2007年2月定例会 宮原たけし議員の代表質問(大要)

2007年2月26日

日本共産党の宮原たけしです。わが党議員団を代表して、知事、教育長、梶本、高杉両副知事に質問します。

 まず、府政運営の基本についてです。

 今、相次ぐ裏金の発覚と知事の対応、今回の処分案について「これで幕引きではないか」、「軽すぎるのではないか」という府民の怒りが広がつています。事件についての知事の責任を問うものです。

 また、呼吸器アレルギー医療センターや家畜保健衛生所など、未解明の部署の全容解明と厳正な処分を求めます。さらに、他部署にも裏金がないと言いきれますか。全職員への匿名のアンケートを取ることも含め調査を求めます。また、裏金が新たに発覚すればどう責任をとるのですか。答弁を求めます。

 さらに、9年前に処理されたはずの裏金が残った原因です。現金返還の指示は口頭によるずさんなものでしたが、どう認識していますか。また、裏金が長期に保管されたのは、「悪いことを悪い」といいにくい隠蔽体質があるのではありませんか。この点では、当時から幹部であった梶本・高杉両副知事についても答弁を求めます。

 第4は、府の外部調査委員会に顧問弁護士で、しかも検察庁の調査活動費流用疑惑がもたれていた加納駿亮氏を起用した責任についてです。とりわけ1月15日、大阪高裁が、調活費の流用を一部認定した後も、加納氏を起用し続けた事は、府民の不信を一気に増大させました。何故、各会派が解任を求めたのに応じなかったのか。

 また、市民グループの情報公開によって、99年6月から2000年3月にかけて大阪地検検事正の間、加納氏が、前任者の3倍の1700万円を超す調活費を使用していたことが明らかになったのに、調査しようとしなかったのは何故ですか。

 わが党は、加納氏を顧問弁護士や内部通報制度の担当弁護士から解任するよう求めます。それぞれ答弁を求めます。

 第5に、再発防止についてです。知事や3役が、まず先頭に立って、一般職員以上に厳しい綱紀保持指針をつくり、処分についても重くするべきではありませんか。また、公金を一定の人だけで管理するシステムをやめる。「悪いことを悪い」といえる職場体質に変える。さらに、告発者の権利が守られる内部通報制度を文字通り、外部につくることを求めます。

 次に、知事の政治姿勢についてです。

 知事の後援会・21世紀がんばろう会は、大企業経営者が中心になってつくられ、会長はダイキン工業会長の井上礼之氏になっている問題です。特別秘書がパーティー券を企業関係者に売りに廻っているといわれていますが、その中に府と取引のある企業の人はいませんか。また、知事は、マスコミのアンケートに「業者・業界からの応援はもらっていない」と回答していますが、嘘ではありませんか。府民のごく1部にすぎない大企業関係者から支援をもらい、それを隠すなどということは不透明そのものです。21世紀がんばろう会から支援をもらうのは、やめるべきです。それぞれ答弁を求めます。

 さて、今、「いざなぎ景気」を超える景気回復期間といわれ、知事も府議会初日に「大阪経済は全国を上回るスピードで回復」と述べました。しかし、暮らしと経済の実態は深刻です。

 景気回復前の2001年と昨年度の経済指標を比べると、大阪に本社のある上場企業の経常利益は2・2倍です。しかし、常用雇用は23万人、月平均現金給与総額も2万5千円減っています。生活保護人数も43%増えています。中小企業の倒産も05年、6年と2年連続で増え、とりわけ資本金100万円以下の企業の倒産は全国の4割近くが大阪です。少子化、治安などの現状も大阪は深刻です。さらに全国的には、資本金10億円以上の企業の役員と全労働者の収入を比較すると、2001年3・8倍から05年8倍になっています。まさに一握りの大企業やお金持ちは豊かに、ほとんどの国民は貧困化が進んでいます。

