続・ハンナン牛肉偽装  

癒着の構造<2>

ルーツは17年前

一部長へのワイロの威力


 
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浅田容疑者との癒着が指摘されている農水省=東京・千代田区






「被告人浅田においては、自己の利益の擁護ないし拡大のため・・・・・手段を選ばず、いとも安易に多額のワイロを被告人青山に供与した」―。
 ハンナン元会長の浅田満容疑者は、全国同和食肉事業協同組合連合会(全同食)の専務理事だった1987年にも贈賄容疑で逮捕されました。
そして懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)の有罪判決。冒頭は、その判決(88年3月11日)の一節です。

 掃除機に隠す


 この事件で浅田容疑者がワイロを渡した相手は、農水省の外郭団体・畜産振興事業団(現在の農畜産業振興機構)の青山豊食肉部長。事業団は当時、牛肉の輸入と販売を独占的におこなう権限を与えられており、青山部長はその実務の責任者として絶大な権限をもっていました。
当時、食肉業者は、円高差益などによって輸入牛肉を買い入れれば必ずもうかる状況でした。浅田容疑者は、全同食への輸入牛肉の割当量を増やしてもらおうと現金攻勢をかけます。青山部長はもらった600万円を掃除機に隠しもっていました。
 ワイロの威力は露骨に発揮されました。
―青山部長は、全同食の割り当て枠を脅かすことになる競争相手の食肉団体の新規参入申請を保留し、事実上却下。
―浅田容疑者は、輸入牛肉の取り扱い実績を持つ中四国の倒産会社を買収し、その会社の実績を全同食に割り当てるよう、青山部長にはたらきかける。
 「じつは、もうけのほとんどはハンナンが独占していた。それもとんでもない額だった」。古くから浅田容疑者を知る大阪の同和系食肉業者は打ち明けます。
 その仕組みはこうです。
 浅田容疑者は、全同食に割り当てられた輸入牛肉の約8割をハンナンで独占的に買い入れます。それに「手数料」を上乗せして全同食加盟の業者に配分、不当に割高の値段で買わせていたのです。その手法で稼いだ利ザヤは「通算すると数10億円の巨利」(「毎日」87年11月5日付)といわれました。
 これほどの大もうけの仕組みがつくれたのはなぜか。

 
官僚の天下り


 事業団の食肉部門への出向経験のある農水省関係者はいいます。
 「事業団は、理事長をはじめ多くが農水官僚の天下りだ。事業団汚職も実態は農水省の不祥事だった。」
 青山部長も農水省の食肉部門幹部からの転出でした。判決は、2人の関係についてこうのべています。
―青山被告は、農水省勤務当時から食肉を扱う同和系団体との対応のうえでとくに浅田被告を重視していた。他方、浅田被告は、青山被告を食肉行政の実力者と考えていた。
 農水省は、事件から2ヶ月後の87年12月に「畜産振興事業団事件に関連して」複数の職員にたいし、文書による厳重注意をおこなったことを認めました。処分理由の1つは問題業者との接触」。現役の農水官僚も問題業者=浅田容疑者とべったりだったわけです。  判決文は厳しく断罪しています。「畜産物に関する行政の公正に対する国民の信頼を著しく傷つけた犯行であって、犯情はまことに芳しくない」。今回の食肉偽装事件のルーツをみるようです。
(つづく)










2004年5月29日付「しんぶん赤旗」より
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