くち原亮議員の代表質問(大要)


2010年3月3日

 日本共産党のくち原亮です。わが党府議団を代表して質問します。

 大阪の完全失業率は昨年7月から9月期で7.7%と全国最悪となり、09年の企業倒産件数は、大阪では前年度比18.3%増と全国平均5.7%増の3倍以上、生活保護率や就学援助の受給率も全国平均の2倍など、全国と比べても暮らしや中小企業の現状は深刻です。
 知事は、この現状をどう認識しているのか、答弁を求めます。
 ところで知事は、就任直後から「大阪府は破産会社」などと、府の財政危機を強調し、府民施策と文化予算をバッサリと削りました。
 府民施策では、例えば私学助成制度の削減により、約半数の私学で授業料が最高16万円値上げされました。その結果、公立高校で競争率が上昇し、定時制高校で167名もの2次試験不合格者が出る事態となりました。
 教育環境後退につながる府立高校の教務事務補助員の雇い止めは、深刻な雇用情勢の下で、大阪府が、年収約120万円の非正規労働者の首を切る残酷なものでした。
 文化についても、青少年会館の廃館や国際児童文学館の閉館、大阪センチュリー交響楽団への補助金大幅削減など、府民の心の安らぎが奪われました。あなたの心は傷みませんか。
 一方、「将来世代に負担を先送りしない」などといいながら、5兆円にも上る大阪府の借金をつくってきた原因の一つである大型開発は、基本的に従来通り継続し、拡大しようとしています。
こうしたムダ使いにこそメスを入れるべきではありませんか。
お答え下さい。

 さて、国政では、貧困と格差を広げた弱肉強食の「小泉構造改革路線」が破綻し、自公政権が退場する歴史的審判が下りました。
 ところが、今の政権は、高校授業料無償化など前進面もありますが、貧困と格差を是正する中心課題であり、自らの公約でもある労働者派遣法の抜本的な見直しや後期高齢者医療制度の廃止などには背を向けています。こういう問題でこそ国にモノを言うべきではありませんか。答弁を求めます。

 大企業がこの10年余で内部留保を142兆円から229兆円へと急膨張させる一方、雇用者報酬は279兆円から253兆円へとOECD加盟国で唯一大きく落ち込み、大企業と従業員20人未満の中小企業との賃金格差は2倍近くになっています。
 大阪でも、府内に本社を置く資本金100億円以上の大企業122社の内部留保が、24兆7657億円に増大する一方、一人当たりの府民所得は、96年度の355万円から07年度は310万円と87%に下がっています。
 雇用破壊や中小企業の犠牲の上に、一握りの大企業が栄える社会や経済に未来はありません。
 知事は、「大阪経済特区の創設」「地方税の減税」「法人税等の減免を国に要請」するなどと府政運営方針で述べました。
 しかし、日本の大企業の法人税率は89年以降4度に渡って引き下げられ、42%から30%になりました。国でも大阪でも法人税税収は下がり、所得税や住民税、消費税の割合が高まり、税金の構造も大企業優先、庶民いじめになっています。
 今、知事がやるべきは、自らが大企業に赴き、巨額の内部留保を社会と府民に還元させ、正規雇用の拡大や中小企業の下請単価を保障するよう直談判することではありませんか。答弁を求めます。

 次に、橋下府政が独自にやるべきことについて質問します。
 知事就任2年を経たマスコミ世論調査で、府政に優先的に取り組んでほしい課題として、「産業や経済の活性化」、「医療や福祉の充実」、「雇用問題」などがどの調査でも上位を占めています。
 しかし新年度予算は、高校授業料無償化などが盛り込まれているものの、WTCビル購入費117億円、安威川ダム建設70億円、関西空港2期関連事業23億円など、開発やプロジェクトの推進は従来通りです。

 そこで、中小企業と暮らし、雇用の応援で大阪経済を活性化する提案を順次行います。

 まず、中小企業振興条例の制定と中小企業支援についてです。
 わが党は、繰り返し条例制定を提案してきました。しかし府は「中小企業対策は十分行っているので条例は必要ない」という態度でした。
 3年前に条例が制定された干葉県では、厳しい経済環境の下で、中小企業の振興を県政の重要な課題と位置づけ、職員が地域や団体に出向き、意見を聴くなどの取組みを進めています。
 大阪府としても、中小企業振興に関する基本方針や必要な財政措置を講じるなどの府の責任、大企業の役割などを定めた条例を制定すべきです。
 また、経営が大変な中小企業への直接支援も必要です。
 町工場の家賃や機械のリース料など、固定費補助を実施するよう国に求めるとともに、府としても独自に支援を実施してはどうか。
それぞれ答弁を求めます。

