宮原たけし議員の代表質問(概要)2007年9月府議会

 宮原たけし議員が9月28日におこなった代表質問の概要を紹介します。

 日本共産党の宮原たけしでございます。

わが党議員団を代表して、知事、教育長および警察本部長に質問いたします。
 先の参議院選挙では、自民・公明政権に対して厳しい審判が下りました。小泉政権以来の「構造改革」によって、庶民大増税、社会保障の改悪、非正規雇用の急増など、貧困と格差が広がったことが原因です。

 今、政府・与党は、次の総選挙への思惑もあり、高齢者や障害者への負担増の見直しを検討しています。私は、知事が、以下の項目を緊急に国に求めるべきと考えます。

 @後期高齢者医療保険制度の実施は凍結し、再検討する。70〜74歳の医療費窓口負担2割は撤回する。

 A障害者への一律、1割負担の撤回や施設経営への補助を月額に戻すなど、障害者自立支援法を見直す。

 B児童扶養手当の削減計画は中止する。

 C国民健康保険会計へのペナルティーとしての補助金削減を中止する。国補助は段階的に引き上げる。

 D介護保険への国補助を25%から30%に引き上げる。

 E生活保護の母子加算廃止はやめ、夏期加算を創設する。

 少なくともこれらは、国民や知事会などの強い要求でした。知事は国に要望するとともに、議会終了後は、上京して国に直訴すべきですがどうですか。

 さて、貧困と格差は大阪は特に深刻です。7月20日、東淀川区で34歳の男性が妊娠中の妻と2人の子どもの首をしめ、本人はマンションから飛び降りて自殺しました。未発信のメールには子どもに「ごめんね」とあり、妻と2人の子どもの胃の中には何もなく、冷蔵庫も空っぽでした。この夫婦は、SOSを周りの人にほとんど発信せず死んでいきました。ここには、貧困に追い込まれた人の多くが孤立し、その人たちを救えない、今の社会の一面が現れています。

 誰にもみとられずに死亡する孤独死も、この6年間で1・5倍、毎日8人以上、このうち4分の3が、60歳以上です。こうした人間的支え合いがなくなりつつある大阪の現状をどう思いますか。答弁を求めます。

 暮らしの指標でも、生活保護はこの6年間で1・6倍、40人に1人で、全国の2倍です。大型小売店販売額でみる消費は、6年間で8%減っています。企業倒産は全国の15%近く、2倍の倒産率です。個人営業者の実に45%が年所得200万円以下で、ダブルワークも普通になりました。

 雇用も3人に1人が非正規で、若年層では半数に及びます。

 非正規雇用の多くは社会保険も未加入です。総務省の調査では大阪の派遣労働者の半数が年収200万円以下で、経験を重ねても賃金は上がりません。UFJ総研は、派遣を含むフリーターの平均年収は106万円と試算しています。これでは結婚どころか、生きていくことさえできません。住まいを失ったネットカフェ難民や路上暮らしも増加しています。

 一方で、過労死や精神疾患になる人も多く、30代、40代の自殺者が増加しています。

 年200万円の所得の人から30万円を超える国保料が取られています。介護も保険料は35%も値上げされる一方、要支援1、2、要介護1の人への訪問介護が、この1年で16・7%、福祉用具貸与で75%も減りました。

 地域間格差も生活保護率では最小0・6%の市がある一方で、4%を超す大阪市など、7倍の格差です。介護保険料や国保料も、生活困難な人が多い地域ほど高くなっています。

 その一方で、資本金10億円超の企業の利益は、6年間で34%も増大しています。大企業の多くは、派遣など非正規雇用を拡大し、自己利益のみ追求し、国もそれを支えています。

 ところで知事は、わが党が大企業だけの景気回復を、批判すると必ず「中小企業、府民生活に及ぶように」、「雇用や福祉面のきめ細かなセーフティーネットの構築に努める」などと、ここ数年、答えてきました。しかし、先ほどからのべてきた事実は、あなたの府政が雇用や福祉、中小企業の改善に役立っていない事を証明しているではありませんか。答弁を求めます。

