大阪府の行財政計画改定素案

 府民施策への関与を極力排除、大型開発は推進

府政のありかた・役割 根本的に変質させる




 大阪府が1日発表した府行財政計画(改革素案)は、大阪府の役割を根本的に変質させるものとなっています。
 大阪府は1996年以降、「財政再建」の名のもとに「財政健全化方策」(96年)、「財政再建プログラム(案)」(98年)、「行財政計画(案)」(01年)を次々策定。老人医療費助成制度の大枠廃止、全国一高い府立高校授業料への値上げなど府民犠牲、関西空港二期事業をはじめ大型開発を推進し、96年―04年度まで毎年1千億円の取り組み効果を生んでいます。
 現「行財政計画(案)」ではこの3年間で計画の前倒しなどで2132億円の取り組み効果があり、職員の給与水準は2年間の普通昇給ストップなどで全国最低となっています。にもかかわらず財政が悪化しているのは景気低迷で府税収入が減少しているのに真の財政危機の要因である大型開発を見直さないことが主な原因です。
 素案はそのことには全く触れず、引き続き関西空港関連事業のりんくうタウンや阪南スカイタウン、国際文化公園都市、水と緑の健康都市などをいっそう推進(新庁舎の建設は凍結)する一方、府民向け施策は「自立自助」や「適正な負担」などを理由に府民負担を増大させ、府の関与を極力排除。財政危機の根本的な解決にはならず、府政の開発会社化を総仕上げしようとしています。

府行財政計画(改定素案)で示された具体的取り組み事項
(主な府民施策関連)


【施策の再構築・組織等の再構築】


○府立5病院の地方独立行政法人化の検討(04年)

○府立5病院事業会計への一般会計繰出基準の見直し(計画期間中)

○府立高校授業料の値上げ(在校生にも適用されるスライド制の導入を検討)

○府立高校授業料減免制度のあり方を検討(06年実施)

○公営住宅法施行令等を踏まえた府営住宅家賃の設定(05年実施)

○私立高校等授業料軽減補助金のあり方検討

○環境農林水産系試験研究機関等の再編(07年目標)

○生活困窮者援護費関係制度の見直し(長期入院患者夏期歳末見舞金および被保護者夏期歳末一時金を見直す。05年実施)

○私立幼稚園三歳児保育料軽減補助金のあり方検討(05年着手)


【公の施設の改革】


○府立老人総合センター廃止検討(緊急取り組み期間中に結論)

○府立文化情報センターの貸館機能の廃止検討

○大阪府立女性総合センター、府立労働センター、府立青少年会館、府立国際児童文学館など26の施設について指定管理者を選定 または導入検討



 16項目の具体的取り組み(上の表参照)では、試験研究機関の独立行政法人化の適否の検討や府が行っている公的サービスの外部化(アウトソーシング)、今年度中の「公の施設改革プログラム(案)」改定、公の施設の利用料の値上げなどもかかげています。また、79の出資法人を07年度までに4割削減、関西州など道州制の検討も盛り込んでいます。
 財政再建団体転落回避の「緊急取組期間」(05年度〜07年度)では、「施策の再構築」で250億円(水道事業会計への一般会計繰出金の休止74億円、建設事業の重点化113億円、事務事業の見直しなどで60億円)、「組織等の再構築」で555億円(職員定数削減120億円、期末・勤勉手当削減や時間外勤務の縮減など390億円、出資法人改革45億円)、歳入の確保で420億円(府税の徴収向上90億円、府立高校再編に伴う施設跡地など府有財産の売却330億円)としています。

 
開発会社化の総仕上げ狙う

党大阪府議団政調会長
黒田まさ子府議の談話





 大阪府が1日発表した「行財政計画(改定素案)について同日、日本共産党府議団の黒田まさ子政調会長は次のような談話を発表しました。
 「大阪府行財政計画」改訂素案は4つの問題があります。
 第一は、府民むけ施策の徹底した切り捨てです。具体的には、これまで行ってきた住民サービスは縮小し、市町村、府民、NPOやボランティアにさせる。また高校授業料や府営住宅の家賃の引き上げなど、あらゆる分野で府民負担をさらに強めるとしています。
 第二に、財政危機をもたらした大型開発には手をつけず、引き続き推進する立場をさらに鮮明にしました。
 関西空港二期工事など大型プロジェクトは99%以上借金でまかなわれており、その結果、今年度末の府債残高(見込み)は4兆9300億円、公債費(借金返済金)は3553億円と1995年のほぼ2倍となっています。この問題を棚上げにして、財政再建はありえません。また今年度だけでも669億円もの地方交付税を削減した小泉内閣の三位一体改革に反対し、地方税財源の拡充を国に求めなければなりません。第3に、大学や病院、あらゆる分野の研究機関や公園やスポーツ・文化施設などの独立行政法人化や指定管理者制度の導入で大阪府が広域的、専門的に取り組んできた業務を商業ベースの利潤追求型に変質させようとしています。
 第4に、こうした反府民的な「改革」を、予算編成も含め財界や学者らによる少数の「有識者会議」の指導のもとにすすめ、府民や議会を軽視しようとしています。
 結局今回の素案は、府政の開発会社化の総仕上げであり、府民福祉や大阪経済再生に逆行するものです。日本共産党府議団は素案撤回を求め、皆さんと力を合わせて奮闘する決意です。











2004年9月2日付「しんぶん赤旗」より
go back to toppage
日本共産党大阪府議会議員団