年四月一日時点で九千十四人。令和五年四月一日の七千八百四十七人と比較すると、令和五年度一年間で、いわゆる隠れ待機児の数は千百六十七人増えているんです。百三十人定員が増えたぐらいじゃ、とてもじゃないけど足りないよというぐらい待機児は増えています。
いわゆる隠れ待機児は、育休中の人、求職活動を休止している方、求職活動中の方、希望する園に入れずに待機の人などなどが含まれていますが、この育休中の人の中には、保育所に入れなかったがために育休の延長をせざるを得なかったという、こういうケースも多々あるというふうに聞いています。希望園に行けずに、やむなく待機となっていると。
御本人の希望と合わなかったからということだと思うんですけれども、ただ、その実情を聞いてみると、兄弟で同じ保育園に入れなかったと。下の子のほうは物すごく遠い保育園を紹介されて、とてもじゃないけれども、両方をまたがって連れていくのは無理だったというケースもあります。
兄弟で分園をやむなく選択された方、こういう方にお話を聞くと、保育園が兄弟で家から全く逆の方向にあるわけですよ。そうすると、やっぱり登園に倍以上の時間がかかると。兄弟であったとしても、うちとこの保育園の園児でない子は園舎に入れません、こういう保育園もありますので、門の前にベビーカーに乗せて下の子を置いとかなあかんという事態まで起こっているわけです。何かあったらどうするんだというふうに保護者の方は非常に不安を感じておられます。
本当に困難を極めている中で、結局同じ園に入れるまで待機するというふうに、希望する園に行けなかったと言われる方の中にはこういう選択をされているケースもあります。
保育需要が今非常に高まっている下で、待機児が既に百人を超えて残されていることも、一人一人の親にとっては本当に深刻な問題です。百三十人分の定員増は本当にありがたいことだというふうに思っていますが、これまでの施策展開では、やっぱりいわゆる隠れ待機児、待機児の解消をしていくには間尺に合わないというふうに私は思います。待機児解消に向けて何が必要というふうに、この令和五年で教訓を導き出しているんでしょうか。
隠れ待機児を含めた待機児解消の取組をもっともっと強化するべきだったんじゃないかなと思いますが、見解を求めます。
○委員長(西元宗一) 山内子ども家庭局子育て支援課長。
◎子育て支援課長(山内哲也) お答えいたします。
待機児童数につきましては、国が保育所等利用待機児童数調査として全国的に調査しているものでございまして、この調査では、待機児童数は、保育所申込み児童数から保育所を利用する児童数を差し引いた上で、待機児童に含めない者も含めて差し引いた人数をカウントしたものとなっております。
待機児童に含めない者とは、先ほど委員のほうからも言及がございましたけども、育児休業中の方のほか、特定の保育所等を希望している方、求職活動を休止している方、各市町村が独自で補助をしている認可外保育施設である地方単独事業を利用している方とされており、これらの合計が令和五年四月一日現在で七千八百四十七人となっております。
これらの方については、実施主体である各市町村が、児童の利用調整の中で保護者の意向を丁寧に確認しながら、利用可能な保育所等の情報を提供していくことで改善が期待できるものと考えております。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 丁寧な聞き取りをして、利用可能な保育情報の提供をすることでなくしていけるんじゃなかろうかという、そういう御答弁だったかなというふうに思っているんですけど、兄弟で先ほど申し上げた分園になるケースというのが、私が自分の子どもを保育園に預けていた時代とは全然変わってしまって、当たり前のように行われているんですよ。それでも待機児解消になっていくから、役所はそうやって全然違うとこ、全然遠いとこをばんばん紹介して、ばんばん入れていくという取組を既にしているんですよ。
これは私はよろしくないなというふうに思いますし、就活中の人の場合、保育所の申込みに行くと、仕事決まってから来てや言うて、その場で追い返されるケースというのもたくさんあるんですよね。
なので、保育情報の提供だけをしても、それがその保護者のニーズに合っているかどうかということを抜きにして、この隠れ待機児の解消というのは到底進むと思わないんです、私。
なので、市町村だけの努力では駄目だというふうに思いますので、委員長、これも知事に聞きたいと思います。よろしくお願いします。
保育所の定員を増やすには、私は保育士の確保が必要だというふうに思います。ところが、現在、保育士確保が今困難を極めております。公立保育所の民営化に伴い、受け入れてもらえないかというふうに行政の側から打診はあるものの、保育士確保が厳しくて、とてもじゃないけどこの提案を受けられない、こういう事業者もおられます。弾力化はもう限界、保育士確保なしに定員増は有り得ないなど、経営者側からも今悲鳴が上がっています。
決算概要百二十一ページには、保育人材確保事業、これが載っております。離職防止、潜在保育士の再就職支援、準備金の貸付けなどがでてまいりますが、それでも保育士が足りていない現状は今解決をしておりません。この現状を打開するためには、私は処遇改善が鍵だというふうに思っています。
