府議会政務調査費 条例改正・全面公開が実現
共産党府議団 阿部誠行幹事長に聞く
 道理ない共産党への返還要求

 20日開かれた9月府議会本会議で、「大阪府政務調査費の交付に関する条例」の改正案が全会一致で可決しました。翌21日には、太田知事が日本共産党府議などに政務調査費の一部返還を請求。政務調査費をめぐるこれらの動きについて、同党府議団の阿部誠行幹事長に聞きました。

全国的にも高い水準の使途基準

 全国的に政務調査費の問題が注目される中、府議会でもことし3月、議会運営委員会理事会で、主要会派の代表と外部有識者でつくる「政務調査費あり方協議会」の設置を決め、5月以降、使途基準の明確化や、条例案について検討してきました。

 今回の改正は、.「実費弁償の原則」を前提に、「必要性・妥当性」「証拠主義」「透明性」の3原則を明記。すべての使途を1円以上の領収書を付けて、会計帳簿、活動記録簿とともに公開します。これは全国的にも高い水準の使途基準です。さらに、適正な運用のためのチェック組織(検査等協議会)を設置することになりました。

 わが党議員団はこれまで、議会改革の取り組みの中で、一貫して領収書の添付や全面公開を要求してきました。これらが今回の条例改正に実現したことは、高く評価しています。

飲食費への使途・容認残る

 ただ、「飲食費」への使途を制限付きですが容認する部分が残りました。わが党は、条例案改正案には賛成しましたが、改正案の共同提案者とならなかったのは、そのためです。今後、飲食費など使途について、府民の目線でいっそう改善されるよう努めていきたいと思います。

知事が返還を請求

 知事の請求は、わが党議員団が、日常的・総合的な政務調査活動を行うために、各議員が「調査委託費」(月22万円)として議員団に拠出している2分の1が条例に違反しているとして、現・元職9人に計約3千万円を返済せよというものです。

 府議会と議員には、大きく2つの重要な役割があります。一つは、府政の具体的な施策を府民の立場からチェックする。もう一つは、住民の声を議会に直接届けるということです。

 政務調査費は本来、その活動を進めるために府議会の会派・議員に支給されているもので、政党助成金とは異なります。大阪府議会では議員人あたり月額59万円で、会派へ10万円、議員個人へ49万円に分けて支給しています。

共産党は「目的外使用」ゼ□

 府政には1800以上の事業があります。これらをチェックし、府民の立場から政策を立案し、府民要求を実現するには、会派・集団として日常的・系統的な政務調査活動が必要です。

 そのため、わが党議員団として専任の職員を雇用し、議員団と共同で政務調査活動を進めています。その人件費も含めて政務調査費でまかなってきました。.

 6月に発表された外部監査結果では、04、05年度分の政務調査費の内、約5分の1にあたる3億4100万円を「目的外支出」と認定しました。

 この中で、わが党以外の会派・議員で「ハワイ旅行」や「温泉旅行」(自民)、年間1234万円もの飲食費(公明)など、とんでもない使用実態が明らかになりました。これらの返還は当然です。

 日本共産党府議団には、こうした使い方は一切ありません。外部監査結果でも、わが党議員団で「目的外」に使われた金額はゼロと認定しています。

本来認められるべきもの

 ところが知事は、「使い方はよい」が、議員が会派に「調査委託費」として支出するやり方は不適切だとした監査結果に基づいて、返還を求めているのです。「使い方はよい」が「返還せよ」というのは、つじつまが合いません。

 わが党の議員が会派に「調査委託」するという方式は、実施にあたって府議会事務局も、府の使途基準に照らしても可能であることを認めており、今回の条例改正の中でも認められているものです。政務調査費本来の目的からも認められるべきものです。返還請求には道理がありません。


2007年9月30日付「大阪民主新報」より