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コロナ対策後回しだめ 大阪府議会 内海府議が知事追及

 5日開かれた大阪府議会本会議で日本共産党の内海公仁府議が質問に立ち、新型コロナ対策の拡充、小学校の35人学級の府独自の先行実施、大阪市の都市計画の権限と財源を府に移譲する「府市広域一元化」条例案撤回を吉村洋文知事に迫りました。
 大阪府は新型コロナの高齢者の感染者率と死亡率が全国より高く、背景に高齢者施設などでのクラスターの多発があります。内海氏は、高齢者、障害者の入所施設の無症状従事者への一斉・定期的検査を4月以降も継続し、通所施設利用者、病院などの医療従事者にも拡充するよう要求。医療機関への減収補填(ほてん)、保健所の強化を求めました。
 知事は、一斉・定期的検査の拡充は対象者が多いなどとして「困難」としました。
 また内海氏は、小学校全学年での35人学級を府独自に国に先行して実施するよう要求。知事は「市町村が考え、実施していくべきもの」と述べました。
 「府市広域一元化」条例案について内海氏は、政令指定都市の権限を侵す事項の委託は地方自治法上認められないと指摘。知事が「府市の連携を強固にし、大阪の成長・発展に必要で、住民投票の結果を尊重するもの」と強弁したのに対し、内海氏は「連携を強固にすることと権限を移すことは本質的に違いがある。連携はこれまでも行われている。狙いは大型開発推進、都心部開発で、大阪市以外のまちづくりは後景に追いやられる」と反論。「新型コロナ対策は国の施策に従うばかりだ。コロナ対策を後回しにして府市一体の制度いじりに固執していることが問題だ」と批判しました。




「しんぶん赤旗」2021年3月6日付より

内海議員の本会議一般質問の大要を紹介します。

1.新型コロナ再拡大を抑え、府民の命と暮らしを守る

 日本共産党の内海公仁です。
 始めに新型コロナ感染症対策に関して質問します。

(1)高齢者、障がい者施設の全員・一斉・定期検査の拡大を

 昨年11月から今年にかけての第三波の感染拡大の状況は、病床使用率のひっ迫、多数の自宅待機者を残す、高齢者施設などでの集団感染など深刻です。
 全国と比較しても高い高齢者の感染比率と死亡率の原因は、高齢者施設などでのクラスター多発です。
 パネルをご覧下さい。

 クラスター発生の68%が高齢者施設、医療機関となっています。全国の43%と比べても極めて高い割合です。
 新規陽性者が少なくなっている今だからこそ、高齢者の感染拡大を食い止めるための体制づくりが必要です。
 2月4日の厚労省通知を受けて、10日の記者会見で知事は、高齢者と障がい者施設の従事者対象に無症状者の検査を行うとしました。
 高齢者施設などの切実な声が反映され、わが党の繰り返しの要望が実ったものとして評価します。
 しかし、対象者は施設の職員だけで、府保健所管内で4万人、保健所政令市合わせて11万人ほどです。
 通所利用者の検査が対象になっていません。しかも検査は3月末までに2回という限定であることも問題です。これでは、高齢者施設等での感染拡大を食い止めるためには不十分です。
 感染リスクの高い通所利用者も対象にすること、4月以降も必要としている施設に対して続けて検査を実施すること、病院などの医療従事者も同様の対応をすることなど、抜本充実すべきす。
 答弁を求めます。

吉村知事
今般、緊急事態宣言下における対策強化のため、国通知や府内の検査能力をふまえ、3月未までの間、政令市・中核市を含めた大阪府全域で、クラスターが発生した場合の重症化・死亡リスクがより高い高齢者入所施設等の職員約11万人を対象に、定期的な検査を実施することとしました。
 現在、感染が収束傾向にあることから、4月以降の定期検査については、感染の拡大状況等を踏まえて判断します。

 第39回の対策本部会議に対する専門家の皆さんの意見でも、高齢者施設でのクラスター発生を防止するために定期的なPCR検査の継続の必要性が指摘されています。
 寝屋川市では、独自に2月から特養ホーム19か所などで定期検査をおこなう中で、スタッフ1人の陽性が見つかり、クラスターの拡大を防ぐことができた、とされています。
 このように、高齢者施設での定期的検査、通所利用者も含めた検査の継続は今本当に必要です。
 新規感染者数の落ち着いてきている今こそ、この取り組みを強化すべきです。知事はその立場に立つべきです。
 再度知事の考えをお聞きします。

