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大開発野放し大阪都構想/党府議団が66団体と懇談

 日本共産党大阪府議団は10日、9月定例府議会(22日開会)を前に府民団体との懇談会を府庁内で開きました。
 66団体87人が参加しました。
 くち原亮政調会長が、橋下徹府政の実態、「大阪都構想」、府民施策を根こそぎ削る「府財政構造改革プラン(素案)」、府民の運動と論戦でかちとった成果などを報告。「大阪都構想」については、「大企業が栄えれば中小企業も栄えるという時代遅れの発想で、カネと権限を独り占めにし、財界の思い通りに無駄な開発をすすめるのが狙いだ」と指摘。大阪経済を深刻にしたのは制度のせいではなく、国の悪政と、大型開発一辺倒で府民の暮らし、営業を切り捨ててきた府政の中身こそ問題だと強調しました。
 参加者からは、「府営住宅の半減、国保広域化は大間題。府民全体の運動に」(大生運)、「未救済のぜんそく被言者に対する医療費助成制度の実現を」(大阪から公害をなくす会)、「私学の経常費助成削減は、助成のあり方を変質させ、私学つぶしだ」(大私教)、「産休や育休などで代替教員が配置されず、教育に穴があく状態が生まれている」(大教組)などの発言が続きました。
 宮原たけし団長が、「『大阪都構想』は、福祉施策の市町村格差を少なくするなどの府の広域的役割を放棄するものだ。住民の要求に根ざしたたたかいを大きな構えで取り組むことが求められている。いっせい地方選に向け、議員団として運動とたたかいの先頭にたっていく」と決意を述べました。

「しんぶん赤旗」2010年9月11日付より


くち原府議の報告要綱は以下の通りです。

橋下府政の実態とその狙い(「大阪都構想」「財政構造改革プラン」等)
府民の暮らしと営業の実態、日本共産党の役割と真の大阪改革の方向について

2010・9・10
日本共産党大阪府会議員 くち原亮


はじめに〜深刻さを増す府民生活と雇用、中小企業経営

  *大阪に本社を置く資本金100億円以上の大企業の内部留保
   22兆8千億円(00年)⇒24兆8千億円(08年)へと増大
  *府内総生産
   10年程前の40兆円台から38兆円台へと減少(国内総生産は横ばい)
  *雇用者報酬は00年比で89%(08年)に落ち込むなど全国に比べても深刻な事態に(全国の雇用者報酬は93.9%)。
  *09年の大阪の完全失業率は6.6%で全国平均よりも1.5ポイント高く全国最悪の水準。
  *09年の企業倒産件数でも、大阪の企業倒産件数は2541件に上り、前年度比18.3%増と全国平均(5.7%増)の3倍以上となっている。
  *生活保護率
   大阪:2.61%(08年3月)⇒3.1%(10年3月)
   全国:1.23%(08年3月)⇒1.47%(10年3月)
  *就学援助受給・認定率
   大阪:27.42%(全国:13.93%)
   ⇒「国際競争力強化」によって、大企業の利益は増大する一方、大阪経済と府民のくらしや雇用は悪化


一. 橋下府政で改悪、削減された主な施策と、運動と論戦で勝ち取った成果

(1) 「財政危機」を強調し、「財政再建」を理由に、府民施策や文化を切り捨て

 ●橋下府政の2年半で改悪、削減された主な施策・予算等
 〔教育〕
  *私学助成制度(授業料軽減助成と経常費助成)の改悪⇒公立高校受験者が増大し定時制高校で167名の2次試験不合格者
  *府立高校教務事務補助員の雇い止め(350名)
  *学校警備員補助金廃止へ(10年度末で廃止予定)
  *教育予算の削減(3年間で583億円の削減)
 〔福祉〕
  *精神障害者権利擁護システムの廃止
  *障害者団体等への団体補助金の廃止
  *高齢者住宅改造助成事業の廃止
  *ガイドヘルパー派遣事業市町村支援の削減・廃止(11年度末で廃止予定)
  *公害死亡見舞金の廃止(約14,000人の認定患者)
 〔中小企業〕
  *中小企業振興費・商業振興関連予算の大幅削減(制度融資の預託金等除く)
    ・中小企業振興費は半分以下(5億〜7億円⇒2億4千万円)、商業振興関連予算は5年前(8億3千万円)の10分の1以下(5600万円)
 〔文化〕
  *国際児童文学館の閉館
  *大阪センチュリー交響楽団への補助金の大幅削減(10年度末で廃止)
  *青少年会館の廃館
  *ドーンセンター機能の縮小
  *ピースおおさかへの補助金削減
 〔住宅〕
  *府営住宅家賃減免制度の改悪(23,900世帯に影響)

