小松久議員の一般質問(大要)
2010年3月5日

 日本共産党の小松久です。知事に質問します。

 最初に、自動車税催告業務と市場化テストについてです。
 府は、昨年4月17日、自動車税の電話による催告業務の委託契約をNTTマーケティングアクト社と結びました。ところが、アクト社は5月25日、システムの構築・開発業務をNTT西日本に再委託し、さらに5月27日にNTT西日本がディアイスクエア社に開発業務を再々委託していたことが、1月26日、発覚しました。
 2月3日の報道では、大阪府は、「再々委託先が納税者情報を閲覧できたことを遺憾だ」「アクト社からは『社内の連絡ミスが原因』との報告を受けている」としていますね。
 しかし第1に、NTTアクト社の単なる「社内の連絡ミス」ではないのです。
 最初からアクト社はNTTやディアイスクエア社と組むつもりで委託を受けたのではありませんか。
 府は、1月31日にアクト社によるディアイスクエア社への保守業務の再委託契約を解除させながら、翌々日の2月2日には、ディアイスクエア社と再委託契約を結ぶことを承認していますが、理由は、「保守管理業務に支障をきたさないため」と言っています。つまり、アクト社には保守業務の能力がなくだまされていたことが府もわかったのです。ところが、府は契約解除をしたとたんに、新たな再委託契約を同じ会社と結ぶというあり得ないことを認めました。なぜですか。
 第2に、アクト社との契約では、この4月から、自動車税にとどまらず、府税すべてが電話による催告の対象となっています。府の2月15日付け「報告」では、保守業務従事者からの事情聴取で、「税務情報は記憶していない。外部に漏らしたこともない。」ということですが、納税者情報を閲覧できたこと自体が重大問題です。府はいかなる認識ですか。
 第3に、アクト社との契約を解除し、事件を徹底解明すべきではありませんか。
 第4に、悪質な事業者の無法行為もチェックできず、府民の重大情報を漏洩の危険にさらすような、大阪版市場化テストと受託事業者の決定システムは、停止し、再検討すべきではありませんか。また、監理委員会と「4分6なら民間に」と民間を優先してきた知事の責任は重大ではありませんか。
 それぞれ答弁を求めます。

 次に、八尾空港西側跡地問題です。
 1938年に開港した阪神飛行学校が戦時色が濃厚になる中、飛行場は、1940年8月陸軍によって阪神地区の大防空飛行場と位置付けられました。陸軍は、施設拡張のため、用地買収の交渉に入りましたが、実態は、接収でした。「講堂には机が置かれていて、その前には憲兵が座り、地主が一列に並んで、憲兵の指示するところに印を押すだけでした。」と関係者は証言しています。
 戦後、米軍が飛行場を使い続けましたが、農民は、飛行場全面農地解放期成同盟を結成し、農地解放の運動に取り組んだのです。
 1954年10月国会審議を踏まえ、ようやく民間飛行場として存置することが決定したのです。
 今回国が、一般競争入札で売り払おうとしている土地は、こういう歴史的経過を辿っています。事実上住民から取り上げたこの土地は、本来、原状回復して住民に返すべきです。
 この間、大阪府も参加した検討会議が組織されていますが、大阪府として国に対して、以下の2点を求めるよう提案します。第1に、八尾空港の歴史的経過を踏まえ、国が地元市に土地を譲渡すること。第2に、そこに向かって、地域住民の意向をよく聞き、国の責任で土地の整備を行うこと。知事の見解を求めます。