 次に、小規模事業経営支援事業補助金についてです。
 予算額は08年度は前年度比8.9%減、09年度はさらに15%減、そして新年度はさらに5%減です。
 商工会・商工会議所からは、小規模事業所への経営支援、相談活動に影響が出ているという声が寄せられています。せめて今年度水準を維持するよう求めます。同事業をめぐっては、新年度からの新しい方向が打ち出されています。
人件費補助を事業費補助に変えたことへの十分な検証もせず、拙速に中身を変えるのではなく、まず影響を調べ、事業所に有効な施策は何かを、現場の声を聞いて検討すべきです。答弁を求めます。

 次に雇用問題です。
高校や大学の新卒者の就職内定率が、就職氷河期に迫るなど、事態は深刻です。
 大阪における高校新卒者の就職内定率は、12月末現在で67.9%と前年比8.7ポイント落ち込み、3人に1人が就職先が決まっていません。
 大卒の就職内定率も73.1%と前年より7.4ポイント下回っています。
 高校や大学を卒業した若者が、社会に出たとたん失業者になってしまう、こういう事態を回避するためにも府として最大限の努力が必要です。
 宮城県や秋田県などでは、高卒採用を行った企業への奨励金支給や就職のための資格取得支援などを行っています。京都府では、府として雇用しながら職業訓練などで就職を支援する「高校生の緊急就職支援センター」を設置しています。
 大阪府として、就職できなかった高卒生を就職活動も保障しながらの直接短期雇用を行なってはどうか。ジョブカフェ事業の拡充なども含め、取り組みを強化すべきです。お答え下さい。

 次に、中小建設業の仕事を増やすためにも、暮らしと安全を守るまちづくりを推進することです。

 まず、府立学校の耐震化です。
 昨年4月1日現在で府立学校、全1325棟の内、耐震性能を満たすものが693棟で、耐震化率は52.3%%と全国で最低レベルです。2015年度までに100%の耐震化を図る計画ですが、国に対して一定の予算措置も求めながら、耐震改修を可能な限り、前倒し実施すべきではないでしょうか。

 次に、府営住宅に関してです。
 府営住宅の建設や改修は、多くの建設業種に仕事が回る事業です。
 ところが、昨年11月に発表された府政運営の基本方針「大阪維新2010」は、府営住宅の管理戸数の削減を打ち出しています。応募倍率が今年度も13倍に達し、とりわけ中央と千里管理センター地域では、長期間、20倍を超える高応募倍率が続いています。府営住宅の削減は撤回すべきです。
 耐震改修も、着実な推進が必要です。いかがですか。
 耐震改修が求められていた東三国住宅は、改修せずに廃止して、借家権補償を行う予算が提案されています。補償は当然ですが、廃止せずに耐震改修することがストックの有効活用ではないでしょうか。

さらに、民間住宅の耐震改修助成については、制度開始以来3カ年の大阪全体の合計は、わずか461戸にすぎません。なぜこんなに少ないのでしょうか。
耐震改修を抜本的に推進できるよう国に制度の改善を求めるとともに、府としても支援策を講じるべきではないでしょうか。
 また、高齢者が在宅で生活をするために住宅改造は欠かせません。ところが、財政再建プログラムで高齢者住宅改造のための府の単独助成は廃止になり、現在、利用できるのは20万円の介護保険だけで、とても足りません。
高齢者住宅改造助成は復活すべきです。
それぞれ答弁を求めます。

 次に、河川の堤防補強、河床低下対策、老朽化護岸の改善など「あんしん川づくり事業」の推進です。
 現在、補強、改善等が必要な37河川のうち、工事に着手しているのは9河川にすぎません。
 改善等に必要な総事業費は2百数十億円との事ですが、現在の年間予算3億円程度では70年以上かかります。
 ゲリラ豪雨はいつ襲ってくるかわかりません。せめて10年以内での改善を目指すべきではないでしょうか。

