開港から10年

検証・関西空港

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影落とす中曽根「民活」路線

“底上げ”支出底無し



秋のオープンに向け工事が進むイオンりんくう泉南ショッピングセンター=泉南市




 関西国際空港は、成田空港や羽田空港と同じ第一種空港(国際航空路線に必要な空港)です。第一種空港は、空港整備法で国が設置・管理することになっており、成田も羽田も国費で建設されました。しかし、関空は中曽根政権の「民間活力導入」方針による法改定で、関西国際空港株式会社が設置・運営するよう定められました。これが、その後に大きな影を落とすことになります。
地元業者悲鳴,大型店を誘致


 大阪府は、関空会社の、政府に次ぐ2番目の大株主です。出資や貸し付けなど、今後も含めて約2000億円を負担します。
 りんくうタウンなど関連施設についても、府が主体になった事業だけに多くの支援策を講じています。
 人を呼び込むことで空港と関連施設を活性化しようと、府はりんくうタウンの空き地について、分譲から定期借地方式に、大赤字覚悟で方針を転換しました。その結果、店舗面積5万1000平方bの大型商業施設「イオンりんくう泉南ショッピングセンター(SC)」や家電量販店の進出が決まりました。イオンSCの起工式で地元泉南市の地権者・商業者たちが「私達を助けてください!大阪府は、地元の商業者をつぶすのか!」とのビラをまきました。地元商業者が受ける深刻な影響は無視されています。しかも、定期借地方式にしたことで生じる損失は全部、一般会計にかぶせています。

不同沈下で生じた段差をなくすためにつけられたスロープ(関空ターミナルビル地下)


 りんくうゲートタワービルについては、府企業局を同ビル21階に移転し、府民の税金で高い賃貸料を払うなどの救済措置をとっています。 
沈下対策予算説明せずに・・・


 予想を超える地盤沈下も見過ごせない問題です。今年中間期(6月)の関空一期島の平均沈下量は、測定地点17ヵ所の平均で12・24b。これは、関空会社が1990年に発表していた2040年の沈下予測を超える値で、50年後の沈下予想量に10年でほぼ到達しました。同社が最終的な沈下量としている「12・5b程度」は目の前に迫っています。
 沈下量は場所によって異なる(不同または不等沈下)ため、ターミナルビルを多数のジャッキで持ち上げ、できるだけ全体を水平に保つ作業が必要になります。しかし、地下一階のコンビニにつながる階段には、ゆがみを吸収しきれずスロープを付けた部分もあります。飛行機をよく利用する人からは、「関空は他の空港に比べて滑走路を走っている時の振動が大きい」という話を聞きます。
 沈下対策には毎年相当の費用がかかっているはずですが、関空会社は「通常の維持管理費の一部として対応できる額」だとして公表していません。大潮の満潮時や台風の通過時には地下から吹き出した水で浸水する地域もあり、新たに止水壁の建設が決まりました。
 今後の沈下予測を実態に合わせて見直し、追加の対策に予算がどれくらいかかるのか、関空会社は国民に説明する責任があります。
(つづく)  





2004年9月8日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団