大阪府知事 橋 下 徹 様

2009年12月2日  
日本共産党大阪府議会議員団  


2010年度当初予算編成と施策に関する要望書

(PDF版はこちら)


は じ め に

 日本共産党大阪府議会議員団は7月30日、知事に対して、雇用やくらしの悪化を踏まえ、「府民のくらしと雇用の応援を府政運営のすべてに貫く」ことなど、9つの重点要望を盛り込んだ「2010年度当初予算編成に当たっての要望」を提出した。
 その後の大阪経済はいっそうの深刻さを増している。先月発表された本年7〜9月期の大阪の完全失業率は対前年同月比で2ポイント悪化し、7.7%を記録した。大型小売店販売額は前年同月に比べ、百貨店が連続18カ月、スーパーが連続9カ月減少している。
 9月に誕生した民主党政権のもとで、生活保護の母子加算の復活や高校授業料の無償化などが具体化しつつあるが、国民の強い願いである後期高齢者医療制度や、障害者自立支援法の廃止、労働者派遣法の抜本改正など、重要な課題は先送りされている。そのため、住民の暮らしに責任を負う大阪府の役割発揮がいっそう強く求められている。
 これまで、橋下知事は、財政再建と称して、福祉、教育予算と人件費の大幅削減をすすめてきた。ところが、大阪の経済はさらに悪化し、税収のいっそうの落ち込みが予測されている。そこで、来年度予算編成は、要求額への上限設定と各部局長における独自抑制を合わせての10%カットをはじめ、さまざまな方策が検討されている。
 しかし、不況がさらに深刻さを加えている今だからこそ、一律カットや福祉やくらしの予算削減を止め、府民のくらしと中小企業を守り、大阪の文化を守り発展させ、大阪の明るい未来を切り開く施策に重点を置き、ムダ遣いを徹底して洗い直す予算編成が求められている。
 以上の立場から、「2010年度当初予算編成に当たっての要望」の詳細版として本要望書を提出する。具体化を図るよう強く求める。 第1章 総務部・政策企画部

(1)府民本位の行政改革、地方自治の推進

1.行財政改革は、府民生活の向上を目的とし、府民・職員の参加と協力の下に、ムダのない効率的な行政を築く方向ですすめる。

2.府民生活と大阪経済の底上げをはかり、応援する行財政計画をつくる。

3.府民生活を圧迫する各種公共料金の値上げは行わない。

4.財源対策として、以下の措置を講じる。
 @ 資本金10億円以上の企業への超過課税率を10%に引き上げる。
 A 府債の借り換えを国と銀行に強く求め、金利負担の軽減を図る。
 B 「法人税の偏在是正」の中止、地方への税源移譲の推進、地方交付税の三位一体改革前の水準への復元、法人税率の1997年水準への復元、大企業・大銀行に対する優遇税制措置の廃止などを国に強く求める。

5.市場化テストは中止する。

6.WTCへの府庁移転は、2度にわたって議会で否決されたものであり、断念する。

7.道州制は推進しない。大阪府解体、道州制導入を前提にした府政運営は行わない。地方自治に逆行する関西広域連合は推進しない。

8.市町村補助金の交付金化は再検討し、施策と予算の削減につながらないようにする。

9.市町村振興補助金を拡充するとともに、市町村への権限移譲にあたっては、市町村の意見を尊重し、必要な人的支援を行う。

10.市町村施設整備貸付金は増額し、償還条件を緩和する。

(2)消防・防災

1.あらゆる災害に迅速に対応できるよう、災害想定を不断に充実し、危険箇所の把握に努め、消防防災体制の充実を図る。

2.災害の発生が差し迫った時、情報を府民に迅速・確実に伝達し、府民が安全に避難できるシステムを構築する。災害弱者への対策を市町村と共同し、確立する。

3.消防体制の広域化は、市町村消防との合意を尊重し、拙速に行わない

(3)清潔・公正、民主的な府政

1.公共事業のあり方
 @ 府及び外郭団体の発注する事業で不正が発生しないよう、入札制度を不断に改善する。
 A 府発注事業は、中小企業が受注できるよう分離・分割発注を広げ、PFI方式による発注は止める。
 B 公契約条例を制定し、下請業者や労働者に適正な代金や賃金が支払われるようにする。

2.府有財産は府民の立場で有効な活用を図り、安易な売却はしない。

3.綱紀保持基本指針の対象に知事・特別職も加え、綱紀保持を徹底する。

4.府幹部職員の外郭団体、府と取引関係にある民間企業への天下りは、厳しく規制する。

(4)青少年対策

1.青少年を暴力団や、薬物から守る対策を講じる。

2.青少年の文化拠点を新設し、スポーツ、音楽、演劇など、少ない負担で楽しめるようにする。市町村と協力し、スケボーやストリートダンスなどの練習・競技場所を設置する。