 次に、バリアフリーの推進です。
 府が管理する交差点での歩道の段差改善は、要改善箇所1万7884カ所に対し、2008年度はわずか81カ所にとどまっています。積極的に改善を図っていくことが必要です。
 それぞれ答弁を求めます。

 次に、公契約条例の制定についてです。
 公共事業の発注価格は「安ければ良い」というものではありません。
下請単価や人件費を無視したダンピングは、下請業者や建設労働者に深刻な影響をもたらしています。
 ところが、今年度の建設工事、測量・建設コンサルタント等業務の落札は、最低制限価格と同額でのくじ落札が86.1%、落札金額は予定価格の78.2%にまで低下しています。
 その結果、元請けや下請の倒産が相次ぎ、下請代金や賃金の不払いも頻発しています。
 昨年12月に、府は最低制限価格を事後公表に変えましたが、615万円の測量作業の入札に70社が参加し、うち45社が最低制限価格以下で失格となり、46番目の業者が最低制限価格に1000円プラスの370万円で落札するという過当競争が、今も続いています。
 異常な低価格落札を防止するため、総合評価方式の拡充や最低制限価格の適正化なども検討すべきではないでしょうか。
 また、元請業者に適正な下請代金や賃金支払いを義務づける公契約条例を制定すべきと考えるがどうか。それぞれ答弁を求めます。



 次に子育て支援と教育です。

 まず、保育所整備について質問します。
 保育所の待機児は、昨年10月、政令市・中核市を除いても1700人ですが、この中には、認可外保育所へ入所している子どもや就職活動中の保護者の子どもは含まれていませんから、潜在的な待機児は、この何倍にもなります。
 一方、今年度と新年度の保育所定員増計画は、合わせて1010人で待機児解消にははるかに及びません。すでに厚労省は4月から定員を超えて子どもを受け入れられる上限の撤廃を都道府県に通知しており、詰め込みに拍車がかかることが心配されています。
 日本の保育所のゼロ歳児1人あたり面積の最低基準は1.65平方bと国際的にも極めて低く、スウェーデンの4分の1以下です。
 にもかかわらず政府は、国の責任を放棄し、子どもの居住面積や職員配置の基準を地方自治体の条例にゆだねることを閣議決定しました。
 そこで、保育の公的責任を貫くために3点について質問します。
 第1に、待機児調査は4月ではなく10月に重点を置き、実態に見合った整備計画をつくる。
 第2に、2010年を期限として、認可保育所の整備に対する市町村の補助率を4分の1から12分の1に軽減している「安心子ども基金」を5年間延長し、運用を改善するよう国に求める。
 第3に、府条例による面積や、職員配置の基準等の設定は少なくとも現在の水準を守る。
 以上答弁を求めます。

 次に児童虐待に対応する体制の拡充です。
 昨年度の大阪府の虐待相談件数は4354件と全国ワースト2です。
日本子ども家庭総合研究所の調査では、虐待対応は、非行相談や障害相談の何倍もの時間と労力を要することがわかりました。今年度虐待対応の児童福祉士が5名増員されましたが、とても足りません。
 虐待対応の強化のために、以下提案します。
 第1は、引き続き児童福祉士を増員し、各子ども家庭センター虐待対応課に、専任の児童心理司および保健師を配置する。
 第2は、市町村が行う乳幼児健診未受診児訪問や「こんにちは赤ちゃん」事業を府として支援し、困難ケースについて連絡を密にすることです。1月末、寝屋川で、1歳8カ月の女の子が虐待による心肺停止状態で救命救急センターに運ばれましたが、この女の子は1歳半健診の受診をしていませんでした。
 第3は、要保護児童対策連絡協議会が機能を十分発揮できるよう、人の配置も含めて支援体制を強める。それぞれ答弁を求めます。

 次に高校授業料無償化の問題です。
一昨年10月、「お金の心配なく勉強がしたい」と知事に対し、堂々と意見を述べた大阪の高校生の叫びは、大きな世論となりました。新政権は公立高校授業料を徴収しないと決め、府もエアコン代も含めて府立高校授業料徴収をしないとし、私立高校生についても、国制度に上乗せし、年収350万円までに拡大して「授業料支援補助金」制度を設けたことは、世論と運動が政治を動かしたものです。
 私立高校授業料無償化に向けて、引き続き国の支援を要求するとともに、対象や助成額を拡充するよう求めます。
 さらに、私学への経常費助成の10%削減で、今年も24校が授業料の値上げを決めました。経常費助成の復元を求めますが如何ですか。