吉村知事
 大阪市内でも寝屋川市同様やっていますが、職員は大阪府全域で11万人やっており、4月以降は定期検査については感染状況をふまえて判断します。
 府内の高齢者及び障がい者施設の職員は合わせると約41万人、利用者は約104万人おり、医療従事者約16万人を含めて全員を一斉・定期的に検査することは困難です。
 なお、高齢者施設等の新規入所者に対しては、症状の有無に関わらず、医師の判断のもと、積極的に検査していただくよう周知するとともに、検査を実施できる連携医療機関がない場合に、診療・検査医療機関を紹介するコールセンターを設置したところです。
 併せて、保健所等を介さずに検査の予約ができるスマホ検査センターでは高齢者入所施設の入所者等を幅広く対象としており、有症状者への迅速な検査等の実施により、引き続き、高齢者施設等のクラスター発生の未然防止に努めていきます。

 積極的な検査を始め、感染抑え込みの戦略なしに経済再生はありえません。
 さらに、医療機関への減収補填と、保健所の増設も含めて職員体制強化に本格的に踏み込むべきことを強く要望します。

(2)事業所への支援拡充、府独自の支援を

 第三波の感染拡大が拡がる中で、大阪市内の飲食店は相次いで時短営業が要請されました。さらに1月中旬からの緊急事態宣言後は府下全域に拡大され、飲食店を中心に影響は広範囲に、しかも深刻になりました。
 パネルをご覧ください。

 大阪商工団体連合会が1月にまとめた小規模事業所を中心とした実態アンケートでは、飲食店以外の売上の対前年比較で見ても、2割以上の売上減少は66.5%にものぼっています。
 回答した業者からは次のような声が寄せられています。
 「通常営業が夕方までなので支援金の対象外。しかし緊急事態宣言で客は来ない。コロナは夜だけではない。昼営業の飲食店にも補償してほしい」「コロナ禍で影響を受けているのは飲食店だけではありません。納品している業者も、かなり厳しい状況でも、支援金がもらえない制度を見直してほしい」「飲食店ばかりでなく、私たち露天商は、花見、花火大会、初詣などでの出店ができず困窮しています」
 時短営業の要請を受けた飲食店で、協力金の範囲ではとても営業を維持できない事業所に対する、上乗せの支援が必要です。
 さらに、要請を受けていないが売上減少になっている事業所への国の限定的で小規模の制度では、救われません。売上減少の事業所への支援金制度をぜひ実現すべきだが、どうか。
 知事の見解を伺います。

吉村知事
 事業規模等に応じた時短協力金の上乗せについてはこ、3月1日からの、大阪市内を対象とする時短要請では、大阪市と遷携し、府の時短協力金に家賃の負担額を考慮した制度を独自に上乗せ、組み合わせることで、事業規模に応じた協力金を支給することになりました。
 また、営業時間短縮要請外で売上減少となった事業所べの支援については、今般、国において一時支援金の制度が創設されたところであり、現時点では、大阪府独自の支援策は想定していません。
 再び感染拡大に備え、国に支援金制度の拡充を求めていきたいと思います。

 冷たい答弁を残念に思います。
 売上げ減で苦しむ中小業者の声を聞く姿勢に立つならば、必要性を認めて知恵を出す立場に立ってほしいものです。

(3)国民健康保険料のコロナ減収減免継続を

 次の質問です。
 多くの自営業者が減収となり、国民健康保険料の支払いも大変です。
 2020年度は国制度としてコロナの影響に対する減免が行われ、その対象は府下で4万5千世帯を超える状況です。しかしこれが新年度どうなるのか、多くの皆さんが不安に思っています。
 コロナ禍の長期化で、今年に入っても売上が落ち込んでおり、今後の先行きも不安なままです。国保料の減免は引き続き必要です。
 21年度保険料に対するコロナ対策減免を継続するよう国に強く求め、国の制度が実施されない場合は府として独自の減免を実施するべきですが、どうか。
 答弁を求めます。

吉村知事
 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等にかかる国民健康保険料の減免については、今年度、国からの財政措置があり、全市町村において実施されています。
 府としても、本制度の継続が不可欠と考え、昨年10月、国の予算編成にあわせ緊急要望を行い、国の動きを注視しているところです。今後も、必要に応じて国に要望していきます。




2.どの子ものびのびと学べる教育環境整備

 教育にかかわって質問します。

(1)少人数学級を国に先行して実施を

 今年度は、コロナの影響を直接・間接に受け、子どもと教育を巡って試練の年となりました。
 2か月に及ぶ一斉休校の後、再開された学校生活は、これまでと同じ狭い教室に40人がひしめき合って、しかも授業は詰め込み、夏休みも減らされ、学校行事も次々と減らされる。子どもたちは、心休まる間もないことになってしまいました。
 パネルをご覧ください。