 それどころか、生活の困難は、国の悪政とともに、知事にも責任があるのではないでしょうか。

 就任以来、知事は、府立高校授業料を全国一高くし、減免制度も改悪し、前の基準なら減免される人の3人に1人が受けられなくなりました。府立高校も18校が廃校、定時制高校も半減しました。

 老人医療費助成は基本的に廃止され、子ども、ひとり親、障害者医療には、1回500円の窓口払いが導入されました。さらに、保健所の半減、府立5病院の独法化、公衆衛生研究所の機能縮小などによって、広域的・専門的な医療、保健衛生などの役割は後退しました。

 貧困と格差の拡大の責任は知事にもあるのです。見解を求めます。

 私は、心の通った温かい大阪と活力ある経済を取り戻すために、以下の5点を提案します。

 第1は、府民の暮らしを直接応援し、「福祉先進都市」大阪をめざす。

 第2に、中小企業と個人業者が元気な街、大阪をつくる。

 第3は、防災、防犯など、安全・安心の大阪をつくる。

 第4は、アジアの平和・環境改善に貢献する「平和・環境都市」大阪をつくる。

 第5は、ムダな同和事業は終結し、大型開発は見直し、財政再建と府民福祉は最大限両立させることです。

 ここで答弁をいただきます。

 さて温かい、活力ある大阪のために、具体的な提案をします。

 まず、府独自に暮らしと教育を応援することです。

 第1は、国保料の軽減です。

 高すぎる国保料が貧困を加速し、滞納者が増えています。負担軽減のため、市町村は法定減免と独自減免を行い、一般会計から国保会計に286億円もの持ち出しをしています。

 府として、せめて市町村が行う独自減免措置への2分の1の補助を求めます。また、資格証明書の発行が、府内では、2000年の3537世帯から06年3万639世帯へと急増しています。しかし、国保証を滞納というだけで取り上げるのはやめるべきです。

 次に、介護保険料・利用料について、府内の市町村が独自に減免措置をおこなう場合は府が2分の1補助することを求めます。

 第3は、子どもの医療費です。23の都道府県が就学前までの助成を実施していますが、大阪府は、通院は3歳未満で、全国で最低レベルです。子どもの医療費を就学前まで無料にするよう求めます。

 第4は、生活保護一時金の復活です。

 府は財政危機を口実に、わずかな一時金を廃止しました。この夏の猛暑にクーラーもつけずがまんされる人もいました。

 第5は、障害者自立支援法の問題です。障害者や家族への重い負担、施設や事業所の経営困難、福祉労働者の転退職がすすんでいます。

 府としては、国が法改正をするまでは、月額制に見合った施設への報酬を保障し、利用料負担を減らすこと、また認可に移行できない無認可作業所への補助制度の拡充を市町村と協力して行うよう求めます。

 第6は、難病センターの問題です。2000年9月に、本格的なセンター設立の請願が全会一致で採択されました。

 大阪府は、04年度に福島区のNPOプラザ内の一部で、大阪難病連に各種相談事業や学習交流事業、就労支援などを委託、06年度は、相談だけでも1500人、1900件を超します。

 ところが、スペースは42u、専用の相談室もなく、厚生労働省の要綱も満たしていません。プライバシーも守りにくい現状です。交流会などは、有料で部屋を借りています。

 大阪府の委託事業ですから、難病患者と家族のプライバシーが守られ、学習・交流事業なども、活発にできるようにすべきです。

 支援センターの拡大は、最小限の仕事です。

 以上、それぞれ知事の答弁を求めます。

 教育については、次の4点を提案します。

 第1は、すべての子どもに基礎学力と市民道徳を身につけさせるために、当面35人学級を小学校3年生と、「中1ギャップ」解決のためにも中学校1年生に拡大することが急務です。

 第2に、貧困の深刻化もあり、府立高校間の格差拡大は深刻です。例えば、全日制高校の授業料減免者数で見ると、最大は生徒数の43・2% いわゆる「困難校」、最小は4・2% いわゆる「進学校」です。行き過ぎた競争と序列化を招く高校「多様化」・統廃合を中止し、どの子にも人間としての成長を保障する高校教育が必要ではないでしょうか。