 他にも、市町村への補助金削減や交付金化と権限の押しつけなどがあり、最大の改悪は、府民世論の分断であり、そのひとつが公務員攻撃。また教育での教師・保護者への自己責任論の押しつけ。文化団体と府民の分断。府・市分断。国の悪政をかばい、大型開発は続けながら大阪府の役割を縮小・解体しつつあること――WTC移転もその1つ。

 ○運動と論戦で勝ち取ってきた成果〜橋下府政下での維持・前進面
  *福祉4医療の医療費助成制度維持
  *小1・2での35人学級の継続
  *支援学校の4校新設へ
  *府立高校授業料無償化の実現、私立高校授業料無償化へ前進
  *水道料金の値下げ(年間54億円の府民負担の軽減)
  *妊婦健診の公費負担の拡充(国の制度拡充に伴うもの)
  *ワッハ上方の現地存続

(2)橋下知事の暴言等の数々〜橋下知事の知事としての品性と資質


  08・03 「共産党さんが主張を通されたいのであれば多数派をとって頂いてから私にぶつけて」
  08・03 「同和問題は全く解決されていない」「解放同盟の活動があったからこそ不合理な差別が解消されてきた」
  08・08 国際児童文学館での「盗撮」を指示
  08・09 「このザマは何だ」「公表しないのは市町村教委の自由だが、その代わり府が35人学級の予算を出す必要はない」「クソ教育委員会」
  08・10 「行政が責任持つのは中学まで」「日本は自己責任の国、イヤなら政治を変えよ」「日本を出るしかない」(私学高校生との意見交換)
  09・10 「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。カジノを持ってきてどんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」
  09・12 小谷議員に対する「核武装論者」発言=知事自身が「核抑止力論者」「核武装論者」であることを自ら改めて明らかにしたもの
  10・03 府立大学の学生自治会がとったアンケートを紹介し答弁を求めたところ〜「人生経験が少ない大学生が、チョロチョロ意見を言うのはまだ早い。知事や府会議員になってから発言せよ」(教育常任委)
  10・04 「思想・良心の自由とか言ってる場合ではない」「国家の公務員」「国歌を歌うことは義務」(新入職員入庁式)

(3)橋下知事周辺の「疑惑」の数々

 ●知事の叔父が役員を務める企業グループの府発注工事の受注額が倍増

 ●知事の友人が府立高校の民間人校長に〜採用年齢も突然変更


二. 橋下府政の本質と狙い〜「大阪都構想」が狙うもの

(1) 橋下府政の本質


 ●「競争」と「規制緩和」で「弱肉強食」政治を推進〜異常な大企業中心主義と競争の押しつけ(新自由主義路線)の姿勢が鮮明に

(2)橋下知事が提唱する「大阪都構想」の狙い・本質は

 【橋下知事の言動など】
  *「大阪府だけでは都市間競争(国際競争)に勝てない」と「府市再編・統合」、「大阪府を解体し関西州へ」を強調
  *「僕は、寝ても覚めても、港湾、空港、高速道路、鉄道を建設することを考えている」「(淀川左岸線延伸は1人の指揮官になれば)すぐにやります。3000億円かかってもやります。地下鉄を売却して捻出します」
  *「二重行政はムダ」「体育館、図書館、大学などは1つで良い」