 今の大企業の景気回復が続けば続くほど、貧困と格差は拡大する構造になっているではありませんか。知事の認識を問うものです。

 これらの原因は、自・公政権、時には民主党も巻き込んで、ワーキングプアを生み出した雇用の規制緩和、所得税・住民税の増税と大企業への減税、介護・医療・障害者分野での国民負担増があります。今、知事に求められるのは、国の悪政の転換をキッパリ求めることです。

 第1は、庶民増税と大企業減税は中止し、庶民には減税し、大企業には利益に応じた税負担をもとめる。

 第2は、国保でいえば1982年の51%から2005年36%、介護では保険制度導入前の1999年の50%から23.5%と下がった国の負担率を見直し、障害者への1割負担の見直し、医療費削減など社会保障への国の責任放棄を根本的に見直す。

 第3は、サービス残業根絶ともに、労働者派遣法は派遣対象を制限する法改正を求める。それぞれ答弁を求めます。

 一方、ものづくりや商業者、農業者の頑張り、ボランティア、困難な中で努力している教職員や府職員、警察官など、大阪再生の可能性は存在します。

 ところが、知事が行ってきたことは、破たんが明らかであった箕面開発や関空2期事業、安威川利水などの推進でした。こうした事業は、知事が見直すチャンスがありながら、すすめて傷を深くしました。同和行政も地対財特法が、2002年3月で終了し、兵庫県や京都府などが、大幅に事業を縮小した中でも、大阪だけ大枠を残してきました。わが党を除く府議会の多数が、これらを推進したり、ふれてこなかったこともまことに残念なことでした。

 一方で、老人医療費や子ども医療費助成制度は全国最低水準に、府立高校授業料は日本一高くなるなど、福祉や教育は削減・軽視されてきました。府も府民の貧困と格差拡大をむしろ促進したのです。府立5病院、保健所、文化振興などの分野でも、独立行政法人化などによって、広域的役割を縮小しています。

 今年の予算も一部にはものづくりの技術支援、中小企業設備投資への減税、いじめ対策、住宅の耐震診断と改修への補助などの要求も盛り込まれました。しかし、大阪の製造業出荷の3分の2を占めるものづくり中小企業への先端技術支援が1億円で、大企業1社の誘致上限額が150億円であること、前にもふれた3事業や阪神高速新路線、彩都開発関連、りんくうタウンや泉佐野コスモポリスの破たん処理など大型開発に453億円も投入されるなど、いぜん大企業優先です。

 知事が今やるべきことは、1つは、緊急を要する暮らしや子育ての応援、雇用、中小企業対策など、できる限り予算化する。2つは、大阪経済の振興、環境など、将来に向けた対策を着実にすすめる。3つは、緊急性のない開発は凍結すると同時に、関空2期事業、など破たんの明らかな事業には、これ以上税金を投入しない。4つは、同和行政を中止することです。知事の認識を問うものです。

 第2章では、4つの柱で提案をします。

 
まず、子育て支援です。

 
大阪の2005年の合計特殊出生率は、1.16で全国下から5番目と深刻です。

 はじめに柳澤厚生労働大臣の「女性は子どもを産む機械」発言について、見解をお聞かせ下さい。

 具体的には、6点質問します。

 第1は、青年の雇用確保です。

 「20代の下請け労働者は1日12時間深夜労働で結婚も出来ない」、「介護施設で働く32歳の女性は1日8時間、月25日勤務で年収は200万円以下」と訴えています。在阪の大企業など企業に青年の正規雇用を増やす計画をもつよう府として申し入れるとともに、府自身も公共分野での雇用拡大計画をもつことです。

 第2は、保護者の経済的負担を軽減することです。

 1つは、早急に子ども医療費助成を小学校就学前まで拡充する。2つは、府立高校授業料を引き下げ、減免制度を縮小前に戻す。エアコン使用料徴収をやめる。私学助成を引き上げる。それぞれ答弁を求めます。

  第3は、低学力やいじめ問題などの解決です。

 小・中学校とも労働時間は11時間を超え、先生も疲れています。まず、35人以下学級を小学3年、中学1年に拡充する。また、小学校へのフリー教員の増員と全中学校に専任の生徒指導教員の加配。さらに、高校統廃合計画を見直すとともに、学区を元の9学区に戻し、過度な競争教育を是正することです。以上、答弁を求めます。