 次に特別支援学校の建設についてです。
府は、2013年度迄に、4校の新設に着手するとし、4月から分校が開かれます。分校とはいえ規模も大きく、教育条件整備は本校と同等水準にすべきです。とりわけ、養護教諭の複数配置など、必要な教職員配置を行うべきだがどうか。
 施設整備ではスプリンクラーの取り付けや自校調理による給食実施を今からでも検討すべきです。
 さらに今後の増設計画については、「2013年までに生徒数の動向を再推計して整備方針を検討する」としていますが、それでは過密過大解消の先送りになります。すぐにでも検討を始めるべきです。
 それぞれ答弁を求めます。

 次に、「教育力向上プラン」についてです。
 市町村別平均点を公表するとしている府独自の学力テストの計画や、学区を取り払って進学に特化した「進学指導特色校」は、子どもをさらなる競争に駆り立て、序列化をいっそう進め、子どもの心を傷つけるものです。
 教育力向上をいうなら、急ぐべきは、35人数学級の小学3年生と中学1年生への拡大です。すでに中学1年生での少人数学級は30以上の道府県で実施しており、国も学級定数の見直しの検討を始めています。この機会に府としても踏み出すべきです。答弁を求めます。

 次に、農林業振興についてです。
 大阪の農業就業人口は、2005年には1990年の約63%、しかも60歳以上が70%を超えています。
 また、耕地面積も、2005年には1990年の約80%に減少しています。
 前自公政権によって農地法が改悪され、企業参入による農家への影響が危惧されています。
 農地と農家を守る農業委員会の役割は、これまで以上に重要であり、機能強化を図る支援が必要です。
 知事は、農業委員会の現状とその役割をどう認識していますか。事務局体制の強化をはじめ、必要な体制や予算の充実など支援強化を求めます。
 さらに、大阪農業振興のため、市街化区域の農地保全のため、農地への相続税や固定資産税を維持可能な水準に引き下げることが必要です。当面、相続猶予の条件を緩和するよう国に求めるとともに「都市農業と農空間条例」に基づく農家支援策と農地保全策に必要な財源を確保すること、農業振興に重要な役割を担っている普及指導員を増員すること。以上、答弁を求めます。

 林業については、森林関係者から、山が荒れている、基幹産業である林業や木材産業が成り立たない、仕事がなくなったなど厳しい声が挙がっています。
 府域の面積に占める森林の割合は約30%、全国最低水準ですが、府民にとって貴重な資源であり、水資源の涵養や二酸化炭素の吸収など多面的機能を持っています。林業の振興は、府政の重要課題です。知事にその認識はありますか。
 林業振興のため次のことを提案します。
 第1は、林業・木材産業の再生のためには、外材依存政策を転換し、国が責任を持って森林・林業の再生に取り組むよう求める。
 第2に、公共建築や土木事業に府内産材の利用促進をいっそう図る。当面、府の指針の目標達成を目指す。また、"おおさか材の家"の建設・普及の促進を府の年間目標の50棟を達成すべきです。
 第3に、担い手の育成です。森林組合など関係団体と協力して、林業後継者育成制度の創設を含め、系統的に育成できるようにすること。
 それぞれ答弁を求めます。

 水道については、1立方b88円10銭を10円10銭、引き下げる提案が今議会にされ、用水供給事業は、府内市町村が企業団をつくって引き継ぐという方向が出されました。コンセッション方式で大阪市に指定管理者をまかせる方針が否定されたのは当然です。
 しかし、課題もあります。
 まず、早ければ2013年頃には再度の値下げが可能になることです。
大阪府の財政シミュレーションでは、2013年には、1立方b68円まで給水原価が下がります。その点は確認できますか。
 第2は、もともと府や国が責任を取るべきダム撤退に伴う特別損失、最大649億円の取扱いです。国が過大な需要予測でダム計画をつくり、安威川ダムは大阪府としての水源開発でしたから、これらの水源開発からの撤退負担金を市町村に負担させることはまちがいです。
 第3は、安全な水を安定的に供給する上で、大阪府が技術的な役割を引き続き果たすことです。府や市町村の水道管の更新事業への補助拡充を国に求めることも必要です。
 以上、お答え下さい。



