キーワードは「県民参加」日本共産党府議団高知県政視察記

小松久府議

共産党県議団の果たした役割大きく

 日本共産党大阪府議会議員団は8月22日、23日、高知県の諸施策について現地で調査しました。

 22日は、子ども条例の制定とその後の取り組み、子ども医療費助成制度、県独白の中山間地域(農業)活性化事業、地産地消対策、重度障害者医療費制度、医師確保対策について、各部局から説明を受け、夕方に「日本共産党と緑心会」県議会議員団と懇談しました。

子ども参加で教育改革

 23日は、「土佐の教育改革」への生徒・教職員・県民の参加、少人数学級の取り組みの経過、木造住宅耐震改修と市町村耐震事業への県の支援策、同和行政の終結、療養病床削減問題への対応、地域の元気応援団(地域支援企画員)事業について、関係部局から説明を受け、午後は、「土佐の教育改革」にかかわって高知県教職員組合と懇談しました。

 強く印象に残ったのは、まず第1に、子ども条例については、早い段階から、高校生を中心に「行政ペースでなく大人と子どもがわかり合える」ことを大切に、「県民参加・子ども参加」で取り組まれたことです。

 当初、条例策定委員に高校生粋2名で公募したが、4名が応募、「絞り切れなくて4名にした」という姿勢に、共感しました。子どもたちの活躍する姿に大人からは「高校生の発想はすごい」「子どもは思ったよりもやるでえ」という声があがったとのことです。

 第2に、全国的に重要な課題となっている医師確保の問題では、高知大学医学部への県内枠確保、高校1、2年生への啓発事業、県独自の医学生への奨学金制度などを具体化しながら、高知市以外の医療圏での安定した医療の確保にむけた努力が報告され、医師の絶対数確保と勤務条件の改善、住民自身が医療を守る意識を高めることの重要さが強調されました。

同和終結へ本格的動き

 第3に、橋本県政2期目、県幹部も巻き込んだモード・アバンセにかかわる補助金の不正受給事件を解決していく過程のなかで、同和行政終結への取り組みが本格的に始まったことが報告されました。

 この取り組みの中で、日本共産党が住民とともに、議会内で果たした役割の大きさ、闘いの中で「部落解放同盟(解同)」の無法を許さない力が県政と県民の本流となっていったことの大事さを実感しました。

 第4に、南海地震への対策の強化が切実な高知県で、木造住宅への耐震診断・改修への取り組みが進められていますが、「診断は進むが、改修はお金がかかり進まない」という問題が生じています。

耐震改修に独自に支援

 県議団の提起も踏まえ、住民への意向調査が行われていますが、自己負担が小さくないことがネックになっています。耐震設計への補助制度を今年度からつくるなど耐震改修の具体化と前進にむけた努力が印象的でした。

 また、国での財政措置が求められますが、公立小中学校の耐震改修に県独自に6分の1の補助金を創設している(大阪府はなし)ことは、たいへん参考になりました。

 第5に、橋本知事2期目の公約から始まった「土佐の教育改革」について、県教育委員会と教職員組合が、子どもの成長のために同じテーブルにつき、ともに「参加」する中で、役割を果たしたことが関係者から異口同音に語られたことも重要です。

 ただ、国によって教育基本法をはじめ教育関係法の反教育的な改悪がすすめられる中、高知県でも教育行政に数値的「成果」を求める傾向が強まりつつあり、「教育の条理を壊す『実績と成果』をテコにした競争主義」への警戒感が広がっていることは危惧されます。

県民との共同を強めて

 最後に、国の地方財政削減攻撃の中、財政力が極めて小さい高知県政(予算総額はOO年5943億円が07年は4232億円)の中でも、県民と市町村の状況を直視し、障害者医療、子ども医療、南海地震への対策、少人数学級などを含め県民の暮らしの安全と安定のために、@必要な財源は確保するA県民に問題を率直に提起するB緊急な課題こそ腰を据えて取り組むとしている姿勢Cこの中で党県議団が、県民との共同を強め大きな役割を果たしていることを強く実感した視三察でした。

2007年9月9日付「大阪民主新報」より