3.総合青少年野外活動センターの廃止方針を撤回し、積極的活用が図られるよう必要な手立てを講じる。

4.青少年の引きこもりの実態調査と施策の充実を国に働きかけるとともに、府として施策の充実を図る。

(5)空港・まちづくり

1.関西国際空港2期事業には、これ以上、支援しない。

2.関西国際空港連絡橋の国の買い取りに際し、府は負担金を支出しない。

3.大阪国際空港については、騒音の軽減、周辺緑地の整備、安全度の向上を図る取り組みを引き続きすすめ、地元市には負担を求めない。廃止発言は撤回する

4.大手前のまちづくり計画は住民の意見をよく聞いてすすめる。府庁移転を前提にした計画をすすめない。

第2章 府民文化部

(1)情報公開

1.情報公開を拡大する。計画段階から府民の意見を聞き、事業・施策に生かす。府民団体との懇談を積極的にすすめる。

2.パブリックコメント制度の活用は形式的にせず、必要な情報の公開、寄せられた意見の公表と尊重、施策への反映など改善する。

3.公文書館は、大阪の近現代史の総合的資料館として充実・発展させる。分散化・移転はしない。

(2)同和行政の完全終結

1.すべての同和対策は完全に終結する。「人権」に名を借りた部落解放同盟関係団体への応援や、「大阪府同和問題解決推進審議会」は廃止する。人権センターは廃止する。

2.行政データを使った旧同和地区の実態調査や人権意識調査は行わない。

3.旧「同和地区」内のすべての公共施設は、解同などによる独占的利用を許さず、市民に開かれた施設として運営するよう市町村に働きかける。

4.地域支援人権金融公社に無利子貸付金の返済を求め、すぐに返済できない分は有利子に切り替える。

5.「大阪府人権尊重の社会づくり条例」は廃止する。

(3)憲法の遵守、非核平和の取り組みの強化

1.「ピースおおさか」の予算を元に戻し、特別展、企画事業等を充実する。非核・平和の情報発信機能を拡充する。

2.アジアとの友好・交流、平和の発信に力を尽くす。府内港湾・空港の軍事利用は認めない。

(4)私学教育

1.国に私学助成拡充を要求する。府は、経常費助成をこれ以上削減せず、単価を国基準に引き上げる。

2.年収500万円以下の世帯の学費無償化を2010年度から実施する。他府県進学者への授業料軽減助成を復活する。

3.老朽校舎・園舎の建て替えに対する施設・設備費補助を実施する。

4.私立幼稚園の3歳児保育料軽減補助金の所得制限を元に戻し、3歳児の就園率を高める。国に対して就園奨励費補助金を拡充するよう働きかける。

5.府育英会の奨学金制度を拡充する。給付型奨学金を創設するとともに、入学資金貸付制度を充実する。

(5)文化行政の推進・充実

1.文化予算を計画的に増やし、文化行政の発展を図る。文化芸術団体への助成金を増やす。

2.大阪センチュリー交響楽団への支援を継続し、補助金を復元する。

3.関西フィルハーモニー管弦楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、大阪シンフォニカ交響楽団への補助金は復元・充実する。

4.ワッハ上方は現地存続する。家主や運営法人と誠実に協議する。

(6)女性の社会参加促進と男女平等の実現

1.2010年度以降も、男女共同参画推進財団への運営補助を継続する。

2.府男女共同参画推進事業の拠点であるドーンセンター事業を後退させない。「市場化テスト」は行わない。

3.府庁の女性職員が働きやすい環境を整え、女性幹部職員登用を積極的にすすめる。各種審議会への女性委員の登用を増やし、委員の人選については公募を含め公正・公平を期す。

4.全国ワースト4となっている女性労働者の正規雇用率を引き上げ、男女の賃金格差解消に努めるよう、関係機関、企業に申し入れる。

(7)府立大学

1.大阪府立大学が、女子大学や看護大学の伝統を生かし、教育・研究の役割を果たせるよう支援する。縮小計画を強要しない。

2.運営費交付金の削減をやめ、大学教職員の適正かつ十分な配置を行う。

3.授業料減免制度を充実する。

第3章 福祉部

(1)医療と介護の安心

1.国に対し、後期高齢者医療制度を速やかに廃止するとともに、廃止までの間、保険料の引き上げは行わず、不足分は国が負担するよう求める。

2.「医療改革」と高齢者負担軽減
@ 国に求めること
  イ 70歳〜74歳の高齢者の医療費窓口負担2割への引き上げは行わない。
  ロ 医療給付を低水準に引き下げる医療保険制度一元化計画は行わず、混合診療や保険免責制度は実施しない。
 A 介護・療養病床の廃止・削減計画の撤回を国に求めるとともに、府として医療難民、介護難民が出ないように、必要な措置を講じる。

3.国民健康保険事業
 @ 資格証明書の発行(国保証の取り上げ)、滞納分の差し押さえは行わないよう市町村に働きかける。高校生世代に対しても保険証交付を無条件に行う。
 A 国の国民健康保険への責任後退を許さず、国庫負担率を計画的に2分の1に戻し、当面1人当たり1万円の値下げを実現するよう国に要求する。
 B 福祉医療制度の実施に伴う国庫負担金の減額措置や保険料収納率によって調整交付金を減額するなどの制裁措置はやめるよう国に求める。府として市町村、国保組合に対する補助金を増額して市町村の国保料軽減を支援する。
 C 市町村が医療費一部負担金軽減・免除の制度を国保法にもとづいて実施するように府として必要な支援を行う。
 D 入院給食費患者負担に対する府の助成制度を入院乳幼児だけでなく、医療費助成制度の全ての該当者に適用し、国に患者負担の撤回を要求する。

4.福祉医療制度の充実
 @ 福祉医療制度は現行制度を後退させない。
 A 重度障害者医療費助成の対象者を内部疾患3級の手帳所持者に拡充する
 B 乳幼児医療費助成制度の対象者を早急に就学前まで引き上げる。
 C 国に対し、障害者、乳幼児、ひとリ親医療費の助成制度を創設するよう求める。

5.介護保険制度の改善
 @ 保険料と利用料の軽減について以下のことを国に求める。
  イ 介護給付費の国庫負担を調整交付金を含めて当面30%に引き上げ、1号被保険の保険料負担を軽減するよう国に求める。
  ロ 保険料滞納者への給付停止など、他の社会保健制度にない厳しい制裁措置をなくす。
  ハ 低所得者の利用料を無料にする。
  ニ 被爆者の利用料無料制度のうち、訪問介護の利用料の所得制限を撤廃する。
  ホ 特養ホームなどの食費、居住費の全額自己負担をやめ、利用者負担を軽減する。
  ヘ 全額国の責任で行う保険料と利用料の減免制度をつくる。
 A 基盤整備について
  イ 戦後ベビーブーム世代が高齢になる2015年に間に合うように、国と府の責任で「基盤整備緊急5カ年計画」を立て、特養ホームなどの待機者をなくす。
  ロ 保険料への跳ね返りをおそれて、市町村が施設整備計画を低めに設定することのないよう、府として支援する。
  ハ 特養ホーム等が不足しているために無届けを含む有料老人ホームに入所している高齢者の実態調査を行い、府として必要な対策を講じる。
 D 主任介護支援専門員研修の定員を拡大する。主任介護専門員研修及び、介護支援専門員の更新研修の費用負担に国の補助金を導入し、節約に努め軽減する。
 E 介護事業者における生活相談員にケアマネジャーを加える。

