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議事録

総務常任委員会(2019年11月20日) 石川たえ府議の決算知事質問


・副首都推進本部等運営費負担金について

◆(石川たえ君) おはようございます。日本共産党の石川たえです。
 副首都推進本部等運営費負担金についてお聞きをいたします。
 負担金百五億円の中に嘉悦学園への支払いが含まれていることは、先日の委員会でお聞きをいたしました。ただ、この報告の信憑性について、多くの研究者が指摘をしています。例えば、大阪市の扶助費は他の政令市よりも高い、同時にこの扶助費に連動して人件費も高くなる、その他にもさまざまな指摘があることも委員会で申し上げました。
 大阪市のほかの指定都市を超過する分の社会福祉費などを考慮に入れ、大阪市と比べた特別区の権限、仕事の縮小を大阪府が代替しなければならないことによる府の歳出増を考慮し、シミュレーションされた研究者もおられます。この方のシミュレーションでは、大阪府歳出増足す特別区歳出減、この合計は、大阪府足す大阪市のそれよりも一年で四百五十五億円大きくなり、十年間で約四千五百五十億円の損失、経済的マイナスになると、嘉悦学園の報告書と真逆の結果が出ています。
 多くの意見や指摘、真逆の試算結果もあるにもかかわらず、嘉悦学園の経済効果に信憑性があると知事は考えておられますか。

◎知事(吉村洋文君) まず、この嘉悦学園の調査ですけども、まず予算を編成いたしまして、当然その審議も経て、そしてこれは公募によりまして手が挙がって、そしてその公正な手続の中で選定された専門事業者による評価、そしてこの選定委員会も、第三者による公募の選定委員会によって選定された第三者による評価というふうに思っています。
 もちろん、この大阪都構想については、賛成派、反対派それぞれいますから、反対派の学者の立場からこの評価書について意見を述べるということは、行政外でやることは普通にあることだとは思いますが、それは一定のポジションに立った意見だと僕は認識をしています。
 具体的に御指摘の部分ですけども、扶助費、公債費についても、ここは他市より突出して多い扶助費--大阪市ですけど、それから過去の債務に対する支払いであるいわゆる公債費、そこについては除外して財政効率化効果を出すのが、やはり算出の方法としては適正だろうと。その理由も報告書の中にも示されている、なぜ除外するかの理由も示されているところです。
 一方で、できるだけ恣意性を排除する算定方式に基づくというのが、この嘉悦学園の経済効果の報告書の肝になっている部分であります。
 ですので、この嘉悦学園の出した経済効果に対して、僕は、中立な立場から判断したものとして、専門的な立場から判断したものとして、信憑性はあるというふうに認識をしています。
 また、その中身の信憑性については、法定協議会においてそれぞれの立場、会派からの意見もあったところですから、そういったところを経て、この経済効果自身は、信憑性があるものというふうに僕は思っています。

◆(石川たえ君) 二問目にかかわっても、今知事から少しお触れになられましたので、それぞれの研究者はそれぞれのポジションがあるだろうということでしたので、通告はしていましたが、ちょっと二問目は省きます。
 今事業者の専門的知見に基づいて実証的に示された適正な算出というふうに言われていたと思いますが、扶助費が高いから省いたら中立になるかというと、私はそうではないと思います。扶助費は、生活困窮の支援を初め子ども医療費など市民生活を支える大きな科目の一つです。他市より大阪市の扶助費が高いということは、大阪市民の暮らしが他市よりも大変だということをあらわしています。これを省いて計算すること自体、市民の暮らし目線がないのではないかというふうに思いますし、ここを省いて幾ら経済効果があると言われても、なかなか納得できるものではありません。
 市民の暮らしに沿って考えるなら、現行制度を継続できるかという問題も生まれてまいります。例えば、子どもの医療費助成がありますが、大阪府は、通院については就学前まで補助をしております。大阪市が、小学校入学から十八歳までの補助を行っています。特別区になれば、平成三十年四月六日の法定協の資料によると、これを続けるかどうかは特別区の判断に任せるというふうになっています。特別区設置時点は「維持」、設置後は「維持に努める」、つまり努力目標というふうに書かれているわけです。現行の子ども医療費助成が維持される保証というのは、ここにはありません。住民施策が後退した場合のマイナスコストも入れて、経済効果が十年で一兆円もあるというふうに言っているのかと疑問を持たざるを得ません。
 大都市制度のあり方は、単に一つの事業が変わりますというものではありません。大阪市の形そのものが変わるかもしれないときに、暮らしの大変さが反映されていない、暮らしや子育てを守る制度継続の保証もない、さまざまな意見や指摘があるにもかかわらず、嘉悦学園に府市で約一千万円もの支出をしたのは誤りだとは思いませんか。

