山本陽子議員の一般質問(要旨)

2009年5月26日

 日本共産党の山本陽子でございます。知事はじめ、関係部局長に質問します。

 はじめに、上方演芸資料館、通称「ワッハ上方」について質問します。
2月府議会は、「大阪文化団体連合会」の請願を全会一致で採択しました。新歌舞伎座などの閉館問題を憂い、大阪の再生のために、生活の潤である豊かな文化の環境や文化施設の充実を求めています。知事は、請願採択の重要性をどう受け止めておられますか。

 ワッハは、笑いの発祥地ミナミ・千日前につくられました。道頓堀には、かつて5つの芝居小屋があり、人の波で埋まり、大阪が輝いていました。道具屋筋など地元の商店街と連携し、修学旅行生を受け入れ、商人体験、漫才・落語体験もおこなってきました。小学生落語探検ツアーは、この半年で約6千人が直に、落語に接しています。地域に根付き、ミナミの発展と教育にも貢献してきたワッハをこの場所から無くすということは、大きな損失だと考えますがいかがですか。

 ワッハは20年前、漫才師砂川捨丸さんのご遺族が、60年間ご愛用の鼓を、また夢路いとし喜味こいしさんが、漫才作家・秋田実さんの直筆台本を府に寄贈したのが出発点となって、今や収蔵品が約6万点。929人の寄贈者の8割が府民です。民放6社から落語や漫才など約3千点の演芸番組も無償で提供してくれています。収蔵品の中には、「にわか」という漫才や落語のもとになった即興芝居の小道具「ボテかずら」もあります。最後の大阪ニワカ師・一輪亭花咲の貴重な資料です。「移転・縮小」は、大阪府を信頼し、千日前で見てもらえると、寄贈した人々を裏切るものだと思いますがどうですか。

 2006年から在阪民放6社の社長が名を連ねるNPO法人が運営していますが、協定書には、千日前という場所が記されています。これにも違反するとなると、ライブラリー機能が無くなりますがどうされるつもりですか。

 またワッハは「笑いと健康」事業を各地の社会福祉協議会や病院看護師会などとおこなっています。現代人を癒す、笑いを発信する値打ちをどうお考えですか。

 さらに、若手が芸を磨くレッスンルームなど大小3つ、稼働率80%の舞台があります。特にワッハホールは300席で、アマ・プロ問わず、人気の高い舞台です。劇場、ホールの数が減り続け、多様な芸術発表の場が奪われ、生の舞台に触れる機会が減らされることをどう思いますか。

 昨年新聞紙上で、上方落語協会の桂三枝会長は、「繁盛亭は落語の小屋、ワッハはあらゆる演芸を網羅した資料館。文化はいったんなくすと、作り出すのにものすごいエネルギーがいる、たぶん再生できません」と語っています。繁盛亭は、天満宮から土地を譲りうけ、固定資産税は半額です。現地存続に向け、府の負担を減らすために、大阪市や吉本興業に働きかけ協力をえるなど、努力が必要ではありませんか。

 最後に、ワッハホールの予約は、1年前の受け付です。議会の議論もないまま、来年7月からの予約受付にストップをかけることはありませんね。また議会に知らせないまま、移転後の既成事実づくりが進むことはないでしょうね。議会の請願採択を尊重するべきです。また、ワッハ上方の現地存続問題で、関係者と対話の場を設けることを求めますが、どうですか。

 次は、府立図書館の市場化テストについてです。

 100年を超える歴史をもつ府立図書館は府民の財産です。府民や専門家の意見も尊重せず、議会の議論を経ることも無く、「市場化テスト監理委員会」の大きな権限のもとに、どんどん民営化の方向にすすめるのは暴挙です。

 図書館は、社会教育法第9条に、社会教育のための機関と定められ、図書館法では、公立図書館の無料公開の根拠を定めています。「ユネスコ公共図書館宣言」では、人間がより良く生きることは、十分に情報を得ている市民が、その民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果たすことによって、達成される、公共図書館はその基本的条件を提供する、とあります。さらに日本図書館協会の塩見昇氏は「図書館は現代の利用者だけでなく、次世代への責任として、継続性、持続性をもって遂行しなければならない。経済的な面だけで判断することは大きな禍根を残す」と述べています。さきの図書館法の改正の際も、文部科学大臣は指定管理者制度の導入に、「長期的視野に立った運営が難しくなり、図書館になじまない」と答弁しました。また国会では、国と地方自治体にもとめる附帯決議がなされています。まして、市場化テストは県レベルでは全国どこもやっていません。知事は「知のセイフティネット」とも言うべき府立図書館の基本的位置づけをどう考えているのですか。