(2)高齢者福祉と生きがい

1.介護予防、高齢者福祉と生きがい
 @ アクティブシニアの活動を支援する施策を拡充し、高齢者の生き甲斐、社会参加を促進する。
A 権利金の安い公的ケアハウスの建設を促進し、民間賃貸住宅に住む高齢者への家賃補助制度を創設する。
 B 法的位置づけのない高齢者専用住宅の実態調査を行う。
C 街かどデイハウス事業は、ボランティアの報酬削減や利用者負担の増額につながらないよう、介護予防事業に対する支援を充実する。
 D 働く意欲のある全ての高齢者に多様な形での就労を保障するよう努力する。高齢者無料職業紹介事業やシルバー人材センターを拡充する。

2.福祉施設職員の人材確保と待遇改善を緊急に行う。
 @ 国に対し、介護職員の処遇改善事業の期限を撤廃し、さらに増額するよう求める。
 A 介護職員養成機関(専門学校・大学等)との連携を深め、人材確保制度を実効あるものにする。

(3)障がい者支援

1.国に対し、障害者自立支援法を廃止して、国連障害者権利条約を早期に批准するよう要求する。

2.障がい者自立支援法の抜本的改善について以下の点を国に求める。
 @ 福祉・医療への「応益負担」を「応能負担」に改める。
A 報酬の「日払い」を「月払い」に改める。
B 施設職員の給与を国の責任で大幅に引き上げる。
 C 地域生活支援事業への国補助金を増額する。
 D 基金事業を継続する。

3.障がい者自立支援法の実施にあたり府としてつぎの諸点に取り組む。
 @ 障がい程度区分認定は障がい特性をふまえたものになるよう調査等を改善する。また、不当に低い判定をうけた障がい者に対しては再調査を実施する。
 A 地域生活支援事業のメニューを増やし、府の独自補助制度を拡充する。
  イ ガイドヘルパー派遣事業利用者負担助成金を現行どおり継続する。ガイドヘルパー養成講座を続ける。
  ロ 聴覚障がい者に対する手話通訳派遣事業、生活相談事業を強化する。
  ハ 小規模通所授産施設や福祉作業所が新体系に移行するため、施設整備などの支援 をさらに強めるとともに、2011年までに移行できない場合、府補助金は従来どおり継続する。
 B 地域移行など障がい者の自立を支援するため、ケアホーム・グループホーム機能強化事業を拡充し、実態に合わない国の設置基準を補う。

4.在宅重度障がい者(児)のショートステイを大幅に増やす。

5.障がいの程度と暮らしの実態に見合った就労支援を行う。障がい者職業能力開発訓練校の拡充など障がい者の技術の習得を支援する。就労後の離職を防止するため企業への研修・啓発を積極的に行う。

6.精神障がい者権利擁護システムを拡充する。

7.障がい者施設への灯油、燃料代助成を行う。

8.障がい者、福祉団体への補助金を復活し、活動を支援する。

9.無年金障がい者に年金を保障するよう国に求める。無年金障がい者に対する給付金制度を拡充する。

(4)低所得者対策

1.生活保護について国に求めること
 @ 保護規準引き下げ、期限付き保護、医療費有料化などの改悪をしない。
 A 123号通知、「生活保護行政を適正に運営するための手引き」を撤回する。
 B 老齢加算を復活する。高等学校等就学費、学習支援費の廃止はしない。
 C 「夏季加算」を創設する。
 D 被保護者への医療券を医療証に改め、すべての医療機関で受診できるようにする。
 E 府域をすべて一級地とし、勤労控除、各種加算、一時扶助は対象を広げるなど実施要領を改善する。

2.生活保護について府としてやるべきこと
 @ ケースワーカーの増員を行うよう市町村を支援する。
 A 申請用紙は窓口に置き、申請書は必ず受理するなど、府民の生活保護の申請権を保障するよう市町村に求める。
 B 保護の決定は遅くとも14日以内の法定期限を遵守するよう市町村を指導する。決定から支給までの「つなぎ資金」貸付は、必要に応じ、迅速に行う。
 C 夏期・歳末一時金を復活する。
 D 自立支援プログラムは、本人の意思を尊重し、市町村に働く場を確保するよう求める。就労活動のための交通費の支給を制限しない。
 E 通院のための交通費を生活実態に即して保障する。
 F 生活保護法第63条による費用の返還は、法1条の精神に基づく「最低生活保障」と「自立」という観点を基本に対応する。

3.小口生活資金は原資を大幅に増やし、貸付限度額を当面30万円に引き上げる。貸付要件の3カ月条項を廃止し、その他貸付要件を緩和する。

4.母子・寡婦福祉資金などの貸付限度額を大幅に引き上げるよう国に求めるとともに、府として金利に対する補助制度をつくる。

5.生活困難者に対して、電気、ガス、水道の供給停止を行わないよう関係機関に強く求める。

(6)子育て支援

1.保育所の整備
 @ 国に対し、「保育サービスの提供の新しい仕組み」づくりを中止し、施設基準や人員配置基準の見直しをやめ、現行の基準を守るよう求める。
 A 待機児解消のため、保育所を計画的に整備する。公立保育所の民営化をやめる。保育環境の低下を招く定員の弾力化を解消する。
 B 公立保育施設の増改築を支援する。

2.交付金化した子育て支援保育士事業は後退しないよう市町村を援助する。

3.府として「学童保育条例」を制定し、指導員の身分保障や、集団の規模、保育時間などの設置基準を策定する。

4.児童扶養手当の減額規定を廃止し、増額するとともに、父子家庭にも支給するよう国に求める。

5.児童虐待等
 @ 激増する児童虐待・ネグレクトに対応するため、子ども家庭センターの専門職員を大幅に増やす。24時間体制を独自に確立し、充実する。
 A 国に対し、児童養護施設および情緒障害児短期治療施設の職員配置基準の見直しを求めるとともに、当面府独自の加配補助を増額する。
 B 虐待を引き起こす社会的な背景について調査し、その排除に努める。