 コロナ禍で暮らしの変化もあり、家でも学校でも居場所がない子どもも増え、文科省のまとめによると2020年に自殺した児童生徒の数が前年比4割増の479人と過去最多になりました。
 こうした状況の中で、今国会で義務教育標準法の改正案が提出されました。永年の少人数学級を求める全国の運動がようやく実現するものと歓迎します。
 しかし内容は、5年かけて1学年ずつ、中学校は置き去りというもので、子どもたちの実態や現場の願いからはかけ離れています。
 大阪府教育庁は、これまで少人数学級については、必要性や効果を認めつつも極めて消極的でした。その一方で、子どもたちの競争を煽り学校間の格差を拡大する「中学生チャレンジテスト」を強行し、加えて新年度から小学校5~6年生にまで競争を拡大する「すくすくテスト」を実施、併せて6億円を超える予算を投入しようとしています。
 学力の向上のためなどと正当化していますが、児童生徒の立場に立っての施策とは到底思えないこれらのテスト漬けの考えを改めて、文科省の方針転換を率先して府内すべての子どもたちに行き届かせるために、府教育庁は舵を切り替えるべきです。
 そこで教育長にお聞きします。
 少人数学級を一気にすすめ、中学校でも実施に向かうために、文科省の法改正の趣旨を受けて、府独自に先行して小学校全学年で35人学級を実施するべきですが、いかがですか。

酒井教育長
子どもたちの安全・安心を守り、より効果的な指導を進めるため、府としては、35人学級が未実施の学年について、国加配を活用し、教科や習熟度に応じて学級を分けて指導する「少人数習熟度別指導」か、1クラス増やすことで学級の人数を少なくする「35人学級編制」かを、市町村が実情に合わせて選択できる取り組みを今後も継続します。
 また、35人学級の早期実現と教員加配の拡充を国た働きかけてまいります。

 わが党の調査では、2021年度から全国15道県で、独自に少人数学級を先行拡充しようとしています。これこそが、広域行政としての都道府県の果たすべき姿勢ではないでしょうか。
 知事に伺います。これまで遅れをとっていた大阪府の態度が今問われている時です。知事として、35人学級を先行して実施する、そのために府費を先行投入するという決断が求められていますが、ご答弁下さい。

吉村知事
 小学校での指導については、個々の児童の課題に応じてきめ細かに行うとともに、教員が子どもたちとじっくリ向き合える時間を確保することが重要であり、国が配置する教員を効果的に活用すべきです。
 府としては、市町村が学校の実情等に応じて、「少人数習熟度別指導」又は「35人学級編制」を選択できるようにしています。
 さらに、各校の状況に応じて、どのように教育体制を構築していくかについては、基礎自治体である市町村が考え、実施していくべきものであると考えます。


(2)「教育に穴が開く」問題の改善を

 教員の深刻な欠員状況についてです。
 東大阪市では2019年度、病休、産休、育休、途中退職、増学級などで教員の欠員が生じ、1か月以上にわたって配置できない「教育に穴があく」実態が、小中合わせて40校もあったことが報告されています。直ちに配置されなければならないのに年度末まで放置された「穴があいたまま」の学校が26校です。
 このような現状を、大阪府はどう認識しているか。そしてどのような対応をしてきたのか。今後このような事態を生まないために、批判の多い府独自の職員条例の問題や、正規の採用数を押さえてきたこと、待遇問題など、背景にある問題も含めてどう改善を図るのか。
 教育長の答弁を求めます。

酒井教育長
 病休や産育休等を取得する教員に代わって配置する代替講師については、年度途中に急遮欠最が生じるなどにより、速やかに配置できない場合があることは認識しています。
 このため、府教育庁では、講師希望者登録制度を設け、欠員が生じている市町村教育委員会や府立学校に登録者の情報を適宜提供するとともに、教員養成課程を有する大学に出向いての登録受付や、府民センター等での講師登録説明会の実施、退職教員への働きかけ等を行い、より多くの講師に努めています。
 今後とも、様々な取組みを行い、代替講師の速やかな配置に努めていきます。

