汚された水と緑 検証 府の浪費型開発B

始めた者、進めた者 一転750億円の税金投入

 日本共産党府議団が、「水と緑の健康都市」をめぐる府とゼネコンの不透明な関係を追及してきた一方で、府議会の「オール与党」勢力は、建設推進の大合唱でした。当時の議事録をめくると―。

 「この水と緑の環境都市をきたるべき高齢化社会に対応した快適で魅力あるモデルニュータウンとすべきである」(1991年、自民・上田新一議員)。「(水と緑は)21世紀の長寿社会を目指しまして、エイジレスタウンとしての位置付けを持っておりますし、地元の大きな大きな期待の.あるプロジェクト」(97年、民主・社民・府民連合・平野クニ子議員)。「だれもが住んでみたいと思える、府民の皆様に夢を与えるような街づくりを推進してまいりたい」(98年、自民・浦野靖彦議員)

 どの議員も同事業を天まで持ち上げています。

 工事が着工したのは98年12月。大阪府住宅供給公社から府が約112億円で用地を購入(約80ヘクタール)した後でした。

「早急」「大量」必要性は低下

 しかし、着工後まもない99年、開発地で絶滅のおそれのある野生動植物に指定されているオオタカの営巣が発見されます。2001年2月、大阪府は「早急かつ大量の住宅地供給事業を府として実施する必要性は低下している」などとして、工事を一時中断・見直しするとしました。

 土地の価格も下落。計画では1平方メートルあたり14万5千円で売る予定でした。しかし2000年には、開発地に近い豊能町東ときわ台の公示価格は同12万円になっていました(05年には同7万2500円)。当初計画通りの収入は見込めなくなっていたのです。

 それにもかかわらず、「オール与党」勢力の箕面市議や大阪府議らは、開発再開を強力に要求しました。

開発の再開を執ように迫る

 01年3月、箕面市議会に自民・公明・民主や保守系会派の各幹事長が連名で「水と緑の健康都市にかかる処理策の見直しを求める意見書」を出します。「事業の収支採算性を理由に当初計画どおり実施しないことについては認めることはできない」と強硬です。9月には再び「『大阪府行財政計画(素案)』に当初の大阪府縮小案を前提とした事業費を計上されたことは誠に遺憾」との意見書を出す念の入れようでした。

 府議会でも執ように開発再開を迫ります。同年2月の府議会本会議で、民主党の中島健二議員は計画縮小に「府の財政破たんを回避せんがための処理策ではないのか」と厳しく批判。「突然の府の方針変更に怒りと不信感を抱いています」「地元では、事業廃止は到底受け入れられない」と、開発継続を訴えました。

 同年の9月議会になると自民党の原田憲治府議が「一生懸命汗をかいていただいたことがムダにならないように、知事さんも努力していただきたい」と、太田房江知事に現地に来て市長らと会うよう要求。太田知事は現地を訪れ、事業を続けることを約束しました。

 こうして府は、当初の5千戸・人口1万6500人から、現在の2900戸・人口9600人に計画を縮小したものの、開発そのものは継続。さらに“税金は1円も入れない”はずが、750億円も投入する計画に変更されました。

(つづく)


2007年3月17日付「しんぶん赤旗」より