(7)DV対策

1.DV被害者の自立支援策を拡充する。市町村でも相談窓口を設置し、ワンストップサービスが実施できるように援助する。

2.DV被害者の民間シェルターやステップハウスに家賃補助や運営費などの財政支援をする。

(8)地域コミュニティーの充実

1.コミュニティーソーシャルワーカー機能設置事業の目的や事業内容を住民に周知するよう市町村に助言する。

第4章 健康医療部

(1)医師・看護師確保、地域医療体制の確立

1.国に対し医師・看護師不足の解消、地域医療の充実、診療報酬の引き上げなどを求める。

2.医師・看護師確保のため府として次のことに取り組む。
 @ 府の「看護職員需給計画」を見直しを前倒し、看護師の定着を図る措置をとるよう医療機関に助言、援助を行う。
 A 医師会や病院協会などと連携して産科、小児科などの医師を確保し、これらの診療を休止している公的病院の診療を再開できるようにする。女性医師の働きやすい環境をつくる。離職した医師の現場復帰を支援する。
 B 看護師確保対策として、府立大学看護学部の定数を増やし、就労対策を充実させる。准看護師が、正看護師の資格を取得するための学習・受験を保障し、経済的支援を含めた公的援助を行う。

3.自治体病院の再編・統合は行わない。府の「公立病院再編に関する指針」は撤回し、住民と医療関係者、市町村の意向を尊重し、地域医療を確立する。

4.公的病院としての存続が決まった大阪厚生年金病院、星ケ丘厚生年金病院について、法整備を早急に行うよう国に求める。

5.府立病院機構への補助金を削減せず、機構に以下の事項を要請する。
 @ 慢性的な看護師不足を解消するため、労働条件の改善を行う。
 A 呼吸器アレルギー医療センターの診療体制をととのえ、耳鼻科や消化器内科など縮小・廃止した診療科を元に戻す。
 B 母子保健総合医療センターの分娩室の助産師は、3人体制に戻す。
 C 成人病センターの建て替え計画は、一方的にすすめるのではなく、医師、職員、医療機関、府民の意見をよく聞いてすすめる。

6.救急医療体制の充実
 @ 小児科および産科・周産期医療提供体制を拡充するため、産科の医師確保に全力を尽くす。産婦人科診療相互援助システム(OGCS)への協力病院を増やし、国と府の財政支援でNICUをさらに増やす。
A 休日・終夜の診療を行う小児初期救急診療体制を全ての2次医療圏に確立し、行政区ごとの設置を目指す。
 B 小児2次救急告示病院を増やし、医療圏毎のアンバランスを解消する。
C 年末年始に実施している「歯科緊急医療体制確保事業」を復活する。

7.安心してお産ができる医療体制の確立
 @ 妊婦検診公費負担制度が実効あるものとするため、国に対し、補助期間の延長を求め、市町村の公費負担額を増やすよう府として支援する。
 A 不妊治療補助金の増額は、来年度以降も続けるよう国に求める。
 B 入院助産制度の指定病院を増やし、制度の周知を図る。
C 助産師、助産院の役割を見直し、地域の助産院を守るために府として公的支援を行う。助産師の養成数を増やし、院内助産所などの設置を促す。

8.保険でよい入れ歯が入れられるよう、歯科診療報酬の抜本改善を国に求める。国外で作成された歯科医療用補てつ物の安全性を確保する措置を講じるよう国に求める。

(2)保健・衛生、府民の健康

1.感染症対策
@ 新型インフルエンザワクチンは必要な人への接種が、すみやかにできるようにする。国民健康保険加入者の資格証明書交付世帯に対して保険証を交付するよう市町村を指導する。
 B 感染症医療の充実を図る。とりわけ陰圧病室、陰圧外来診療室の整備を引き続きすすめる。
 C 国の責任で、はしかのワクチンを備蓄するように求める。中学1年生と高校3年生は接種費が無料になっているが、修学旅行に出かける高校2年生にも対象を広げるなど、適切な機会に公費負担で接種できるよう国に求めるとともに、府としても助成する。
 D 国に対し、細菌性髄膜炎ワクチンの公費による定期接種の実施を求めるとともに、府として先行的実施を検討する。

2.がん検診
 @ 国による女性の特定がん検診は、1年限りとせず、継続するよう国に求める。
A 子宮がん検診は、子宮体がん検診も対象にし、乳がん検診とともに、毎年受けられるように国に求める。
 B 乳がんのマンモグラフィー検査を毎年受けられるよう国に求める。府として、マンモグラフィー検診機器を購入する医療機関へ財政支援を行い、撮影技師等の養成など、乳がん検診ができる機関を増やす。
 C 55歳以上の男性を対象にした前立腺がん検診を実施する。
 D 肝臓がん、すい臓がんなどの集団検診技法の早急な研究、確立につとめる。大阪がん予防検診センターの機能と体制を充実する。
E がん検診は公費負担とし、府も一定の財政支援を行う。

3.特定健診の基本項目に、心電図、貧血検査も加え、特定保健指導については、65歳以降も年齢による「差別」を設けることなく、積極的支援(指導)の対象とするよう国に求める。府として、健診後のケア体制を充実する。

4.危険な小動物や昆虫、細菌などが日本に入らないよう国とともに監視などに万全を尽くす。血清の確保など、安全対策につとめる。セアカゴケグモ、アライグマなど外来種による直接、または犬や猫、排泄物を介した病原菌・寄生虫などの人への感染対策を早急に講じる。

5.肝炎ウイルス検査、薬害対策等
 @ 市町村と協力して肝炎ウイルス検査の啓発・PRを行う。
 A 肝炎治療特別促進事業の助成対象を拡大し、患者負担の軽減を図るよう国に求める。
 B 肝炎基本法のすみやかな実施を国に要求する。

