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議事録

教育常任委員会(2020年3月16日) 内海公仁府議の知事質問


・府立大学授業料等無償化について

◆(内海公仁君) 日本共産党の内海公仁です。
 貴重な時間をいただきましたので、本日は知事に対して二つのテーマについて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 第一のテーマは、高等教育学費補助制度についてです。
 新年度から、府立大学、市立大学、府立高等専門学校に入学する学生を対象にして、国の学費補助制度に上乗せする形で補助を行うというものですが、その制度設計に当たって、大阪府民の税金で支援をするのは大阪府民だけという考え方に基づいて、入学前三年以上、府内に保護者、本人が居住していることを要件とされました。その結果、保護者世帯の所得状況と子どもの人数による所得要件によって対象外とされる学生に加えて、居住要件によって対象が外される学生が多く存在することが明らかになりました。予算編成時点での想定数値で見ますと、入学総数が約千四百人、うち所得基準を超えると想定している学生が二〇%、二百八十名程度、所得と世帯の人数の関係で対象外になる学生が約三%、四十四名、そして、居住要件で対象外になる学生が二二%、三百六名という、合計四五%、六百三十一名ほどが、国制度も含めて学費助成制度の対象外であることが明らかになりました。しかも、この積算では、これまでの通年の府内在住生は四五%程度でありましたが、予算積算上は六〇%の学生が府内に在住しているということを想定した計算と言われております。つまり、これでは実際にはさらに学費補助制度の対象は少なくなることも想定をされます。
 そこで知事にお聞きしますけれども、この府内居住者という制度要件を撤廃して、府立大学で学ぶ学生は広く学費助成制度が利用できるという制度にしてはいかがでしょうか。そうしてこそ、府立大学へ進学することの魅力が大きく高まるのではないかと思いますが、知事の所見を伺います。

◎知事(吉村洋文君) 高等教育の無償化につきましては、僕は本来、国の責任の下で、国の施策として、国全体で実施すべきものだというふうに思っています。ただ、そういう状況になっていないのが現状で、その現状の中で、今回の制度は、大阪の子どもたちが、親の経済事情あるいは家庭の個別事情、そういったものによって進学を諦めることがないように、自分の可能性を追求できるように、新たな選択肢を示していくということで実施するものであります。ですので、府内の在住要件を外すということは考えていません。

◆(内海公仁君) 貧困と格差が大きな社会問題になっている中で、大学で学びたくても四年間の学費の負担が大変困難で、親の生活実態も厳しい中で、親も負担が困難な状況が広がっております。
 さらに、日本の奨学金制度というのはその多くが事実上の教育ローンの状態で、大学を卒業して社会人になった途端に数百万円の借金を抱えて返済に追われるという状況になっているもとで、教育の無償化というのは今日本の社会に突きつけられている大きな課題だと思っております。
 世界の中で、日本は高等教育の学費が極めて高い国と言われております。国立大学で四年間学ぶのに平均五百十一万円必要、これが文科省の調査でも報告されている実態です。しかも、その学費のために奨学金を借りようということになれば、最初から四百万、五百万の負担を背負って生活することになります。国際人権規約学費無償化を目指す条項、国際人権A規約は、一九六六年、国連で採択され、一九七九年、日本は批准をしました。しかし、その時点では十三条二項B及びC、いわゆる中等・高等教育の無償化の問題については保留をしたという経過があります。二〇一二年の九月に、この二つの条項保留の撤廃を国連に通告しました。
 そういう観点から見て、高等教育の無償化というのは世界から求められている課題だと私は思っています。世界に開かれた大学として、新しい大学をつくろうとしている大阪で、大学学費そのものを安くする、あるいは軽減、そして無償へという立場こそ求められているのではないかと思っております。その点から見ても、私は、居住要件といういわゆる了見の狭いことにとらわれていてはいけないというふうに思っております。今の制度設計の状況というのは、今、知事がおっしゃったとおりだと思いますので、今後この問題についても大いに検討していただきたいということをお願いして、次の質問に移らせていただきます。

・小学校新学力テストについて

◆(内海公仁君) 次に、小学校での府教育庁による新たなテストの導入についてお聞きいたします。
 この制度予算編成の過程を見ますと、財政課査定の段階では予算が保留になっていたということです。予算編成過程の資料を見ると、財政査定でゼロ査定となった理由に、学力テスト実施による一人一人の状況把握については、本来、小学校を所管するべき市町村が行うもの、市町村との役割分担を整理すべき、府が実施すべき必要性を明確にすることなどが示されておりました。なるほどと私も思いました。
 ところが、これが知事復活要求で三億二千万円の予算がついたことになりました。しかも、お聞きしますと、同様の小学校のテストというのは既に二十ほどの市町村の教育委員会で実施されているという状況のようです。
 そこで、知事にお聞きしますけれども、なぜ既に少なくない市町村教育委員会が実施している同種のテストを、市町村を押しのけてまで府が実施するという判断を行ったのでありましょうか。そこで三億円以上ものお金を新たに使ってまで府が実施するという役割分担がなぜ必要なのでしょうか、お聞きします。

