“大型開発は必要。サービスは市町村で”

大阪府議会で橋下知事

共産党、府民犠牲を批判 財界奉仕の「維新案」

 大阪府の臨時府議会で七日、正本共産党の宮原たけし府議団長が代表質問にたち、府民に大きな犠牲を強いる「大阪維新プログラム案」と、それを盛り込んだ今年度予算案の見直し、無駄な大型開発の中止を求めました。橋不徹知事は応じず、広域行政としての府の役割を社会
資本整備など大企業のための産業政策推進にあると明言。それを関西全体で実行していくための道州制の推進を改めて表明しました。

 宮原氏は、私学助成の大幅削減や、障害者・ひとり親などの4医療費助成制度改悪、障害者関係団体への補助金の削減・廃止などが及ぼす困難を具体的に指摘。府立学校の非常勤職員や国際児童文学館、ワッハ上方などの文化施設のそれぞれの役割や重要性をのべ、廃止・縮小の撤回・再検討を求めました。

 知事は、必要性は認めるとしつつ、「危機的財政状況」「自律性の発揮を」などとして応じませんでした。

 一方、新名神高速道路や阪神高速道路、ニュータウン開発、安威川ダムなどの無駄な大型開発は「必要性があると自分で判断した」として継続を表明。宮原氏がその姿勢を批判したのをうけ、知事は、住民サービスは市町村で行い、広域行政としての大阪府は産業政策に特化するという考えを表明。「維新案」でかかげる府民施策切り捨てや府の解体と道州制の実現はその立場からであることを明らかにしました。

 臨時大阪府議会の焦点の一つは橋下徹知事が「財政再建」の名で「維新案」で打ち出している福祉や医療、教育の削減と大型開発推進の問題です。私学助成や障害者団体への補助金、文化施設など、廃止や縮小される施策や事業の存続を求める府民の請願は3百万人を超えています。知事はそれを認識し、それぞれの施策の重要性や府民施策への影響も承知しているといいながら、「厳しい財政状況」や「府独自の施策」であることなどを理由に、耳を傾ける姿勢はまったく示しませんでした。

 日本共産党の宮原ただけし府議は、「障害者団体への補助や私学助成、警察官、教職員の人件費は必要ないのか」「長年続けられてきた文化をわずか数カ月で結論を出そうとしている」と知事を批判しました。

 一方、交通量などからみても急ぐ必要のない新名神高速道路や阪神高速大和川線の関連道路や、治水対策としても必要のない安威川ダム、「箕面森町」などの大型公共事業は、「庁内や第三者の意見を聞き、必要性を吟味した」として「継続は妥当」だとしました。

 開発や大企業擁護の姿勢は関西財界丸かかえだった前知事と全く同じ。継続する大型プロジェクトは関西財界の要望そのものです。知事は、「住民サービスは市町村、府は産業政策に特化する」とし、「必要性を吟味し、大型プロジェクトが結果として残った。これからの関西を立ち行かせていくためには関西圏で道路などの基盤整備が必要。府の財政状況のなかで都市整備と住民サiビスにあてるお金のバランスを考えて今回の結論になった」と答弁しました。

 「維新案」は「大阪府の発展的解湾が将来目標」であり「府県を超える広域行政組織を実現し、『関西州』へのステップを確かなものに
する」と明記しています。「全国に類のない改革」という橋下知事。宮原議員への答弁は、住民の暮らしを守る地方自治体の責務を投げ捨て、財界や大企業のための政策を推進する機関にすることであることを明らかにしたものです。


2008年7月8日付「しんぶん赤旗」より