6.「食の安全・安心条例」を厳正に適用するとともに、食品偽装をなくすため、食品衛生法、JAS法の改正、検疫体制の強化を国に求める。食の安全推進課、保健所、府立公衆衛生研究所等の検査体制を強化し、食の危機管理を一元化し、情報の収集、分析、府民への公開を迅速に行う。

7.熱中症対策
 @ 保健所・地域包括支援センター・福祉事務所などとともに、関係団体・住民団体と協力して厳重警戒予報日に「危険度の高い独居高齢者」等の安否を確認し、支援する仕組みをつくるなど、予防策の充実に努める。
 A 高齢者世帯などへのエアコンの導入費用や電気料金への補助を行う。

8.鍼灸・マッサージへの医療保険の全面適用を国に求め、府も助成制度を実施する。

(3)被爆者対策

1.国に以下の事項を求める
@ 原爆症認定裁判の判決を尊重し、原爆症の認定を速やかに行う。
 A 被爆2世の医療費助成を国の責任で行う。

2、府として次の事項に取り組む
 @ 被爆2世の健康審査は受診可能な病院を増やし内容を充実する。
 A 被爆者の認定は証人のみに頼るのではなく、厚生労働省の通達に基づき速やかに認定する。

(4)難病、特定疾患対策の充実

 @ 特定疾患事業の後退を許さず、難病患者が安心して療養生活が送られるよう、居宅生活支援事業の内容の充実を国に求めるとともに、市町村に対し、制度の実施と府民への周知を促す。
 A 府独自の特定疾患医療費の助成対象疾患を増やすとともに内容を充実する。
 B 難病・慢性疾患患者の妊娠・出産に際して、ハイリスク妊娠管理加算等の過大な患者負担や保険外の出産経費について、府としての軽減制度を設ける。
 C 内部障害者・難病患者の社会復帰施設を整備し、雇用を促進する。難病患者にもJR・私鉄・航空運賃割引制度を適用するよう国に求めるとともに、府として独自施策を行う。
 D 難病患者の治療経験交流などのよりどころとなる「難病センター」を建設する。
 E 腎疾患対策を抜本的に強化する。
  イ 以下のことを国に求める。
   ・ 腎炎・ネフローゼなどの長期療養者に対する医療費公費負担制度の年齢制限を撤廃する。
   ・ 公的病院における夜間透析を実施し、透析医療費は全て公費負担とする。人工透析施設の地域偏在をなくす。

  ロ 合併症による重複障害透析患者の入所施設を整備する。
  ハ 結核など人工透析が必要な感染症患者が入院できる医療機関をさらに増やす。

第5章 商工労働部

(1)中小企業振興を大阪経済活性化の柱に

1.「大阪府中小企業振興条例」(仮称)を制定し、中小企業対策予算を大幅に増額する。

2.大企業の誘致に多額の補助金を支出するのは止める。大企業の生産拠点の移転に際しては、事前に協議を行い、雇用と下請中小企業の仕事が激減しないよう配慮を求める条例を制定する。

3.全事業所実態調査を市町村と協力して実施し、府と市町村の施策に生かす。

4.中小企業者への金融支援の充実
 @ 府の制度融資については、上限金利や保証料の引き下げ、償還期間の延長など充実を図る。府内金融機関に対して、中小企業への金融の円滑化を強く要請する。「部分保証」の撤回を国に求める。
 A 「商工ローン」、システム金融などの悪質・違法な行為を許さず、中小企業者を被害から守る。府として相談体制の強化・充実を図る。
 B 市町村の多重債務相談窓口の機能強化のため、府として支援を強める。

5.ものづくり技術支援、産業育成・後継者育成の強化
 @ 関係機関と協力し、大阪産業の特性を生かした産業の育成、製造業者間のネットワーク構築などを支援する。府立産業技術総合研究所の府内製造業支援機能を高め、小規模事業所にも役立ち、利用しやすくする。大阪市内にも同様の施設を市と協力して設置する。
 A ものづくりの技術開発や技術継承、後継者育成などに積極的に取り組む。クリエイション・コア東大阪を充実し、いっそうの利用促進を図る。

6.下請検査官の大幅増員や「下請かけこみ寺」の相談体制強化など、下請企業への「犠牲転嫁」を許さない取り組みを国に求める。府としても「下請かけこみ寺」制度の周知、下請二法の周知と厳正適用に努める。

7.中小企業の仕事をつくる・増やす
 @ 他部局との連携・協力を強め、住宅耐震・リフォーム、防災、自然エネルギー分野など府内中小企業が受注できる生活密型の公共事業を増やし、中小企業向け官公需発注率を高める。
 A 府内大企業に対して、府内下請け業者への優先発注を行うよう求める。
 B 中小企業のすぐれた技術を活かした新製品や新しい加工技術の開発のために、大学等の研究機関との連携、販路拡大への支援を強める。

8.商店街・市場等の振興
 @ 地域住民の暮らしを支え、福祉、文化、歴史に寄与する商店街や市場の活性化への取り組みを強める。空き店舗対策やリニューアル事業などを充実する。
 A 商店街の街路灯LED化への補助制度創設。
 B 大型店の立地を規制し、地域の商業と住民生活を守る。

9.小規模事業経営支援事業費補助金は元に戻す。

10.家族労働者の労賃が認められるよう、所得税法56条の撤廃を国に求める。業者婦人の地位向上を図る。

(2)雇用創出と正規雇用拡大、労働条件の改善

1.大企業に対し、リストラや内定取り消しなどをしないよう強力な指導、監督を国に求めるとともに、府としても強く働きかけ、正規雇用の拡大も求める。府が補助金を支出 した大企業に正規雇用を義務づける。失業者数に見合った公的就労を拡大する。

