9月府議会 無駄遣いやめて府民の暮らし応援する府政を
日本共産党 宮原府議団長が代表質問

今こそ心通う温かい府政を

 9月28日の9月府議会本会議で、日本共産覚の宮原威府議が代表質問に立ちました。宮原議員は、貧困と格差の拡大が大阪で特に深刻になっている中、府民の暮らしと福祉を直接応援する府政の役割を強調。「水と緑の健康都市」など大型開発の抜本的な見直し、同和行政の完全終結などを求めました。

負担増見直し緊急に国に直訴を

 代表質問で宮原議員は、後期高齢者医療制度の実施凍結など6項目の緊急要求(注)を示し、太田知事に「国に要望するとともに、議会終了後に上京し、府民の立場で国に直訴すべき」と迫りました。

 太田知事は「あらゆる機会をとらえて必要な制度改善を求める」などの答弁に終始しました。宮原議員は、ほとんどの項目は、政府・与党も見直しを検討し、府や全国知事会・市長会も要求してきたものだと強調、「私の言った項目のほとんどは、知事とも一致できるはず。直接、国と掛け合うべき」と重ねて迫りましたが、太田知事は「必要に応じて要望する」と繰り返すのみでした。

貧困と格差は大阪で特に深刻

 太田知事が就任(00年)して以来の6年間で、資本金10億円超の企業の利益は、34%も増加。太田知事は、大企業の景気回復が「中小企業、府民生活に及ぶように」、「雇用や福祉面のきめ細かなセーフティーネットの構築に努める」と繰り返してきました。

 しかし、この6年間に、府内の生活保護は1.6倍に増加し、非正規雇用の拡大や、国保料や介護保険料も値上げなどが府民生活を直撃、「貧困と格差は大阪で特に深刻」(宮原議員)です。

 宮原議員は、太田知事が府立高校授業料の全国一への値上げや老人医療費助成の基本的廃止、子ども・ひとり親・障害者医療への一部目己負担の導入などを強行してきたことを挙げ、「貧困と格差の拡大の責任は知事にもある」と批判しました。

 宮原議員は、「心の通った温かい大阪と活力ある経済を取り戻すために」として、府民の暮らしを直接応援し、「福祉先進都市」。大阪を目指すことなど5点を提案。国保や介護、教育、雇用と中小企業振興、耐震化の推進など安全・安心、地球温暖化対策はじめ、府民生活の実態や切実な要求を基に、具体的な施策を太田知事に求めました。

府民生活を直接応援せよ


 宮原議員は、84年から20年間で府内の国保料の平均が2倍になっている事実を指摘。滞納者への制裁措置である資格証明書の発行は、府内で00年3537世帯から06年3万639世帯へと激増しています。

 府内19市町村が、苦しい財政事情の下でも、法定・独自減免措置を行い、一般会計から国保会計に286億円を繰り入れています。

 宮原議員は、「努力している市町村を支援することが府政の役割」と強調し、せめて独自減免の2分の1を府が補助するよう要求。滞納というだけで国保証を取り上げることをやめるよう求めました。

 太田知事は、市町村の独自減免については、「財政支援を講じるよう国に要望する」などと、府の補助に背を向けました。

子ども医療費拡充・26億円で可能

 子どもの医療費助成制度について宮原議員は、全国23都道府県が就学前まで助成している中、大阪府は通院で3歳未満までと、全国最低レベルにあることを指摘。府内でも7割の市町村が就学前まで実施し、東京都ではことし10月から、就学前の助成に加えて、小学1年生から中学3年生までは、3割負担のうち1割を都が負担する制度を行うことなどを示して、府も就学前まで無料にするよう要求しました。

 現行の府制度を就学前まで拡充するために必要な予算について、笹井康典健康福祉部長は「26億円」と答弁。宮原議員が「直ちにやるべきだ」と迫ったのに対し、太田知事は「市町村の意向を踏まえ、研究する」と答えました。

税金無駄遣いの展示場

 宮原議員は、「大型開発の見直しや同和行政の終結で、要求実現と財政立て直しの道を開くことだ」と主張。阪神高速大和川線や国際文化公園都市(彩都)開発など6つのプロジェクトに、08年度から3年間で1100億円の府財政を投入する計画を全面的に見直すよう求めました。

 この中で、「まさに税金無駄遣いの展示場」と宮原議員が批判したのは、「水と緑の健康都市(箕面森町)」です。

 造成した宅地を完売しても750億円の赤字となる開発。そのアクセス道路「箕面トンネル」も、313億円の赤字を前提に建設。トンネル工事で箕面山系に水枯れが発生し、名勝「箕面大滝」の水も、ポンプで補給。5月の開業以来、1日平均の通行量は計画の68%で、赤字拡大は必至です。宮原議員は「『水と緑』開発は抜本的に見直し、自然をさらに破壊する第2名神は、国に中止を求めよ」と要求しましたが、太田知事は、見直しや中止を拒否しました。

財界に支えられた知事

 無駄や自然破壊が明らかな開発になぜ知事が固執するのか。「その背景には、知事と財界との関係がある」と宮原議員は指摘しました。

 太田知事の政治団体「21世紀大阪がんばろう会」の発起人は、関空2期事業を強力に推進した秋山喜久・前関経連会長。秋山氏は、府立高校へのエアコン設置で、独占的な利益を樗た関西電力の会長でした。また府立高校の3分の1のエアコンを供給した三洋電機の井植敏氏も「がんばろう会」の会長でした。太田知事の政治資金パーティーは、ことし2月までに11回行われ、「がんばろう会」の収入は、支出を差し引いて5回で1億3810円。これらのパーティーは関西財界や「連合」によって支えられています。

 こうした事実を示して宮原議員が追及したのに対し、太田知事は「パーティー開催は主催者が決めることで、いずれも適法しなどと述べました。

年間50億は無駄駅そのもの


 宮原議員は「事実上の同和行政に、年間約50億円が使われている。無駄遣いそのもの。終結し、その予算は府民のために使うべきしと、きっぱり主張しました。

 生活環境など格差が改善され、偏見も改善、人口も流動化するなど、「同和地区」の実態はありません。太田知事は、これまで「教育、労働の課題などが残されている」と答弁。宮原議員は、「これらの課題は、特定地域の問題ではなく、国政・地方政治全体が取り組むべきもの。同和問題ではない」と力説しました。

 大阪府が同和行政を続ける理由にしている、府民の中にある「同和地区」への「否定的イメージ」について宮原議員は、「部落解放同盟(解同)」による行政や教育への介入、「解同」一部幹部の不正事件の続発、「解同」言いなりの不公正な行政にも責任があると厳しく指摘しました。

 それでも太田知事は、同和行政を続ける考えを改めて表明。「解同」の介入や不公正な同和行政の問題について、「ご指摘は当たらない」などと述べました。


2007年10月7日付「大阪民主新報」より