トップページ メールはこちら
Google
WWW を検索 日本共産党府議団サイト内を検索
議員おもな活動政策・見解定例議会府政資料リンク



橋下府政、福祉を縮小/大阪府議会/宮原議員が代表質問

 大阪府議会で4日、日本共産党の宮原たけし府議団長が代表質問にたちました。橋下徹知事がすすめる「地方分権」「地域主権」は府民福祉を縮小させるものだと明らかにし、福祉や教育を守り、内需拡大こそ経済も財政も立て直す道だと主張しました。
 宮原府議は、この10年間、大阪での貧困と格差は深刻で、介護保険料や就学援助基準、国保料などの自治体間格差も広がっていると指摘。橋下府政が中小企業振興費や福祉予算の削減、公立学校の1年契約の講師の増大など、「府の広域的役割をいっそう放棄してきた」と批判しました。
 橋下知事が「道州制になれば財源と権限でいろんなことができる」と述べたことに対し、宮原府議は子育て交付金が減り、学校警備員の配置をなくした自治体もあるなど、「分権」の名で住民福祉が縮小している事実を指摘しました。
 知事は国保料金の年内統一化はやめるとしましたが、現在2歳児までの子ども医療費助成の拡大などの府民施策の充実に背を向け、医療や中小企業対策の後退、府営住宅半減などの方針の撤回の要求は拒否。大規模開発の推進は表明しました。
 宮原府議は、「『道州制』は住民福祉や中小企業振興などは限りなく後退させる」とし、過去に失敗している"呼び込み型"開発の「成長戦略」を批判。「住民のための予算を増やし、暮らしを応接してこそ経済も活性化する道だ」と反論しました。

「しんぶん赤旗」2010年10月5日付より


宮原議員の質問の大要は以下の通りです。


2010年9月議会日本共産党代表質問(大要)

2010年10月4日
日本共産党大阪府議会議員 宮原たけし

 日本共産党の宮原たけしです。日本共産党大阪府議会議員団を代表して、知事、教育長、警察本部長および水道企業管理者に質問します。

1 橋下府政の3年をふりかえって

(1)大阪の「貧困と格差」の深刻さと府内自治体間の格差の広がり、国の責任


 派遣労働の急増、中小企業の下請け単価の切り下げ、社会保障の連続改悪などで、この10年間、「貧困と格差」が広がりました。
 三井住友・りそな・大林組・伊藤忠など、大阪で育てられた大企業が相次いで本社を移したにもかかわらず、大阪の資本金100億円以上の大企業の内部留保は、2000年の22兆8千億円から一昨年の24兆8千億円に増加しました。
 その一方で、この8年間で、府内総生産はマイナス3.6%と全国のマイナス2%より落ち込み、雇用者報酬はマイナス11%と、1か月分をこえる収入がなくなりました。
 いま日本は、輸出大企業の一人勝ちで、先進資本主義国の中で唯一成長が止まった国といわれ、その最大の原因は内需、とりわけ家計消費の落ち込みです。特に大阪は経済が縮小し、家計消費支出は、全国では2000年にくらべ2008年はわずかながら伸びているのに、大阪では4%も減っています。その結果、総生産に占める消費の割合は、全国は55%から57%に増えているのに、大阪は50.4%から50.1%に減っています。
 くらしが大変になり、府内総生産の半分を占める府民の消費が落ち込んだことが、大阪経済後退の最大の原因ですが、知事はどう認識していますか。

橋下知事就任前の07年度と就任後の09年度の比較
日本共産党府議団調べ
※総生産と雇用者報酬は07年度と08年度の比較
    07年度 09年度 増減
完全失業率 大阪 5.3% 6.6% +1.3ポイント
全国 3.9% 5.1% +1.2ポイント
企業倒産 大阪 2,166件 2,296件 +130件(6.0%増)
全国 1万4,366件 1万4,732件 +366件(2.5%増)
総生産(GDP) 大阪 39兆1,070億円 37兆9,850億円 -1兆1,220億円(2.9%減)
全国 515兆6,510億円 494兆1,990億円 -21兆4,520億円(4.2%減)
雇用者報酬 大阪 19兆6,490億円 19兆5,450億円 -1,040億円(5.3%減)
全国 263兆1,940億円 262兆3,901億円 -8,039億円(0.3%減)
生活保護率(3月) 大阪 2.61% 3.10% +0.49ポイント
全国 1.23% 1.47% +0.24ポイント
児童虐待相談件数 大阪 4,498件 5,436件 +938件(20.9%増)
全国 4万0,639件 4万4,210件 +3,571件(8.8%増)

