りんくうタウン・ゲートタワービル

府の3セク子会社に営業譲渡したが・・・・

"経営厳しく、新たな府民負担も"

関西新空港対岸部の、りんくうタウンに建設されたゲートタワービル内のホテルが1日から、大阪府の第三セクターの子会社に営業権を無償で譲渡、新会社経営のホテルとして再出発しました。 同ビルの民間企業への売り渡しを見込んでのことですが、経営の見通しも厳しいようで、新たな府民負担になりかねない状況です。

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↓出資■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■出資↓
大阪府■■■■■■■■■■■■■■
都市開発(株)
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ビル社
ビル売却
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大阪りんくう
ホテル社
無償で
営業権譲渡
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ゲートタワーホテル社


このホテルは、ゲートタワービル社の子会社のゲートタワーホテル社が経営していた「全日空ゲートタワーホテル」(地上56階、地下2階のビルのうち29階から54階まで)。関空開港の翌々年の1996年に建設されました。
 
新ホテル会社を和田府議が調査 Slideshow

 同ホテルの営業権を無償で譲渡した先は、大阪りんくうホテル社。同社は府の第三セクター、府都市開発株式会社の子会社で、今回のホテル経営のために新たに設立されたもの。
久代靖之・元府議会事務局長を社長に据えてのゲートタワービルの経営立て直し策でした。
 7日、日本共産党の和田正徳府議が、新ホテル会社に出向いて調査しましたが、ホテル経営の成否もゲートタワービルそのものの経営も引き続き厳しい状況にあることがわかりました。

調査する和田府議(右)

 ホテル経営は、客が泊まる割合を示した客室稼働率でみると、80%前後の比較的高い割合になっていますが、約30%は低料金で利益のすくないパイロットやステュワーデスのためのものであり、「空き部屋にするのではなく、一定の宿泊者を確保する保険みたいなもの」といいます。
 

りんくうタウンに立つゲートタワービル=泉佐野市
関空の需要が伸びることが乗客の増加にもつながり、ホテル利用者の増加にもなるといいますが、関空の需要増はのぞめません。ビル社の関係者は「ホテルの経営が採算ベースに乗ることがビル経営にも好影響を与える」とみており、「ホテルのグレードを上げ宿泊単価のアップにつなげたい」と話しています。   ホテルの経営主体は変わるものの、運営はこれまで通り全日空の子会社「ANAホテル&リゾーツ」社の委託のまま。
 これまで支援してきた銀行など11の金融機関のうち6機関がビル社に対する融資の打ち切りを表明、他の5機関も「融資継続は困難」との立場を表明しているとされています。同社幹部は「新たな融資はしないというもので、積極的な支援はしないが、消極的な支援は継続してくれるもの」と楽観視しますが、見通しは立たないままです。
 ビル社は、民間企業などのビル取得者を探しており、ビル社の幹部は、計画をスムーズに進めるためには「府の支援、金融機関の理解が必要」としています。
 
府民へのツケ・ 問われる府責任

 府の孫会社間の、営業権の無償譲渡によって財政的な負担がビル社と、そこに出資している府にもどり、結果的に府民にまわされることになります。今後府の責任が厳しく問われるのは必至です。