 同時に、全国一高い授業料を、年間2万5千円引き下げ、全国並みにするとともに、減免制度を元に戻すよう要求します。

 第3は、養護学校の過密・過大の解消です。

 今年度の在籍者数で300人を超える佐野、八尾、寝屋川、富田林養護、玄関ホールの一部を普通教室にかえた守口養護など、事態は深刻です。養護学校建設は焦眉の課題です。

 第4は、子どもの安全のため、小学校に配置している警備員を引き続き配置するということですが、幼稚園や保育所にも広げることです。それぞれ答弁を求めます。

 続いて、雇用と中小商工業者を守る問題です。

 まず、シャープの堺浜への進出についてです。

 大阪府は、「企業立地条例」で、投資額100億円以上の進出に1社あたり最高150億円の補助金の支出を決め、シャープと関連企業を合わせて330億円の補助金を出す計画です。

 補助金の多さなどを自治体で競う企業誘致については、内閣府も、「雇用面をみると、効果が明確に現れているとは言い切れない」と疑問視しています。

 府が実施した補助金支出企業へのアンケートでは、昨年度の新規採用の正社員は、中小企業が実数で大企業の10倍です。この事実は認めますか。

 同社は堺浜への進出にあたって、〈同じ敷地内に、インフラ施設や部材・装置メーカーの工場を誘致し〉、〈亀山で構築した、液晶パネルからテレビまでの「垂直統合型」の事業展開をさらに川上まで推し進め〉るとしています。

 知事は、シャープなどの波及効果を産業連関表で3・9兆円としていますが、地域経済への効果が極めて限定される今回の「垂直統合型」に当てはまるのか疑問です。見解を求めます。

 次に青年の雇用について5点を求めます。

 まず、大阪府が支援する立地企業には、正規雇用を義務づけることです。とりわけ大企業への義務づけは重要です。

 第2点目は、異常な低賃金などのため、若い人が定着しない民間福祉・介護職場のために、府単独の公私間格差是正を復活させる事です。

 3点目は、雇用の実態調査や偽装請負の根絶についてです。

 知事は、2月の私の代表質問に、「国の調査を踏まえながら、府としても就業形態別の労働時間、休暇制度などの独自の調査」をしていると答弁しました。

 その調査から雇用拡大について、府は何をすべきかお答えください。

 また、偽装請負やサービス残業は、法律違反だということを、企業や府民にもっと周知徹底してください。

 4点目は、JOBカフェの拡大です。

 JOBカフェでは、青年の正規雇用が447人確保されていますが、正規雇用を大幅に増やす具体策が必要です。

 5点目は、新婚世帯への家賃補助やネットカフェ青年への家賃補助、府営住宅の期限付き入居の延長です。それぞれ答弁を求めます。

 第3に、中小企業への支援について、4点求めます。

 1点目は、製造品出荷額の3分の2を占める中小製造業の支援です。

 府は、中小製造業の製品開発や販路開拓、減税など、一定の支援を行っていますが、予算が少なく、大幅に増やすことを求めます。

 次に、大型店の出退店規制と商業振興です。

 大店立地法が2000年6月から施行され、今年7月までの大型店の出退店は、186店の新設、50店の廃止です。

 一方、商店街は、2000年の997から06年には868へ、小売市場にいたっては、273から157へと激減しています。住民の暮らしにとっても深刻です。

 大型店の出退店に対して有効な規制と商業振興策の充実を求めます。

 また、わが党が繰り返し求めてきた「中小企業振興条例」の制定をぜひ検討してください。

 最後に制度融資です。

 部分保証制度の導入で中小業者の多くが3・8%もの利子を取られるのは余りにもひどすぎます。利子負担の軽減を求めますがどうですか。それぞれ答弁を求めます。

 府民要求の第3は、安全・安心です。

 まず、地震対策です。

 改正耐震改修促進法が昨年1月施行され、大阪府も、建築物耐震10カ年戦略プランをまとめ、耐震化率を2015年に90%にすると決めています。

 被害を最小限にするには、住宅の耐震化が最重要だというのは、阪神・淡路大震災の教訓です。

 ただ、目標には疑問があります。残る10%に耐震性が著しく低い住宅が集中する可能性が濃厚です。10%、すなわち35万世帯に、大きな被害がでるのをくいとめなければなりません。目標を引き上げるべきではないでしょうか。

