2009年9月議会 堀田文一議員の代表質問(要旨)

日本共産党の堀田文一です。議員団を代表して知事に質問します。
 総選挙の結果、「自公政権退場」という日本の歴史の新しいページが開かれました。選挙結果は、貧困と格差を広げ、暮らしと雇用を破壊し、中小企業や商店を痛めつけてきた小泉構造改革などへの国民の怒りの審判であり、今こそ、暮らし守れ、雇用守れ、経営守れという国民の願いに応える政治が求められています。知事は、この政権交代で国民が求めたものを、どうお感じですか。

 大阪の貧困と格差の広がりは、全国に比べ、さらに深刻です。

 今年第2四半期の大阪の完全失業率は6.2%、全国平均より1ポイントも高く、1月から7月の企業倒産件数は前年同期比で16・3%増、生活保護率は2.8%、就学援助金の受給率は27.9%と、どれもが全国平均の2倍であり、くらしも、経営も厳しい状況となっています。

 そこで、お尋ねします。

 民主党新政権は後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の廃止を打ち出しています。当然と考えますが、知事は、これを支持し、実施に協力されるのでしょうか。

 自公政権が強行してきた非人道的な国民健康保険証の取上げは、中止させるチャンスです。新型インフルエンザの感染拡大を抑制するためにも健康保険証の交付が急務です。この際、健康保険証の取上げ中止を国に強く求めるべきではないでしょうか。

 雇用問題では、製造業への派遣の全面禁止など労働者派遣法の抜本改正を強く求めるべきです。

 子どもの貧困の解消も急務です。

 保育園では、幼児に熱が出たので迎えに来るようお母さんに連絡しようとすると、その幼児がお母さんに電話しないでと先生に訴えるそうです。お母さんが非正規雇用で、何度も仕事を抜けて子どもを迎えに行くと、仕事を辞めなあかんと幼児が心配しているからだそうです。

 小学校でも、指を怪我した児童がシップを多めに貰えませんかと先生にお願いをすることがあります。先生から連絡を受けた親は、病院に行くかどうかは様子を見て決めますと答え、結局、治ったよと、児童は言うけれど、指はいびつに曲がったままだという、こんな実態が広がっています。

 小さな子ども達が、心も体も痛めています。子どもの貧困の打開、克服は急務です。知事は、文科省学力テストの市町村別平均点公表を強行しようとしていますが、全国学力・学習状況調査の結果として、学力と親の年収の比例傾向が明らかになったと、多くの新聞が報道しています。親の年収に関係なく、等しく教育を受ける権利こそ保障しなければなりません。

 そこで質問です。

 まず、いわゆる地方分権が進む中で、一般財源化により小中学校の就学援助が改悪されました。補助制度を復活させ、就学援助が受けやすくなるよう国に求めるべきではないですか。

 民主党政権は、公立高校授業料の無償化と、私立高校生への助成を打ち出しています。ところが知事は全国一高い府立高校授業料と私学助成削減をすすめてきました。大阪でも、公立高校の無償化と私学助成拡大と学費負担軽減に転換すべきではないですか。

 この機会に、提案されている私立高校授業料臨時減免事業について質問します。この事業は、所得が前年度に比べ1割以上減って非課税世帯になった場合は事実上、授業料を全額免除するというものですが、もともと非課税の世帯は全額免除が受けられません。改善すべきではないでしょうか。

 乳幼児医療費助成制度を国の制度として就学前まで実施することや、保育所増設なども、国に求めるべきです。

 それぞれ見解を求めます。

 次に、大阪経済活性化の課題です。

 まず、内需拡大が急務です。府民のくらしと雇用、中小企業の経営の安定を図ることが求められています。

 ところが、知事が主張する経済活性化策は、財界の意向に従って、ベイエリア開発や、需要も採算もない高速道路建設・鉄道整備など、大型公共事業の推進です。既に破綻し失敗を重ねてきた従来型の開発優先、大企業優遇では大阪経済を立て直すことはできません。