 さらに問題は、府内各自治体間の大きな格差です。
 制度がスタートした10年前の介護保険料ひと月の基準額は、府内で一番低い自治体が2,682円、一番高いところとは699円の差でした。ところが昨年からの第4期の基準額では、その差は月1,309円と約2倍になりました。就学援助基準も、かつては生活保護の1.3倍でしたが、現在は基準の1.0倍から1.3倍まで差が広がりました。国民健康保険料は、65歳以上の高齢者2人世帯で年間所得200万円の場合、年額約20万円と約30万円の自治体があり、年10万円の差になります。
 これは、介護保険制度ができる1999年までは財源の2分の1を国が支出していたのに4分の1に下げたこと、就学援助は、2005年までは国が2分の1の支出をしていたものを廃止し、地方交付税化という減額をしたこと、国民健康保険では、国の負担割合を減らしてきたことが原因です。知事は、介護・子育て・医療など、ナショナルミニマムについての責任を国が少なくしてきたことをどう認識していますか。
 それぞれ答弁を求めます。

(2)橋下府政3年間の責任

 ところが、橋下知事がやってきたことは、国の悪政から府民を守るどころか、憲法と地方自治法が定めた住民福祉の増進という大阪府の広域的役割をいっそう放棄するものでした。
 今年度の中小企業振興予算は、ものづくり支援で2007年比44%、商業振興費は5分の1です。
 福祉では、街かどデイハウス事業の補助金は3分の1に、高齢者住宅改造助成事業や見守り活動補助金は廃止されました。障害者のガイドヘルパー派遣事業に対する市町村補助は今年度末に廃止です。
 さらに、2年前の知事就任時から、公立学校で1年限りの講師が1,309人増え、うち定数内講師が1,067人も増えている問題です。確かに、国が「三位一体改革」で小・中教職員の人件費負担を2分の1から3分の1に減らしたことも原因ですが、府の責任も重大です。現在、大阪全体で5,780人も常勤講師がおり、そのうち定数内講師が3,780人、クラスの担任など正規教員と同じ仕事をしています。
 それぞれの施策の後退が府民にもたらした影響について、具体的に答弁してください。

 なお、センチュリー交響楽団や国際児童文学館、「ワッハ上方」についての大阪府の支援を、もっとつよめることを要望しておきます。

 また、大阪府財政は2年続けて黒字となりました。しかし知事が登場する直前の2007年度と2009年度を比較すると、倒産の増加率は全国の3.3倍、児童虐待増加率は2.3倍です。知事は、3年間の予算を組んできましたが、府民の生活と経済が悪くなっていることをどう思いますか。
 答弁を求めます。

2 いのちと安全、福祉、教育、中小企業の振興など、大阪府の広域的役割の回復を

 本来、大阪府がやるべきことは、府民福祉と地域経済振興です。

(1)福祉・医療

 まず、福祉・医療の充実です。

 第1に、国民健康保険料についてです。まず確認しますが、年内の「府内統一化」にむけた制度設計はやめたのですね。
 府が国に求めるべきは、国保の「広域化」ではなく、国庫負担率を1983年以前の水準に段階的に戻すことです。また、法定外繰り入れをしている市町村に、独自に補助する制度を府がつくることはできませんか。
 答弁を求めます。

 第2に、予防・早期発見について提案します。たとえば高槻市では、国保加入者の人間ドックには上限3万円の助成、75歳以上の人には項目を増やして特定検診を無料で実施、今年度からがん検診は一般世帯も含めてすべて"ワンコイン"の500円でしています。早期発見と予防で医療費を抑えることもできます。特に、乳がんなら超音波やマンモグラフィ検査まで500円で受診できる制度は、死亡率のトップががんにもかかわらず検診受診率が低い大阪では重要です。人間ドックとあわせ府内全域で実施できませんか。

 第3に、子ども医療費助成です。太田知事が3歳未満児まで助成を広げた2003年度に6市が就学前までに広げ、今年7月では34市町村が就学前まで以上を対象にし、府制度に上乗せしていないのは1市です。0歳から2歳までおこなっている通院への府助成を毎年1歳ずつ引き上げ就学前まで実施すれば、府内全域で小学生まで対象が広がります。