 答弁は、表面的な対症療法でしかありません。大阪府として優秀な教員を安定的にどう確保するのか、仕組みの見直しも含めて、真剣な改善を強く求めます。

(3)知的障がい支援学校の新設を

 続いて支援学校新校整備についてです。
 府教育庁によると、「支援学校整備に関する基本方針」の中間見直しの結果、平成28年の推計値と比較して約200人増で、10年間で1,600人の知的障がい児童生徒が増加するという結果が出ました。
 ところが、この基本方針では、旧西淀川高校の施設を活用した新校整備が計画されているものの、その開校時期も遅れると言われています。
 既存施設の教室転用での詰めこみや通学区割り変更などではとても対応できません。
 国は、支援学校整備の補助率、現行1/3を、2024年まで1/2に引き上げる集中期間を設定しました。この機会を活用して、現状の詰めこみを回避し、増加人数に対応するため、8から10校程度の新校設置計画を持ち、子どもたちが安心して学べる環境を整備すべきと考えます。
 教育長の答弁を求めます。

酒井教育長
 知的障がいのある子どもは、これまで以上の増加傾向にあり、新たな支援学校整廟などの対策が待ったなしであることを踏まえ、今年度、「知的障がいのある児童生徒等の教育環境のあり方に関する基本方針」を府教育庁として取りまとめたところです。
 今後、この基本方針の考え方に基づき、「もと府立西淀川高校」を活用した支援学校の整備をはじめ、学習環境確保を進めていきます。

 積極的な整備計画を持つことを強く求めておきます。

(4)大阪市立高校の府移管は白紙に

 大阪市立高校の一斉府移管についてです。
 そもそも市立高校の府移管は、大阪市を解体するという、大阪維新の会が「都」構想の名で押しつけてきた施策の延長にあるものです。
 進め方も性急であり、実習助手や補助講師などの処遇も冷たいものです。実業系の整理統廃合も狙われています。3年連続定員割れで再編整備の対象とする府条例に縛られ、さらに廃校が狙われることになります。
 住民投票の結果を受けて、白紙に戻すべきことを求めるが、どうか。
 ご答弁ください。

酒井教育長
 市立高校を府へ移管し、府が一体的に運営することで、それぞれが培ってきた特色やノウハウを合わせて、より時代やニーズに応じた多様で魅力ある高校教育を提供していくことができることから、令和4年4月の移管に向け、取組みを進めていきます。




3.「府市一体条例」について

 「府市一体条例」についてです。
 11月1日の住民投票は、政令指定都市大阪市を廃止して大阪市域の都市計画などの権限と財源を大阪府に移すという「協定書」が否決されたのです。都市計画の権限や財源を大阪府に移すという中心的な命題が否定された訳ですから、吉村知事と松井市長はその結果に従うべき法的拘束力があります。
 知事はそのことを認識していますか。
 答弁を求めます。

吉村知事
 住民投票は、大阪市を廃止して特別区を設置することの賛否を問うものであり、事務委託などの現行制度を活用した府市一体の改革を進めていく、その取組みが否定されるものではありません。
 条例は、住民投票の結果を踏まえ、大阪市が存続する前提のもと、府市の連携をより強固にして、大阪の成長・発展に向けて、必要な改革を実行するものであり、むしろ住民投票の結果を尊重するものです。

 知事は、連携を強固にする、といいました。しかしそれと条例で権限を移すこととは本質的な違いがあることを知事はあえて触れていません。これがこの条例の問題点だと指摘しなければなりません。
 府市一体条例は、大阪市の権限財源を大阪府に移すことが条文に明記されています。しかし都市計画決定の権限は、政令指定都市として獲得された権限事務です。このような「決定権」にかかわる事務を委託することは、通常の「事務委託」とは切り離されなければなりません。
 地方自治の長年の研究の中でも「事務委託」の範囲は、決定権に及ぶことを極力回避してきた議論の経過があり、それが地方自治法の建付けです。
 それを侵すのが今回の条例ではありませんか。
 知事が、そうではないというのであれば、その根拠を示して下さい。

吉村知事
 地方自治法に定める事務の委託の範囲に制約はなく、法的に問題はないのは当然です。
 今回の事琴の委託は、大版の地域特性を踏まえ、大阪の成長に必要な府市の一体的な行政運営のために活用するもので、むしろ大阪が持つ強み、地方の強みを生かし、創意工夫を凝らした新たな自治の取組みと考えます。