 ●阪神高速道路淀川左岸線の延伸(総事業費:3500〜4000億円)やなにわ筋線の建設(総事業費:2500〜4000億円)などの事業実施主体は大阪市

 ●大阪市の「カネ」と「権限」を「独り占め」にして、「1人の指揮官」によって、不急・不要の高速道路や鉄道建設など「開発」を推進

 ●大阪市の「カネ」だけでは足りないので、堺市や東大阪市、豊中市、吹田市、八尾市なども巻き込んで「大阪都」へ

 ★「大阪都構想」の発信元は関西財界
  ・関西経済同友会が2002年2月に「府市統合」を提言
 ★「大阪維新の会」発足
   「大阪の危機は深刻」なのを「制度」のせいに
  ⇒大阪経済が深刻・「沈没しそう」なのは、「制度」のせいではなく、「国の悪政」と「大型開発一辺倒でくらしや中小企業を守る施策を切り捨ててきた府市政」=「政治の中身」に問題があったから
 ★二つあって非効率を生み出しているのであれば「二重行政」だが、二つあることによって住民サービスが増しているものは「二重行政」ではない
 
  *日本の人口は、04年の1億2700万人をピークに減少し、2100年には4700万人まで減少するとの推計も(現在の出生率1.3で推移。出生率2.08で人口維持)
  *大阪の人口も減少が見込まれる中で、需要もなく採算も取れない高速道路建設や広域鉄道整備など「経済規模の拡大」を見込んだ大型公共事業に巨費を投じることは、「破滅的財政破綻」となりかねない
  *無謀な「競争」に走るのではなく、一人一人の「生活の質」を向上させることが必要

  『「都」制度になればどうなるか』(東京都の場合)
  *税収:固定資産税・法人市民税は「都税」として課税され、その45%は都の収入となる。
   ⇒「特別区」は、基礎自治体ではあるが、普通の市町村に比べ、権限も予算もはるかに小さくなる(「半分自治体」「半人前自治体」)
  ※「大阪都構想」20都区の財源配分試算
   「大阪都構想」を、現在の東京都と特別区の割合で分けたもの。東京都と都内23区の財源配分を当てはめると、「大阪都」は4,274億円増え、区(大阪市など11市)はその分財源が減る。




三. 「財政構造改革プラン」について

(1)「財政構造改革プラン」の基本的な性格と位置づけ、今後のスケジュール


 ●「財政再建プログラム案」(2008〜10年度)を引き継ぐもの

 ●9月府議会(9/22開会)での審議(議会の議決対象となるのは、「財政構造改革プランの基本的考え方」の(1)(2)(3)のみ)

(2)「財政構造改革プラン(素案)」の内容(別紙=「概要版」参照)

 ●基本的考え方
  *5つの改革の視点
   @国との役割分担、A市町村との役割分担、B民間との役割分担、C持続可能性の確保、D経営の視点、マネジメントの重視
  *計画期間:2011年度〜13年度の3ヵ年
  *改革効果額:3ヵ年で合計475億円(要対応額は1800億円)
  *改革のポイント(見直しの視点)
   「類似府県等との比較の視点で評価・検討を行う」

 ●大阪府における歳入歳出改革
  *主要分析事業〜「私学助成(経常費助成)」、「中小企業向け制度融資」、「福祉医療費助成制度」、「公営住宅」など9事業の「見直し」+インフラ
   ・「福祉医療費助成制度」について知事は「余裕のある時にするもの」と発言(7/13の府部長会議)⇒「抜本的見直し」の方向が示される
   ・「中小企業向け制度融資の見直し」
   ・「公営住宅への行政投資のあり方」
  *400事業(事業費2億円以上または一般財源5千万円以上)の評価
   ・他府県と比較し、他府県よりの「手厚い」事業については「縮小・廃止」
  *府有財産の活用と売却、使用料・利用料の「見直し」
   ・「積極的に売却・貸付を行う」などと府民の財産を安易に手放すとともに、市町村に負担を求めることも
   ・「必需性」「市場性」、「フルコストによる原価計算」、「減免の厳格化」などと民間と同等の負担や負担増につながる方向が示されている
  *課税自主権の活用
   ・「(他道府県で)個人府民税(均等割・所得割)の超過課税が導入されている」「他府県等の標準的な水準を上回る行政サービスの提供を行う場合は、府民の皆様に一定のご負担を頂くことも検討」などと負担増を求める姿勢が示されている
  *出資法人等のさらなる改革
   ・文化振興財団の自立化(府補助金廃止)、保健医療財団は存続も中河内救命救急センターは運営携帯のあり方検討(指定管理者制度に)等
  *公の施設のさらなる改革
   ・子どもライフサポートセンター、中河内救命救急センター(上記)等
  *主要事業の「将来リスク」の点検
   ・りんくうタウン、箕面森町、住宅供給公社、土地開発公社等

