大阪府知事 太田房江 様

日本共産党大阪府議会議員・前議員9名に対する政務調査費(調査委託費)に係わる知事の返還請求には道理はなく、応じられない旨の通知

2007年10月11日

宮原  威 
 阿部 誠行 
黒田まさ子 
堀田 文一 
小谷みすず 
和田 正徳 
岸上しずき 
 奥村 健二 
 小林 隆義 

 大阪府知事は、上記の日本共産党大阪府議会議員・前議員に対し、平成16年度と17年度に交付された政務調査費の一部を返還するよう9月21日に請求してきました。請求されているのは上記の各議員が、政務調査活動を会派として集団で行うために会派に調査委託費として拠出している年額264万円(月額22万円)の2分の1が目的外にあたるとして請求されたものと、それ以外の3名の事務所費その他があります。この通知書は全員に共通する調査委託費について以下の通り、知事の請求には道理がなく、返還義務がないことを申し述べるものです。

 1、府民要求を政策化し府政に反映すると共に、府民の立場で府政を厳しくチェックするためには会派として日常的・系統的・総合的調査研究活動が不可欠です。その立場から日本共産党府議団は、1980年1月以来、政務調査のための専従職員を雇用し、活動をすすめてきました。

 府議会の政務調査費は、2000年5月に地方自治法が一部改正されたのをうけて、2001年3月に「大阪府政務調査費の交付に関する条例」が制定されました。それまで全額、会派に支給されていた政務調査費が、会派(月額10万円×議員数)と議員(月額49万円)に交付するよう改訂されました。府議団は、会派・議員としてその役割を果たすため、引き続き政務調査のための専従職員を雇用して活動をすすめる必要があるとして、議員が会派に調査委託費(月額22万円)を拠出し、会派に交付される政務調査費と合わせて、政務調査活動をすすめてきました。府議団がとってきた、「調査委託費」の形式は、府議会事務局も認めてきたもの(いわば知事自身認めたもの)であり、政務調査費本来の目的からいっても当然認められるべきものです。

 2、また、政務調査費の監査にあたった外部監査自身の報告も、日本共産党府議団の会派としての政務調査費の支出について、議員が会派に拠出している「調査委託費」を含め、全ての「支出が適正に行われており、目的外はない」としています。「使い方に問題はない」のに「返還せよ」というのは、全くつじつまが合いません。

 3、外部監査報告は、調査委託には「委託契約と毎月の業務報告の存在と毎月の実績による精算が必要」とありますが、日本共産党府議団の場合、毎年、年度初めの団総会で、その年の政務調査活動の方針をたてて活動を行っていますが、その際、各議員が「調査委託費(月額22万円)を拠出して財源にあてる」ことを文書で確認しています。また、その方針に基づき会派としての調査・研究、学習など具体的計画をたて、議会での論戦をはじめ、政策立案などをすすめており、政務調査活動の実際は毎月の業務報告と精算になじまないものがほとんどです。実績や成果、集めた資料などは「府会報告ビラ」や「府政資料」などにまとめ府民に報告しています。政務調査の計画や実績、団と専任の事務局員との雇用関係も明確です。

 実際、会派として、毎年年度初めの団総会で決定した方針は、議会の年間スケジュールに沿って、各議会(2月、5月、9月、12月)ごとの代表質問、一般質問、各常任委員会質問、意見書の提案、決算特別委員会審議、その他の調査特別委員会での発言、その時々の重要課題の申し入れ、附属機関での活動、年度当初予算編成と補正に向けた要望などに向けて機会ごとに具体化しています。

 4、なお、外部監査人は、「調査委託費」の2分の1を目的外とするにあたって名古屋高裁の基準をあげていますが、名古屋高裁判決は、「地方自治法100条13項及び14項の立法経緯に照らすと、同法は、会派が主体となって行われる調査研究活動のほかに、議員個人に対して直接政務調査費を交付することも、会派を通じて所属議員に対して政務調査費をその使途に従って支給することも禁止する主旨ではないと解されること、本件規定4条及び本件使途基準も、その内容に照らし、会派から委託を受けた所属議員が行った調査研究活動に政務調査費を充てる事を否定するものではないと解されるとすると、政務調査費の支出に当たり、会派が政務調査費を所属する議員個人に支給したという一事をもって、その政務調査費が本件使途基準に沿った使途に当てられなかったことを推認させるものと解すべきでなく、なお、当該政務調査費が当該議員において本件使途基準の定める使途、すなわち当該会派の政務調査活動以外の目的のために費消されたことを推認させる、一般的、外形的な事実の主張立証がされた場合に初めて、支出の違法性が推認されると言うべきである。」「個別具体的に主張立証しないからといって、本件政務調査費の支出が違法であると解すことはできない。」と述べ、政務調査の実態があるかどうかが判断の基準でなければならないとしています。名古屋高裁の判決からも、わが党議員から会派への調査委託費は問題ありません。

以 上