 第4は、子どもの安全確保です。

 府は、昨年度から「学校安全緊急対策事業」を開始しました。関係者から継続と充実を求める声が出されています。来年4月以降の事業の継続と大阪市・堺市など政令市・保育所などへの拡充を求めます。

 さらに、歩道や信号機の整備など、危険通学路については緊急に改善策をとるよう求めます。

 第5は、産科、小児科などの医師不足の解決です。

 昨年、奈良県の妊産婦が死亡する痛ましい事件が起きました。大阪でもやっと18番目の病院でしか見てもらえませんでした。公的病院でも北市民病院は産科、岸和田市民病院、済生会病院など産婦人科を休止しています。府として、医師会や府病院協会などと連携して、医師確保をして下さい。また、大学の医学部の定員を増やすよう国に求めるとともに、大阪大学などに医学部の定員増を要請して下さい。それぞれ答弁を求めます。

 最後に、「大阪府子ども条例」についてです。

 府は2004年12月に学識経験者で構成する「子どもの権利についての条例を考える懇話会」をつくり、その後、「条例検討会議」で、提言がだされました。府はこれを受け、条例を提案しました。

 しかし、これには重大な問題があります。これまで一貫して「子どもの権利についての条例」としてきたのに、「権利」の文字が消え、「子どもの権利条約」にある意見表明権など、「固有の権利」が何一つ明記されていません。これでは、府民が期待する子どもの権利保障にふさわしい条例にはならないのではありませんか。答弁を求めます。

 2つ目の柱は暮らしの問題です。

 増税と国保料や介護保険料などの「雪だるま式」負担増は今年も続きます。今必要なことは、府が負担軽減に取り組みながら国に改善を求めることです。

 第1は、介護です。

 昨年は一挙に2倍以上に保険料が増えた人もいました。保険料値上げは、国の負担割合を給付費の25%と決め、内5%は調整交付金に回され、府内平均では23.5%しか補助金を国が出していないことが1つの原因です。調整の5%は別枠にし、市町村には25%を交付するよう国に求めて下さい。

 また、府内32市町で保険料の減免制度があり、利用料の軽減制度も7市あります。府として独自に、利用料軽減制度をつくるとともに、保険料を減免している市町村への補助が必要です。それぞれ答弁を求めます。

 
第2は、高齢者医療についてです。

 
来年4月から70歳から74歳の窓口負担は2割になり、75歳以上の後期高齢者医療制度が始まり、これまで被扶養者の人も年金から保険料が天引きされます。低所得者の負担を減らすために、府として財政的支援を行い法定減免を補う独自の減免制度が必要です。

 また、2012年度までに、大阪で約1万4千床の療養病床などの廃止が計画され、医療難民、介護難民が増えます。病床廃止計画と70歳以上の窓口負担2割を撤回するよう国に要請して下さい。それぞれ答弁を求めます。

  第3は、国民健康保険です。

保険料が高くて払えない滞納世帯が、昨年43万8千世帯、受診時に10割負担を求められる資格証明書は2万5千世帯、5年間で6倍以上です。

 国民皆保険制度が崩れているのです。国は、医療給付費への国負担を大幅に減らした上に、市町村の福祉医療制度に対して、ペナルティーを課しています。老人、障害者、ひとり親医療費で昨年約22億円です。

 わが党は、当面次の改善を求めます。

 
1つは、国に対して国庫負担率をせめて5%増やすとともに、福祉医療へのペナルティーをやめるよう求めることです。5%増やせば290億円国の補助は増え、1世帯あたり、約1万6千円の保険料減になります。

 2つは、市町村の保険料減免制度への府の補助制度をつくり、減免制度を拡充することです。

 最後に、市町村が、資格証明書の発行や差し押さえを乱発することがないよう、大阪府が指導して下さい。それぞれ答弁を求めます。

 
第4は、障害者自立支援法で負担が増える問題です。

 障害者団体のねばり強い運動で、国も府も一定の負担軽減策を打ち出しました。しかし、今必要なことは、1割負担そのものの撤回を国に強く求めることです。また、府としては、低所得者の負担を無料にするよう支援をしてください。さらに、障害児の児童福祉施設の親の負担は急増しています。補装具や医療費などの負担もあります。府として、親の負担を軽減する考えはありませんか。

