「いじめ」問題克服のための緊急申し入れ

大阪府知事   太田  房江 様
大阪府教育長 竹内   脩 様

2006年11月24日  

日本共産党大阪府会議員団 
団 長   宮 原  威   

「いじめ」問題克服のための緊急申し入れ

 北海道・埼玉・福岡など全国各地で「いじめ」を苦に自殺に追い込まれる痛ましい事件が相次ぐ中、大阪府内でも富田林の中学生が「いじめ」のため自殺する事件がおきた。子どもたちが、かけがえのない生命を自らの手で断つという最悪の事態が進行している。

 大阪府は、「知事と教育委員長メッセージ」と「教育長メッセージ」を発表すると共に、改めて独自の調査を実施されているところである。

 わが党は、1994年11月愛知県西尾市の中学生の「いじめ・自殺」事件がおきた際に「日本共産党の提言」を発表したが、残念ながら今日に至るまで「いじめ」問題克服の取りくみが大きく前進しできたとはいえない。

 大阪のいじめ発生件数も2001年から毎年増加傾向にある。文部省は1985年をピークに「いじめ」が年々減少傾向にあるとしていた。大阪では2004年には1158件と1985年の1.5倍にもなっている。また、少年自殺件数は03年33件、04年29件など、子どもの数が減少している中で、いじめ・自殺の件数が増加しており問題の深刻さをしめしている。今日の「いじめ」は、特別な子どもの問題ではない。

 「いじめ」の背景には、

 第1に、小学校低学年からの競争教育でストレス、不安、抑圧感などを蓄積させ、そのはけ口として攻撃的に弱い者への「いじめ」がおこなわれていること。

 第2に、子どもをとりまく環境が急激に変化し、子どもの世界から遊びがうばわれ、人間としての成長の場が減っていること。さらに、保護者の長時間過密労働などにより子どもとかかわる時間が減少し、家庭内の結びつきの希薄化もすすみ、子どもの成長に影響を与えていること。また、子どもの成長を歪める退廃的文化の氾濫が悪影響をあたえていること。

 第3に、社会と政治のゆがみの問題。

 こうした申、子どもが多くの時間を過ごしている学校でストレス、抑圧感が増幅されている問題を何よりも考える必要がある。本来、学校は社会的病理に抵抗して子どもを守る防波堤でなければならない。大きな社会的現象となっている「いじめ」問題の責任を個々の子どもや親、教師の問題に解消することはできない。今こそ、この問題に抜本的にメスを入れなければならない。

 わが党府議団は、いまこそ大阪府と府教育委員会が「いじめ」根絶にむけて抜本的な取りくみをすすめるよう左記の点を緊急に申し入れるものである。

1、学校で人間を大切にする教育を中心にすることをはじめ、学校、家庭、地域で「『いじめ』はいけない」を共通認識にし、勇気をもってあたれるようとりくむ。

(1)憲法・教育基本法の理念にもとづき、すべての子どもたちに、確かな学力、豊かな情操、しっかりした体力を発達に即して身につけさせる教育実践をすすめる。

(2)学校教育のあらゆる場で「いじめ」が人間として許されないこと、人問は互いに尊重されるべき大切な存在である事を学ばせる。

(3)家庭・地域でも話し合う機会を積極的につくる。

(4)啓発活動を各種団体、関係機関が協同してすすめる。

(5)いじめる子どもに対する心理的ケアも重視し、人問的成長を支援する。

2、子どものシグナルを見逃さない。
 子どもたちの人権や命にかかわる問題がおきた場合は、「いじめ」をうけている子どもの苦悩や「訴え」を敏感にキャッチし、初期の段階でのすばやい対応をすべてに優先させておこなう。対応を担任まかせにしない。

(1)職員会議や学年会議で子どもの状態を率直に討議し、日常的にも教職員の敏感な連絡や情報交換などをとおして、すばやく対応がはかれるよう体制を確立しておく。

(2)すべての学校と教育機関にいつでも安心して相談できる窓口を開設する。

(3)多くの子どもの「かけこみ寺」的存在となっている学校の保健室の施設・設備の拡充整備、養護教諭の複数配置をおこなう。

(4)30学級以上の小学校に大規模校加配をおこない、生活指導と進路指導の教員をすべての中学校に配置する。

(5)早期に小学校3年生と中学校1年生を35人学級にする。

3、子ども自身のとりくみを大切にする。
 ほんらいどの子どもも正義感や人への思いやりをもっているし「いじめ」をなくしたいと思っている。子ども自身の取りくみをうながすことは、子ども同士で相互の信頼と連帯感が深まることになり、「いじめ」克服にとって大切なことである。

(1)あらゆる場で子どもの発言を保障し、クラスや児童・生徒会などでの自主的活動の中で話し合いを深め、子どもの自治の力や人権意識を育んでいく。

(2)「子どもの権利」手帳を作成し、すべての児童・生徒に配布し学習活動をすすめる。

(3)すべての子どもの出番をつくるための多様な自主活動を組織する。

(4)PTAや各種の教育懇談会、父母の集まりのなかで「いじめ」や「不登校」問題などを積極的にとりあげ、自主活動を活発にしていく。

4、異常な競争教育から子どもたちを解放するためのとりくみを早急にすすめる。
 国連の「子どもの権利委員会」は2度にわたって日本の教育が「過度の競争教育」を子どもたちに押しつけ、子どもの発達を阻害していると、その是正を勧告している。

(1)競争をあおっている高校の「学区拡大」や「多様化」を再検討する。

(2)学区を合理的に縮小するとともに、入試制度の改善、私学助成の増額などで、名実共に高校の希望者全員入学を実現して過度の競争教育を緩和する。

(3)府立高校の授業料の全国平均並みへの引き下げと減免制度を改悪前に戻す。

5、教職員の多忙化の解消をすすめるとともに教職員の管理一統制の強化をやめる。
 教職員が忙しすぎてゆとりのないことや管理体制の強化が「いじめ」問題への対応を困難にしている。

(1)国に30人学級の実施を要求するとともに、府としても少人数学級を拡充し、独自加配教員を配置する。

(2)教職員が一致協力して取り組むことを困難にする「教員の評価・育成システム」「成果主義賃金」など教職員の管理統制、分断する制度を廃止する。

(3)職員会議を校長の伝達機関化する学校管理運営規則の改悪を中止する。

6、急にとりくむ必要があるもの。

(1)「いじめ」(「不登校」も含めて)の全児童・生徒・保護者対象の実態調査をすべての学校で実施する。

(2)府教委として「いじめ」.根絶のための「政策提言」をおこなう。その際、府教委としての具体的支援策を明らかにする。

以 上