 第4に、小規模通所授産施設および障害者福祉作業所への運営補助金打ち切りの問題です。現在の「財政再建プログラム」は、既存施設への補助金は2011年度までとされ、障害者自立支援法後に新設された施設・作業所への府は5年間補助するとしていました。ところが「財政構造改革プラン」では、今年度で新設の施設・作業所への補助は打ち切りとなっています。
 国は2013年までに自立支援法を廃止し、新法をつくると約束しています。少なくとも2013年まで補助を続けること、新規の作業所への補助金廃止は撤回することを求めます。

 第5に、子宮頸がん予防ワクチンについてです。厚生労働省は来年度の概算要求で、市町村が助成事業を行った場合にその3分の1を補助する費用として全国で150億円を概算要求しました。大阪府も、一部でも補助するようにするべきです。

 第6に、救命救急医療についてです。119番通報による現場から病院収容まで30分以上かかっていた割合が、救急車の出動はこの間むしろ減っているのに、2004年度18.5%が2008年度は37%と急増しています。365日・24時間の第2次救急は、府内全体で35院以上減っています。私の地元で府内全域や京都府からも3次救急に来ている三島救命救急センターは、ドクターカーがあり、心肺停止状態の社会復帰率が府平均の3倍です。しかし、本来2次ですむ患者が搬送されてくるため、5分の1は断らざるをえません。2次の救急病院を増やす努力とともに、「財政構造改革プラン」の救命救急予算の抑制方針は撤回してください。

 以上6点、答弁を求めます。

(2)教育

 第二は教育です。

 まず、少人数学級の拡充です。文部科学省は、8年間で小1・小2を30人以下、小3から中3までを35人以下とする方針を出しました。私は、すでに小1・2の35人以下学級を府独自におこなっている大阪で、2015年までの5年間に国方針レベルの少人数学級に前倒しし、2016年からは中1の30人以下学級も実施するよう求めます。来年はまず小3・中1の35人以下学級に踏み切ってください。

 次に、教育現場の体制の改善です。府内でこの4月から仕事をしている新規正教員の数、1年契約でクラスの担任など普通の教員と違わない仕事をしている期限つき講師の数、そのうち定数内講師の数を答えてください。また、本年度末の退職教員予定数、来年度の正規教員と1年契約の常勤講師のそれぞれの確保予定数を答弁してください。
 以上、教育長の答弁を求めます。
 採用する正規教員がきわめて少ない、4割にもならないのは異常すぎます。必要な教員は原則として正規教員として採用するよう方針を転換してください。

 私学助成については、小・中学校の経常費助成は、これ以上削らないこと、また、少なくとも680万円以下の収入の世帯までは、授業料の負担なしで私立高校に行けるよう授業料支援補助金を拡充するよう求めます。

 小・中学校の普通教室へのエアコン設置についてです。今年3月現在、府内の設置率は25%で、小・中学校1,100校以上が未設置です。
 私の地元の島本町でも、8月末の教室で37℃、教師がみずから扇風機を購入しているケースもあります。また、9月7日から14日までの堺の100学校園の調査では、午前10時でも31.6℃、中には38℃から40℃、子どもが酷暑に耐えながら勉強せざるをえない現状を、知事はどう思いますか。エアコン設置は市町村の仕事ですが、国に助成の拡大を求めるとともに、大阪府としても助成ができませんか。

 最後に、小学校の学校警備員への補助は来年度以降も継続してください。私の地元でも毎週のように"つきまとい"などがあり、子どもの安全を守る仕事は、市町村やボランティアだけでは不充分です。
 それぞれ答弁を求めます。

 また、警察本部長にお聞きします。現在、児童の登下校時のパトロール活動などをおこなっていただいていますが、子どもの安全を守る仕事を、行政やボランティアと協力していっそうつよめることを求めます。

(3)中小企業

 次に、中小企業の振興についてです。

 昨年度の企業倒産件数は、全国では14,732件で前年度比マイナス8.8%ですが、大阪では2,296件、3.9%の増加です。企業数で99%、従業員数で57%を占める中小企業が元気にならなければ、大阪は活性化しません。知事も海外で、「大阪でつくれないものはない」と宣伝しているように、大阪のものづくりの高い技術力や集積の力をさらに磨いていくことが必要です。
 しかしこの間の円高は、中小企業の深刻な経営にさらに追い討ちをかけています。円高の大阪の中小企業への影響について、緊急に実態調査をしてください。
 それぞれ答弁を求めます。

