2005年度当初予算編成と施策に対する要望書
   
一、深刻な不況への対策を強化し、雇用確保、中小企業振興策の充実、個人消費の拡大を図る

1、中小企業向け融資制度の充実

 @府の制度融資は、7千億円の融資枠を活用できるよう、いっそうの充実を図る。「資金繰り円滑化特別融資」は、対象の拡大、金利の引き下げ、期間の延長などいっそうの改善を図る。
 Aスタートアップ資金は無担保・無保証人枠の拡大、元金・利息の3年間据え置き、自己資金比率の引き下げなど、いっそうの要件緩和を行う。
 B無担保・無保証人融資制度の限度額引き上げ、利率を引き下げるなど抜本的に改善する。
 C「地域金融活性化条例(仮称)」を制定し、地域金融の安定化と地域経済の振興策を講じる。
 D中小企業向け融資枠拡大にさいしては、中小零細企業が利用しやすい制度をつくる。

2、中小企業の仕事の確保に努める

 @府の中小企業向け官公需の発注目標である65%を早期に達成できるよう万全の措置を講じる。中小企業への発注率を引き下げるPFI方式はやめる。公共事業の学校・住宅・生活環境など生活密着型を思い切って拡大し、中小企業の仕事おこしをすすめる。
 A府発注事業における下請け業者、労働者への代金、賃金支払いが適切に行われるよ  う、府議会で採択された請願の主旨を尊重し、元請業者を指導する。公契約条例(仮  称)を制定する。

3、地域の商店街・中小商店の値打ちがいきる「まちづくり」ルールの確立を

@「まちづくり」三法の見直しについて次の3点を国に求める。
イ.大型店の乱開発規制と商店街の振興・再生とを「車の両輪」とする「まちづくり」 ルールを理念とし、地方自治の原則に立って府独自の大型店規制のルールをつくる。
ロ.商店街の多面的な機能、値打ちをいかす。
ハ.大型店の身勝手を許さず、公正な取引ルールを確立する。
A地元商店街の反対の声を踏みにじって誘致した、イオン泉南ショッピングセンター  に対する地元商業者、関係者の意見書に誠実に応えるよう、指導する。
B府有地への大型店誘致は、今後は行わない。

4、雇用の確保

 @経済界・大企業にリストラ中止と雇用確保を呼びかける。
 A府独自の緊急雇用対策を抜本的に拡大し、「12万人緊急雇用創出プラン(案)」の雇  用目標を達成する。保育所待機児解消、30人学級、特別養護老人ホーム増設など、  福祉や教育施策の拡充を雇用対策に位置づける。
 Bサービス残業や過労死をなくすため、啓発活動と労働相談事業を強化する。
 C高校卒業生や青年の雇用確保・拡大につとめる。
  イ.「JOBカフェおおさか」と市町村や府内中・高等学校との連携を強化し、青年   の就職支援をいっそう進める。
  ロ.府内の大企業に青年の雇用促進を求める。
  ハ.青年の雇用対策予算の拡充を国に求める。
 Dホームレス自立支援法に基づき、府としてもいっそう積極的な対策を行う。

5、消費・府民生活

 @消費税の増税計画の中止を国に求める。
 A前国会で成立した改革年金法を廃止し、国民本位の審議のやり直しを国に求める。
 Bヤミ金対策
  イ.ヤミ金犯罪の被害者やその関係者などの生活を守り、ヤミ金犯罪に対して厳し   い取締りと検挙を行う。貸金業を届け出制から許可制にあらため、出資法の上限   利率を引き下げるよう、国に求める。
  ロ.府や府警察本部、警察署の相談体制をいっそう強化し、取締りを強化する。ま   た、府民への啓発を強める。
 Cインターネットを使った詐欺や架空請求など新手の犯罪から府民の暮らしを守るた  めに、啓発、相談体制をいっそう強化する。

二、福祉を充実させ、府民の暮らしと権利を守る

1、福祉・医療の充実

 @老人医療制度の原則廃止、障害者、母子、乳幼児医療費助成制度の一部負担導入実  施を中止する。
 A乳幼児医療費助成については、所得制限を撤廃し通院対象年齢の引き上げを行う。
 B障害者の受診実態をよく調査し、助成制度の必要な3級の障害者にも医療費助成制  度の対象を拡大する。
 C府立5病院については、公的責任の後退、不採算部門の切り捨ての恐れのある独立  行政法人化はやめる。また、病床削減はしない。
 D政府与党年金制度改革協議会の決定により、整理合理化計画の対象になっている大  阪厚生年金病院、星ヶ丘厚生年金病院は、存続させるよう国に要望する。
 E食品や建材などの輸入の増加に伴う危険な小動物や昆虫、細菌などが日本に入らな  いよう国とともに監視に万全を講じる。血清の確保など、安全対策に努める。
 FSARSなど、新たな感染症対策を強化するため、保健所職員の研修、医療機関と  の連携を密にする。診療、入院施設の確保など、初期対応に遅れが生じないよう留  意する。