 今、必要なことは、府民のくらしと雇用、生命と健康を守るための施策の推進であり、中小企業の応援です。

 貧困の広がり、雇用をめぐる深刻な実態は冒頭に申し上げたとおりであり、中小企業の中には仕事がない、このままならつぶれるのを待つだけという状況が広がっています。

 そこで質問します。

 特養ホームや介護施設、保育所など、福祉関連施設の建設は、中小企業への仕事興しと、施設での雇用創出に繋がります。積極的に推進すべきではないでしょうか。

 また、中小企業への直接的支援強化も必要です。

 東大阪などの工業集積地では、貸工場・空き工場の看板が目立ち、高い技術力と集積の喪失が、ものづくりのまちに深刻な影響を及ぼしています。支援強化は急務です。

 貸工場で仕事をしている中小零細企業にとって、家賃などの固定経費は仕事がなくても滞納はできず、大きな負担です。家賃などの固定費補助や緊急の休業補償などの創設を国に求めるとともに、府独自に実施すべきではないでしょうか。

 中小企業への仕事を確保するためにも、公共施設の耐震改修や歩道の段差解消、バリアフリーのまちづくりなど、暮らしに密着した公共事業を積極的に推進し、住宅耐震改修助成の拡大、高齢者住宅改造助成の復活、住宅リフォーム助成の創設をしてはいかがでしょうか。

 ここで、答弁を求めます。

 次に府庁舎のWTC移転問題です。2月議会で移転案は大差で否決され、議会と府民の意思が明確に示されました。府はこの結果を受けて、現庁舎の耐震化を中心に庁舎整備構想案を作成し、議会に示したばかりです。

 ところが、知事は、府議会での議論も経ずに、急に、耐震改修案をかなぐり捨て、WTC移転を再提案しました。議会と府民をないがしろにするものであり、無責任かつ朝令暮改そのものです。

 6月に示した庁舎整備構想案は何だったのですか。無責任そのものではありませんか。知事が、再提案を決意したのは、関西財界からの強い要請があったからではないですか。答弁を求めます。

 次に、具体的に4つの角度から質問します。

 第1の角度は、WTC移転案が一番安いとする財政シミュレーションの誤りについてです。

 コストを考える場合、実質トータル・コストで考えることが必要です。

 WTC買収費用、職員のアクセスコスト、管理的経費、職員の時間コストなどの費用便益をトータルで計算すれば、耐震補強がはるかに軽い財政負担となります。府は費用便益計算を行いましたか。

 また、昨年9月に議会に示された庁舎周辺エリア全体構想案では、耐震補強庁舎整備に伴ない、民間ビル借用解消のための集約庁舎建設が計画され、建設事業費は126億円で、35年間の民間ビル賃料より安くなっていました。ところが今回の資料では、耐震改修案には集約庁舎はありません。WTC移転しかないと思わせる作為ではありませんか。

 さらに、庁舎移転に伴い、通勤手当が毎年1億8千万円、平成53年までの約52億円を、WTC移転案の支出に含めていません。WTC移転案を安く見せるためですか。

 その上、先日、森の宮青少年会館跡地が長谷工に1u32万円で売却されました。路線価が40万円の土地です。現府庁敷地は1u97万円で売却する計画ですが、路線価は47万円ないし51万円です。売却価格が路線価程度になれば、それだけでも耐震改修案が安くなりますが、どうですか。

 第2の角度は、咲洲の街づくりです。

 1988年に大阪市の新都心計画としてスタートしたテクノポート大阪計画は、98年までに、大阪市が9300億円、銀行などが3200億円の巨費を投じています。中核的プロジェクトのATC,WTCには2660億円を投じましたが失敗し、2008年9月にテクノポート計画の終結が宣言され、現在、WTCは、会社更生法が適用されています。ところで大阪市は、今年2月に咲洲プロジェクト報告書をまとめましたが、その中では、右肩上がりの需要見通しの甘さを失敗の原因としてあげ、今後は新都心構想を見直すとしています。結局、1980年代に計画されたベイエリア開発は、りんくうタウンも含めて、全て失敗したのですが、知事は、その原因をどう考えていますか。

 知事は、大阪駅の北ヤードとの交通アクセスを整備するとして、JR桜島線の延伸などを計画していますが、どれだけのお金がかかるのか、その試算すらまともにされていません。どうですか。

 また、最新の推計によると、大阪府の人口は2035年に763万人と120万人も減少します。それなのに、どんどん人口が増えるかのような発想で、大阪の街づくりや交通インフラを考えること自体が、矛盾していませんか。