 さて知事は、府庁のWTCへの移転構想に続いて、権限と財源を一つに集中するとして、大阪市との再編統合を言い出しています。しかし、その内容は2002年の関西経済同友会の提言と、そっくりです。
 淀川左岸線延伸など、広域インフラ整備や大企業の一人勝ちでは、府民の暮らしや経済はよくならず、貧困と格差がいっそう拡大してしまいます。
 国の形を変えるというなら、一握りの大企業に富が集中する政治のあり方こそ変えるべきだと国に発信すべきですがどうですか。答弁を求めます。

 いくつか質問します。
 WTCビルの買い取り問題です。昨年の9月府議会時点と今日では変化があります。
 第1は、ビルを買い取れば、庁舎の分断になることです。今までは分散庁舎といっても、3〜4分でした。しかし、大手前と咲洲とでは、全くの分断になります。分散庁舎を統一するという知事の言い分は崩れました。
 第2は、財政面です。分断庁舎になれば、現府庁の耐震改修のうえに、WTCの耐震改修も府の仕事になります。維持管理費もWTCの方が高くつきます。
現府庁敷地の一部が1平方b97万円で売れるという前提でも、178億円も現庁舎耐震補強案より高くつきます。
 また、今年度の府有地の売却価格は、路線価の84.1%です。超一等地の梅田北ヤードの開発でも低迷する中、路線価の約2倍の1平方b97万円で府庁敷地が売れる前提は、ますます根拠がないではありませんか。答弁を求めます。

 次に大手前の開発などです。
大手前まちづくり検討会では、成人病センター近くにホテルを建て、人を呼び込む議論がされています。しかし、今の大阪や日本には、医療を受けたくても受けられない人が急増しています。
 大阪のがん死亡率は、全国で4番目に高く、逆に検診率は全国最低水準です。
検診率の引き上げや子宮頸がんのワクチン接種費用への援助など、予防や早期発見への府の努力や成人病センターの充実のための予算措置こそ求められます。医療充実への府や国の努力のない中では、今の府の構想は国内外のお金持ちを成人病センターに呼び込もうというものにしかなりません。
答弁を求めます。

 次にダム問題です。
ダムは自然環境を汚染するとともに、借金を増やし、最後には解体せざるをえないという意味で2重の負の遺産です。ところが知事は、槇尾川ダムは今年度、業者に発注し、安威川ダムについては来年度着工を決めていました。
 ダムは100年に一度の豪雨に対応すると説明されていますが、多くの河川では10年に一度の大雨への対策さえ十分ではありません。莫大な工事費を必要とするダム建設ではなく、10年に一度のしばしば起こる大雨では水害にならない万全の対策、100年に一度の記録的な豪雨では重大な被害を招かない対策こそ優先すべきです。
 現在、知事は、槇尾川ではダムに替わる治水対策案を検討し、地元住民と話し合いを続けています。これはいいことです。
 ところが、安威川ダムについては積極的に推進する意向を表明しています。
安威川ダムも槇尾川ダムと同様に見直すべきではないでしょうか。

 次に空港問題です。
 知事は、関空にとって伊丹は邪魔だとし、廃港を繰り返し主張しています。
 今日、関空の経営は悪化の一途をたどっていますが、その原因は、関空を民活方式でつくり、関空会社に1兆円を超える有利子負債を背負わせ、需要もないのに2期事業を進めたことにあります。大阪経済の深刻な落ち込みも見逃せません。
 関空問題の解決には、これらの原因に沿った解決策が不可欠です。そこで、関空問題とその解決方策について知事の認識を尋ねます。
 知事は、先日の府政運営方針説明で「伊丹空港は廃止」と述べました。
 伊丹の廃港は、年間1560万人に達する利用者に不便を押しつけ、大阪の都市機能を後退させるだけで、関空問題の解決にはなりません。
知事は伊丹空港廃港発言を撤回すべきです。答弁を求めます。

 次に同和対策事業についてです。
 府はこれまで団体補助金の廃止や「副読本にんげん」の無償配布廃止など65事業を見直しました。
 しかし、なお見直しは必要です。
 交付金化された人権相談4事業、大阪府人権協会への補助金、隣保館運営補助事業などは、廃止または抜本的に見直し、地域支援人権金融公社への貸付金は返還させるべきです。