 さらに、中小企業振興基本条例の具体化について提案します。大阪府に「中小企業振興局(仮称)」を設置し、各部局の施策実施にあたっては、常に中小企業振興を念頭に施策展開を考えるようにしてはどうでしょうか。また、条例の基本方針にそって施策を検証・提案する、中小企業家なども参加した検討委員会の設置が必要です。
 以上2点、お答え下さい。

 「財政構造改革プラン」の「中小企業向け制度融資の見直し」は、「元気な企業」に対する融資は府が預託金を支出して応援するが、元気のない企業は「自己責任」をつよめるものです。預託金のための府の金利負担は、09年度の最終予算ベースで、年間7.6億円です。2008年度途中から実施された緊急経営対策資金は、今年6月末現在までで69,670件、1兆6千億円あまりと、大きな役割を果たしています。
 融資は中小企業の「血液」です。府の預託金が縮小されれば、金利は上がり、経営の厳しい中小企業は借りにくくなります。サラ金にでも借りろと知事は言うのでしょうか。制度融資の充実こそ必要です。府の案の撤回を強く求めます。

 また、仕事が従来の2、3割に激減した中小業者にとって、家賃や水道光熱費、機械のリース代などの負担は大変です。国に対して固定費補助を働きかけるとともに、府独自の支援をおこなうべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、府立高校耐震補強の前倒し実施、河川や橋梁の改修や歩道の段差解消の積極的推進など、安全・安心のまちづくりをすすめ、中小建設業者の仕事づくりもできます。予算の増額を求めます。
 それぞれお答え下さい。

(4)府営住宅

 次に府営住宅です。

 まず、住宅の将来半減の問題です。今年8月の総合募集の応募倍率は20倍、住宅の応募倍率はむしろ高くなっています。住宅の管理や建設は、家賃と国の補助金でほとんどまかなえ、府の負担はわずかです。
 現在、家族4人なら50平方メートルという最低居住面積水準以下の世帯、および年収の4分の1から6分の1を家賃にあてているのは、府の推計で約60万世帯です。半減計画は撤回し、府営住宅13万8千戸とURや民間賃貸のストックを活用したセーフティーネットを国とともに早期に確立すべきです。

 次に、駐車場の管理です。
 高齢化のため自治会が駐車場の管理業務を担えないからなどと説明されています。しかし、少なくとも管理業務をいま取り組み、問題が発生していない団地については、管理業務を取り上げるべきではありません。

 以上2点、知事の答弁を求めます。

(5)農林業振興

 都市農林業は、食料の自給と安全、水害対策、ぬくもりのあるまちづくりにとってきわめて重要です。知事にその認識はありますか。
 私は、少しでも農産物の供給率を上げる府の計画の達成、間伐実施率の引き上げ、後退している間伐材の利用の公共事業への拡大を求めます。それぞれ答弁してください。
 また、大阪全域で間伐材の活用をすすめる府と全市町村の協議会をつくり、森林組合の力も借りることを提案しますが、いかがですか。

(6)府営水道

 府営水道については、知事は3月、わが党の質問に「さらなる料金値下げが可能」と答弁しました。以前の財政シミュレーションでは、1立方メートルあたりの給水原価が、2013年には68円、2020年には64円、2024年には61円まで下がるはずでした。昨年度決算では61億円と近年最高の黒字になり、撤退したダムに府が支払ったお金を一部返還してもらう交渉もはじまっています。給水原価の推移も含め、今後の水道の新たな財政シミュレーションを発表することを求めます。

 さらに、企業団移行後、現在の大規模な水道水の安定的・持続的供給への府の責任について、答弁を求めます。

(7)住民予算増による行政効果、財政効果

 ここまで、福祉や医療、教育、中小企業振興と仕事づくりなどについて、当面実行してほしいことをのべてきました。財源をどう考えるのか、ここでは3点、質問と提案をさせていただきます。

 第1は、地域活性交付金など、使える国の交付金が少なくとも700億円以上残っていることです。今議会の補正予算では、堤防の崩壊で水害の危険性がある河川の緊急改修などに約4億円の増額予算がついています。交付金は今年度まであるいは来年度、2014年度まで、などの制限はありますが、府民のために、全分野での活用をはかるべきです。