 また、府は今年度から、耐震診断への補助を復活し、耐震改修については1戸につき15・2%、60万円以内の補助制度を実施しました。

 ところが実施主体である市町村は、新制度を現時点では耐震診断は31市、耐震改修は6市しか制度化していません。大阪は府域の中心に震度7の地震を起こす活断層を抱え、今後30年以内に50〜60%の確率で発生する東南海・南海地震で大きな被害が予測されています。新しい耐震診断と耐震改修を全市町村が早急に実施するよう、強力に働きかけるべきです。

 また、診断はしても、改修が進まない傾向があります。高知県のように、耐震改修設計の独自の補助制度をつくり、専門の設計事務所と協力し、適切な耐震設計を提供すべきです。低所得者への補助率の引き上げなども必要です。

 老朽化した木造賃貸住宅には、従来より進んだ補助制度も不可欠です。
さらに、小中学校の耐震化を進めるために、国に補助率の引き上げを求め、府も補助を実施すべきです。

 耐震化率が全国最下位の府立高校の耐震化には、国に補助制度の創設を求めるとともに、府の計画を前倒しで実施すべきです。

 それぞれ答弁を求めます。

 2番目は、ピーフォアの問題です。動物実験で発ガンとの関連や、低体重児の出生が指摘されている有機フッ素・パーフルオロオクタン酸いわゆるピーフォアが、大阪の水道水や井戸水に含まれ、府民がピーフォアを日々、摂取しているとの京大研究室の調査結果が今年5月、新聞で報道されました。

 府水道部は翌日、ピーフォアは「水道水質基準が設定されていない」、「ただちに人の健康に影響を及ぼすレベルではない」と発表しましたが、村野、庭窪、三島の水道水のピーフォアは府内平均より多くなっています。大阪の女性の血中濃度の1/5ないし1/3という低い値でも新生児の体重が少なくなることがあることが、米国とデンマークの専門誌に報告されています。安心できる状況では全くありません。

 京大調査でピーフォア濃度がもっとも高かったのは安威川流域下水処理場付近の河川水で、1gあたり6万7千ナノグラムという世界一の値です。ところが、8月31日に環境農林水産部が発表した調査地点は、5q下流の河川水で、600ナノグラムという数値です。なぜ府は、処理場付近の河川水と底質土壌の濃度を調査しなかったのですか。答弁を求めます。

 アメリカ環境保護庁は昨年1月、世界のフッ素メーカー大手8社に呼びかけ、ピーフォアの排出を2015年までに全世界でゼロにする削減プログラムを発表しました。この大手8社の中にダイキン工業が含まれています。ダイキン摂津工場の汚水を処理しているのが、安威川流域処理場です。

 ダイキン工業は、アメリカ環境保護庁の呼びかけに応え、ピーフォア削減に取り組んでいるといわれています。しかし、ダイキンが、大阪の下水や河川にどの程度のピーフォアを排出し、ピーフォアを含むフッ素樹脂製品をどのぐらい販売しているかは、明らかではありません。

 ただちに府は、ダイキンのピーフォア排出の実態を調査するとともに、ダイキンにピーフォアの排出とフッ素樹脂製品に含まれるピーフォアをゼロにする計画を立てさせるべきです。答弁を求めます。

 3番目は、地球温暖化対策です。

 「京都議定書」を受け、政府は2010年までに90年比「6%削減」目標を決めました。ところが全国の温室効果ガスは増え続け、大阪府内も、04年度のCO2排出量は、90年度と比べ5・6%増加しています。

 府は、2010年度までに温室ガス排出量を90年度比9パーセント削減する目標を掲げ、条例で、エネルギーの多量消費事業者に温室効果ガス削減計画の届出を義務付け、温暖化やヒートアイランドを防止する方針です。府内の700事業所に提出した計画を必ず実行させるよう強く求めます。

