汚された水と緑 検証 府の浪費型開発C

共産党が当初から追及 見直し、今でも遅くない

 総事業費985億円、収入見込み235億円。「税金は1円も使わない」どころか、最もうまくいったとしても750億円の赤字=税金投入が約束されている「水と緑の健康都市」。「オール与党」勢力や大阪府が、ゼネコンとの不透明な関係などはらみながら強硬に進めてきました。これに対し、日本共産党府議団、同箕面市議団は、疑惑発覚以降、その解明を府に求めてきました。

「府民は納得しませんよ」

 開会中の府議会で党議員団は繰り返し追及しています。和田正徳議員は5日、「水と緑」の土地購入をめぐり、横浜市のゼネコン「奈良建設」がばく大な利益を得たことを指摘しました。奈良建設は、350ヘクタールの用地を105億円で購入。府と建設省に270億円余で売却しています。「そんなことで府民は納得しますか?しませんよ!」。議場に和田議員の太い声が響きました。

 くち原亮議員は同日、「完売しても750億円の赤字」について、土地が売れる保証はあるのかと質問。府は「適切な価格設定で販売が見込める」と、明確な見通しを示せませんでした。

 また府議団は、工事受注にかかわる疑惑も指摘しています。府はPFI(民間資金の活用)方式で事業者を募集しました。しかし、唯一入札に参加し、工事を請け負ったのは大林組グループのみ。落札率はなんと99.8%という超高値になりました。

 さらに大阪府は、北摂山系を貫き、「水と緑」につながる第二名神高速道路(高槻−神戸間40キロ)の建設(1兆2千億円余)誘致を進めています。神田隆生党箕面市議は「箕面では日々、山からトンネルに、箕面市の水道総配水量の4分の1に匹敵する水が流失しています。第二名神で第二箕面トンネルが掘られたら、水枯れはさらにひどくなり、別の水系にまで影響が出るおそれもあります。新たな開発はなんとしてもやめさせなければならない」と指摘します。

再開、公金投入現知事が決めた

 一連の問題を追及してきた堀田文一府議の話 日本共産党府議団は、計画の当初から水緑開発に反対し、着工後も中止を繰り返し求めてきました。もともと、自然と府財政への重大な悪影響が予想されだからです。

 現在、この開発に750億円の税金を投入することが府民から批判を浴びていますが、責任があるのは、開発に乗り出した中川元知事、着工した横山ノック元知事だけではありません。現・太田知事は、「(開発は)大阪の発展のために精査した上ですすめられてきたしとして開発を始めた責任を不問にし、「見直しは府の負担を最小限に抑える観点に立ち、行政として責任ある対応を取ったもの」として開発を再開し、税金750億円投入を決めたからです。

 水緑事業の2006年度末時点での進捗(しんちょく)度は、事業費ベースで44%。今から事業を見直しても、税金のムダ遣いは大きく減らせます。

(おわり)


2007年3月18日付「しんぶん赤旗」より