2.労働者派遣法を99年の改定前に戻し、登録型派遣は認めないなど、労働者保護の立場に立った抜本的改正を国に求める。

3.住居喪失者への就労支援、生活相談を強化するとともに敷金や家賃補助など住宅入居支援を実施する。

4 雇用調整助成金の充実と要件緩和、失業給付の期間延長と給付額の引き上げを国に求める。

5.青年の正規雇用拡大、常勤雇用の確保に力を入れる。高校新卒者をはじめ、若年者を正規採用した中小企業者への補助制度をつくる。高校、大学などの新卒者が就職できるよう府として企業に働きかける。

6.JOBカフェは引き続き充実し、青年が利用、相談しやすいものにするとともに、就職後の定着支援を強める。「ニート」対策など、若年失業者対策を強化する。

7.偽装請負、サービス残業など違法労働を根絶する。企業にサービス残業の是正を求めるとともに、実態調査を行い、必要に応じ企業名を公表する。労働条件・労働者の権利についての啓発に努める。

8.障がい者の雇用促進のため、大企業に対し法定雇用率早期達成を強く要請するとともに、国に指導と未達成企業名の公表を求める。内部障がい者や知的障がい者の雇用のため、府として独自の対策を講じる。中小企業への障がい者採用のための助成など支援を強め、「障がい者の雇用促進と就労支援に関する条例」を実効あるものにする。

9.大阪労働局や労基署などとの連携を強め、労働相談を充実させるとともに、解雇、リストラや内定取り消し、求人取り消しの現状を、府としても把握し、適切な対応を図る。

第6章 環境農林水産部

(1)地球温暖化、ヒートアイランド対策、環境保全

1.2009年9月の気候変動サミットで鳩山由紀夫首相は、日本の温室効果ガスの排出を2020年までに1990年比25%削減する方針を国際公約とした。目標達成に向け、産業界との公的協定の義務づけや国内排出量取引制度の実施、また、自然エネルギーへの政策転換などを政府に強く求める。

2.大阪府の取り組みを抜本的に強化する。
 @ 「温暖化防止条例」に基づく対象業者の削減目標とその達成に向け、指導・助言を強化するとともに、大阪府自身の削減目標を早期達成し、さらに目標の引き上げを行い、温暖化、ヒートアイランド防止に取り組む。
 A 大阪府流入車規制の徹底をはじめ自動車交通の総量規制による対策を実施する。
 B エネルギーの効率的利用をはじめ、太陽光・熱、小水力、地熱、畜産業などと協力したバイオマスエネルギー、ペレットを使用したストーブやボイラーの普及、建築廃材などによる再生可能エネルギーの開発・利用を促進する。府独自の助成を拡充する。

(2)公害対策と被害救済

1.府の環境行政を、汚染者負担の原則、予防原則、住民参加、徹底した情報公開という視点を明確にし、抜本的に強化する。環境アセスメント条例は、新しい公害・環境問題に対応できるよう実態に見合って見直す。

2.公害被害者の救済、新たな公害をつくらない
 @ 府として公害健康被害者の実態を調査し、支援策を検討する。公害認定患者死亡見舞金を復活する。
 A 低公害車導入助成制度の抜本的拡充を図り、低公害車の普及につとめる。

3.アスベスト対策
 @ 府有施設や多くの府民が利用する施設で使用しているアスベストの対策を早急に完了する。アスベスト含有建築物解体時の飛散防止に万全の対策をとり、作業員、周辺住民への情報提供の徹底を事業者に求めるとともに、二次被害阻止のための国の補助を求める。

(3)ごみ減量と廃棄物対策

1.産業廃棄物の発生抑制、再利用等をすすめ、安易に埋め立て処分をしない。産廃処理施設等の立地にあたっては、「循環型社会形成推進条例」の趣旨の徹底を図り、周辺住民の合意と納得を前提とし、事前に有害化学物質も含めた環境影響調査を行い、情報公開の上、環境対策を実施する。

2.プラスチックごみの発生抑制のため、製造・使用・販売する事業者に廃棄の段階まで責任を持たせる仕組みをつくるよう国に求める。寝屋川市の廃プラスチック処理施設周辺住民の健康被害を調査し、操業停止を含めた対策を直ちに講じる。

3.農山間地域に産業廃棄物を不法投棄しないよう、森林法や循環型社会形成推進条例に基づく指導を強め、不適正処理は「代執行」も含め、厳正に対処する。

4.中小企業の公害防止対策や公害対策の研究・開発について、助成制度及び税制上の優遇措置を拡充する。

(4)農林漁業振興、安全な食料の供給

1.食料自給率の向上と、都市農業振興を図るため、国に次のことを求める。
 @ 農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて、再生産が可能な農業収入を保障する。
 A 日本農業に打撃となるFTA・EPAには反対する。
 B 多様な家族経営を維持発展させるとともに、大規模農家や生産組織を支援する。
 C 農地相続税の大幅な軽減を図り、相続者は終生という営農条件を20年に改める。
 D 生産緑地の指定面積要件を引き下げ、市町村に対し追加指定を奨励する。
 E 貸し農園等、実態として農地としての保全・活用が行われている土地や営農に必要な農業施設用地に対して、相続税納税猶予制度を適用する。
 F ミニマムアクセス米の「義務」的輸入を中止する。

2.「大阪府都市農業の推進と農空間の保全と活用に関する条例」を真に実効あるものにするため、次の措置を講じる。
 @ 大阪版認定農業者の認定対象者を、農業を続ける意思のあるすべての農家に拡大し、認定条件を満たすよう、農業普及員による営農指導、技術指導をいっそう強化する。
 A 農と緑の総合事務所の普及員を増員する。
 B 農産物直売所の整備・増設を支援する。府内スーパーなどでの直販スペースの拡大を働きかけ、エコ農産物、なにわの伝統野菜のPRなど、地産地消の取り組みを抜本的に強める。学校給食での府内産農産物の使用、米飯給食の普及を全市町村で取り組むよう、財政面も含め指導、援助する。保育所、福祉施設などにも普及する。
 C 「こまわり産地野菜価格安定化事業」の対象をさらに拡大する。
 D 市町村や農業協同組合が独自に行っている米の生産奨励制度に対して府として財政支援を行う。
 E 条例の実効性を保障するため、「経営改善支援基金」の創設をはじめ、十分な財政措置を行う。
 F 棚田等の保存・活用に特別の支援制度を創設する。

