続・ハンナン牛肉偽装  

癒着の構図<15>

浅田人脈の威力

一市場に172億円の公金


 

一連の牛肉偽装事件で逮捕・起訴されたハンナングループ代表の浅田満被告(65)が搾取した税金は約50億円といわれています。

大きな利権構造


各団体の役員構成
役員名
(敬称略)
大阪府同和食肉事
業協同組合連合会
大阪府食肉事業協
同組合連合会
全国同和食肉事業
協同組合連合会
株式会社大阪食品
流通センター
南大阪食肉市場株
式会社
●浅田満(満利)会長副会長専務理事取締役取締役
●岩上清二副会長副会長副会長代表取締役
●寺島一専務理事会長取締役取締役
阪本昭夫副会長副会長
山口公男顧問会長
北田勲副会長監査役
●藤瀬陽三代表取締役代表取締役
日本共産党大阪府議団調べ。●印は今回の事件で起訴

写真

172億円の公的資金が投入された南大阪食肉市場(旧・松原食肉市場)=大阪・松原市





 しかし、浅田被告の人脈をふくめると、その支配力と利権構造の大きさはその金額以上のものです。
 今回の事件の主役として何度もその名前がでてくるのが「大阪府同和食肉事業協同組合連合会(府同食)」や「大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)」。府同食の上部団体が「全国同和食肉事業協同組合連合会(全同食)」です。
 別表のように浅田被告はいずれの団体をも取り仕切る幹部でした。
 浅田被告はさらに偽装の疑いがある牛肉を保管していた「大阪食品流通センター」や、「南大阪食肉市場株式会社」の有力役員でもあります。
 その他の役員はいずれも浅田被告と深いつながりがあります。食肉業界のドンといわれる浅田被告の支配力の一端が別表からも見えてきます。
 偽装牛肉事件意外にも大阪府で問題になってきたのが、南大阪食肉市場株式会社です。この会社の前身は松原食肉市場公社でした。
 松原食肉市場は、浅田容疑者が中心になって大阪府や松原氏と第三セクター方式で進めてきました。
 府はこの食肉市場に毎年補助金を支出、多い年で11億4000万円(1991年度)も出し、その合計額は2001年度までで108億8394万円にも。しかし、巨額の税金をのみ込んでもなかなか再建できず赤字続き。そのあげくに02年7月に民営化され、南大阪食肉市場株式会社となったのです。
 民営化というと公的資金がかからないかのような印象を与えます。実際は大違いでした。 まず、府はそれまでの貸しつけていた14億円の債権を放棄しました。
 そのうえ、新たに「経営基盤の確保のため」と称して無利子の貸し付け金25億円、経営安定化のための補助金25億円など合わせて64億円を予算化したのです。
 この結果、松原食肉市場――南大阪食肉市場株式会社と続いたなかで、府民の税金172億円余が支出されてしまったのです。
 一市場でこれだけの府民の税金を投入した市場は他にありません。
 公金約172億円といえば、今年から府立高校生から徴収するエアコン使用料(全日制で一人年間5400円)の年間徴収分(約6億円)の28年分にもなります。

特権優遇明らか


 松原食肉市場に特権的優遇措置が取られていることは明らかです。
 役員の顔ぶれをふりかえりましょう。
 旧松原食肉市場公社のときの代表取締役は山口公男氏。「解同」(部落解放同盟)大阪府連の元副委員長です。浅田被告側近で今回の事件起訴された寺島一被告(64)も取締役に名を連ねています。
 新会社の南大阪食肉市場株式会社社長藤瀬陽三被告(65)=逮捕・起訴済み=。同被告は、牛肉偽装で全国から買い集めた肉を保管した大阪食品流通センターの社長でもあります。
 府からの異常な公金投入がなぜおこなわれたか。その解明も欠かせないことです。

(つづく)










2004年6月21日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団