◎知事(吉村洋文君) 委員御指摘の例えば先ほどの子ども医療費助成でいけば、大阪市は、つい最近まで十分な医療費助成はしていませんでした。平松さんのときは、多分ほとんど--小学校の入学前ぐらい、入院は入学前か、通院は小学校の途中ぐらいまでだったと。ここは、ちょっと確かな記憶ではなくて、そういうふうに認識をしていますが、橋下市長のときに大阪市において十五歳まで拡大、そして僕が市長になってから十八歳まで拡大をしたと。つまり、それはずっと大阪市が綿々と続いているというよりは、これは財政改革によって、そういった医療費助成について取り組んできたというものでもあります。
 だから、ここは当然首長のスタンスというのはあると思いますが、大都市制度改革がそれによって危なくなるというものではないというふうにも思っています。
 公債費については、その制度改革そのものによって、その変更によってすぐに効率化が出るというものでもないと思っていますし、そういう意味では、この嘉悦学園の経済効果を算出するという方法において、専門家の立場から、当然大阪市は生活保護も多いわけですけど、そういう生活保護がなくなるわけじゃなくて、それは継続するわけですから、継続していくという意味では、その部分について、その変更によって生活保護じゃなくなるわけじゃないから、そういう意味では、大都市制度改革の変更によってすぐ効率化できるものではないというのはそのとおりだと思いますし、それは専門家の立場からそう判断したので、今回の報告書ではそこの部分は除いたというのは、一定のいわゆる客観的な判断なんじゃないのかなと。色眼鏡を取った判断なんじゃないのかなというふうにも思っています。
 この嘉悦学園の評価自体は、先ほど申し上げたとおり、予算も編成した上で、そして第三者の公募手続の中で選定手続を経て、そして報告書として提出されたものなので、不適正な支出とは考えておりません。

◆(石川たえ君) まず、先ほど来、今いろんなポジションの方もおられるということであるとか、公正に選定委員も選ばれているし、適切なものだというお話をされてるんですけどね、意見はいろいろあると思うんです。知事おっしゃるとおり、ポジションによって意見は違うと思います。ただ、こういう意見を一つ一つ取り入れていくかどうかで、結論は変わってくるんじゃないかなというふうに私は思っております。
 なので、もうこれが正しいんだというふうに、客観的な判断としてそう思うというふうに言われていましたけれども、そうではないというふうにおっしゃっている方もおられるわけですから、こういう人たちにもしっかり耳は傾けるべきじゃないかなというふうに思います。
 経済効果についても、この報告で住民に説明して、果たして本当に納得が得られるのかという疑問もあります。嘉悦学園への委託費だけではなくて、大都市制度と称して五億もの府民の税金と職員の労働力を使うことが、本当に果たして大阪府民にとって必要なことなのかというのは、改めて立ちどまって考えるべきではないかというふうに指摘も申し上げておきます。

・被災者生活再建支援事業とみなし仮設住宅供給事業について

◆(石川たえ君) 次に、被災者生活再建支援制度とみなし仮設についてお聞きをさせていただきます。
 被災者生活再建支援制度についてですが、制度をつくる際、国のルールに準じる法的な根拠がない、こういうふうに先日御答弁はいただきました。国の支援が適用された自治体との不公平が生じると、こういう御答弁もされていました。私は、大阪府がその分を負担すればいいだけだというふうに考えております。
 府内被災者の生活をしっかり支えていく上で、なぜ大阪府独自のルールと制度のつくり方にしなかったんでしょうか。

◎知事(吉村洋文君) 被災者に対する支援については、ここはやはり国における統一的なルールというのが、まずその支援が基本にあるべきだというふうにも思っています。
 昨年の北部地震、それから台風第二十一号による被災者で、国の制度適用を受けたのは、これは地震によって高槻市のみと。これは、全壊戸数の数によって画一的に決まったわけですけど、それが高槻市のみだったと。
 ただ、府域内で同じ全壊あるいは大規模半壊の被災者がいるということで、その支援の差、いわゆる大阪府下の市町村の中でどうしてもその支援の有無に差が生じることになる。そこについては、公平性の観点から、支援対象の内容、対象について国制度に準じた府の独自制度、つまり大阪府内での公平性という点での大阪府の支援を、独自制度を創設したというふうにも認識しています。
 ただ、そこを乗り越えて、国とは違う一般的な、例えば一部損壊などについて大阪府だけ独自の制度を設けるというのは、僕はちょっと違うんじゃないのかなと思います。国においても、今回、一部損壊を台風で千葉だけに適用するような動きが当初はあったので、それは違うだろうということで僕も声を上げました。結果、安倍総理も、やはり一部地域だけじゃなくて、全国に適用される制度にするということ、減免もされた、それがあるべき姿じゃないのかなというふうにも思っています。
 なので、今回は、全壊は大阪府は高槻市のみというところで、公平性の観点から大阪府として独自の策をとったというふうに認識をしています。