潜在保育士の退職理由第三位、これは給与への不満です。これは日本心理学会で論文発表されていました。二〇一三年から処遇改善が国で行われて、保育士の賃金というのは多少上昇してきていますけれども、それでも全産業平均と比べると低くて、一定の経験を重ねると、そこから賃金が上がりにくい、こういう構造にもなっています。これが長く働き続けることの足かせにもなっているわけです。
大阪府独自に、せめて全産業平均まで賃金が上がる仕組みをつくるなど、これまで以上の取組を行うことで、保育士確保と待機児解消に令和五年度こそ取り組むべきだったと思いますが、いかがですか。
○委員長(西元宗一) 山内子ども家庭局子育て支援課長。
◎子育て支援課長(山内哲也) お答えいたします。
府では、これまで保育人材の確保に努めるとともに、国への処遇改善の要望に取り組んでいるところでございます。
具体的には、保育実技講習会による地域限定保育士試験で多様な人材の保育への参入を促進しているほか、保育士・保育所支援センターを活用した潜在保育士などの就職支援を実施しております。
また、子育て支援員等、保育補助者の積極的な活用など、各市町村の地域の実情に応じた様々な取組を支援し、保育人材の確保に努めながら、引き続き待機児童の解消に努めてまいります。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) 潜在保育士の掘り起こしのために大阪府がこの間いろんな努力をされているということはよく分かっていて、ほんで、そのことによって、経験者の方から順次、保育の現場に戻られる数も増えてきているというのはお聞きしているんです。ただ、保育の需要との関係でちょっと間尺に合うてないというふうにも思っています。
この潜在保育士は、出産、子育て、介護、これに携わる人が多いことも研究結果で今明らかにされています。一方で、経験者ほど復職意欲が高いこと、これも同時に明らかになっており、急な休みでも対応してもらえるんやったら戻るでと、こういう人だったりとか、子育てや介護しながらも働きやすいよう勤務形態を整えてほしい、こういう要望だったりとか、環境が整えば復職するよという意欲のある潜在保育士も今まだたくさんおられるわけです。
非正規保育士が正規とおんなじだけの仕事量をこなして、賃金は低いと、これでは仕事意欲が湧かないのは当たり前のことだというふうに思いますので、処遇改善をしっかりすること、非正規は正規化すること、労働環境の整備を行う、こういう支援をもっともっと広げていくことで、保育士確保と待機児解消の取組をさらに進めていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
・乳幼児医療費助成制度について
◆(石川たえ委員) 次に、百二十ページ、乳幼児医療助成制度についてお聞きをいたします。
現在の制度となった平成二十七年度の決算は約三十七億円です。令和四年度は二十七億一千二百八十一万七千百二十八円。平成二十七年当時より約十億円近く決算額は減っています。令和五年度は助成見込み増加で増額補正も行っておられますけれども、少子化の中で、結局決算額が下がってきているのは確かです。
令和五年度の患者窓口負担、一部自己負担金は約十一億円です。制度開始時のお金のままで、ほぼこの一部自己負担金、窓口負担はゼロにできるというふうに思います。
セーフティーネット部分を大阪府は担います、こういうふうに繰り返されていますので、セーフティーネット部分を担うというのであれば、子どもの数の減少に合わせて予算を減らすのではなくて、一部自己負担金をなくす方向に施策の方向転換をするべきではなかったでしょうか。
○委員長(西元宗一) 佐田子ども家庭局子ども青少年課長。
◎子ども青少年課長(佐田剛清) お答えいたします。
乳幼児医療費助成制度におけます窓口負担の無償化につきましては、受益と負担の適正化の観点から、一定の御負担をお願いしているところでございます。
そのため、窓口負担を変更することは考えておりません。
○委員長(西元宗一) 石川委員。
◆(石川たえ委員) この質問すると、いつも受益と負担の公平性、適正化というふうに言われるんですけど、何が受益で何が適正なのかといつも疑問を持っています。
大阪府のホームページには、乳幼児が、病気やケガなどの必要とする医療を容易に受けることができるよう医療費の患者負担額から一部自己負担金額を控除した額が助成されます、こういうふうに記されていますが、この一部負担金が重くのしかかって、医療を受けないという選択が実際に行われているわけです。
容易に医療を受ける、こういうふうに言うのであれば、乳幼児医療助成制度、決算額が減ってきている今こそ、一部自己負担金はなくすべきだというふうに思います。既に全国でも、そして大阪府内自治体でも、独自にこれをなくす取組が強まっております。府民の願いに応える施策への転換を強く求めておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
これで質問は終わります。
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