 ●国への制度提言
  *地方財政制度
   ・「地方税収の拡充」などと地方消費税率の引上げ、国税の引き上げ(消費税を7%に引上げ)などによる試算

  *社会保障制度
   ・前提になっているのが現在の貧しい制度であり、府が負担するのは大変だから国の負担でというもの
   ・「国民健康保険制度」〜市町村国保の運営の広域化促進

 【国保料の「府内統一」の動き】
  ★今年5月の国保法の改定で「広域化支援方針」などが挿入される
  *「普通調整交付金の減額措置の適用除外」というアメによる「誘導」
   ・収納率に応じて調整交付金が減額されているが「広域化等支援方針」を策定すれば減額しない(今年12月末までの策定が要件)
  ★ 7月22日の大阪府と市町村との協議の場で、国保料の「府内統一」について確認
   ⇒年内を目処に新たな制度を設計していくことを確認・合意
    その前提として、各市町村が行っている一般会計から国保会計への法定外の繰入金や独自の減免制度は「取っ払う」ことに
   ⇒現在、府内43市町村の内、37市町村で繰入(約300億円)を行っており、それをやめるとなれば単純計算(約150万の国保世帯)で1世帯約2万円の保険料値上げに

 ●公務員制度改革


四. 日本共産党大阪府議団の提案

(1)「財政構造改革プラン(素案)」は撤回、再検討を〜府民要求実現と当面の財政運営の両立


 ●「財政構造改革プラン(素案)」の撤回・再検討を求める理由
  ★全国的にもひどい府民の「貧困と格差」拡大や中小企業の深刻な現状の改善に取り組む姿勢が見えないどころか、くらしと営業・地域経済悪化を促進するものとなっている。
  ★府の財政悪化の原因は、イ.借金に頼った国・府の巨大開発推進の結果、借金返済が2020年代半ばまで続く、ロ.「三位一体改革」による府財政へのマイナス、ハ.大企業独り勝ちの「構造改革」の結果、府の法人税収入の減少・非正規雇用の急増や中小企業倒産の増加による税収減などによるものであり、こうした原因にメスを入れることこそが求められているにもかかわらず、そうなっていない。

 ○府民要求実現と当面の財政運営の両立
  @1990年代以降に国が府に押しつけ、府も独自にすすめた開発優先の負の遺産は莫大なものである。今も是正されていないこれらの事業の是正こそが急務となっている。








  A教職員、保健師の人件費などが一般財源化され、府の負担は増大した。また、三位一体改革などで府財源は削減された。この復元が重要である。




  B1997年からの、消費税増税、医療・介護・障害者福祉などの連続的改悪と予算削減、労働者派遣法の改悪などの国の政策により、大阪の府内総生産は減少した。これが税収の後退をもたらした。
  Cくわえて大阪府は、1996年以来のあいつぐ「行政改革」によって、広域的役割(福祉充実と経済振興)の縮小・放棄をすすめた。これが府民の消費を冷え込ませ、中小企業の現状をいっそう深刻にした。
  Dこれまでの府の財政再建計画は、以上の立場がないため、財政再建策としても繰り返し失敗してきた。その総括と反省が必要。