 さらに、急性期総合医療センターで開設される「障害者リハビリテーションセンター」で、脳性まひなどの患者が通年必要としているリハビリ治療を続けることができますか。また、医療的ケアの必要な障害者のショートスティを実施するよう求めます。それぞれ答弁を求めます。

 第5は、生活保護についてです。

 昨年は生活保護の申請を拒否された抗議の自殺事件などが相次ぎました。府内各地でも申請権侵害の動きがありますが、各福祉事務所が申請を受け付け、相談に応じるという申請権尊重を市町村に徹底して下さい。また、一昨年廃止した一時金の復活のお気持ちはありませんか。それぞれ答弁を求めます。

 次に、大阪経済の立て直しの提案です。

 まず、雇用について2点要求します。

 1つは、最近、派遣や請負など、非正規雇用が急速に増え、消費低迷の一因となっています。非正規雇用では製造現場の力も衰えます。ずさんな管理が問題になった不二家泉佐野工場でも、退職した熟練労働者の穴をパートで補うなどの問題がありました。また、法律違反の偽装請負も広がっています。府として、国と協力し、雇用や偽装請負の実態を調査するよう求めます。

 2つ目は、最低賃金の引き上げです。現在の最低賃金では、年3千時間、1日12時間働いても、年収200万円、労働者の平均所得のわずか32%で、先進国の中で最低水準です。大幅引き上げを国に求めるべきです。

 第2は、大企業の工場移転と企業立地促進補助金の問題です。

 知事は今議会に、補助金を150億円に引き上げる提案をしています。雇用については、150億円の補助金で、わずか100人の常用雇用が条件です。貝塚の三洋電機も10億円の補助金で、11人正社員が増えただけです。府は企業誘致補助金の額の多さを競うのではなく、大企業に正社員をきちんと雇うよう求めるべきです。

 第3は、中小企業支援です。予算案には、ものづくり支援拡大や中小企業等投資促進補助金の創設などが、盛り込まれています。予算を増やすとともに、中小企業振興条例や、大型店の出店を規制し地元商店街活性化のための条例を求めます。

 第4は、今議会に提案されている府有施設の耐震化計画や民間住宅の耐震改修助成は、本格的な地震対策の第一歩ですが、この事業を拡充し、中小企業の仕事興しや雇用拡大に生かすことが必要です。それぞれ答弁を求めます。

 次に、農林業の振興と環境対策について質問します。

 大阪の農林業は、新鮮な食料を供給すると同時に、地球の温暖化防止に大きな役割を果たしています。

 わが党は、当面次の点を求めます。

 1つは、米や野菜などの自給率について「大阪農業・元気倍増・普及プラン」の目標を達成する。2つは、学校給食に大阪の米や野菜の活用を抜本的に強めるための財政支援とともに、直売所への府独自の支援制度を拡充するなど、地産地消のとりくみを強化する。3つは、間伐材の公共事業への活用の拡大をはかるとともに、民間事業者の利用促進など、林業振興プランをつくる。4つは、団塊の世代などを対象に後継者づくりや市民農園制度を普及する。5つは、農林業振興の条例については、予算増額など、財政的保障を明確にする。それぞれ答弁を求めます。

 環境対策では、京都議定書の温室効果ガスの削減目標の達成が必要です。

 温暖化ガスの中心のCO2は大阪では2002年度で1990年に比べて4.7%増です。

 府は、昨年の4月から、「地球温暖化防止条例」をつくり2002年度に比べて725万トンの温室ガスの削減を2010年までに行う計画ですが、これが出来れば、1990年比9.4%削減になります。目標達成のカギは、1つは、多くのエネルギーを大量に消費する企業の協力。2つは、建築物や家庭の省エネ対策。3つは、自動車排ガスの抑制やバイオディーゼル燃料の使用をバス事業者に大きく広げるなどです。年度毎のチェックや企業への要請など、目標達成の具体的保障について、それぞれ答弁を求めます。

