同和問題解決のために、市町村への同和行政推進の働きかけをやめ、
同和行政の完全終結を求める申入書

大阪府知事 太田房江 様

2007年6月11日   
日本共産党大阪府議会議員団
団長 宮原 威  

同和問題解決のために、市町村への同和行政推進の働きかけをやめ、同和行政の完全終結を求める申入書

 大阪府市長会と大阪府町村長会は昨年5月、部落解放同盟大阪府連合会の要望を受け、「『同和地区』の位置付け、呼称問題に関する研究会」を大阪府とともに設置し、本年2月、研究会は報告書(案)をまとめました。5月の市長会、町村長会では、この報告書(案)に異論が出され、継続となっています。

 報告書(案)は、地対財特法失効後も、同和問題解決のために引き続き同法で指定された地区を「同和地区」と呼称し、「同和地区」の実態把握を適宜実施していくなどとしています。

 当議員団は、報告書(案)を確認・承認しないよう、市長会、町村長会に申し入れました。それは、同和問題が基本的に解消するなかで、行政が、報告書(案)にまとめられた内容を確認し、同和行政を推進することは同和問題の解決に逆行するからです。

 部落解放同盟は、「部落差別が現存する限り、同和問題解決のための施策の推進に努める必要がある」とした2002年の府同和対策審議会の答申をよりどころに、同和行政の推進を求めています。それは、「同和地区」の再確認と実態把握の継続は、「同和地区」への差別意識の存在を確認し、その解消のために、「同和地区」を対象とした同和行政を続けるという際限のない連鎖につながります。

 2005年に府が実施した同和問題での府民意識調査について、同調査検討委員会委員の奥田均近畿大学教授が、「府民意識調査は、府民の意識の中に差別のまなざしが、どのように残っているのかを確かめようという調査」(2006年6月19日『解放新聞大阪版』)と述べているように、こうした調査は、「同和地区への差別」を前提にしたり、「差別意識」を見つけ出すという性格が色濃いものです。それは設問内容にも現れています。こうした調査や実態把握はただちにやめるべきです。

 報告書(案)作成にあたっての府の関与は大きいものがあります。作成に関わっただけでなく、報告書(案)は、府が2002年と2005年に出した同和問題についての府内市町村への通知の「具体化の取り組みに向け、研究会を設置した」としています。

 これらの府の通知は、特別対策が終了しても「同和対策事業を実施してきた同和地区がなくなったといったことを意味するものでは」ないとし、「同和問題解決のための行政を総合的に推進する必要があ(る)」としたり(02年通知)、「同和問題の解決に向けた一般施策による取組みを効率的、効果的に推進していくために」、「相談事業や差別の現状、旧同和事業対象地域における生活実態・意識、府民の意識などを通じて実態を把握することが重要」とし、「人権意識に関する府民意識調査」、「行政データを活用した実態把握」、「相談事業を通じた実態把握」を実施、検証していく(05年通知)としている。

 報告書(案)は、部落解放同盟だけでなく、府の意向を反映したものでもあります。府は、これらの通知を撤回し、両会とともに報告書(案)を撤回すべきです。また、同和問題の解決に役立つ施策を示すなど、市町村への一切の同和行政の押し付けをやめ、府自身が、同和問題の解決のために同和行政を完全に終結することを強く求めます。

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