"老人医療費助成廃止へ"

"12万6千人が切り捨てに"  

"乳幼児助成に自己負担も"

大阪府  

 
 
 
    大阪府は、老人医療費助成制度を原則廃止することなどを盛り込んだ「大阪府健康福祉アクションプログラム〜健康福祉施策の再構築(素案)」をまとめました。母子家庭や乳幼児医療費助成の対象者拡大はあるものの、「受益者負担」「世代間の公平」の名で老人医療費助成制度の対象者の大半を切り捨て、障害者医療費助成制度で所得制限を厳しくし、すべての医療費助成に自己負担を導入するなど、府民の命と暮らしを脅かすものとなっています。

<<関係者一斉に反発>>  


 老人医療費については現在、65歳から69歳の医療費本体助成は住民税非課税世帯が対象で、3割負担(国制度)が1割負担ですむようになっています。「素案」ではこれを除外(経過措置として現在の対象者が70歳になるまで助成制度は継続)。
 65歳以上の一部負担金助成では、障害医療対象者の本人所得1千万円以下から462万1千円以下(単身の場合)に強化。70歳以上の特定疾患などの対象者も所得制限なしから本人所得259万円以下(2人世帯)とし、1医療機関あたり入通院1日各500円(月2回程度)の自己負担を導入します。障害者医療費助成は対象者を本人所得1千万円以下(単身の場合)に引き下げ、1医療機関あたり入通院1日各500円(月2回程度)の自己負担を導入します。障害者医療費助成は対象者を本人所得1千万円以下から462万1千円以下(単身の場合)に強化。70歳以上の特定疾患などの対象者も所得制限なしから本人所得259万円以下(2人世帯)とし、1医療機関あたり入通院1日各500円(月2回程度)の自己負担を導入します。
 乳幼児医療費助成は現在、6歳未満の就学前児童の入院と2歳未満児の通院が対象ですが、通院を3歳未満に引き上げ。
 その一方で1医療機関あたり入通院1日各500円まで(月2回程度)の自己負担を導入。母子家庭医療助成は対象者を入通院とも18歳までの子と母にも拡充し、父子家庭にも制度を適用しますが、1医療機関あたり入通院1日各500円(月2回程度)までの自己負担を求めます。
 府は「素案」について9月府議会での議論を経て今年度中に成案をまとめ、来年11月から実施するとしています。
<<横山知事も太田府政も >>  


 老人医療費助成制度は、横山知事時代の98年、対象を住民税非課税世帯の高齢者に限定する大改悪がおこなわれ、太田府政のもとでは00年8月に一部負担金助成の大枠廃止を強行。それでも約24万人(02年度決算見込み)の高齢者が助成を受けています。
今回の改悪が実行されれば、府の試算でも5年後には医療費本体助成で12万6千人が対象から外され、助成を受けられるのは3万7千人に。一部負担金助成では5千人が制度から除外されます。

<<暮らし不安助けてこそ >>  


 

 「助成制度は復活して欲しいくらいなのに、今この時期にこんな改悪案を出すなんて」と怒るのは、年金者組合大阪府本部女性部の高山アサ子さん。同女性部では8月25日に、約2500人の生活実態調査をもとにした要望書を太田知事に提出。その中で医療費助成制度の復活や高齢者福祉の充実を求めたところでした。
 生活実態調査では、4万円台の国民年金しかない女性が約4割、無年金者も84人いることが明らかに。家計を圧迫しているものの1位、2位を「国保・介護保険」「医療費」が占めています。高山さんは「女性は高齢期に1人暮らしになることが多いが、その生活を支える年金も非常に低いことが浮き彫りになりました。こんな時こそ、府政が社会的に弱い立場の高齢者の立場に立つべきなのに、許せません」と話します。

<<府医師会や自治体にも >>  


 日本共産党大阪府議会議員団(宮原たけし団長)は大阪府市長会や大阪府医師会、団体などを訪ねて現行制度の堅持での共同を呼びかけるとともに、9月1日には太田知事あてに「素案」の撤回と見直しを求める申し入れをおこなっています。
 これにたいし大阪府市長会の山本末男会長(茨木市長)は「府から17日の市長会で説明を受ける。府の制度だが、窓口である各自治体の福祉課は大変。削れるものはどんどん削られていくのでしょうか」とのべました。
 大阪府医師会は昨年11月、府への予算要望で「現行制度の縮小については賛成できない」と求めています。応対した後藤安男事務局長らは、「素案」にたいして「簡単に賛成できるものではないことははっきりしているが、府の説明をきちっと聞いて医師会としての対応を検討することになる」と話しました。

<<制度守れと意見書採択>>  


 福祉医療費助成制度では昨年、大阪市会、池田市議会で現行制度堅持を求める意見書が採択されています。吹田市議会の意見書では、昨年10月から高齢者の医療機関での窓口負担が大幅に増えるなどの中で、府が各種医療費助成制度の見直しをおこなうことは、「府民の命を奪うことにほかならない」と批判しています。
 




2003年9月7日付
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日本共産党大阪府議会議員団