 次に、廃プラスチック処理施設による環境被害について質問します。

 2月7日の新聞に、寝屋川市内の廃プラスチック再生工場から、国基準の2.6倍の「ベンゼン」が検出され、長期に接取すると発ガンのおそれがあるとの報道がありました。この調査は、東京大学大学院の柳沢幸雄教授が調査・分析したもので、すでに岡山大学大学院の疫学調査で健康被害も明らかになっています。

 ところが、寝屋川市は同施設の操業開始後も健康被害調査を行っていません。さらに同施設のすぐ近くに寝屋川、枚方、交野、四條畷4市合同の廃プラ処理施設の建設が予定されおり、周辺住民の中で環境汚染への不安が広がっています。

 2004年9月議会で、わが党に、知事は「環境に配慮した設計、必要な調査と情報公開などを事業者に指導する」と答弁しています。

 まず、府が責任を持って有害物質と健康被害の調査を行い、環境対策をとるよう指導すべきではありませんか。

 また、4市合同の廃プラ処理場施設は、住民合意と環境被害を出さない保障がない限り、建設を認めるべきではありません。それぞれ答弁を求めます。

 第3章は、財政再建です。

 大企業の利益回復と庶民増税によって府税収入は2004年度の行財政計画案見込みより、3305億円増え、財政再建の条件が広がりました。わが党は、次の3点を求めます。

 まず、法人事業税の税率を定率減税前の1997年の12%に戻すよう国に求めることです。資本金10億円以上の大企業からの税周でも12%に戻せば、500億円以上の増収になります。

 第2は、ムダな開発にこれ以上税金を使わないことです。ここでは関空2期事業と水と緑の健康都市開発について質問します。

 知事は04年12月、関空2期の07年供用開始が決まった時、知事は「9回裏、サヨナラヒット」と喜びました。しかし、財務省からは「2007年13万回の利用」との条件がつき、当時のマスコミは、「13万回が達成できなければ」、「頭を丸めるくらいの覚悟で」と財務省が注文をつけ、知事は「景気が回復すれば」と財務省に言い返したと報道されました。しかし、わが党が繰り返し、警告したとおり、利用は昨年11万4千5百回止まりです。景気回復の中でも、利用が伸び悩む現実を認めますか。

 また、関空会社は、08年以降2期事業の計画案をまとめたと報道されています。すでに、府は利子も含め1150億円余りの支出を行っています。新たな財政支出に応じるべきではありません。それぞれ答弁を求めます。

 次に箕面の山の開発についてです。

 昨年12月、テレビ局が「衝撃の新事実、箕面の滝が電気仕掛けの人口の滝に」と報道し、今月13日、他局が「税金750億円がムダに?巨額赤字必至・大阪の仰天ニュータウン開発」と放映し、水・緑開発や箕面トンネルに対する府民の疑問が広がっています。

 水緑開発は当初、総事業費が2011億円で、税金投入は不要と称して始められたが、2001年に需要が見込めないため工事が中断されました。その後、わが党の再三の忠告も聞かず周辺地価も下がる一方なのに、02年に赤字見込み750億円を税金で補うことにして、工事が再開されました。ただちに税金投入を打ち切るべきです。

 総事業費813億円の箕面トンネルは、水緑開発のためですが、通行料は往復1200円もかかります。工事の結果、大量の水が湧き、滝が細くなりました。滝を少しでも戻すように、わき水をポンプで山に返し、電気代は年3千万円もかかります。本当にひどい話です。

 2019年開通予定の第2名神で、約5qの第2箕面トンネルが建設され、滝がまた、細くなりかねません。知事は関西の景勝地・箕面の滝を、さらに細くする第2箕面トンネル建設中止を事業主体に申し入れるべきです。それぞれ答弁を求めます。