◎知事(吉村洋文君) 大阪の学力の低迷というのはまさに大阪府全域で生じているところでもありまして、大阪府全体の大きな課題だというふうに認識をしていす。
 もちろん小中学校の詳細な指導の仕方とか、そのテストの結果の活用等々、第一義的な責任というか、その主体は僕は市町村だというふうに思っています。僕自身も基礎自治体の長の出身者ですから、市町村長のこういった小中学校における教育課程の役割というのは非常に重要だと思っていますし、まずはそこが一義的にしっかり頑張っていくというのは当然のことだと思います。
 大阪府としては、それをフォローアップする、バックアップ体制を整えていくというのが大阪府の広域的な役割ではなかろうかというふうに思っています。その広域的な役割をする上で、大阪全体でどうしても学力向上に問題があるという状況でもありますから、今回の学力テスト、これを大阪府が後押しをすることによって、そしてまた、これは個人カルテも作成をしまして、五年・六年生と経年的にその子どもがどういう学力の上げ下げをしているのかというのをある程度分かるようにする、その仕組みをつくっていきたいと思います。その仕組みの下で、それを具体的にどう教育活動に生かしていくのかについては、ここはそれぞれの市町村長が責任を持って進めていくべきことだろうというふうに思っています。僕は大阪市長のときに、これを教員の成績にも反映する、教員の評価にも入れるというふうに言いましたが、それで今大阪市は進めていると思いますけれども、そういった点についてはそれぞれの市町村長で判断されるべきことで、大阪府が判断すべきことじゃないと思いますが、学力がどうなっているのか、底上げをするためのいわゆるテストの実施については、大阪府全域でやっていくべきものだというふうに僕は思っています。

◆(内海公仁君) 学力の向上という課題、テーマについては、今必要なことはテストを増やすことではないというふうに私は思っております。教師集団がしっかりと子どもたちと向き合う時間をどれだけ保障することができるか。繰り返し指摘されている大阪の子どもたちの課題となっている読解力、読んで理解することをしっかり身につけるための授業をまずしっかり行うこと、そして学校図書館などを大いに活用して、子どもたちの自ら学ぶ楽しさを引き出すことなどに重きを置くべきだと思っております。それを行うためにこそ、少人数学級三十五人以下学級の取組に大阪府として力を入れるということが今大切だと私は思います。
 中学校のチャレンジテストと小学校のこの新たなテストを合わせると、六億六千万からの費用になります。仮にこの六億余りの予算があれば、小学校三年生での三十五人学級以下を全市町村で実施していくための半分ぐらいの予算を確保することができることになります。特に小規模の小学校などでは、せめてあと一人教員の加配があれば、どれだけ子どもたちに行き届いた教育ができるか、こういうことを切実に私に訴えてくれていた東大阪の小学校の校長先生の話もあります。こういった現場の人を増やしてほしいという要望に対して、知事はどんなふうに考えておられますでしょうか。

◎知事(吉村洋文君) 少人数学級については、これこそまさに基礎自治体で再編していくべき話だと思いますが、低学年についての少人数の学級というのを進めているところでもありますし、あとは習熟度別の学級というのもまさに進めているところでもあります。そういったところのきめ細やかな教育体制というのは、市町村でしっかりとやっていくべきことだというふうに思います。僕は、やはり習熟度に応じた学びというか、そういったことが非常に重要だと思いますし、あとはそれぞれの学校の先生が非常に負担が多くなってきていますから、そういった学校の先生の過重労働というか、学校の先生が本来やらなくてもいいやんかというようなことについてはどんどん減らしていく。これは僕も基礎自治体の長としてかなりやりました。そういったことをやって、学校の先生が子どもたちと向き合える時間というのをどんどん増やしていく必要があるだろうというふうに思います。
 あわせて、学校は仲よしクラブじゃないですから、学校の中で集団生活をして、そこで学ぶことも多いし、そして、やっぱり個人差があるので、学力向上といっても、みんなが百点を求めるものでもないし、必要もないと思いますが、三十点の子がいれば三十五点を目指す、七十点の子がいれば七十五点を目指す。少しでもいいから、考える力とか、問題にぶち当たったときにそれを乗り越える力というのを子どもたちにつけさせてあげる。今後社会に出たときに、これから中国や成長する東南アジア諸国とも競争していくのは避けられないですから、子どもたちに生き抜く力を僕はぜひ身につけてもらいたいと思います。みんなで仲よしクラブで終わって、最後社会に出たときに、競争社会の中で全く生きていけないなら、結局困るのはその子どもたちですから、そういった子どもたちじゃなくて、生き抜く力を、切磋琢磨するときは切磋琢磨する、そして学力を少しでも伸ばす努力をしていく。もちろん個人差もあるし、なかなか伸びない子もいる、その個性はちゃんと尊重した上でしっかりやっていく必要があると思っています。
 学力テストについては、そういった状況をまず分析する、そして、これを指導に役立てるということも非常に役立つと思いますので、僕はそこをしっかりやっていくことこそが、子どものプラスになるというふうに思っています。僕自身は、生きていこうと思ったら、自分の家族を養うぐらい生きていけますから、知らないと言えば済む話ですけど、そういうわけにはやっぱりいきませんから、これからの子どもたちに生き抜く力をつけてもらうということが、教育において非常に重要なことだというふうに僕は思います。
 なので、今回の学力テストについても、五年、六年で経年的に調査をして、これは勉強だけじゃなくて、いろんな生活状況のアンケートなんかもやりますけども、それぞれの一人一人に合った個人カルテをつくって、伸びている部分、伸びてない部分、そしてなかなか厳しかった部分、そういったものをきちんと客観的に分析をして、そして次につなげていけるように。中一ギャップもありますから、この資料は中一につなぎますので、中一ギャップも防いでいくようにする。そういったことにぜひ役立てて、大阪の子どもたちの成長の土台、生き抜く力を身につけるための土台づくりにぜひしていきたいというふうに思います。

◆(内海公仁君) 私は、教育というのは、競うこととか、あるいは比較することが必要な問題ではない。大事なことは、一人一人が知らなかったことを知る喜びをつかむ、そして自ら学ぶことが喜びになるような、そういう体験を重ねることが教育の役割だというふうに私は思っております。その点では、そういう立場に立った教育がさらに進められることを願って、引き続き議論をさせていただきたいなというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。



   


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