 さらに企業立地として新エネルギー産業などが構想されていますが、今の大阪や日本は内需の落ち込み、府民の暮らしの落ち込みが最大の問題になっています。大企業が立地すること自体も全く保障はなく、もし立地したとしても、大企業が儲けるだけで、それで府民の暮らしや大阪が潤うわけではありません。先日の総選挙でも、従来型の「輸出大企業が栄えて、国亡ぶ」という政治が、これ以上続いては困るという民意が示されたのです。

 「開発すれば大企業や人がくる」という破綻した呼び込み型開発をまたぞろ構想し、しかも、机上の計画さえない段階で、府民とマスコミにWTC移転があたかも大阪活性化策になるかのような宣伝をするのは、非常識きわまりないものではないですか。

 第3の角度は、日本の歴史的原点の一つ、大手前のグレードが大きく下がることです。

 府が実施した、府庁跡地の民間ヒアリング結果を見ても、今後の用途として最適とされているのは高級マンションですが、これでは一部の富裕層しか利用できません。貴重な大手前の歴史・文化財産は、府民全体が共有すべきではありませんか。

 8月5日に設置された大手前まちづくり検討会は、大阪府と大阪市、経済3団体だけで構成されていますが、疑問です。大手前のまちづくりを本気で検討するのなら、文化・歴史の研究団体や地域住民が参加するのは当然のことではありませんか。

 2千数百年前からのアジアとの交流の玄関、日本と大阪の歴史の原点の一つである難波宮や大阪城、大阪歴史博物館などがある大手前を壊すのは、日本の伝統を壊すものです。府がやるべきは、大手前の歴史的・文化的価値を磨き、アジアと全国から人が集まることに、知恵を働かすことではありませんか。

 第4の角度は、防災拠点として、WTCがふさわしいかどうかです。

 2月議会でわが党は、これまで府民に明らかにされてこなかった咲洲地区や咲洲トンネルの不等沈下、WTCそのものの長周期地震動における危険性を明らかにしてきました。

 今回、WTC移転を合理化するために「咲洲の防災機能に関する検討報告書」が出されていますが、この報告書は、わずか1カ月で大阪府と大阪市によって、にわかづくりされたもので、重大な欠陥があります。

 第1に、超高層ビルの長周期地震動による被害の危険性です。

 昨年3月に、大阪府・大阪市構造物耐震検討委員会は報告をまとめていますが、その際に採用された予測地震波は、今回の案では、採用されていません。なぜですか。

 また、今年9月、国が発表した長周期地震動予測は、マスコミでも報道され、大阪の高層ビルは5分間、約1.6m左右に揺れるとされています。

 これは、60mを超える建物で想定したものですが、256m、西日本一の高さのWTCでの揺れは、大きさも継続時間も大きく上回るでしょう。

 さらに、大阪府の危機管理室も毎年参加して、国と自治体が協力して、平成14年からはじまった大都市大震災軽減化特別プロジェクトは、まとめの本も出しています。なぜその研究成果を、WTCとその周辺の震災対策には活用しないのですか。

 その上、WTCの建物は残っても、内部は壊滅状態となり、電気も止まり、エレベーターは動かず、災害救助やその後、数ヶ月から数年も続く災害復旧・復興や府の日常業務にも支障が出ます。WTCびるへの移転で職場環境が改善されるはずなのに、職員の命の保障もありません。PTSDも心配されます。どうですか。

 第2に、府と市がまとめた、咲洲の防災機能の検討報告書でも、職員の参集ルートは、一部は液状化などにより、道路面の連続性がなくなるが、自転車や徒歩でWTCに来られるとあります。これで府庁は防災拠点の役割を果たせますか。

 東海・東南海、南海の地震はすぐにでも起こりうることです。いったい防災拠点としての府庁の重要性をどう考えているか、知事の見識を疑います。

 ここで答弁を求めます。

 次に、水道事業について2点質問します。

 第1点は水道事業の廃止問題です。

 大阪府は、1951年に水道用水供給事業を開始しました。当時、人口増加に伴う水需要の急激な拡大により、深刻な水飢饉に直面していた市町村に、水道用水を安定的に供給するためでした。正に、大阪府が広域自治体としての責任を果たした姿でもありました。

 今日、府営水道は、過大な水需要予測に基づき、543kmの送水管、日量233万?の供給能力を持つ3つの浄水場、6つの浄水池、15箇所のポンプ場などを保有し、大阪市を除くすべての市町村に生活用水の7割に当たる年間5億5千万?の安全でおいしい水を供給する、全国屈指の用水供給事業者になっており、稼働中の施設に投じた資金は、約7千億円に達しています。

