日本共産党堀田文一議員の一般質問(要旨)
 
2006年10月6日
 
 日本共産党の堀田文一です。知事に一般質問を行います。
 同和利権の問題です。
 
 現在、芦原病院の不正経理や、部落解放同盟、いわゆる解同飛鳥支部長の業務上横領事件、解同八尾安中支部相談役の恐喝事件など、同和関連事業の乱脈な運営や同和利権・特権が大きな社会問題になっています。
 
 なぜ、これらの不正や横領、恐喝が、同和対策の特別法が廃止された今日、後を絶たないのでしょうか。それは、解同や、解同関係団体の特別扱いが、今日もタブーとされ、聖域として続いているからです。
 
 大阪府も、解同やその関係団体への特別扱いをすべて廃止し、同和利権を一掃することが、急務です。
 
 第1は、解同関係団体への補助金・委託金です。
 
 同和対策の特別法が存在していた2000年、財団法人大阪府同和事業促進協議会、いわゆる府同促など解同関係5団体への補助金・委託金は4億39百万円でした。ところが、特別法が廃止された今日、名前は人権協会に変わりましたが、この5団体への補助金・委託金は4億36百万円とほぼ同額です。
 
 第2は、府が浪速区内に所有する2つの建物です。うち一棟は、延べ床面積2990u、建築費は2億1769万円、以前は部落解放センターと呼ばれていました。もう一棟は、延べ床面積3331u、建築費は2億3975万円で、部落解放研究・教育センターと呼ばれ、2つとも府同促に無償で貸与されていました。今日、二つの建物は名前が人権センターに変わり、借り主の名前も人権協会に変わり、実態は相変わらず無償貸与であり、センターの中に解同中央本部大阪事務所、解同大阪府連、渇放新聞社、渇放出版社、部落解放・人権研究所、部落解放大阪府企業連合会などの事務所があり、使い方は、今も昔と同じです。
 
 第3は、同和地区産業の振興や同和地区住民の生活水準の向上と称して、大阪府と大阪市が、共同設立した大阪府同和金融公社に、府が無利子でお金を貸している問題です。貸付残高はピーク時には70億円を超え、今日でも48億円が残っています。同和対策の特別法が終結した時点で、無利子貸付金は、全額返還か、有利子に切り替えるかの措置が当然必要でしたが、公社の名前が人権金融公社に変わっただけで、無利子貸し付けは継続し、返済は現段階では、年間で2千万円強にしか過ぎません。この返済額では、貸付残高48億円の回収に216年もかかります。金融公社にとっては、借りたお金を運用し、運用利益のさらに一部だけを返済に充てれば完済でき、元金そのものは返す必要がありません。こんなひどいお金の貸し借りを、私は聞いたことがありません。
 
 第4は、解同などが主催する集会に、相変わらず大量の府職員を派遣している問題です。この1年間では、和歌山市で開かれた部落解放研究第39回全国集会、徳島市で開かれた第20回人権啓発研究集会、高野山で開かれた第37回部落解放・人権夏期講座の、3つの集会に府庁の各部局から合わせて150人を、公費を使って派遣しています。
 第5は、知事自身が解同の対府交渉に出席している問題です。トップの知事が解同にすり寄るようでは、職員が解同の不当な要求に毅然とした態度を取るのは困難です。これらの特別扱いは、直ちに改めるべきです。答弁を求めます。
 
 次に府営住宅について質問します。
 
 府営住宅の応募倍率は、知事が就任した1999年度に7.5倍、昨年は14.4倍と、高くなっています。
 
 最大の原因は、知事が2001年の行財政計画案で「府営住宅の新規供給原則中止」を打ち出し、府営住宅を増やさないことです。
 
 最近、府営住宅の建て替え・高層化がどんどんすすめられています。府営住宅を増やすための用地も財源も、建て替えの中で生まれています。ところが府は、そのお金を府営住宅を増やすのに回さず、大型開発優先の府政運営に振り向けています。
 その上、入居者の追い出しで、府営住宅の募集を広げようとしています。
 
 その1つが、府営住宅の承継問題です。これは親が死亡した際、特別なケース以外は、子どもの居住権を一方的に奪う暴挙です。
 
 2つめは、わずか10年という期限付き入居制度です。新婚世帯が府営住宅に入居できても、10年後は子育て真っ最中です。不安定雇用が拡大している今日、10年で生活が安定する保障もありません。10年で若い世帯を府営住宅から追い出すことは許されません。
 