3.大阪府環境農林水産総合研究所について、研究職を採用して機能を充実する。独立行政法人化は行わない。水生生物センターの体制を強化する。

4.魚価の安定、販路の拡大、漁船の省エネルギー化、漁業・水産資源の維持・管理、後継者育成のための青年漁業者支援制度など、漁業の振興を図る。

5.大阪府の林業の活性化を推進する。
 @ 森林を保全し、林業の振興を図る。間伐に対する府の補助金を増やし、燃料チップをはじめ、間伐材利用をいっそう促進する。府内市町村や企業・団体の協力体制をつくる。
 A 府内産材の需要拡大のために、学校・住宅など公共施設や土木工事、商店街のアーケード、歩道などに府内産材を使用するよう目標を設定して推進する。
 B 森林組合の経営基盤強化への支援をする。
 C 放置森林対策を拡充する。
 D 林家の後継者支援のために、「林業後継者支援制度」(仮称)の創設を国に求めるとともに、府としても支援を強化する。また、林業への新規就労者を増やすための取り組みをいっそう強化する。

6.大阪府中央卸売市場は機能維持・強化をはかる。

7.南大阪食肉市場株式会社への貸付金の確実な返還を求める。

第7章 都市整備部

1.道路・公園・河川・鉄道など都市基盤施設の整備と維持・管理は、一律削減を止め、安全性と住民の利便向上を促進する立場から、着実に推進する。

2.国直轄事業負担金は、廃止を国に求める。

3.交通道路事業
 @ 必要性が乏しく、税金のむだ遣いとなる淀川左岸線延伸部・なにわ筋線・JR桜島線延伸・関空リニア、リニア中央新幹線は取り組まない。新名神高速道路は、建設の中止を国に求める。新名神関連府道は手を付けない
 A すべての橋梁の耐震診断を実施し、耐震補強を計画的にすすめる。
 B 阪神高速道路の対距離料金制度移行は、利用者負担の大幅増をもたらさないことを前提にする。高速道路料金無料化のための税金投入はしない。
 C 国道43号線の大気汚染を軽減するため、阪神高速道路西大阪線を一般道路化するよう大阪市に働きかける。
 D 大阪高速鉄道株式会社は民営化を行わず、料金引き下げ、接続改善、門真以南への南進など、府が設立した公共輸送機関としての役割を今後とも発揮する。
 E 泉北高速鉄道の運賃は、大阪府が大阪府都市開発株式会社から配当を受けている範囲で値下げする。

4.河川事業
 @ 淀川水系4ダム事業は、国に中止を求める。安威川・槇尾川ダム事業は中止する。
 A 堤防・護岸の安全性を向上させるとともに、溢水しても破堤しないものに強化する。
 B 砂防事業、地すべり対策、急傾斜地崩壊対策など、土砂災害対策は着実に進める。

5.大型開発の見直し
 @ 箕面森町第3区域に新名神高速道路工事から生じる残土は、受け入れない。
 A 国際文化公園都市関連土木事業は、公共事業から開発者負担の事業に切り替える。

第8章 住宅まちづくり部

1.府営住宅
 @ 府営住宅の現戸数維持の方針を堅持する。府営住宅整備への一般財源投入額を従来どおり確保して、耐震化と建て替えを計画どおりすすめ、応募倍率が高い地域で供給を増やすとともに、若年世帯向け住宅の供給を拡大する。
 A 府営住宅の建て替えで生じた土地は、駐車場、公園・緑地、福祉施設の整備など、公共の目的に利用する。民間には売却しない。
 B 府営住宅の地位承継の範囲に、不安定雇用などの低所得者と「その他やむを得ないもの」を含める。
C 府営住宅の管理は府住宅供給公社を指定管理者とする現方式を堅持し、入居者のニーズに、より的確に対応できるよう努める。家賃滞納による強制立ち退きをさらに減らす。
 D 府営住宅団地内の低・未利用地の売却に当たっては、団地自治会に十分説明し、理解を得る。
 E 東三国住宅の廃止を撤回し、耐震改修もしくは建て替えを実施して、入居者に住宅を保障する。

2.地震等の災害対策
 @ 住宅の耐震化助成は、すべての市町村が23%助成も含めて実施できるよう、財政・技術の両面にわたって援助を充実する。
 A 住宅耐震化に小規模事業者が積極的に参加できるよう、研修と技術習得を支援する。
 B 密集住宅市街地整備促進補助金は、予算額を復元し、より効果が上がるよう、改善を進める。

4.りんくうタウン、阪南スカイタウンは赤字補填の公費投入を減らすよう、一層の見直しをすすめる。


5.その他
 @ 駅のバリアフリー化は、予算額を復元し、計画どおりすすめる。
 A 住宅供給公社賃貸住宅の建て替えは、オフバランス手法にこだわらず、必要性にもとづき、再生地の処分益も活用して積極的にすすめる。
 B 千里・泉北ニュータウンの再整備については、良好な住環境を守り、居住者の利便を向上させることを基本にすすめる。再生地の利用は、住民合意ですすめる。

