ハンナン牛肉偽装

 
癒着の構図<中>

早々と焼却なぜ

 
特定の処理場に集中


写真
冷凍肉の焼却が早々と実施されていた柏羽藤クリーンセンター=大阪府柏原市


「この2週間、マスコミ各社からの取材攻勢でたいへんでした」と日本共産党柏原市議で、柏羽富環境事業組合議会議員の桝谷政則さんは、大きな息をつきました。

 
あの時の質疑

 どの記者も2002年11月の同組合議会の議事録を手にしていました。「あの時の質疑が今日これほど重要視されるとは当時思ってもみませんでした」と桝谷さん。
 2001年10月に始まった国産牛肉買い取り制度は、BSEの感染拡大を防ぐため、国の助成金で買い上げる事業。チェックの甘さから輸入牛などを混入する不正が続発しました。今回の牛肉偽装事件で問題になっているハンナン関連の買い取り申請肉は、早々と焼却されています。
 疑惑の焼却現場となったのが、柏原市にある柏羽藤クリーンセンター。大阪・柏原、藤井寺、羽曳野の3市が共同して運営するゴミ焼却施設。桝谷さんは、組合の議会で、組合の議会で、「国産牛焼却の依頼文書(02年1月15日付)が出される前に、大量の冷凍肉が焼却されたのはなぜか」と同焼却場の管理者である福谷剛蔵羽曳野市長に問いただしたのです。焼却された冷凍肉は輸入肉の疑いが指摘されています。
 桝谷さん以外の日本共産党の府議、市議にも、この間、マスコミ各社の取材が殺到しています。それというのも、「解同」(部落解放同盟)や同和行政の利権に絡んだ問題を追及してきたのは日本共産党だけだからです。
 政府は01年12月28日、買い上げた牛肉の焼却方法について、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物扱いで処理していいという通達を都道府県に出しました。これを受け大阪府は、02年1月15日に府内の市町村などに国と同様の通達を出しています。
 ところが、同センターは通達が届く前の1月11日から、柏原市にも藤井寺市にも相談なく焼却を開始。1月15日までに230dが焼却されていました。その後も同センターでの焼却が続き、冷凍肉の焼却は1日30d程度とされていたはずなのに、1日117d も搬入した日もありました。同所だけで4月1日までに1633dも焼却されました。

市長との関係


 なぜ、柏羽藤の焼却場が使われたのでしょうか。冷凍肉は、堺市にあるハンナン系の大阪食品流通センターに大半が保管されていました。堺市の清掃工場までは、わずか400b程度の近くにあります。柏羽藤クリーンセンターまでは、5`以上もあります。焼却能力も堺の方が格段に上回っています。
 クリーンセンターの管理者は、羽曳野市の福谷剛蔵市長です。福谷市長は浅田容疑者とはきわめて関係が深く、選挙事務所は浅田氏が支配するハンナングループの所有地にありました。
 同じハンナングループの昭栄興業が代表の企業体が、16億円で落札した羽曳野市立と畜産の改装工事を、わずか6ヵ月後には福谷市長の専決処分で工事請負金額を約22億円までにアップさせました。
 02年11月26日の府議会。日本共産党の奥野勝美府議が牛肉焼却問題をとりあげました。
 奥野議員が「府は15日に焼却の依頼文書が出る前の11日に焼却されたのを知っているか」と追及。流通対策室長が「(焼却は)なんら問題ない」と開き直り、関与を否定するのに躍起でした。しかし、政治家、行政とハンナングループの癒着には、疑いが強まっています。








2004年5月7日付「しんぶん赤旗」より
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日本共産党大阪府議会議員団