"依然大型開発に固執する府"
府民連が定期総会
宮原府議団長が報告
9月22日開かれた府民連(府民要求連絡会)の第5回定期総会で、日本共産党大阪府議会議員団の宮原威団長が9月府議会をめぐる情勢、府政を巡る重要課題などについて報告しました。その大要を紹介します。
"府民生活はそっちのけ"
史上最高の儲け
まず大阪経済の現状や府民生活の実態について、いくつかの指標を基に見てみます。ことし3月期決算で企業収益は44兆円余りです。バブルの当時で38兆円余りでしたから、文字通り史上最高のもうけを上げています。法人事業税から逆算すると、この5年間で企業収益は約3割増えています。増やしているのは資本金10億円以上の大企業で、逆に府内の事業所数は製造業を中心に約2割減っています。商業もこの5年間で従業員9人以下の店舗は16・5%、6軒に1軒がつぶれています。
府民のくらし
府民の暮らしはこの5年間、消費支出が約10%減っています。収入は2割減です。大阪は全労働者の約4割を非正規社員が占め、実に働いている人の5人に2人が不安定雇用という大変な状態です。
生活保護は5年前の1・6倍、42人に1人が受けており、全国の2倍を超えています。生活保護率が高いのは1位・大阪市、2位・門真市、3位・東大阪市、4位・守口市、5位・八尾市で、大阪の製造業を支える中小企業のモノづくりの集積が作られてきた地域です。それが今の大企業本位の政策の中で、集積が弱められてきていることの反映で、松下電器などの企業城下町である門真や守口は、海外進出と産業空洞化の影響があると思います。
こういう府民の苦しい生活の実態をどうするのかが、府政のとるべき方向ですが、9月議会に提案されている議案について、いくつかの特徴を紹介します。
開発路線は破たん
第1は、すでに破たんして本来見直しが求められている大型開発に、依然として固執しているという問題です。りんくうゲートタワービルは約650億円のうち府が約200億円を出して設立したものです。破たんし、ビルを買収するのは外資系です。45億円で買うというのですが、府がこれからも41億円くらい支援しますから、ただで買うのと同じです。
安威川ダムは、いったんは利水は中止ということがほぼ決まっていましたが、これも府民に大きな負担がかかる最悪の見直し案が示されました。231万dの水源計画のうち、安威川ダム、紀ノ川からそれぞれ1万d取る。それ以外の229万dは、従来の分と府工業用水の転用です。工業用水からもっとたくさん取れるので、安威川や紀ノ川からは不要です。安威川ダムをつくれば浄水場が必要になり、紀ノ川でも和泉山系を越える導水管を作らなければなりません。
そもそも水需要予測が過大です。現在の1日最大給水量は150万dほど。ところが府は10年後には180万dになるというのです。大阪はことし3月から人口減少時代に入っているにもかかわらず、今よりも使用量が増えるというのです。そのことを前提に231万dとしていますが、そうだとしても、工業用水から取ればいけるわけですから、二重三重の無駄遣いです。
アスベスト対策
アスベスト(石綿)対策で府は無料健康診断の実施を決めました。日本共産党府議団はこの間、議会の閉会中でも府当局への申し入れを活発に行い、アスベスト問題では7月に3回申し入れて、文書で回答を得ており、府が無料実施に踏み切ったことは、議員団の成果です。
問題点もあります。当面3カ月の実施で、来年以降は不明です。国のアスベスト新法との関連もありますが、アスベストは数十年の潜伏期間がありますから、来年以降も定期的にやらないと意味がありません。
府民が住む住宅のアスベストも心配されていますが、鳥取県では住宅の建材にどの程度アスベストが使われているのか検査するさいの費用を助成しています。
福祉医療制度
議案ではありませんが、重要な問題として3つ紹介します。一つは福祉医療制度。昨年11月から自己負担制度が導入されましたが、わが党は複数医療機関にかかっている人や、乳幼児でも小さな子どもを2人も3人も育てている家庭は負担が重くなるので、対策を求めました。
府は実態調査を行うと約束し、結果がこのほど明らかになりましたが、3割から5割以上の人が、複数医療機関にかかっています。府は1医療機関当たり1回500円、月2回で千円なので「負担できる範囲」と説明してきましたが、2カ所行けば2千円、3カ所行けば3千円になるわけで、そういうものに対してぜひ助成せよと求めて行きたいと思います。
府立高校つぶし
府立高校授業料の減免制度改悪、これは学区再編や府立高校統廃合と絡んで大変な問題です。高槻南高校と島上高校を統廃合して作った槻ノ木高校は普通科でなくなりました。今回は鳥飼高校と茨木東高校を統廃合し、茨木東を普通科でなくしてしまうのです。すると高槻の南部地域の子どもたちが普通科高校に行くとすれば大冠高校しかありません。
こういう矛盾があるから従来はたくさんあった学区を4学区にする。しかし豊能地域と三島地域を同じ学区にしても、高槻から豊中へ通学するのは大変です。授業料減免制度は改悪され、通学は不便になる。教育の機会均等が大幅に奪われることになります。
指定管理者制度
さらに府は指定管理者制度で、コストを1割削減することを大きな狙いにしています。仮に民間業者が指定管理者に指定された場合でも、いかに公共的性格を守っていくかが大きな焦点です。府立5病院の独立行政法人化でも看護師が30歳代の半ばで頭打ちになるような給与体系です。キャリアが5年とか10年の看護師さんばかりでベテランがいなくなって、府立の病院が担ってきた専門的で高度な医療が守れるのでしょうか。地域でも9割くらいの開業医のみなさんは、やはり高度で専門的な医療、民間ではできない医療をして欲しいと望んでいます。
くらし守る提案
同時に議員団として、府や市町村が努力して少しでも府民の暮らしを守るための提案を議員団として力を入れたいと思います。
最初に述べた消費の低迷の問題は、詳しく見るとこの5年間で医療費、交通費、教育費、光熱水道費は増加しています。それを差し引いても全体の消費が落ちているわけです。要因は、食費の落ち込みが他の費目の落ち込みの倍以上であることや、家具や服、靴などは2割から3割減っています。90年代半ばまでは教養娯楽費や衣服は削っても、食費は削りませんでしたが、今は食費を削る時代になっています。
第1に府や市町村が、福祉医療制度や授業料の減免制度など府民の暮らしの最低のセーフティーネットを守るということをはっきりさせなければなりません。
新たな府費投入が狙われているゲートタワービル |
第2は大阪経済の再生です。東大阪や八尾、北大阪などの製造業の集積も、大きな危機に直面しています。製造業の基礎になる金型すらタイや中国で作られ、産業空洞化も極まれりという状況になってしまいます。ここに府が力を入れなければなりません。
財政再建で提案
財政危機の問題では、最大の原因は無駄な大型開発で、開発優先の見直しをわれわれ一貫して主張してきましたが、税金の取り方についても力点を置きます。今年度の予算ベースで法人事業税が97年度までの税率だったなら約900億円税収が増えることになります。いわゆる大企業減税で毎年700億円から900億円の税収を府は失ってきているわけです。
他方、府税収入で多く減っているのは個人府民税と地方消費税。個人府民税は配偶者特別控除がなくなって税収が増えるはずですが、かつての7割くらいしかありません。地方消費税は消費税5%のうち1%が地方に回ることになっていますが、消費そのものが落ち込んでいるために、税収は減っています。
府民の暮らしを守り、安定雇用を増やせば府民税の収入も増えるし、大企業向けの減税も、97年度ベースに戻すだけで法人事業税だけでも増えるわけで、総合的な財政再建についても提起し、論戦していきたいと思います。