 ●当面の府政運営についての日本共産党の基本的立場
  @財政危機のもとでも、福祉・教育の充実や中小企業振興などに最善を尽くす。福祉や教育分野などでは削減された施策の段階的回復を図る。
  A大型開発は、現在進行中のもの(関空二期事業、阪神高速道路大和川線、箕面森町など)も含め、事業費・必要性・緊急性・環境への配慮などの面から根本的に見直す。大企業に、社会的責任を果たさせるとともに地域経済振興のために力を合わせることを求める。
  Bセンチュリー交響楽団、国際児童文学館、「ワッハ上方」など文化施策の削減は、現時点でその結果を検証し、復元・充実を段階的に進める。
  C市町村に身近なサービスの責任を押しつけることはやめる。公的責任を放棄し民間大企業などにゆだね、府民サービスの低下につながる市場化テストなどは見直す。
  D財政再建策の策定にあたっては、原因にメスを入れ、情報を公開し、府民的討論を行い、府民生活の向上等を基本に進める。

 ●主な事業等について
  @「主要分析事業」などにかかわって
   ・市町村振興補助金については、市町村の自主性・主体性を損なわないようにする
   ・私学経常費助成については、復元を図るとともに、高校授業料支援補助金の対象を拡大する。
   ・府立高校については、拙速な再編統合は行わない。
   ・大阪府育英会による奨学金制度(特に大学等入学資金貸付)については、十分な調査・研修を行うとともに、国制度の改善を待たずに改悪しない。
   ・福祉医療費助成制度については、国に制度化を図るよう求めるとともに、乳幼児については、小学校卒業まで対象年齢を引き上げ、所得制限の撤廃など、市町村とともに計画的に改善を進める。
   ・中小企業向け制度融資については、金利上昇を招くとともに、大阪経済と地域社会を下支えする多くの中小零細業者を切り捨てる預託廃止は行わない。損失補償に対する府の負担割合縮小は行わない。
   ・小規模事業経営支援事業・経営力向上緊急支援事業については、十分な調査・検証を行うとともに、商工会議所・商工会など関係者との協議を尽くす。
   ・府営住宅のあり方については、高い応募倍率が続いている事態(2010年6月募集の一般世帯で26.1倍)を改善するため、公営住宅法の趣旨を踏まえ、管理戸数の維持・拡大をはかる。
   ・警察職員待機宿舎の整備を計画的に進め、安全・安心の確保を図る。
   ・道路・河川・橋梁など都市基盤については、災害に強いまちづくりを重視し、安全・安心の確保を優先する。
  Aその他の重点事項について
   ・国保料の「統一化」はやめ、市町村国保会計への府独自の補助制度を拡充する。
   ・来年度から小学3年、中学1年を35人学級にし、2016年度までに小学1・2年の30人学級、小学3年〜中学3年の35人学級を実現する。
  B個別点検事業、歳入確保策、出資法人や公の施設等については、十分な調査・検証を行い、景気回復をはじめ府民福祉の増進にそった対応を行う。産業技術総合研究所、環境農林水産総合研究所の独立行政法人化は行わない。
  C職員配置・人件費については以下を基本にすすめる。
   イ.児童虐待対策のための専門職員、保健師など、福祉・教育をはじめ府民サービス分野については職員充実を検討する。とりわけ教育現場などでの非正規職員の待遇改善をすすめる。
   ロ.知事・副知事など特別職の給与削減は継続を検討する。
   ハ.一般職員については、復元を基本とし、労使協議をふまえながら検討する。
  D府議会議員の報酬のさらなる削減、政務調査費の使用内容のいっそうの透明化と金額の検討をすすめる。

(2)大阪の経済成長戦略の基本〜府民のくらし向上と地域経済活性化のために

 「大阪の成長戦略(素案)」は、アジアの諸都市との都市間競争に打ち勝たなければならないという立場にたち、「成長阻害要因」の分析もその角度で行っている。なぜ暮らしと地域経済が悪化したのかの原因を分析し、解決の方向を示すべき。「成長戦略」は、府民の暮らし向上と大阪・地域経済活性化のために策定すべきである。