 第2は、無利子の人権金融公社への34億円の貸付金や、南大阪食肉市場株式会社への25億円の貸付金の返還です。とくに人権金融公社への貸付金については、包括外部監査報告も、公社が保有すべき融資準備金額について、「貸付金のための保有資金額は5億円程度で足りる」、公社の正味財産約31億円のうち「約26億円は繰り上げ償還が可能」としています。「ただちに返済を求めるべき」という今年3月のわが党の質問に、知事も「償還は強く求めていかなきゃいけない」と答弁しました。ここ1年から2年で、最大限の返還をしてもらうよう交渉すべきです。人権一括交付金による総合相談事業や人権協会相談事業、人権博物館運営費補助金も廃止・見直しし、財源を確保すべきです。
 また、知事や特別職の給与カットの継続なども検討されるべきです。
 要するに、あらゆる分野で財源確保の努力をすることです。
 なお、わが党は府議報酬の2割以上の削減の提案を検討していることを申し添えます。

 第3は、大阪府は住民や中小企業のためにあるのですから、利益を上げるため、黒字を出すために存在しているのではないということです。
 昨年度決算では311億円の黒字でした。このうち仮に200億円使えば、正規教員を増やすこと、学校警備員予算を単独で措置するのに5億円、子ども医療費を4歳未満までに拡充すること、住宅耐震改修や府立高校耐震化など、かなりの仕事ができました。
 これらのことは、個人市民税や法人税の増収につながるだけでなく、住民の安全・子どもの学力向上・少子化の解消などにもつながります。住民のための予算を増やすことは、二重三重の行政・財政効果をもたらします。知事はこれを認めますか。
 以上、3点について知事の答弁を求めます。

 いま大阪府に求められるのは、福祉・教育・中小企業応援に力をつくすことであり、これらの施策の全面的切り捨てにつながる「財政構造改革プラン」は撤回すべきですがどうですか。

3 くらしと経済振興をはかりながら府財政再建を

 第三の柱は、府民のくらしと大阪経済の振興をはかりながら、府財政も建て直す筋道です。

(1)府の大型開発などの見直し

 まず、開発優先を見直し、今後の借金を少なくすることです。

 そもそも財政悪化の原因の一つは、1990年代の借金に頼った開発優先の府政運営の結果です。1990年代、6割を借金に頼った大型開発がすすめられ、1990年度末に1兆3,178億円だった府債残高が2000年度末には4兆0,695億円と、約3倍になりました。この返済は2020年代まで続きます。
 たとえば、府立国際会議場での府の借金は、1995年から1999年までの5年間で661億円あまりですが、昨年度までの元金と利子の支払いは317億円、元金では470億円も残っています。
 1996年からの関空2期事業は、大阪府の負担だけで1,194億円、大阪市と堺市で約600億円近く出しています。
 また、関空の有利子借金は1兆0,523億円、そのうち2期分は2,898億円です。2期事業がなければ会社の支払利子も毎年約56億円少なくすみ、経営問題の深刻さもなかったはずです。しかも、関空の離発着回数は昨年10万9千回で、1期の年間16万回枠を大きく下回っています。関空2期事業に突っ込んだ大阪府や関西財界の方針は、誤りだったと知事は認めますか。
 さらに、「大阪の成長戦略(素案)」は、なにわ筋線や関空リニアなどの高速アクセスの具体化を書いています。アクセスを新たに整備したところで、1兆円を超えるばく大な投資に見合う需要拡大が起きるわけではありませんが、どうですか。

 次に、ダムと治水対策についてです。
 現在、槇尾川ダムと安威川ダムについて、大阪府河川整備委員会で事業実施の是非や治水対策のあり方が検討されています。この委員会で徹底して議論し、両河川のダムに頼らない治水対策がまとめられることを求めますが、どうですか。
 また、大阪の37の河川は、浸透に弱い堤防、老朽化や河床低下による護岸の崩壊の危険があります。現在、大阪府では「あんしん川づくり事業」をすすめていますが、事業費の目標が200億円を超えるといわれているのに対し、今年度予算は9月補正の約4億円を入れても7億円しかなく、安心な川づくりは何十年もかかります。
 ダム計画がある安威川でさえ、浸透に弱い堤防や老朽化護岸が残されていることは重大です。
 府民の安全のためには、「あんしん川づくり事業」こそ大切ではないでしょうか。借金に頼ったダム建設費は減らないのに、その他の河川事業費が、昨年度で2003年に比べ30%余りも減っていることも大問題です。
 それぞれ答弁を求めます。