2、障害者施策の充実

 @国の財源不足などにより、障害者支援費制度の利用が制限されることのないように  市町村とも協力して、財源確保を国に求める。
 A必要な障害者施設の建設・拡充をすすめること。そのための財源確保を国に求める。

3、児童虐待防止、相談機能の充実と一時保護の拡充

 @子ども家庭センターの専門職員をさらに増員する。
 A保育所、学校、幼稚園、保健所、医療機関、市町村など、子ども育成に関わる機関  と連携して、子どもの育成と人権を守るネットワークを確立する。
 B子どもの一時保護施設を拡充する。一時保護施設や民間のDVシェルターに一時保  護されている子どもの学習権を保障する。
 C25年前に定めた、民間の児童養護施設の職員の配置基準を見直すよう国に求め、府  としても一定の援助を行う。また、児童養護施設に占める被虐待児童が、ほぼ半数  に増加している現状を直視して、必要な改善をする。

4、DVから女性の人権を守り自立をたすける

 @府立女性自立支援センターの機能を充実し、入所者の職業訓練などを行い、経済的  な自立を支援する。
 ADV被害者の自立を促進するため、府営住宅などへの優先入居を検討する。
 B民間シェルターへの一時保護委託期間を延長するよう国に求めるとともに、府の財  政援助を強める。
 C被害者とともに、加害者の心のケアを行う。

5、生活保護

  老齢加算など生活保護に関わる各加算の廃止をやめるように国に求める。府独自の 夏期、歳末一時金、入院見舞金などは廃止しない。

6、介護保険など

 @介護保険制度の見直しのさい、保険料や利用料の値上げを行わず、高齢者の利用を  制限することのないよう国に強く求める。
 A介護保険制度と障害者支援費制度との統合はやめ、どちらの制度においても、予算  を増やし、制度充実を国に求める。
7、大阪府から土地の無償貸与を受けて運営している枚方市立楽寿荘については、来年 3月以後も、市民の利便に供する施設として地元市が運営できるようにする。

8、大阪府の合計特殊出生率が03年度、全国平均の1・29を下回る1・20という深刻な 事態になっていることを踏まえ、総合的で実効ある子育て支援策を府独自に充実するとともに、国にも要求する。大阪府次世代育成支援対策行動計画策定にあたっては、原案作成までに広く関係者の意見を聞き、府民が合意できる、実効ある計画となるよう取り組みを改善する。

9、保育所待機児童対策をさらにすすめる。

三、教育の前進のために

1、「府立高等学校特色づくり・再編計画(全体計画)」は廃止する。今後、新たな統廃合は行わない。定時制高校の廃校計画を見直し、すべての府民に高校教育を保障する。

2、府立高校授業料減免制度は、教育の機会均等を図る立場から、改悪でなく改善の方向で検討する。保護者・生徒の暮らしの深刻さを熟知している教職員代表、保護者代表などを減免制度に関する有識者会議に加える。空調使用料の減免制度をつくる。

3、府立高校の空調設備の使用は、設置目的が十分果たせるよう、運用を各校に任せる。

4、学校間の格差をさらに広げ、学校間競争に拍車をかける府立高校の学区制の廃止は行わない。

5、養護学校の生徒急増によるひずみを掌握し、トイレの増設をはじめ、施設改善を早急にすすめる。過密・過大解消のための学校新設を含めた計画を策定する。特別支援教育の推進にあたり、障害児教育全体の拡充のための財政措置を国に求める。

6、府立大学農学部大学院のりんくうタウンへの移転計画を白紙に戻し、現在地で全学 部一体となった大学の発展をめざす。

7、府大学の独立行政法人化は行わない。

8、教職員の「評価・育成システム」の実施を中止する。

9、教育基本法の改悪に反対し、同法に基づく教育をすすめる。

四、安全な食料の供給をはかるために

1、BSE検査の「全頭検査」の原則を維持するよう国に要求する

 @「食品安全委員会プリオン専門調査会」で、国内のBSE対策について、若い牛を  検査対象から除外するとの原案が提出されたが、全頭検査と全頭の危険部位の除去  は不可欠であることを府としても国に申し入れる。

 A米国産の牛肉の輸入に当たっては、全頭のBSE検査を絶対条件とする。 2、安全な食料の供給を図るために
  食品の衛生監視員の増員など体制を拡充し、産地偽装、違法な添加物の使用、残留 農薬などに対する府民の不安を解消し、食品の安全な供給を図る。