 先日、私は村野浄水場を視察しました。村野浄水場は、日量180万?の高度浄水を製造し、府内各地に安全・確実に送水する、日本一の浄水場です。しかも、浄水場の運営に従事するのはわずか92人、効率的な運営も行われていました。

 ところが知事は、大阪市を水道事業の管理者に指定し、府自身の用水供給事業を廃止しようとしています。廃止に伴って、府が保有する水道施設のすべてを大阪市に無償で30年間の長きにわたって貸し与えようとしています。そうなれば市町村にとって絶対に欠かせない水道用水は、供給責任のある大阪府ではなく、供給責任のない大阪市が供給することになります。これは府の責任放棄であり、企業団方式を望む市町村の声も無視し、府民と市町村に対する裏切り行為です。なぜ廃止なのか、知事の答弁を求めます

 第2点は、水道法の原則の1つである水道水の低廉性にかかわる水道料金の値下げ問題です。

 我が党議員団は5月13日、水道事業が2000年の料金値上げ以来、8年連続して毎年30億円以上の単年度純利益を上げ、今後も黒字が確実なことから、水道料金をまず単独で値下げし、その後、大阪府・大阪市が協力して水道施設を効率的に使うことにより、一層の料金値下げを実施するよう、知事に申し入れました。これに対し知事は、来年4月から単独で値下げすることを表明しました。この知事の意向を受けて、水道部は7月10日に1?当たり10円の値下げが可能との試算を発表しました。

 ところが知事は、8月19日の記者会見で、単独値下げは撤回し、統合を前提にした値下げを来年4月から実施すると表明しました。本来、単独で可能な値下げを、府民の利益を損なう水道事業の廃止と結びつけることは、本末転倒です。

 また、「府の単独先行値下げ後に市水を活用し、更なる効果を追求する余地は、そもそも残されていない」との大阪市の見解は、統合に拘る知事を利用した主張であり、事実と道理に反するものです。

 毎年、繰り返されている水道料金の大幅黒字は、府より大阪市がさらに多額です。大阪府も大阪市も、まず単独で料金を値下げし、その上で府市協同して水道事業を効率的に進める方策を検討し、2回目の料金値下げを目指すべきです。知事の答弁を求めます。

 次に、ワッハ上方についてです。

 移転は府の財政負担を減らすためだと説明されています。しかし、家主・吉本興業は家賃を大幅に引き下げる提案をしたと漏れ聞いています。その提案を無視して、知事は、移転を強行しようとしています。

 現在のワッハ上方の面積は3600uですが、通天閣に移転すれば400uになり、面積は9分の1に縮小です。これでは寄贈された貴重な上方演芸資料の保存・展示・活用の機能が大きく低下し、ホール機能は全滅です。文化芸術振興基本法および大阪府文化振興条例に規定されている責務も放棄するものです。

 府が上方演芸を本当に振興しようとするなら、現地存続を前提にした経費大幅削減策と、利用拡大方策を検討すべきです。

 また、今度の移転は、これまでワッハ上方を支えてきた人たちの思いを、踏みにじって強行されようとしていることも重大問題です。移転問題は、関係者の合意が大前提であることを明確にすべきです。

 それぞれ、知事の答弁を求めます。

 次に、国際児童文学館の移転問題です。

 昨年の9月府議会で、現地存続を求める請願が全会一致で採択されましたが、知事は中央図書館への移転方針に固執し、2月府議会に廃止条例を提案して可決されました。

 この間、鳥越信さんら資料寄贈者から資料の返還を求める訴訟がおこされました。

 さらにテレビ取材から、書庫設置や撤去費用について疑問が出されました。これに対し教育委員会から、訂正した経費比較試算が提出されています。

 財団法人大阪国際児童文学館は、現地存続をしても、経費を圧縮すれば、運営経費は土地使用料を含めても年間1億円余りですむと提案しています。訂正された府の経費比較試算と、財団の提案や児童文学館の書庫増設時期を適切にして計算すると、現地存続の方が10年間で約10億円安くなります。2月議会の際の資料が訂正されたのですから、廃止条例も再審議すべきではないですか。