 3つめは、来年度から予定されている収入超過者の家賃引き上げです。現在の収入基準は決して高くはありません。給料が少し増えたり、家族内で就業者が増えれば、すぐに収入基準を超えます。超えると、これまでも割り増し家賃が課されていましたが、これからはさらに高い民間マンション並みの家賃を課し、収入超過者を追い出そうというものです。
 
 その第4は、国の動きです。国は、2008年に新たな公営住宅法施行令の改悪を行い、収入基準の引き下げや家賃算定基礎の改定で、公営住宅入居者層を低所得化し、少し上の所得層を追い出そうとしています。府はこの改悪を問題と見ていませんが、この改悪で、府営住宅の高齢化がさらに進行し、府営住宅のさまざまな社会問題が深刻化することは目に見えています。
 
 今、府が取るべき住宅政策は、府営住宅からの入居者の追い出しではなく、府営住宅を増築し、入りやすくすることです。国の公営住宅法施行令改悪の動きに、きっぱり異議を申し立てることです。それぞれ答弁を求めます。
 
 次は水と緑の健康都市開発の問題です。
 
 2001年2月、知事は水と緑の健康都市開発を中断しました。理由は「地価動向や当地における住宅需給動向等を勘案すると、府として実施する必要性は低下」と説明されていました。当時の近隣公示価格は、豊能町東ときわ台での1uあたり12万円。水と緑の開発事業計画を決定した1996年の14万3千円から、大きく下落していました。ところが知事は2004年に事業を再開。その時点で公示価格は8万1千円、今年の公示価格は6万8500円とさらに下がり、今や事業計画決定時の五割以下です。上昇に転じたと報道された今年の基準地価も下落しています。
 
 その中で、開発を強行すれば分譲価格を大幅に引き下げるしかありません。水と緑事業の資金計画は、985億円の支出に235億円の収入。その差額である750億円は府費の投入で処理すると説明されていますが、この需要のない宅地供給事業に巨額の府費を投入する必要は、一体どこにあるのでしょうか。
 
 750億円あれば、府営住宅は6000戸建設できます。障害者自立支援法実施に伴う障害者の負担を軽減することができます。介護保険の保険料・利用料の軽減制度を、府として実施することができます。わずか15億円でできる府立高校授業料の減免基準の復元は、いとも簡単です。それらの大事な課題を棚上げにし、需要のない住宅開発を推し進める理由は、どこにもありません。ただちに中止すべきです。答弁を求めます。
 
 最後に、大阪高速鉄道いわゆるモノレールについてです。
 
 モノレールの利用者数は毎年、伸びていますが、国際文化公園都市線を除くと、1日平均の利用者数は昨年度で8万2583人と、当初計画の6割以下です。モノレール1期事業には2181億円が投じられましたが、6両対応で作られた設備は未だに4両分しか使われず、実にもったいない話です。利用の伸びが不十分な原因は、大阪モノレールの運賃が14キロメートルで420円。南海320円、地下鉄310円、泉北高速280円、阪急220円など、府内の鉄道と比べると高すぎることです。在来私鉄との接続も不十分です。
 
 阪急豊中駅から府の老人大学講座が開設されている千里の山田駅まで、蛍池駅で阪急からモノレールに乗り換えて行くと、距離は9.4キロメートル、運賃は470円、十三駅で宝塚線から京都線・千里山線に乗り換えて行くと距離は倍以上の20.4キロメートル、運賃は半額に近い270円、モノレールを利用すれば距離は近いのに、運賃ははるかに高くなります。幸い、モノレール会社は単年度黒字が続き、値下げでモノレールを乗りやすくすれば、乗降客の増加で採算を取ることはできます。東京モノレールでは、土曜・日曜・祝日に限り、羽田から東京駅まで、モノレールとJRの切符を別々に買えば620円、乗り継ぎ切符を買えば500円と、乗り継ぎ割引が実施されています。これらも参考にし、運賃値下げを検討すべきです。
 
 在来鉄道との接続では、阪急電車は宝塚線蛍池駅に急行・快速急行・準急が停車し、京都線南茨木駅に急行が停車し、モノレールとの接続は便利になりました。京阪電車では、門真市駅に普通電車と3つ先の駅が終点となる区間急行しか停車せず、乗り継ぎは不便です。門真市駅に急行などを停車させ、モノレールとの接続が便利になるよう京阪電車に改善を申し入れるべきです。それぞれ答弁を求めます。
 以上で第1問を終わります。