 また、中国から日本海や東シナ海を越えてくる黄砂や窒素酸化物が日本の酸性雨や光化学スモッグの原因にもなっています。急速に経済発展する中国の環境改善は、アメリカや日本と同様に地球温暖化対策のカギを握っています。 府は、中国に対して平和交流はもちろん、環境対策の技術や人的な支援を拡大してはどうでしょうか。答弁を求めます。

 安全の第4番目は、産科・小児科の医師不足です。

 大阪の妊産婦死亡率は、10万人あたり6.73で、全国の6.39より高くなっています。少なくとも自治体病院と公的病院には産科・小児科を確保するよう、財政面も含め、府の努力を求めます。

 また、医師の養成は国の課題ですが、府としても医学生への独自の奨学金制度をつくるなど、対策をとるべきです。

 さらに母体・胎児集中治療管理室は、必要数177に対して、77床にすぎません。国に対策強化を求めながら、早急に整備を進めるべきです。

 以上3点、答弁を求めます。

 最後に、交番の設置です。市町村からは私の選出地域の4カ所も含め、46カ所の設置要望が出ています。

 ところが、この9年間で3カ所しか設置されていません。地域の安全の拠点である交番の設置は急務です。

 知事と警察本部長の答弁を求めます。

 第3の柱は、大型開発見直しや同和行政を終結し、要求実現と財政立て直しの道を開くことです。

 これまで大阪府は、りんくうタウンなど、大型開発を優先し、府財政を悪化させてきました。

 関空2期事業は、2005年に発着回数が16万回を超えるとして行われました。06年度の発着回数は11万6000回です。すでに2期事業に9千億円余りの事業費と1150億円の府財政が投入されています。これ以上の支出は許されません。

 阪神高速道路の大和川線や淀川左岸線は、阪神高速の通行量が、大幅に引き下げた計画交通量に遠く及ばず、採算性に赤信号が点りました。採算が取れない部分は有料道路事業から街路事業に切り替え、大和川線だけで278億円も国と府が税金を投入する仕組みをつくりました。しかし、有料道路として採算が取れないということは、必要性が低下したということです。事業そのものを見直すべきです。

 国際文化公園都市開発は、1994年、居住人口5万人、施設人口2万4000人を目標に始められました。事業主体の都市再生機構は2006年度までに712億円、大阪府も関連土木事業で769億円、モノレール国文線で665億円、国文会社の赤字処理で29億円を投入しています。国も医薬基盤研究所などをつくりました。

 ところが、現在の居住人口は5000人で目標の10%、施設人口は目標の3%、投じられた巨額の税金とのバランスが取れない事態が続いています。西地区で広大な未利用地も残っています。中地区・東地区の造成工事や、モノレール国文線のこれ以上の延伸は、絶対にしてはなりません。

 第2名神を口実にした水と緑の健康都市開発は、赤字予定が750億円に膨れあがっています。313億円の赤字を前提につくられた箕面トンネルは、箕面の山に沢涸れを引き起こし、箕面大滝の水もポンプで補給されています。開業以降、約3カ月が経過しましたが、トンネルの一日あたり通行台数は約3000台、計画の68%で、赤字拡大は必至です。まさに、箕面の山は税金ムダ遣いの展示場となっています。水・緑開発は、抜本的に見直し、自然をさらに破壊する第2名神は、国に中止を求めるべきです。

 また、安威川ダムやモノレールを含め、これら6つのプロジェクトで、来年度からの3年間で1100億円の府財政投入の計画ですが、全面的な見直しを求めます。以上、それぞれ答弁を求めます。

 ムダな開発の背景には、知事と財界の関係があります。

 21世紀大阪がんばろう会という知事の後援会の発起人は、関空2期事業を強力に推進してきた当時の関経連会長・秋山氏でした。秋山氏は、府立高校エアコンで独占的な利益を得た関西電力の会長でした。府立高校エアコン設置の際、3分の1のエアコンを供給した三洋電機の井植氏も会長でした。