◆(石川たえ君) 基本のルールがあると、国に準じるというふうにずっと言われてるんですけどね、国のそういう基準となるルールの上に被災者の実態を上乗せして、制度を自分ところで独自につくっている県というのはあるんですよね。なので、知事おっしゃるとおり、国がやるべきだというのは、私も異論もありませんし、国がやるべきだと思いますし、千葉だけではあかんやろうというふうに言われた知事の御判断は間違ってないと思いますけど、それでは足らんというのが私が申し上げていることで、ほかの県が国のルール以上のことをきちんとできているのに、大阪府にできないという理由はありませんので、被災者の実態にしっかり合わせるべきであるということも改めて指摘をさせていただきます。
 次に、みなし仮設についてですけれども、これも先ほどの質問と重なりますが、なぜ制度設計のときに初めから一〇〇%の府費負担の制度設計にしなかったんでしょうか。

◎知事(吉村洋文君) 一部損壊について、これは範囲も非常に広範にもなりますし、やはり基本的には広域的には国がやるべきだというのが僕の考え方ですけど、もちろんその中で大阪の状況に応じた支援策を独自に打っていくというのも、やはりそれは政策判断としてあるのかなと思っています。
 今回の大阪版のみなし仮設住宅制度、あるいは大阪版の被災住宅の無利子融資制度というのが創設されたわけですけど、まさにこういったのは、その状況に応じて個別に被災者支援のために大阪府において実施したものというふうに認識をしています。
 ただ、そこの制度を構築するに当たって、やはり関係市町村とともにつくっていくということは重要だと思いますし、このみなし仮設についても、制度創設時に関係市と協議をして、そして負担割合も二分の一とするという制度をまさに関係基礎自治体と協議してその判断をしていった。市町村においても、被害の状況に応じてその必要性を判断されたというふうにも認識をしております。
 なので、委員は、府が全額負担してというふうにも御指摘をされますが、やはりここは被災自治体とも協議しながら、被災自治体においても被災者を支援するという重要な基礎自治体としての役割があるわけですから、そこはともに制度をつくっていくのがあるべき姿じゃないかなと思います。

◆(石川たえ君) 基礎自治体と協議をしてこの制度設計になったと、負担率もそこで御理解いただいているんだというお話だったんだと思うんですけどね、被災自治体全部との協議はされていないですよね、一部だったというふうに思います。
 被災自治体が、それでいいよというふうに言わはったとしても、被災者で実際みなし仮設に入れなかった人というのは存在するわけで、この人たちは入りたかったわけで、でもそこの基礎自治体の判断によって、うちとこ要らんわというふうになれば、その被災者にはみなし仮設の提供はされなかったんですよね。
 先日も申し上げましたけれども、このみなし仮設は、大阪府は門戸が制度設計としてはすごく広くて、一部損壊の人も入れるよという、割と懐の大きい制度になっているなというふうには思っているんです。だからこそ、大いに活用してもらうことが大事で、基礎自治体と相談したから、まあこれでええやろうじゃなくて、入りたいのに入れない人を残さないという立場が、私は大事じゃないかなというふうに思っています。
 日本に災害がこれからどの程度来るかというのは、私にはわかりませんけれども、恐らく大きな災害が来るだろうということが想定されます。そういうときに、被災地をしっかり守っていくシステムをつくっていくことが必要だと思います。
 ある弁護士さんは、やはり被災者一人一人を大切にすることは大事だというふうに強調をされているわけです。本当にそのとおりだなというふうに私は思います。被災者を被災者という一くくりにしてしまわないで、一人一人の被災者の生活をどうやって再建し、どうやって支援していくのか、そういう仕組みにしていかなかったら、取り残されてしまう人が残ってしまいます。
 大学で、災害について、あちこちの大学でいろんなゼミがあったりとか授業があったりとかしますけれども、そこで学んだある大学の学生さんは、行政は住民の生活の実情に合った対応をすべきだということをここで学んだというふうに感想を書かれているわけです。
 被災者という一くくりではなくて、一人一人の住民の生活の実情に合った制度をつくっていくことが、これからの大阪に求められるんじゃないかなということも申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。



   


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