  1 「大阪の低迷」の要因
   分析に際しては、国政・全国的要因と大阪府政・地域的要因を区別することが必要である。
   (1)暮らし悪化、地域経済悪化の全国的要因
    全国的要因として、従来からの土木型公共事業偏重政治に加え、90年代からの「日米構造協議」などを背景に、地方自治体を巻き込んで公共事業が急膨張、国債、地方債の大量発行で、今日の国・地方の財政危機の大きな原因をつくった。
    国民生活や農業を犠牲にした自動車等の輸出の急増、政府のグローバル企業への支援の偏重などがすすめた産業空洞化、外国資本の日本市場参入と大店法廃止など規制緩和などが地域の中小企業、コミュニティに打撃を与えた。企業の人件費抑制、派遣労働の原則自由化は、不安定、低賃金の労働者を多く生み出し、高失業率、低所得など「格差と貧困」を拡大した。
    政府は財政難を理由に、社会保障費を抑制、国民に増税や負担増を押しつけるとともに「自立自助」を迫り、後期高齢者医療制度、障害者自立支援法の制定はじめ、年金改悪、医療改悪、派遣労働の原則自由化などをすすめた。
    財政危機のツケを地方に押しつけ、「三位一体改革」による大阪府の負担は479億円増加、加えて2009年度からの法人事業税の偏在是正による235億円の減収で、700億円を超すものとなった。
   (2)大阪の落ち込みが大きい原因
    大阪の落ち込みが全国に比べて大きいのは、80年代後半の「すばるプラン(新近畿創生計画)」などで、成長を牽引するとして、ベイエリア開発、民活方式による関空建設、りんくうタウン、3つのコスモポリス、国際文化公園都市、高速道路網整備などの大規模開発型プロジェクトを乱立させたことが大きな原因である。企業の呼び込みもはかったが、ことごとく失敗した。
    90年代の国の景気対策、日米構造協議とも相まって、引き続き開発型公共事業費が膨張し、都道府県で最高水準となった。
    府の建設事業費は85年度2647億円だったが、ピークの95年度には7328億円と2.7倍に膨れあがった。
    大阪市も「テクノポート計画」、WTC開発、フェスティバルゲート建設など、需要の見込みのない大型開発に巨額の資金を投入したが、経済活性化、住民生活向上にはつながらず、府市合わせていっそう財政を悪化させ、住民に負担が転嫁された。
    ゼネコン型産業の成長と衰退が、大量の失業者増にもつながった。
    大阪府は「行政改革大綱」(1996年)、「財政再建プログラム案」(1998年)、「行財政計画案」(2001年、2004年)などにより、国の悪政から住民福祉、生活を守るべき地方自治体の役割を後退させ、大阪の先進的施策であった老人医療費助成制度や民間福祉施設職員の公私間格差是正制度などが改悪された。財政再建の矛先を住民犠牲へと向ける一方、関空2期事業や安威川ダム建設など不要不急の大型開発を継続、財政と府民生活の悪化を促進した。
   (3)国と大阪の政治の転換こそ
    1人あたり県民所得が大阪府の1.5倍の東京都では、非正規雇用率が35%に達し、2008年度の23区内の生活保護率は1.76%戸95年度と比べ約2倍に急増している。
    国民・府民生活の視点でみると、暮らしの悪化は、国際競争に打ち勝つ戦略がなかったからでも、都市制度に問題があったためでもない。政治のあり方にこそ問題がある。
  2 大阪がめざすべき方向性
    国に政治の転換を求めるとともに、大阪府としても暮らしと地域経済の悪化、財政危機の原因を直視し、開発型行政の転換をすすめる。内外の企業呼び込みや不要・不急のインフラ整備でなく、住民の暮らし最優先の姿勢を貫き、暮らしや社会保障、中小企業振興で地域経済活性化に取り組む。
   (1)国などもかねてから、技術革新(イノベーション)で高付加価値製品を開発し、生産性を上げる、と主張してきた(『上げ潮の時代』07年・中川秀直幹事長(当時)など)。しかしそれは、コスト削減(人件費・下請単価削減や減税)とセットになった「国際競争力」至上主義の一環であった。
    「高付加価値化+コスト削減で国際競争力強化」が従来の日本の経済政策だった。しかし、すすんだのは、高付加価値の部品や素材まで海外生産が進行するという、ものづくりそのものの空洞化だった。大阪の大企業は利益を上げているのに大阪経済の沈下は止まらなかった。
    政府の調査でも、海外に企業が出てゆくのは「需要を求めて」であり、法人税が高いからではなく、内需がないから企業が海外にいくというのが第一の理由である。
    ものづくりにおける技術革新は必要である。しかしその「成長のための源泉」を、既存のものづくりや流通の集積に求めてこそ、内需をあたため、企業誘致にもつながる。大企業減税・労働法制撤廃の「特区」では大企業もこない。
    府民の暮らしと福祉を守る、そのために公共事業を生活密着型中心に転換し、地域経済への波及効果が大きい中小企業の仕事を増やすこと、「外需型」ではなく内需型の経済振興こそが、大阪がめざすべき方向である。
   (2)特区などによる「労働法制の規制緩和」は、「中間層の雇用悪化」「所得格差の増大」を逆に助長するものである。派遣法の抜本改正を国に強く働きかけ、府としても雇用のルールを守るよう大企業を強く指導、中小企業を支援することこそが求められている。
   (3)1990年代末から続いた、介護・医療など社会保障の連続的な改悪をストップし、段階的に回復をはかることで、高齢者・障害者やその家族の所得格差を縮小する。
    また、地方税財源の削減を三位一体の「改革」以前の水準に戻す。
   (4)インフラ整備も、内需主導・既存のものづくりや流通の集積支援の立場ですすめる。ベイエリア、関空・「国際コンテナ戦略港湾」ではなく、道路・橋梁など中小企業・住民にとって身近で重要な施設の整備、産業技術総合研究所やクリエイション・コアなどの機能強化、教育研究機関の集積を生かした健全な産学協同、きめ細かな中小商工業振興こそ必要である。
   (5)また、安全、防災、福祉など公共事業を府民本位に転換し、府民生活向上と中小業者の仕事づくり・雇用拡大をすすめる。
   (6)これらの結果、消費拡大・雇用安定で大阪経済が足元から安定し、成長する。