3、農業の振興
 @大阪農業の存続にとって不可欠な水田を守る。地元で収穫した米や野菜の学校給食  利用、市民農園や観光農園、直販運動など、農家のとりくみを奨励し、積極的に支  援する。
 A生産緑地について、市の追加指定並びに町村の指定を府として積極的に支援する。  農地の相続税納税猶予制度の堅持を国に求める。
 B農業委員会法の「改正」や農業改良助長法の「改正」によって、府の農業振興・普  及事業が縮小・廃止されないようにする。

4、「鳥インフルエンザ」の発生により、卵の出荷停止期間中に顧客が離れ、従前通りの 売り上げが確保できていない農家に対し、必要な補償を行う。

五、安心・快適なまちづくりをすすめる

1、大阪府営住宅の改善と建設をすすめる

 @老朽化した府営住宅の建て替えを急ぐとともに、建て替えにともない、戸数を増やす。
 A設計、建設から運営・維持管理業務まで民間企業にゆだねるPFI事業を府営住宅  建設に導入しない。
 B府住宅供給公社の空き家の多い団地は家賃を再値下げする。府営住宅と府供給公社  の駐車場の料金値上げは撤回する。
 C府住宅供給公社賃貸団地の建て替えにあたっては、団地自治会等の事前了解を前提  とする。了解をえずに着手した豊中新千里西町団地については、公社の責任で事態  の円満解決を図るよう公社を指導する。建替団地の高家賃政策はやめる。

2、防災・安全対策を強化する
 @震度7級の直下型地震にそなえる。
   差し迫った南海・東南海地震に対する対策を確立する。特に、津波、高潮被害を  食い止めるため、水門、護岸、堤防、鉄扉などの安全点検と改修をすすめる。老朽  家屋の耐震診断対策を充実させ、耐震改修助成を実施する。公共施設の耐震改修をすすめる。
 A寝屋川水系など河川の時間雨量50_対応を急ぐとともに、浸水被害が繰り返されて  いる河川については被害解消に必要なレベルに目標を引き上げ、対策を急ぐ。
 B府内の河川、水路、ため池、山地などの危険箇所を緊急に点検し、豪雨などでの水  害、土砂災害を未然に防止する。大雨時の避難誘導システムを確立する。
 C被災者生活再建支援法にもとづく支援金支給について、被害の実態に即して支援を  強化するよう国に求めるとともに、府独自の支援策を拡充する。

3、ヒートアイランド対策の強化
 @府内の自然環境の保全と回復の最低目標値を定め、その実現に取り組む。緑を破壊  する大型開発推進の姿勢を改める。
 A「ヒートアイランド対策推進計画」を実効あるものにするため、財政支援計画を明  確にする。

4、有害物質や廃棄物対策を強める廃プラスチック処理施設の建設にあたっては、評価項目を増やして、環境アセスメ ント調査を十分に行い、データを公表し、住民合意なしの建設許可はしない。

六、府財政の破たんを招く大型開発はただちに中止する

1、関空2期工事は中止するよう国や関空会社などに強く要求する。特に07年供用開始 を国に求めない。

2、過大な需要を前提にした、阪神高速道路の新たな環状道路建設(淀川左岸線、大和川 線を含む)は中止する。大和川線の一部府道化は行わない。第2名神高速道路建設には 協力しない。

3、国際文化公園都市開発関連事業は大幅に縮小する。

4、水と緑の健康都市の事業計画変更を白紙に戻し、事業を中止する。

5、りんくうタウン、阪南スカイタウン、津田サイエンスヒルズ、和泉コスモポリスなど破綻した事業は、その責任を明らかにし、損失を府民に転嫁しない。

6、りんくうゲートタワービル株式会社へ府費を投入しない。

7、地元住民の合意の得られない企業局用地の売却は行わない。

8、安威川ダム、槇尾川ダム、余野川ダム建設事業は中止し、総合治水対策をすすめる。

9、過大な水需要予測を改め、安威川ダム、紀の川利水などの水源対策は中止する。府 営水道料金を値下げする。

10、堺泉北港助松地区の14b外貿埠頭整備事業は中止する。

七、府民本位の公正・民主的な府政をすすめる

1、新行財政計画案は、府民福祉の増進と大型開発の中止を基本とする方向に根本的に 転換するよう、府民参加で改定作業をすすめる。

2、地方自治体の仕事に見合った税財源移譲を国に要求する。小泉内閣の進める「三位 一体改革」は地方財政を圧迫するとともに、教育や社会保障への責任を放棄するもの であり、国に中止を求める。

3、公の施設の管理制度については、指定管理者制度を廃止し、元に戻すよう国に求める。

4、ハンナングループによるBSE隔離牛肉の焼却への府の関与疑惑を全面的に解明し、府民に公表する。

5、南大阪食肉市場株式会社の幹部が、BSE偽装牛肉事件で逮捕されたことを踏まえ、松原食肉市場公社の破綻処理の問題点を改めて精査し、公表する。

 
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日本共産党大阪府議会議員団