 同社は二色の浜に10億円の府補助で進出しながら正社員は11人しか増やしませんでした。

 「がんばろう会」や太田房江を支える東京の会が開催した知事の政治資金パーティーは、今年2月までに11回も行われ、そのうち「がんばろう会」の5回で1億8153万円、支出を引いて1億3810万円の収入となっていますが、これだけ巨額な金を集めていることを、府民にどう説明するのでしょうか。

 また、今年のパーティーについての収入額は明らかにされていません。この場で答えるよう求めます。

 これらの政治資金パーティーは、関西財界や連合によって支えられています。知事は、「パーティ券の購入に大阪府と取引きのある企業は含まれているかどうか承知していない」とこれまで答弁してきましたが、具体的な調査を何故しないのですか。それぞれ答弁を求めます。

 第2は、入札制度の改革です。

 大企業の談合を許さないことはもちろん、事実上特定の企業(グループ)しか参加できないようなPFI方式などはやめるべきですが、どうですか。

 知事後援会に献金をしていた人物が役員を務める企業が府と随意契約を結んでいたことも問題になりました。随意契約は、小規模なものも含めて見積額なども公表すべきです。

 庁舎の清掃で価格以外に障害者の雇用を評価点に加える総合評価制度が導入されていますが、地元雇用や中小企業振興を評価項目に加えるなど、地域経済や雇用を重視する入札制度の拡充を求めます。

 さらに府の公務サービスを民間企業に委託する市場化テストは中止するよう求めます。

 以上3点について答弁を求めます。

 第3は、自主財源の確保です。

 わが党は、府独自に、資本金10億円を超える大企業に限定して、法人事業税の超過課税率を1.05から1.1に拡大するよう提案します。100億円を超す増収が可能です。答弁を求めます。

 次に同和行政の終結です。

 事実上の同和行政に、年間約50億円使われていますが、これはムダ使いそのものです。

 わが党は、同和問題は基本的に解決されており、同和行政は終結すべきだと提言してきました。生活環境など格差が是正され、偏見も改善、人口も流動化するなど、もはや「同和地区」の実態はありません。知事は、この事実は昨年3月の総務常任委員会でも認めながら、教育、労働等の課題が残っていると言います。しかし、これらの課題は、特定の地域の問題ではなく、国政、地方政治全体が取り組むべきもので、同和問題ではありません。見解を問います。

 また、府は「同和地区に否定的イメージ」が府民の中にあることを理由に同和行政は必要だと主張しています。しかし、これはこの間の部落解放同盟による行政や教育への介入、さらに「解同」一部幹部の不正、犯罪の続発、そして「解同」追随の不公正な行政が生み出したものです。その認識がありますか。

 ムダな同和行政を終結し、その予算は府民のために使うべきです。それぞれ答弁を求めます。

 次に南大阪食肉市場株式会社について質問します。

 府は、松原食肉市場公社を再編し、補助金と融資で約50億円を投じ、100%民間の「南大阪食肉市場株式会社」ができました。

 融資額は、25億3900万円で無利子、10年据え置き後、毎年2億5千万円ずつ返済の条件です。

 新会社の経営の収支均衡の前提は集荷頭数が3万5千頭で、知事も3万頭が採算ラインと主張していました。ところが目標年次の平成18年度は1万6180頭でした。会社発足以来、集荷頭数は毎年減少し続けています。

 すでに50億円の補助や融資を使っても赤字は4億5千万円、事実上経営は破綻しています。補助金や融資のない6年目以降は赤字は増え続けます。25億円の貸付金の回収の可能性はありません。回収できるというなら、その根拠を示してください。

 また、債権管理のために必要な証拠書類が会社から提出されていません。たった1枚の決算報告ではなく、証拠書類を出させ、府民への府の説明責任を果たすことを約束できますか。

 それをしなければ、あなたは背任の疑いを府民から持たれます。

 さらに、南大阪食肉市場株式会社には新たな支援をしないと言ってきたが、南大阪食肉の再編で、新たな公金投入はしないという約束は守れるでしょうね。確認を求めます。

 以上、答弁を求めます。