 次に、箕面森町開発です。
 箕面森町は保留地がすべて売れても750億円の赤字です。第3区域については、平成24年度末にやるかやらないか判断すると「財政構造改革プラン」で書いています。工事を実施しない場合、国庫補助金7億円と保留地処分金33億円の収入は見込めませんが、基盤整備工事88億円が不要になります。そのうえ府道止々呂美吉川線の建設費64億円も不要となります。112億円もの予算が削減できる第3区域の開発中止判断を、なぜ2年半後に先送りするのですか。
 答弁を求めます。

 最後に、淀川左岸線延伸部です。
 もともと、阪神高速の交通量はこの12年間、池田線延伸・北神戸線・京都府域と20キロメートルも路線が延長したのに、12年前をピークに9万台も低下しています。今後さらに減少することは間違いありません。建設計画の撤回を求めます。

(2)関西広域連合・「関西州」はやめ、国の「地方自治破壊」に反対を

 以上、ムダな開発の見直しを求めてきましたが、財政の健全化のためには、国の「三位一体」改革による大阪府の、少なくとも370億円を越す負担増、また法人事業税の収入が多いということで235億円も府から国が取り上げることもやめさせなくてはなりません。知事にその意思はありますか。

 また、「地域主権」の名目で教育や社会保障に対する国の責任を放棄し、財源と施策水準を縮小したうえで市町村や住民に自己責任だけを押しつける、国の「地域主権戦略会議」の方針にきっぱり反対すべきです。知事は国に賛成の立場で行動されてきましたが、あらためるべきではありませんか。

 次に、関西広域連合への参加についてです。
 第1に、広域連合でやろうとしていることは、現在の広域連携で実施されているもの、実施が可能なことばかりです。いま広域連合をつくる理由はどこにあるのかお答えください。
 第2に、知事は関西州を目指していますが、道州制は、防衛や外交を国が担い、産業振興や交通インフラを道州が担い、福祉や教育は基礎自治体が責任をもつというものです。道州制になると、住民や自治体は防衛や外交に口を出しにくくなります。さらに、大企業などへの行き過ぎた減税をいっそうすすめる方針と結びついているため、財源が減り、住民福祉や中小企業振興などは限りなく後退し、小さい地方自治になりますが、どうですか。

(3)内需主導で大阪と日本の経済発展への政策転換を

 知事は、「大阪の成長戦略」の中でも、アジアや西日本から大阪に企業・モノ・人を呼び込み、経済を活性化させると言います。しかし、日本と大阪経済の最大の弱点は内需の低迷であり、その原因は非正規雇用の拡大と社会保障の連続改悪です。
 正社員を当たり前にする労働者派遣法の抜本改正や後期高齢者医療制度の廃止を求めるべきです。なぜ知事はこれまで背を向けてきたのですか。
 また、「大阪の成長戦略」のようなやり方は、1980年代後半からの"呼び込み型"開発や労働の規制緩和など、小泉「構造改革」の失敗を繰り返すだけではないですか。

 大手前・森ノ宮のまちづくりも、日本の原点というべき上町台地・難波の宮などの歴史遺産、成人病センターの医療水準のさらなる向上、府民生活の安定が基礎になってこそ成り立つはずです。

 わが党は、正社員増加などの雇用改善、中小企業振興、介護や医療などの社会保障充実、農林業など第1次産業の振興にこそ、大阪と日本の未来があると確信しています。そしてそのために、大企業の244兆円の内部留保と手元資金52兆円の一部を、正社員が普通の社会にする、中小企業を大切にすることに使うことなど、大企業の社会的責任を求めるべきです。また、アメリカにも中国にもきっぱりものを言い、対等・平等の日米・日中関係をつくること、内需を冷え込ませ、ゆきすぎた中国やアメリカへの経済依存などの外需だのみはあらためるべきです。国政と府政の経済政策を根本的に切りかえることを改めて求めておきます。
 以上、答弁を求めます。



トップページ | 議員 | おもな活動 | 政策・見解 | 定例議会 | 府政資料 | リンク
(c)日本共産党大阪府議会議員団
大阪市中央区大手前2丁目大阪府庁 TEL06(6941)0569 FAX06(6941)9179 メールjcp@gikai.pref.osaka.jp