 市場化テストによる民営化には重大な問題点があります。

 一つ目は、図書館は、長期的な展望でおこなうべきですが、民間との契約は3年から5年の短期で、実態は派遣労働です。これでは図書館は成り立ちません。

 第二に、府立図書館には長年の経験で培われた高い専門性をもつ司書がいて、約240万冊の資料を扱っています。民間では担うことができません。

 三つ目は、府の職員がやるべき業務と、外部に渡す業務の切り分けは困難です。例えば利用者の相談に応える「レファレンス」という業務を、高度と簡易なものに切り分けて、民間にさせることは困難です。府民は図書館に、例えば、こんなことを聞いて来られています。「キャッシュカードはいつどこで始まったのか」「大阪のオフィス街における地区別の不動産賃貸料の相場を知りたい」「神様とは何かを、子どもにわかりやすく説明できる絵本を、紹介してほしい」。いかがでしょうか。

 四つ目は、図書館は個人情報が集まるところです。読書傾向などきわめて内面に及ぶ個人情報を民間が扱うことに問題はないでしょうか。

 五つ目に、根幹的な機能である、市町村図書館とのネットワークが守れるかです。それぞれ答弁を求めます。

 最後にこの問題では、府民、現場、専門家の意見をよく聞き、質の低下を招かないようにしなければなりません。情報をきちんと府民に知らせ、意見を聞く場が必要ではありませんか。教育長のお考えをお聞きします。ここで答弁をお願いします。

 次に、水道事業についてです。

 まず、料金です。平成20年度と比べて来年度で水道会計の利子払いが6億円余、25年度には約16億円減ります。さらに7%以上の金利の政府債などの繰上げ償還が平成19年度におこなわれ、年約9億円支払い利息が減りました。わが党は、233万トンの施設能力を大きすぎると指摘し、水需要予測を引き下げ、黒字の一定部分を値下げの財源にするよう何度も申し上げてきました。知事は、昨年9月議会で、「府市協議の途中での判断は困難」と答えましたが、先日のわが党の申し入れに、来年4月から値下げすると言われました。1立方メートル8円前後の値下げは可能だと思いますがどうですか。さらに、府の水需要の見直しだけでなく、大阪市との協議で、100万トンを越す水余りの解消による、施設更新の大幅ダウンサイジングができれば、さらなる値下げが可能です。また5%以上の政府債、220億円の繰上げ償還を国が認めれば、より大幅な値下げにつながります。どうですか。答弁を求めます。

 次に、府市統合の問題です。大阪府営水道は水源不足に悩む市町村を応援してきました。清浄にして、豊富・低廉な水の供給を図るという広域自治体としての責任を果たしてきました。特に東南海地震などの大震災の下でも、安定して水を供給するのは、ライフラインを守る大阪府の仕事です。わが党は、水道施設を効率的に運用し、料金をさらに大幅に下げるための府市協議には賛成しますが、用水供給事業者としての府の責任を放棄する府市統合には反対です。答弁をもとめます。

 次に、交番の増設です。現在府内には608カ所の交番と46カ所の駐在所がありますが、現在43地区から交番の新設要望が出ていると聞いています。私の地元、平野区でも、タクシー強盗、コンビニ強盗、街頭犯罪・ひったくりなど連日報道され、たいへん心配な状況です。警察本部長の認識はどうですか。地域の方がたも、懸命に安全活動をされています。今こそ、平野区長吉出戸地区への交番設置が必要です。答弁を求めます。

 次に、子どもの医療費についてお聞きします。大阪府の通院助成対象が3歳未満というのは、全国最低レベルです。市町村では、就学前など独自の措置をとっています。府がせめて就学前まで措置すれば、市町村もさらに、年齢を引き上げることができます。知事のお考えはいかがですか。

 次に新型インフルエンザへの対応です。わが党は5月18日、知事に対し申し入れをおこないました。今、必要なことは、感染の広がりを防ぐとともに、今年の冬にむけて、対策と体制を強化することで+す。

 第1は、危機管理の最前線である保健所の体制です。

 10年前、21保健所、7支所あった保健所が、今は14保健所になっています。2004年当時、医師は一保健所2人以上配置されていましたが、現在では5保健所が医師1人体制になっています。医師や保健師を含め、欠員等の補充だけでなく、必要に応じて、新規採用や有資格の退職者の任用も含めて、体制を強化することを求めます。

 第2は、医療体制の確保です。現在の感染症指定病床と発熱外来、今後整備される126床の陰圧室、2次感染防止のための整備費などで足りなくなった場合の対策も考えておく必要があります。

 第3は、社会活動への被害の問題です。
保育所休園については、一人親など、休みにくい世帯のための臨時の保育体制が必要です。また休園などで、欠勤した保護者が不利益などを受けないよう、事業所に申し入れをするべきです。さらに、報酬が日額払いになっている障害者施設の1日閉鎖による収入減、デイサービスセンターの休業や、修学旅行のキャンセル代の補償なども含め、国と協力し、損失保障をおこなうよう求めます。

 第4は、現在は弱毒性ですが、もし毒性が強まれば、大きな被害が予想されます。新型ウイルスの継続的な観察体制の強化が必要です。それぞれ、答弁を求めます。