 次に、水緑開発の1期事業についてです。

 入札は、05年5月でしたが、予定価格132億円余りに対し、落札率99・8%で、参加者は大林組を中心とした1グループだけでした。府は、大林組しか実施できない旨を昨年10月の住宅水道委員会で答弁しています。なぜ、大林グループしか受注できない手法にしたのですか。

 しかも、大林組には、元副知事が天下りし、2005年9月から06年12月まで大林組の顧問でした。顧問就任の土産としてこの事業が発注されたのではないか。それぞれ答弁を求めます。

 また、捜査の中で、大林組が関西の談合を仕切ってきたことが明らかになりました。1998年から05年度までの8年間で大林組の府公共事業の受注は、金額で984億6千万円余り、平均落札率は97・8%です。大阪でも談合があったのではありませんか。調査を求めます。

 また、私は、決算委員会で昨年7月1日付の人事通信社によって46人の府のOBがゼネコンに天下りしている事実を知事に示し、改善を求めました。その後の調査では、天下りは100人を超えています。府は、「退職前5年間に在職した部署と関係する企業への天下り制限」と再就職先の公開を明らかにしましたが、改めて本会議場で確認を求めます。そして、ゼネコンへの天下りを関係部局が紹介しているのはやめるべきです。それぞれ答弁を求めます。 

 第3は、同和行政の終結です。

 昨年、関西各地で部落解放同盟幹部が、恐喝、業務上横領などにより相次いで逮捕されました。これらは、偶発的な犯罪ではなく、同和対策を食い物にした歴史的利権構造の表れです。

 部落解放同盟への府の支援は終結すべきです。

 1つは、知事自身が解同の対府交渉に出席している問題、解同などが主催する集会に、相変わらず大量の府職員を派遣している問題です。この1年間114人に達し、関西各府県の中でも際だっています。

 2つは、浪速区内の人権センターという2つの府有建物を解同関係団体である人権協会に無償貸与していることです。この建物には解同大阪事務所、解同大阪府連、渇放新聞社、渇放出版社、部落解放・人権研究所、企業連合会などの事務所があります。

 3つは、補助金・委託金です。府は、人権協会など解同関係5団体への直接の補助金・委託金を4億2千万円余り計上し、総合生活相談事業など相談4事業での市町村への補助金を3億8千万円余り組んでいます。

 4つは、新年度に人権ケースワーカーの養成が盛り込まれていることです。これは昨年6月、解同の対府交渉で知事が約束したもので、解同関係者に給料を支払う新たな口実になりかねません。それぞれ中止するよう求めます。答弁を求めます。

 最後に、ハンナングループ、南大阪食肉市場株式会社への25億円の融資問題です。

 今回、府の外部監査委員会が、回収が見込めないのに巨額の貸付をしたこと自体に公益性がなかったと指摘しました。アシストの調査報告書で2万5千頭の見込みなのに府が5千頭上乗せし3万頭にしたことも批判されています。牛の集荷頭数は02年7月の会社発足以来下がり続け、昨年度1万6千頭余り、今年度はそれを下回る可能性もでています。五年前、知事は「3万頭が採算ライン、到達する根拠はある」と再三、再四、わが党に答弁しましたが、見通しが誤りだったことを認めますか。

 25億円が将来返ってくる見込みはありません。しかし、ハンナングループ自体は、年商3千億円ともいわれ全国でも指折りの食肉業者です。南大阪は赤字でも借金を返す能力は十二分にあります。ところが、浅田満氏は昨年7月に取締役を降りています。あらかじめ返済を迫られるのを逃げたのではありませんか。直ちに25億円は回収するよう求めます。知事が返済を求めないなら刑法247条の背任にあたる可能性がありますが、どうですか。これに関連して、毎月浅田氏と府の流対室が株式会社松原食肉市場公社の再編協議をしている最中の2000年7月8日に知事が浅田氏から接待をうけ土産までもらった件で、知事は、わが党に「場所を借りただけ」「土産は儀礼的なもの」「肉はおいしかった」と答弁していますが、利害関係者から接待を受けないという綱紀保持指針に反したことを認めますか。答弁を求めます。