五. 橋下知事と維新の会の野望が通る危険性〜大阪の地方政治の危機

(1)府・大阪市・堺市で主導権を「維新の会」がねらう。すでに生野(50%台の得票)、福島(40%台の得票)で圧勝。大阪府会は現在29人で30人台をうかがう。断然第1党。自民府議団も「大阪都」は賛成の立場。

(2)大阪府、大阪市、堺市で88選挙区、公募。9/15に第1次発表。一斉地方選挙では日本共産党の壊滅が目的。他党はほとんど協力、及び腰、陰でブツブツ言う。当面は大阪市に的をあてている。(全戸ビラ、カラー)

(3) 大阪府議会の定数削減の動き
 大阪維新の会が9/15の理事会で提案予定:109人→88人に(62選挙区中、48選挙区が1人区に。選挙区の77%が1人区。2人区含めれば、約9割に。府議の55%が1人区から選ばれることに。現在は30%)
⇒一票の格差が拡大(2.2倍⇒3倍に)
 日本共産党は、現状では0−1人〜6人→10人以上(我々の目標)

(4) 大阪市会:給料3割カット、定数半減、地下鉄値下げ

(5)来年11月、大阪市長選・大阪知事選、同時に。橋下氏は市長選か。


六. 要求を出発点に要求実現と大阪府の真の改革を語ろう

(1)高い「橋下人気」とわれわれの運動の留意点


 ●「橋下劇場」の影響

 ●要求に根ざしたたたかいと社会的連帯ではね返すことが基本

(2)真の改革の方向〜大阪経済の活性化、まちづくりのあり方

 ○大阪経済の活性化、まちづくりのあり方
  *中小企業を「大阪経済の主役」にすえた施策の推進
  *医療・福祉・教育の充実
  *地域に住み続けられるまちづくり

 ○府民参加型で施策推進を


さいごに




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