 次に、消防団の活動についてです。
 第1に、消防団員は、他に職業を持ちながら、火災をはじめ災害から地域住民を守るため、身を挺して活動しています。
 地域では、消防団員が災害発生時に、迅速・的確に活動できるよう知識や技術の向上や使命感・団結心が身につくよう努力しています。団員の確保と世代継承が、若年層をはじめとした急激な雇用環境の悪化等のもとで、困難さを深めています。また、全国的には消防職員を増やして来ているもとで、大阪府内では、減少傾向が続いています。消防職員の計画的増員を図ることが重要ですが、同時に消防団員の活動への支援を強めることが欠かせません。
 その意味から、大阪府消防協会への補助金3割カットは、消防団活動への支援に支障をもたらしています。消防協会の2007年度約1490万円あった消防団活性化のための事業費が2009年度には6割減の約590万円にまで圧縮されています。消防団についてどのような認識を持っていますか。また補助金減額による結果の検証を行い、補助金を復元することが必要だと考えますが、どうですか。
 第2に、大阪府内ではこの間、消防団員の横ばい傾向が続いています。スーパー台風や巨大地震など大規模災害が想定されるもとで、消防団員の増員を実現するためには、雇用環境の改善等が必要です。知事として経済界や企業等に、消防団員増員への理解と協力を要請してはどうですか。
 第3に、将来の消防団員の確保と防災への関心を高めるために、他府県において少年消防クラブが活発に活動しています。防災への関心が強い児童生徒が少なくないことから、大阪でも取り組みをすすめてはどうですか。
 それぞれ答弁を求めます。

 最後に、府庁舎問題についてです。
 わが党の代表質問でも明らかになったように、WTCビル買取りはまさに無駄遣いだと強調しておきます。
 そこで第1に、大手前・森之宮まちづくり検討会では府民不在の議論が続けられていますが、その中では、移転する成人病センターの患者向けのホテル建設などが議論されています。1月20日の会議では、土地利用について、「住民の意見を聞く必要がある」「そのあたりがかなり大きなポイントになる」という議論がされています。原点に立ち返って、検討会に歴史や文化の専門家、住民の参加を確保すべきではありませんか。また、いま大阪市内では、富裕層対象の外資系高級ホテルが進出ラッシュだと報道されていますが、ホテル建設などより、日本古来の都の原型としての難波の宮などを生かした街づくりこそ必要ではありませんか。
 第2に、夢洲・咲洲における開発計画にかかわって、大阪港の貨物取扱量が計画より2割落ち込む等により、夢洲コンテナターミナルの経営状況は行き詰まっているのではありませんか。また、企業誘致が進まない咲洲など、夢洲・咲洲地区は惨憺たる状況です。ところで、9月議会以降、咲洲での企業誘致は何件あったのですか。
 第3に、高さ100メートルを超す超高層ビルは、1970年代から増え、現在約700棟ありますが、世界的には建設から30年から40年で解体される例が多く、国内でも解体需要が増える見通しだと指摘されています。WTCビル設計者が「100年以上もつ」との見解をもつ科学的根拠はどこにあるのですか。
 第4に、長周期地震動についての建築基準法上の設計基準改正は、「早ければ2010年度」と言われていましたが、遅れる模様です。超高層ビルにおける長周期地震動の影響に関する研究が、民間や大学、国等ですすめられている今日、その到達点を科学の目で見据えることが大事です。昨年11月、超高層ビル設計時の耐震計算に使う想定地震動データを策定する研究会が、大手建設・設計会社など45社と大学研究者らで結成され、1年後のデータ策定をめざすとのことです。
 また、超高層ビルの鉄骨構造は火災の熱が伝わりにくい素材で覆われていますが、地震の揺れでその素材がはがれ落ちると熱がじかに伝わり長時間燃えると強度が落ちます。2001年米国同時多発テロで飛行機が衝突したビルは、衝撃によってその素材が飛び散り、その後の火災で構造の強度が落ち、ビルの重さを支えられなくなって崩落した、と指摘されています。
 現在、超高層ビルにおける長周期地震動による防火設備への影響について国土交通省国土技術政策総合研究所が技術開発に着手した段階ですが、これらのことを、科学の到達点に立って検討すべきではありませんか。
 最後に、大阪府も参加する京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会は、2月12日、基幹的広域防災拠点の候補場所を、大手前の大阪合同庁舎第4号館とすることを確認しました。その際、選定理由として、消防、警察等関係機関へのアクセス性が優れていること、大地震に対して倒壊・崩壊の危険性が少ないこと、など4点があげられています。間違いありませんね。
 それぞれ答弁を求めます。