橋下・大阪府政の特徴 臨時議会閉会 宮原党府議団長に聞く

大企業の応援機関に

 大阪府の今年度の本格予算案が23日、自民、民主、公明などの賛成多数で可決成立しました。橋下徹知事の2月の就任から5カ月半。橋下府政の特徴や、議会の論戦を通して見えてきたことなどを日本共産党の宮原たけし府議団長に聞きました。

小泉「改革」の大阪版

 ――7月臨時議会の特徴は。

宮原 これで第1ラウンドが終わったというところです。知事は就任直後に「財政非常事態宣言」を行い、「収入の範囲で予算を組む」とし、そのためにあらゆる事務事業をゼロベースで見直すとしました。予算は、知事が「大阪維新プログラム案」でかかげた今年度1100億円の「収支改善」を盛り込んだもので、「財政再建しなければ次の一手が打てない」として府民に我慢を求めました。府民の運動と世論で若干の修正はしたものの私学助成や人件費の大幅削減は変わりありません。

 小学3年生からの習熟度別指導を実施しますが、福祉や医療、教育などは受益者負担や自己責任を強調しています。国際児童文学館、ワッハ上方、大阪センチュリー交響楽団の存続については自分で生き残ったものだけが文化だという見方です。競争で生き残ったものが世の中を担い、文化を担えばよいという典型的な新自由主義.です。まさに小泉構造改革の大阪版です。

府は将来解消 関西州めざす

 ――安威川ダムや「箕面森町」、新名神高速道路建設など大型開発は継続させました。

宮原 ペースを落としていますが基本的にはすべて継続です。知事は私の代表質問に、福祉や教育などを削減し、大型開発に府費を投入するのは金額ではなく、政策判断だと答えました。住民サービスは府の仕事ではなく、市町村の仕事だとし、大阪が都市間競争に勝つためには関西全体で開発プロジェクトを推進させることが必要で、広域自治体としての府の役割はそれに特化する。将来的には府は解消し関西州を実現するとしています。

 関西の湾岸地域に集積する大企業中心で、高速道路建設もそのためです。需要はあとからつくるものだとも言っています。ここには.大阪の財産である中小企業をどう発展させるかの観点はありません。          (つづく)

暮らし・自治 全力で守る

 ――各党はどうだったでしょうか。

宮原 自民も公明も民主も、私学助成や人件費の大幅削減、文化施設などの問題では再考を求めつつも、橋下知事がめざす改革は評価しています。自民党などは、私学経営者団体や医師会などの支持基盤との矛盾を深くしていかざるを得ません。大型開発と同和については3党ともものをいわず、道州制に賛成です。結局、橋下改革についていかざるを得ません。

盛り上がる府民の運動

 ――「維新案」や予算案の見直しを求める府民の運動が大きく広がりました。今後、何が課題になるでしょうか。
宮原 3百万人を超す署名などわずか3カ月間で急速に府民の運動が盛り上がり、35人学級を守り、私学助成も授業料軽減助成の削減幅をかなり改善させることができました。いくつかの文化施設で、ある程度存続の展望ができてきています。自然発生的ですが、教育、福祉、文化に対する府の広域的役割を果たせという一人ひとりの流れが合流しつつあるのではないでしょうか。

 知事は、地域主権プロジェクトチームをたちあげて市町村との役割分担を明確にし、補助金の交付金化などを検討するとしています。今後は福祉4医療や障害者への補助事業、学校警備員などの問題は、交付金化と一体の問題になっていきます。住民と府と市町村が一体となって、住民自治とくらし・福祉を守れという大阪中の運動にしていくことが求められます。

 わが党は、引き続き無駄な大型開発や同和などにメスを入れ、道州制がもたらすものを.明らかにし、国に対し、地方税財源確保を求めつつ、福祉や教育を守るために全力をあげます。

(おわり)


2008年7月26、27日付「しんぶん赤旗」より