 さらに来年度は、1980年以来、5年に一度実施されてきた人権意識調査がまた計画されています。2005年の調査では2000年調査より差別意識が増えたという実際とは逆の意図的なまとめをしました。
 人権意識調査は、同和対策を続ける口実づくりです。きっぱり中止すべきです。答弁を求めます。

 大阪版市場化テストについてです。
 自動車税催告業務について、府は、昨年4月、NTTマーケティングアクト社と契約し、9月からNTTアクト社屋内のコールセンターで実施されてきました。
 ところが、NTTアクト社は、4月17日の契約書で再委託が禁止されているにもかかわらず、5月25日に、無断でNTT西日本にシステム開発・保守業務を再委託し、さらに27日にはNTT西日本が、ディアイスクエア社に再々委託していたことが今年になって判明しました。保守業務にあたったディアイスクエア社の従業員は、税務情報に接していたのです。230万人の府民の個人情報が守秘義務のない企業にさらされてしまったのです。
 府民の税務情報に関わって、長期にわたって無法行為を働いたNTTアクト社との契約を解除するとともに、大阪版市場化テストを中止するよう求めます。

 次に府立大学改革問題です。
 大阪府立大学は、2005年度に府立3大学の統廃合によって、文理連携型の総合大学として、文系、理系の学問を総合的に身につけた学生を育てるという理念を掲げて出発しました。
 社会貢献の面では、府内中小企業との共同研究を積極的に推進しつつ、外部研究資金の実績も大幅に伸ばしています。
 また、公開講座の受講者数は公立大学トップを維持し、平均志願者倍率は8倍を超えています。
 ところが知事は昨年来、府立大学の廃止も含めた脅しを繰り返し、9月には戦略本部会議において、「府立大学のあり方」を議論し、府立大学に大阪府の求める「改革」を強要しました。
 大学は、学内で十分時間をかけて議論することができないまま、「大学改革案」を府に提出せざるを得ない状況に追い込まれたのです。
 今回の府立大学改革に対し、大学関係者をはじめ、地元の経済団体からも拙速すぎるとの多くの批判の声が挙がっています。

 大学改革は、大学関係者の英知を結集し、自主的に進められるべきものです。
府のやり方は、憲法に保障された学問の自由と大学の自治、地方独立行政法人法の趣旨にも反するのではありませんか。
 大阪府による「改革指針案」は、抜本的に再検討し、改めて大学関係者が十分時間をかけて検討できるようにすることを求めます。



 次に、知事の政治姿勢に関して質問します。

 まず、知事のおじが、営業活動をしている北川組などのグループ企業が、大阪府の公共事業を受注している問題です。
 このグループの知事就任以来の府からの受注は、昨年11月末迄で、約6億5千万円になり、知事就任以前の3年間と比較すると年平均で2倍となっています。
 知事は、就任後最初の政治資金パーティーで、このおじから100万円の寄付を受け取っています。この人物は、昨年12月4日の決算委員会での知事の答弁によると、父親が死亡した小学校2年から中学校2年頃まで父親がわりに世話をしてくれたという人です。
 この1月にも、「北川建設、営業」という名刺をもって地元市などで、営業活動をしています。
 これらの事実は、知事のおじにあたる人が、営業をしているから、北川グループの府からの受注が増えているのではないか、という疑問を府民にもたせるものです。知事の答弁を求めます。

 また、府立高校の民間人校長に選ばれた人物が、知事の友人であり、特別秘書が口利きととられる対応をしたことが明らかになりました。
教育委員会は内部調査の結果「選考に問題はなかった」とし、秘書は知事からの口頭注意だけで終わっています。
 しかし、府立高校の民間人校長の年齢制限は、2002年以来48歳以上でしたが、昨年6月から7月に、新年度の校長1名を募集した時には、突然35歳以上に変わっていました。
 知事と当時38歳の友人、特別秘書の3人が食事をして、民間人校長の話をしたのは一昨年です。知事の友人を校長にするための変更ではなかったのですか。この疑惑に知事がどう答えますか。

 米軍普天間基地を巡り、昨年12月10日、わが党の小谷議員が行った、「即時撤去が県民大多数の声だ」との主張に、知事は、こともあろうに小谷議員を「核武装論者」と決めつける詭弁的暴論をのべました。
 普天間基地の無条件撤去を求める沖縄県民の願いがなぜ「核武装論」につながるのか、改めて見解を伺います。