第9章 水道部

1.水需要予測を早急に見直し、過大な今後の施設整備・更新計画を抜本的に再検討する。

2.大幅黒字を毎年もたらす水道料金は、順次値下げする。

3.水道事業は、府内市町村に安全、安定、安価な水道水を供給する責任を堅持し、市町村の水道経営を応援する立場ですすめる。

第10章 教育委員会

(1)教育行政

1.憲法、子どもの権利条約の理念を生かし、すべての児童・生徒に基礎学力、豊かな情操と体力、市民道徳を保障する教育条件の整備をすすめる。

2.30人学級の早期実現を国に求めるとともに、府として当面、小学3年、中学1年に35人学級を広げる。

3.大阪府の「教職員定数配置基準」を改善し、養護学級重度加配、生徒指導・進路指導の加配、養護教諭の複数配置など、教職員定数を増やす。

4.学校・園の安全対策を抜本的に強化する。「学校安全緊急対策事業」を元に戻し、政令市を含め、幼稚園・保育所などにも拡充し、単価を引き上げる。

5.教員の宿泊を伴う業務の旅費は実費を支給する。

6.いじめ・不登校対策として、子どものシグナルを見逃さないために、保健室やカウンセラーを充実させる。

7.新たな職(首席、指導教諭)は廃止する。

8.「評価・育成システム」、「成果主義賃金」を廃止する。

9.「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱の押しつけを止める。

10.「人権教育」の名による「同和教育」を止める。

11.教職員の多忙化を解消し、勤務条件の改善を図る。労働安全衛生体制を整備・確立し、メンタルヘルスを確保する。

12.学校施設の耐震補強への補助単価・補助率の引き上げ、および府立学校の耐震化への補助制度の創設を国に求めるとともに、市町村立小中学校への府の補助制度を創設する。

(2)義務教育

1.就学援助制度を元に戻すよう国に求め、市町村に制度拡充の支援を行う。事務職員の就学援助加配は、標準法どおりに配置する。

2.義務教育費国庫負担制度の2分の1助成復活を国に求める。学校事務職員・栄養職員の給与費・旅費の復元と基準財政需要額の大幅な引き上げを国に求める。

3.小・中学校の大規模改修への財政措置拡充を国に求める。

4.栄養士の全校配置をすすめる。

5.「学校給食法」にもとづく中学校給食が全校で実施できるよう支援する。

6.児童・生徒の健康について「学校保健法」に基づく調査を行い、正確に把握し、実効ある対策を講じる。

7.夜間中学実施市への就学援助補助を復活する。

8.府内の学校に専任の司書教諭を配置し、学校図書館の機能充実をはかる。

9.全国いっせい「学力テスト」の中止を国に求める。府として市町村結果の公表はしない。

10.旧同和地区を対象にした学力調査は、今後実施しない。

(3)高校教育

1.府立高等学校特色づくりは中止する。進学指導特色校は設置しない。

2.希望者全員入学を目指し、全日制高校への進学率を引き上げる。公立中学校卒業生の公私受入れ比率「7対3」を維持する。

3.府立高校の中退者対策をすすめる。

4.府立高校の入学料の減免を制度化する。エアコン使用料の徴収は中止する。

5.府立学校教務事務補助員等の廃止を撤回し、復元する。制度廃止による教育水準低下を招かない措置を講じる。非常勤教職員の待遇を改善し、非常勤講師の報酬を月給に戻す。

6.クラブ活動を振興する。

7.「知的障がいのある生徒の受け入れ」については、本人の学習権と発達を保障するのに最も適切な就学形態に留意し、入学後の条件整備を行う。

(4)支援教育

1.支援学校における過密・過大の解消及び通学区域の縮小、通学時間の短縮を図るなど教育条件の改善を図る。とりわけ知的障がい児童・生徒数の増加をふまえ、新校設置を早期に実現する。

2.新校整備までの4分校のスプリンクラー、自校調理による給食など教育条件を整備をする。

3.スクールバスを増車し、通学時間60分以内を実現する。

4.小・中学校の支援学級は、障がい種別ごとに学級を設置する。重度重複加配教員を復活する。

5.通常学級に学ぶ障がい児やLD、ADHD等の子どもたちへの教育を保障する条件を整備する。通級指導教室をすべての小中学校に設置する。

6.医療的ケアが必要な重度障がい児の教育を保障するための諸条件を整備、充実する。

7.卒業後の進路保障対策をいっそう充実する。

8.訪問学級、院内学級の増設を図り、病弱児、病気療養児の教育を保障する。特に母子保健総合医療センターの院内学級の教室を整備する。高等部の訪問教育を充実する。

9.支援学校での給食の民間委託は止めること。直営自校方式により、より豊かで安全な給食を保障する。

10.放課後、休日や長期休業中など地域における障がい児の豊かな生活と発達を保障するための社会教育施策を拡充する。

(5)社会教育・体育

1.国際児童文学館は、移転を中止し、現地で存続させる。

2.弥生文化博物館、近つ飛鳥博物館の特別展、企画事業等の予算は元に戻す。

3.府立体育館は、興行中心でなく、アマチュアスポーツの殿堂としての役割を堅持する。

4.臨海スポーツセンターは耐震改修を実施し、存続させる。

第11章 公安委員会

1.女性を性犯罪から守る。「少女買春」、風俗などの犯罪の取り締まりを強化する

2.診療機器を積んだ歯科の往診車については、駐車禁止規制の対象外として除外標章を交付する。小規模零細な事業者が行う貨物の積み卸しや商品の配達、メンテナンスなどに使用する車両は実態に応じて許可証を発行する。

3.交通事故多発交差点は、歩車分離式信号の導入など改良をすすめる。信号機は、府独自に設置予算を組み、府内市町村や府民の要望にもとづき、速やかに増設する。

4.府民、自治体が要望する場所への交番設置を速やかにすすめる。交番を無人状態にしない。

5.ひったくり、侵入盗など、街頭犯罪対策をいっそうすすめる。

6.右翼団体、暴力団対策
 @ 府民の生活を脅かし、政治活動を妨害する右翼団体を厳正に取り締まる。
 A 経済団体、政治結社をよそおった暴力団については、暴力団対策法なども駆使し、厳しく取り締まる。暴力団と政界・財界との癒着は徹底的に捜査、解明を行う。
 B 府民からの苦情や被害届けなどの受付相談窓口を充実する。

7.ビラまき、ポスターはり、街頭宣伝行動に対する不当な干渉、介入、弾圧を止める。

8.警察官の不祥事を根絶するため、綱紀粛正につとめる。

9.年次有給休暇の完全取得など警察官の待遇改善に取り組む。

10.女性警察官を計画的に増員し、女性警察官を政策決定に参加させるよう幹部に登用する。

11.取り調べの可視化をすすめる。

12.府警察学校の中途退学者増加の原因を明らかにし、入学者の全員卒業を目指して対策を講じる。