浅田被告が同席、羽曳野市長説得

翌日、府と市が折半確認"運営補助金"


太田知事、岸上議員に認める

5日開かれた大阪府議会本会議で日本共産党の岸上しずき議員が代表質問に立ち、ハンナン問題で太田房江知事を追及。太田知事は、松原食肉市場再編整備にからむ府と羽曳野市の交渉の場に牛肉偽装事件で逮捕・起訴された阪南グループ代表の浅田満被告(65)が同席していたことを認めました。府・市と浅田被告との癒着ぶりを改めて示したものです。
 問題の松原食肉市場再編整備は2002年7月に赤字経営が続いていた松原、羽曳野の両食肉市場を松原市側に統合して「南大阪食肉市場」を発足させたもの。
 当初、羽曳野市場については、市立解体処理場を存続させるための運営補助金12億円を、府が7割、市が3割負担することになっていました。しかし、府議会の反対などから府と市が折半することになり、羽曳野市の福谷剛蔵市長(当時)が反発、交渉が難航していました。
 このため、当時の府の環境農林水産部長が、02年9月30日夕に羽曳野市役所で福谷市長と面談し説得。この席に浅田被告があらわれて約30分間同席、福谷市長を説得する言葉をのべたといいます。
 この翌日の10月1日、府と市の間で負担折半を確認、羽曳野市同和食肉事業協同組合も同月11日に市場廃止手続きの書類を提出しています。
 岸上議員の追及に太田知事は「市との協議が難航していることを浅田氏に伝えてはおりました」と交渉の状況を浅田被告に報告していたことを認めましたが、「浅田氏は、府と市の交渉が決裂するのを危ぐしてと蓄場運営の関係者として同席されたもの」などと釈明しました。

 太田知事





 開会中の9月定例府議会で5日、日本共産党の岸上しずき府議が代表質問にたちました。府民に痛みを押しつけ自治体としての役割を放棄する「行財政計画」改定素案の撤回を求めるとともに、地域経済と雇用、福祉・医療、ムダな大型開発の中止・見直しなど府民要求の実現へ具体的に提案し、太田知事の姿勢を追及しました。

写真

代表質問に立つ岸上議員=5日、大阪府議会

「行財政計画」改定素案について岸上議員は、「まず大事なことは、財政危機のもとでも福祉や教育は可能な限り守ることだ」と強調。「素案」に示されている府立高校授業料の減免制度の縮小と再値上げ、府営住宅の家賃値上げ、市立幼稚園三歳児保育料軽減補助金の廃止、生活保護世帯への一時金の廃止などの計画は府民いじめそのものだ」と批判。
「ムダな大型開発をさらに優先して続け、府民負担は際限なく増やし、府がやるべき仕事は次々減らす、いわば自治体の自己解体計画といわざるを得ない」と撤回を求めました。
 府民要望の実現にむけて岸上議員は、地域経済と雇用の問題で「中小企業振興条例」の制定などを要望。大型店の規制を行う「まちづくり条例」の制定と大店法の抜本改正を国に求めるよう主張しました。

 福祉・医療・子育て、教育、防災対策などの問題では、▽生活保護世帯などへの一時金や見舞金などの廃止の見直し▽11月から実施予定の高齢者や障害者の医療費の自己負担の中止、内部疾患をもつ障害3級までの医療費助成の拡大▽保育所の充実へ整備計画の策定▽府立高校のこれ以上の統廃合と府立夜間定時制高校の半減計画の撤回▽府立高校授業料の引き上げ計画の撤回と引き下げ―など、具体的に求めました。
 ムダな大型開発の問題では、関西空港二期事業をはじめ、箕面北部の「水と緑の健康都市」開発事業、安威川ダム(茨木市)の中止を求めました。
 各種世論調査で6割の国民が「守るべき」と答えている憲法9条について、「9条を改定し、日本が『戦争する国』になることは、アジア諸国民の誰からも歓迎されない逆流だ」と指摘。9条についての知事の見解を問いました。
 太田知事は、「『素案』は撤回しない」と答えたのをはじめ、切実な府民要求やムダな大型開発の中止・見直しなどをことごとく拒否。憲法9条について「国会での議論を見守っていく」との姿勢にとどまりました。

――――
松原食肉市場は、大阪府が総額百億円余にのぼる財政支援を続けてきましたが、破たんしました。そのため、府は羽曳野食肉市場と一本化して再編整備を計画。総額68億円にも上る財政支援をしました。
 その計画をまとめる段階の2000年7月8日夜には、太田知事をはじめ梶本徳彦副知事ら5人の府幹部と6人の自民党府議が浅田被告の迎賓館とも言われる「聊娯亭(りょうごてい)」に接待され酒食をともにしています。
 府は2001年3月から翌年の2月議会まで、たびたび松原食肉市場の再編問題で幹部が浅田宅を訪れて説明しています。
 今回の02年9月30日の府と市の交渉に浅田氏が同席していた事実は、あらためて一連の牛肉偽装事件での国・府・市と浅田被告の根深い癒着関係を浮き彫りにしています。




2004年10月6日付「しんぶん赤旗」より
go back to toppage
日本共産党大阪府議会議員団