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福祉充実、中小企業応援こそ経済振興の土台/「財政構造改革プラン(素案)」は撤回・再検討を/国に根本的対策求めながら、府民合意で財政再建を/宮原威共産党府議団長に聞く

 大阪府は5日、「財政構造改革プラン(素案)」を公表しました。同プランの問題点や橋下府政の狙いなどについて、日本共産党大阪府議会議員団の宮原威団長に聞きました。


大阪の経済は全国最悪水準

 −日本共産党府議団は11日、橋下知事に要望書を提出し、「構造改革プラン」の撤回・再検討を求めました。その理由は何でしょうか。

宮原 まず第1に、全国的にもひどい大阪での貧困と格差の拡大、中小企業の深刻な状況を改善しようという姿勢が「構造改革プラン」には見えないどころか、暮らしと営業、地域経済をさらに悪化させるものだからです。
 97年からの10年間、日本の経済成長率は0.4%と停滞し、雇用者の賃金は5.9%も減少しました。その一方で資本金10億円以上の大企業は経常利益を15兆円から32兆円と倍増、内部留保金も142兆円から229兆円に増やすなど利益をため込みました。
 府内経済の落ち込みはより大きく、同じ期間の成長率はマイナス4.8%、賃金の減少率は11%を超えています。ことし1月から3月期の大阪の完全失業率は6.3%で全国最悪水準であるなど、府民の暮らしは厳しさを増しています。


暮らしと営業さらに深刻に

 ところが橋下知事が「構造改革プラン」などで打ち出している方向は、福祉医療費助成制度の抜本見直しや中小企業への公的融資制度の大改悪、府営住宅を将来的に半減させるなど、府民の暮らしと営業を守る広域自治体の役割とは、まるで逆行しています。
 個別事業でも、老人福祉施設運営助成費や独立行政法人の5病院への負担金、救命救急センターの運営費、大気汚染常時監視など環境対策事業が軒並み見直しの対象とされ、府立支援学校の通学バス予算が「コスト縮減」の対象になるなど、「財政再建プログラム」後もわずかに残っている府民施策が根こそぎにされようとしています。
 また、国民健康保険(国保)の広域化ということで、府内統一保険料にする作業も始まっています。その前提は、各市町村が行っている国保会計への法定外繰り入れの廃止ですが、そうなると単純計算で大阪市では1世帯当たり3万4千円、府内平均では2万円近い保険料値上げになります。
 いまでも高すぎて払えない保険料の下で、滞納率は27.4%(09年6月)です。引き下げこそが必要なのに、広域化や統一保険料の動きは、府民の貧困と格差をさらに深刻にするものです。


悪政への反省や分析もなく

 第2に、大阪府の財政悪化の大きな原因である、借金に頼った巨大開発や「三位一体改革」による府財政の削減という重大な影響に、メスが入っていないという問題です。
 わが党が一貫して指摘してきたように、90年代以降に国が府に押し付け、府も独自に進めてきた巨大開発優先の負の遺産は重大です。「構造改革プラン」では、りんくうタウン事業で、将来に地価が復元しない場合の損失額は524億円(当局試算)と、大型開発のリスクに触れざるを得なくなっています。しかし、ではどうするかということは書いてありません。しかもいまも続く関空2期工事や阪神高速大和川線、安威川ダムなどについては触れておらず、大型開発を本格的に見直そうとはしていません。
 国の悪政への分析もほとんどありません。「三位一体改革」の前後、03年度と07年度を比べると国から府への財源は479億円減りました。09年度からは都道府県間の「偏在是正」の名目で、法人事業税が235億円も国に吸い上げられています。教職員や保健師の人件費などが一般財源化されたことでも、府の負担は増大しました。こうした削減の復元こそが重要なのです。


消費税増税で財源をつくる

 −橋下知事は今回の「構造改革プラン」で、「国への制度提言」を盛り込んだことを強調していますが。

宮原 はい。確かに地方財政制度や社会保障制度で提言していますが、重大なのはその内容です。国でも地方でも財政危機は深刻です。国民のための財源をどうするかが問われている中、行き過ぎた大企業優遇税制の是正や、米軍への思いやり予算はじめ軍事費の抜本削減こそが必要だと日本共産党は考えています。
 ところが「構造改革プラン」は地方財政制度に関連して、地方消費税の拡大(現行で消費税率1%分を5%に)や、消費税率を5%から7%にした場合の試算例を示すなど、国民負担を大きくする消費税増税などで地方財源をつくるという方向です。
 社会保障制度では、生活保護や国民健康保険などで「ナショナルミニマム」という言葉で提言しています。しかし前提になっているのは、現在の貧しい制度で、つまり府が負担するのは大変だから、国で持ってもらいたいという話です。ヨーロッパと比べても低い社会保障水準を改善するとか、自公政権時代の社会保障崩壊を立て直すという姿勢はありません。


府政の主人公府民に軸足を

 −「構造改革プラン」では、長年にわたり行財政改革に取り組んできたが、それでも財源不足が続いてきたと述べています。これは、これまでの「財政再建」そのものの行き詰まりを示しているのではないでしょうか。

宮原 その通りです。大阪府では、横山府政時代の96年1月の「行政改革大綱」以来、「財政健全化方策」(同年8月)、「財政再建プログラム案」(98年9月)、太田府政の「行財政計画案」(01年、04年)などで福祉や教育の切り捨て、人件費削減が行われてきました。
 国政では小泉政権に代表される「構造改革」で、「三位一体改革」による地方税財源の縮減、社会保障の削減、雇用の破壊が進行しました。府の「財政再建」策はいずれも、大型開発を優先・温存するとともに、地方財政の圧迫をやめさせるために国に物を言う立場がなかったため、繰り返し失敗し、府民生活は悪化してきました。「構造改革プラン」には、そのことへの総括も反省もありません。
 橋下知事が「大阪維新の会」で狙う「大阪都」は、「国際競争力強化」の名で大阪市や周辺都市の財源を集中して大型開発を進め、大企業を誘致しようとするものです。
 しかし、いま必要なのは府民の暮らしを守り、大阪経済の主役である中小企業を応援することを基礎にした成長戦略です。ここに府政の軸足を置くときです。府民福祉を守り、拡充することを基礎にして内需中心の経済成長を図ることこそ、財政再建の土台。そのためには残っている大型開発を見直し、地方税財源の確立を国に求めることです。私たちはこの立場で、府民の皆さんに分かりやすい政策的提案を行うために、大いに知恵と力を尽くしたいと思います。

「大阪民主新報」2010年8月22日付より

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