 これまで児童文学館が果たしてきた児童文学資料の収集・保存・活用という機能は、移転すれば、3年程度の移行期間だけ、財団の専門員4人のうち、1人を任期付き、1人を非常勤で雇い、中央図書館の司書4名に引き継がせるとされていますが、児童文学館が25年間にわたって築いてきた蓄積が、そんな簡単に引継げるんでしょうか。

 出版協会などからの寄贈が引き続き受けられる保障はあるのでしょうか。

 内外からの多くの反対を無視して、一体何のために、しかも大きなお金をかけて移転するのか、あらためて問いたいと思います。

 以前から出ています地元吹田市などの申し出や、民主党政権になった国の協力も得て、現地存続の道を探るべきではないでしょうか。

 ここで答弁を求めます。

 次に、知事がすすめようとしている地方分権改革と、大阪府の解体と道州制への移行について4点質問します。

 第1に、小泉政権以来、地方分権改革の名ですすめられてきた施策が地方自治体財政を圧迫し、住民の暮らしを壊してきたのではないでしょうか。

 第2に、知事は、大阪府解体・道州制移行をめざすとして、水道事業の廃止を唱えていますが、水道事業以外にも大阪府が役割を担ってきた、府営住宅、府立大学、保健所など、多くの大事な仕事を廃止し、あるいは市町村に押しつけるのではないでしょうか。

 第3に、大阪府が引き続き執行する仕事も、次々と市場化テストで民間に開放して府の責任をあいまいにすると共に、さらに非正規雇用や官製ワーキングプアーを増やそうとしているのではないでしょうか。

 第4に、関西州へのステップとされている関西広域連合は、府民には説明されず、関係府県の合意も形成されていません。ところが知事は、府議会の調査特別委員会が関西広域連合推進の方向で議論していると発言していますが、事実と違うのではありませんか。

 第5に、大阪版地方分権改革ビジョンにもとづき、政令市を除く市町村への権限移譲に向けた協議がはじまっています。市長会は、市町村に新たな財政負担・人的負担が生じないよう府の支援策を求め、府が本来の役割を果たさないなら、事務の返上を辞さないという態度です。知事は、市町村や住民の意向を尊重する立場にたちますか。

 最後に知事の政治姿勢についてです。

 今、日本の政治が変わりはじめています。しかし、変わればどんな方向でもいいわけではありません。誰のための政治か、ここが問われています。国においては、国民が主人公の政治、大阪府においては府民が主人公の政治、これこそが、変わるべき方向ではないでしょうか

 ところが知事は、就任以来、関西財界との二人三脚で大型公共事業を推進する体制づくりを進めています。以前から大阪府は、関西国際空港全体構想促進協議会、大阪湾ベイエリア開発推進機構、関西広域機構などの推進体制に参加していますが、知事はさらに夢洲・咲州まちづくり推進協議会、京阪神高速道路整備促進協議会、大手前まちづくり検討会などの発足に参加し、淀川左岸線延伸部、なにわ筋線、テクノポート開発など、既に破綻し、あるいは頓挫しているムダな公共事業を、復活・再生させようとし、その上、JR桜島線延伸、関空へのリニアモーターカーの導入など、無謀な大型開発を提唱しています。これらは、府政を大企業に奉仕させるものに他なりません。こうした大型開発優先の政治姿勢は改めるべきです。

 その上、知事は就任以来、特別顧問、改革評価委員、特別参与など、多くの外部人材を府政に登用してきましたが、そのほとんどは破たんした小泉構造改革の考え方の推進者でした。中でも改革評価委員に多国籍コンサルタント会社マッキンゼーアンドカンパニーの共同経営者だった人を任命してたことは、とても気になります。この人は大阪市政改革推進会議の委員長に就任して、地下鉄を完全民営化しようとしましたが、大阪市民の財産と言うべき地下鉄の民営化は許せないとの大阪市民の声の広がりの中で市政改革からは手を引いています。その人物が今度は、大阪府がターゲットとばかりに、マッキンゼーのコンサルタントだった特別参与などと共に、府政改革に取り組もうというのは、府民の立場から見ると、大いに疑問と不安を感じるところです。その中で、大阪府が重要な役割を果たしている府立大学や府営住宅、中央卸売市場などが、新たなリストラの対象にされるのではないか、とても心配です。

 こうした新自由主義的な外部人材を任命し、リストラを進めていく政治姿勢は改めるべきです。答弁を求めます。