 事務の共同処理の現状と問題点が議論になった2009年の第29次地方制度調査会。 また大都市法についての議論がおこなわれた2013年の第30次地方制度調査会の答申をみても、権限を基礎自治体に移行していくために必要な議論が中心であり、「三大都市圏から地方圏への人の流れをつくるための地域を支える拠点の構築」が課題になっています。
 この点から見ても、政令指定都市の権限を府に移すという行為が、地方自治の歴史的発展に逆行していると言わなければなりません。
 さらに、条例では、この間「二重行政」解消などと言って統合を強行してきた組織を列挙しています。しかし、産業技術研究所や大阪安全基盤研究所、大学法人大阪、大阪産業局などは、大阪市に限定した組織ではなく、大阪府域全体に直接かかわる組織です。「府市一体」の名で条例化することにはなじみません。
 なのに、府と大阪市の限定的な利害が優先される条例で縛られ、そのあとに他の市町村に押しつけられることになります。これでは、大阪府の広域行政の本来の役割を失います。
 大阪府は、府下全市町村の利害の立場に立って対応することが求められますが、それに逆行することになるのがこの条例の問題点です。
 「府市一体」条例に基づいて設置される副首都推進本部での議論に対して、大阪市以外の府内市町村の意見の反映は、どう担保されるのか。
 ご答弁下さい。

吉村知事
 府政運営において、府内市町村の意見を聴きながら進めるのは当然のことです。
 今回の条例は、府市一体で大阪を成長させていくためものであり、そのための知事、大阪市長のトップ協議の場として、副首都推進本部会議を位置づけています。

 府市の協調や協力は、これまでもその都度行われてきたものであり、今後も必要な市町村と意見交換もこれまで通り行うというのであれば、条例を作る立法事実は存在しないことになるではありませんか。
 狙いは大型開発の推進のみ、ということが明らかです。
 今、大阪府が力を注いでいる「グランドデザイン・大阪」で示されているまちづくりのエリアは、①新大阪・大阪②なんば天王寺・あべの③大阪城周辺④夢洲・咲洲⑤御堂筋周辺⑥中之島周辺の6ポイントです。
 これら全てが大阪の中心部開発ばかりではありませんか。
 大阪市以外の府下42自治体のまちづくりがすでに後景に追いやられています。
 これが条例によってさらに加速される恐れがあることを告発するものです。




4.近鉄大阪線連続立体交差事業について

 最後の質問です。
 パネルをご覧ください。

 東大阪市内で長年取り組んできた近鉄奈良線連続立体交差事業が、いよいよ集大成を迎えます。東大阪市内の交通利便性が大きく改善されました。
 そこで、次なる課題は、残された近鉄大阪線・俊徳道駅から久宝寺口駅間の立体交差事業です。
 ここには9か所の踏切が存在しますが、そのうち8踏切が、ピーク時40分以上遮断されるという、国土交通省が規定した「開かずの踏切」です。
 事故の発生状況も深刻で、過去5年で9件の事故が発生し、死亡事故は7件起きており、2か所の踏切が事故多発踏切に指定されています。
 この間、俊徳道第5号踏切の大規模な改良工事、弥刀駅直近の踏切に歩行者専用通路を増設するなどをしてきました。また、電車の通過スピードに応じて遮断時間を変化させる「賢い踏切」の整備もされました。しかし、根本的に「開かずの踏切」を解消することにはなりません。
 地域の住民からは、「人生のかなりの時間がこの踏切に奪われてきた。早く高架にならないか」と声が上がっています。
 広域行政としての大阪府の役割を発揮して、道路管理者、鉄道事業者、国土交通省も含めた協議のテーブルを設置し、事業化への課題整理を行うことを提案しますが、都市整備部長の答弁を求めます。

森岡都市整備部長
 連続立体交差事業は、府や人口20万人以上の市などが実施する都市計画事業で、地元市が事業化に向けた勉強会を通じて、事業範囲や関連するまちづくりの具体化などの検討を行い、事業効果などが見込まれる場合に、鉄道事業者との合意形成や国の事業採択を経て事業化されるものです。
 近鉄大阪線弥刀駅の周辺についても、まちづくりを担い交差道路を管理する東大阪市が主体となって勉強会を行う必要があり、府としても要請があれば、技術的支援など必要に応じて協力していきます。


 今の府政は、コロナ禍のもとで、府民や中小業者の苦境をどう解決するかという積極的な姿勢が見えてきません。
 保健・医療や検査の拡充も、中小業者支援も教育課題も国の施策に従うばかりです。
 独自に役割を果たす立場に立ってこそ、広域行政としての使命が発揮されるものですが、今の大阪府はそれを後まわしにして、府市一体化という制度いじりに固執していることが問題だと言わなければなりません。
 引き続き、府民の切実な声を府政に届けるために奮闘することを表明して、質問を終わります。
 ありがとうございました。



   


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