2月府議会議案への見解と態度(せりう幸一議員・大要)

 日本共産党のせりう幸一です。わが党議員団を代表して、今議会に提案された議案並びに府政の諸課題について見解と態度を申し上げます。
 今議会は、サミット参加国中、唯一成長が止まった国といわれる日本の中でも、大阪府民の暮らしや中小企業の現状が特に深刻な中で開かれました。
わが党は、予算編成に際し、大阪経済の活性化のために、雇用を守り、福祉・教育の充実で内需を拡大し、中小企業を経済の主役に据えた施策を盛り込むよう求めてきました。
 しかし、新年度予算案は、国政の変化にもとづいた高校授業料無償化などがあるものの、WTCビル購入費117億円、関空二期関連事業23億円、安威川ダム建設70億円など不要不急の大型開発は従来どおり推進し、府民に冷たく、大企業には甘いものとなっています。
 以下、府政の主な問題点について意見を述べます。

 まず、中小企業支援と雇用、福祉対策についてです。
商工業振興費が昨年度に比べ約20億円削減されていることは問題です。中小企業振興条例の制定と町工場の家賃や機械のリース料など、固定費補助を求めましたが、知事は拒否しました。家賃補助など支援強化を国に求めるとともに、府としても検討するよう求めておきます。また、小規模事業経営支援事業費補助金は、せめて今年度水準を維持すると共に制度改革については、委員会の付帯決議を遵守するよう求めます。 
 府営住宅の管理戸数削減方針は撤回し、建てかえや耐震改修を着実に進め、不足している地域では、新規供給を図ることも求めます。
 府発注事業の元請や下請け業者の倒産により下請け代金や賃金の不払いが相次いでいます。下請け業者や労働者が安心して工事に参加できるよう、公契約条例の制定などの対策を求めておきます。
 雇用対策では、高卒未就職者の就職支援のための直接短期雇用を求めましたが、知事は拒否しました。雇用確保に消極的な姿勢は厳しく批判されるべきであります。

 また、支払い能力を超えた国民健康保険料が府民を苦しめています。全額負担になる滞納者への資格証明書の発行により、病気になっても医療を受けることが出来ず命を落とす悲劇が起こっています。払いたくても払えない人に対する資格証明書の交付はやめるよう市町村を指導するよう求めます。

教育では、支援学校分校の本校並みの教育条件の整備が不可欠であり、今後も予測される知的障害生徒の増加のためさらなる新設計画を急ぐべきです。
 全国学力テストが抽出調査に変更される中で、府独自のテスト実施や、「進学指導特色校」は、国連からも批判されているゆきすぎた競争主義、序列主義を子どもと教育に押し付ける重大な問題点があります。35人学級の拡大など、教育環境の整備こそ進めるよう強く求めておきます。
 また、トップダウン手法による府立大学の学部再編・理系特化の押し付けはやめるべきです。改革指針(案)は、受益者負担による学費増額の恐れや短期的効率主義による大学予算削減など、「大学の自治」を侵害するもので、到底認められません。抜本的に再検討し、大学関係者、府民が十分な時間をかけて議論、検討できるよう強く求めます。 

ピースおおさかについては、補助金を増額し、平和の発信拠点としての機能を向上させるよう求めておきます。


次に、市場化テストです。230万人もの個人情報に関わる自動車税催告業務の民間委託そのものが間違いです。しかも今回は、府との契約さえ無視し、230万府民の税務情報が、いくつもの企業にさらされたNTTアクト社の悪質、無法な行為は、契約を解除すべきものであり、4月からの府税全税目催告業務の委託などもってのほかです。市場化テストおよび事業者決定システムを中止するよう強く求めておきます。
 
伊丹空港に関わる歴史的経過や経済効果、利便性を全く考えない、独りよがりの伊丹廃港論はきびしく批判されるべきです。また、当初の民活方式、過大な需要予測等にもとづく関空二期事業への無反省は、今日の関空問題の解決の障害にしかならないことを強調しておきます。
 
二度に亘る府議会での移転条例否決の意味をとらえず、今議会に予算提案されたWTCビル買取りは、議会と府民を軽視するものです。この間の論戦で、費用、府民負担の面でも、利便性、防災の面でも、大手前の歴史的文化的価値の面でも、道理がないことが明らかになっています。第2庁舎としての購入など言語道断であり、後世に禍根を残す提案は取り下げるよう強く求めるものです。

 彩都開発、箕面森町開発、関西空港2期事業、阪神高速大和川線など、大型開発は抜本的に見直すべきです。安威川ダムは、槙尾川ダム同様見直すよう求めておきます。追加補正予算のうち「大阪ふれあい水辺づくり事業」は、2億3千5百万円もかけてすすめる事業ではないことを指摘しておきます。
 
 府営堺南長尾住宅PFI事業契約締結については、PFI事業を中心的に担っていた府の元幹部職員が落札企業に再就職していました。もともと「府退職者の民間企業への再就職先について」は、わが党の追求で府での仕事と関係する民間企業への再就職は制限する総務部長通知が、平成19年1月5日にだされていました。ところが、それと同時に、府議会や府民の知らないところで再就職を可能にするQアンドAがつくられていました。そうした抜け穴づくりが約180億円にものぼる3つのPFI事業を長谷工グループが独占する事になったのではないかという疑惑を生んでいます。大阪府の方針の改善を強く求めておきます。

 農林水産業および環境対策事業など重要施策に関わる予算が削減または廃止されていることは到底認めることはできません。環境農林水産関係予算の府一般会計予算に占める比率は、わずか0.47%です。貴重な森、川、海を守り、農林漁業を振興することは、未来につながる仕事です。予算の増額こそ必要です。

 この際、知事の議会の中での発言について一言申し上げておきます。
 教育常任委員会で、わが党委員が、府立大学の学生自治会がとった学生アンケートを紹介し、知事に答弁を求めたところ、「人生経験の少ない大学生が、チョロチョロ意見を言うのはまだ早い。知事や府会議員になってから発言せよ」と、大学の重要な構成員である学生を無視する驚くべき答弁をしました。謝罪し、取り消すべきです。
 また、知事の「大企業が潤えば中小企業や家計も潤い、経済全体が良くなる」という認識は、すでに20年前に破綻した現実を見ない、時代遅れの認識である事を申し上げておきます。
 以上の立場から、議案番号、1,4から8,17,18,21,24から27,32から35,50,55,60,66,73,78から80,92,101,112から114には反対、残余の議案には賛成であることを表明し、討論とします。ご静聴ありがとうございました。